信虎 (映画)
信虎 | |
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Nobutora-Samurai Tiger | |
監督 | 金子修介、宮下玄覇(共同監督) |
脚本 | 宮下玄覇 |
製作 | 宮下玄覇、西田宣善、榎望(協力) |
製作総指揮 | 宮下玄覇 |
出演者 |
寺田農 谷村美月 矢野聖人 荒井敦史 榎木孝明 永島敏行 渡辺裕之 隆大介 石垣佑磨 葛山信吾 嘉門タツオ 杉浦太陽 左伴彩佳(AKB48) 柏原収史 伊藤洋三郎 川野太郎 安藤一夫 堀内正美 橋本一郎 |
音楽 | 池辺晋一郎 |
撮影 | 上野彰吾 |
編集 | 宮下玄覇 |
制作会社 | ミヤオビピクチャーズ |
製作会社 | ミヤオビピクチャーズ |
配給 | 彩プロ |
公開 | 2021年11月12日[1] |
上映時間 | 135分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『信虎』(のぶとら)は、2021年11月12日公開の日本映画。武田信玄の父・武田信虎の最晩年から始まり孫の勝頼の討死までを描いた映画。
制作
京都の古美術・茶道具商社の宮帯(代表宮下玄覇)が全面出資して製作された異色の本格時代劇作品。当初の予定タイトルは『信虎 信玄陣没!国主の帰還』だった。撮影は信虎が甲府を開府してから500年の2019年に京都で行われた。公開は信玄生誕500年の2021年10月22日より山梨先行、11月よりTOHOシネマズ系で全国上映され、信玄450回忌の2022年まで行われた。
監督は金子修介、共同監督・脚本・美術は宮下玄覇。音楽は池辺晋一郎。特殊メイク・かつらは江川悦子。衣裳は宮本まさ江。武田家考証は平山優。
主演は寺田農[2]。ヒロインは谷村美月。上杉謙信役に榎木孝明。織田信長役には隆大介が断ったため渡辺裕之が起用された。隆大介(土屋伝助役)は本作が遺作となった[3]。
黒澤明監督『影武者』のスピンオフを志向し、音楽では池辺晋一郎が続編を作曲した。
劇作家・映画監督の三谷幸喜は、「大河ドラマとは全てが違う戦国時代の世界観の映画で、闘いのシーン、メイク、美術、衣装どれをとっても新鮮さを感じる」と賞賛した[4]。
また、歴史小説家・伊東潤は「令和の時代劇はこれだ!」と評し、歴史学者・小和田哲男はそのリアリティをもった演出と世界観の構築を絶賛。歴史学者・笠谷和比古は「歴史ファン、戦国ファンにとって必見の映画」との推薦コメントを寄せた。
2022年3月に特殊メイク・かつら担当の江川悦子が本作のラテックス製のかつらが『マスカレード・ナイト』と共に、革命をもたらしたと評価され、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。
4月には音楽の池辺晋一郎が永年の功績を認められ旭日中綬章を受章した。
2022年のマドリード国際映画祭にて、最優秀外国語映画、外国語映画部門最優秀監督(金子修介・宮下玄覇)、外国語映画部門最優秀主演男優(寺田農)、外国語映画部門最優秀オリジナル脚本、ベスト・コスチュームの5部門にノミネートされ、外国語映画部門 最優秀監督(金子修介・宮下玄覇)、ベスト・コスチュームの2部門を獲得した。
あらすじ
武田信虎(無人斎)は甲斐追放後、駿河を経て京で足利義昭に仕えていた。元亀4年(1573)、信玄が信長包囲網を形成し上洛を開始。信虎は齢80になっていたが、信玄の危篤を聞き末娘・お直と、わずかな家臣、海賊、透破(忍者)を引き連れ甲斐への帰国を目指す。途中、美濃での激戦を乗り越えて信濃高遠城にたどり着く。ここで孫の勝頼と初対面し、寵臣跡部勝資・長坂釣閑斎や馬場信春・山県昌景・内藤昌秀・春日虎綱(弾正)らの家老たちと論戦を繰り広げる。その後、信虎は上杉謙信・北条国王(氏直)らに後事を託して大往生を遂げる。天正10年(1582)、ついに武田家は織田・徳川・北条連合軍の侵攻を受け滅亡。その頃より信虎の秘策が次々と奇跡を起こす。
キャスト
京 武田家
- 武田信虎(無人斎道有):寺田農
- お直(信虎娘):谷村美月
- 土屋伝助:隆大介
- 清水式部丞:伊藤洋三郎
- 武田雅楽助:田中伸一
- 望月六郎:山本将起
- 黒川新助:矢野聖人
- 矢作勘太夫:森本のぶ
- 白畑助之丞:小堀正博
- 孕石源右衛門尉:剛たつひと
- 立神藻右衛門:倉田操
- 小助:青山金太郎
- お花(侍女):花澄
甲斐 武田家
- 武田信直(若き信虎):石垣佑磨
- 武田信玄:永島敏行
- 武田勝頼:荒井敦史
- 武田信勝:大八木凱斗
- 北の方(勝頼継室):西川可奈子
- 大方(勝頼外祖母):奥山眞佐子
- 武田逍遥軒:永島敏行(二役)
- 一条信龍:杉浦太陽
- 武田麟岳:若林元太
- お西(信虎側室):まつむら眞弓
- お弌(信虎娘):左伴彩佳(AKB48)
- 武田信豊:鷲尾直彦
- 穴山信君(梅雪斎):橋本一郎
- 木曽義昌:實貴政夫
- 跡部勝資:安藤一夫
- 長坂釣閑斎:堀内正美
- 山県昌景:葛山信吾
- 内藤昌秀:井田國彦
- 馬場信春:永倉大輔
- 春日弾正忠(虎綱):川野太郎
- 安部宗貞:高谷恭平
- 土屋昌恒:木村圭吾
- 小宮山内膳:塩崎こうせい
- 小笠原憩庵:唐木ふとし
- 横手(柳澤)源七郎:井藤瞬
- 日向玄東斎:清郷流号
- 安左衛門尉:嘉門タツオ
- 無市郎(跡部透破):平宅亮
信濃(高遠城代)武田家
- 武田平太郎(信澄):高月雪乃介
- 小井弖藤丸:武田勝斗
- 辰阿弥:中島ボイル
信濃 禰津家
- 禰津松鷂軒:岸端正浩
- 禰津神八:上田実規朗
- 春国光新:高橋賢一
織田家
上杉家
徳川幕府
その他
スタッフ
- 監督:金子修介
- 共同監督・脚本:宮下玄覇
- 音楽:池辺晋一郎
- 製作総指揮・企画・プロデューサー:宮下玄覇
- プロデューサー:西田宣善
- 協力プロデューサー:榎望
- プロダクション統括:芳川透
- 撮影:上野彰吾
- 照明:赤津淳一
- 美術・装飾:宮下玄覇・籠尾和人
- 録音:原川慎平
- 整音:臼井勝
- 音響効果:丹雄二
- 編集:宮下玄覇・山本浩史
- カラーグレーダー:広瀬亮一
- VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
- 衣裳:宮本まさ江
- 特殊メイクスーパーバイザー:江川悦子
- スクリプター:奥井富美子
- 時代考証:宮下玄覇
- 武田家考証:平山優
- 殺陣:山口孝二
- 題字:森田彦七(今井凌雪門下)
- 宣伝デザイン:岡野登
- スチール:制野善彦
- 演奏:東京コンサーツ
- キャスティング:宮下玄覇
- 演技事務:出射均、早川喜貴、関根浩一
- 助監督:村上秀晃、西山太郎
- 美術装飾付助監督:生駒誠
- 制作担当:丹羽邦夫、安達守
- 配給:彩プロ
- 製作:ミヤオビピクチャーズ
- ロケ地:高根城跡、田峯城跡、荒砥城跡、逆井城跡、二条城、篠山城、上賀茂神社、諏訪神社(群馬県下仁田町)、本法寺、立本寺、妙覚寺、雲峰寺、善水寺、長寿寺、報恩寺(京都市)、興聖寺(滋賀県高島市)ほか
- 後援:信玄公生誕500年記念事業実行委員会(山梨県)、こうふ開府500年記念事業実行委員会(甲府市)、山梨県甲府市、山梨県甲州市、山梨県身延町、三重県志摩市、岐阜県恵那市、武田神社、恵林寺ほか
- 推奨:日本甲冑武具研究保存会
特徴
- 桃山時代の建物を中心にオールロケをし、高額な美術品を多用。また、剃り込みの深い戦国期の月代・髷、甲冑、旗、在来馬(木曽馬)といったディテールにこだわり、刀と刀をぶつけて本物の音を録音。所作は当時のものを用いている。新しい試みを数多くしているため「新戦国時代劇」と銘打っている。
- 数々の作品のオマージュがちりばめられてあり、主演の寺田農がかつて映画『天空の城ラピュタ』で声優を務めたムスカ大佐のセリフなどがある。
- 信虎・信玄のほか、国語学者・酒井憲二に捧げられた映画であり、酒井は『甲陽軍鑑』の偽書説を覆した人物で、本作には同書の完全再現のシーンが幾つかある。ちなみに同書では信虎を武田家26代としている。
参考文献
- 『映画『信虎』の世界』(宮帯出版社、ISBN 978-4801602601)
脚注
- ^ “寺田農主演の時代劇『信虎』公開日が決定”. シネマトゥデイ. (2021年9月7日) 2021年9月11日閲覧。
- ^ “武田信虎役に寺田農 映画「信虎」”. 産経新聞. (2019年11月20日) 2019年11月20日閲覧。
- ^ “寺田農と谷村美月が共演、武田信玄の父の晩年描く時代劇「信虎」公開”. 映画ナタリー. (2021年9月7日) 2021年9月11日閲覧。
- ^ “寺田農主演「信虎」、三谷幸喜が「大河ドラマとは、全く違う”. ピア (2021年11月10日). 2022年6月7日閲覧。
- ^ 1990年の映画『天と地と』でも上杉謙信を演じた。
外部リンク
- 映画『信虎』公式サイト
- 映画『信虎』ミヤオビピクチャーズ
- 信虎 - allcinema
- 信虎 - KINENOTE
- 信虎 (@nobutora_movie) - X(旧Twitter)