クリスタル殺人事件
クリスタル殺人事件 | |
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The Mirror Crack’d | |
監督 | ガイ・ハミルトン |
脚本 | ジョナサン・ヘイルズ |
製作 |
ジョン・ブラボーン リチャード・グッドウィン |
出演者 | アンジェラ・ランズベリー |
音楽 | ジョン・キャメロン |
撮影 | クリストファー・チャリス |
編集 | リチャード・マーデン |
配給 |
コロンビア映画 東宝東和 |
公開 |
1980年12月19日 1981年7月 |
上映時間 | 105分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
『クリスタル殺人事件』(クリスタルさつじんじけん、原題: The Mirror Crack’d)は、1980年製作の映画。原作はアガサ・クリスティの『鏡は横にひび割れて』(原題: The Mirror Crack'd from Side to Side, 1962年)。
ストーリー
1953年、ミス・ジェーン・マープルの住むイングランドの片田舎セント・メアリ・ミードは、いつもの静けさが嘘のように賑わっていた。久しぶりに映画に復帰する往年の大女優マリーナ・クレッグや、映画監督である夫のジェイソン・ラッドら、ハリウッドの撮影隊がゴシントン荘に長期滞在し、大作映画「スコットランドの女王メアリー」の撮影が行われるのである。村をあげての歓迎ムードの中、ゴシントン荘ではマリーナがホステスとなって村の人々を招待し、盛大な交歓パーティーが催されようとしていた。ミス・マープルもパーティーに参加しようと出かけたはいいが、子供が離した犬のリードに足をすくわれ転倒、足首を痛めてしまい、やむなく帰宅するはめとなってしまった。
そんな中、今回の映画のプロデューサー、マーティ・N・フェンが妻である女優ローラ・ブルースターを伴って現れた。マリーナとローラは犬猿の仲であり、二人の共演はトラブルを引き起こすと懸念されていた。そしてパーティーの真っ最中、戦時中にマリーナの慰問公演を見て感動したという村の女性、ヘザー・バブコックが突然倒れ、急死してしまう。 パーティーで手伝いをしていたミス・マープルの家政婦チェリーによると、ローラらが現れた際、ヘザーはマリーナに一方的に退屈な思い出話をまくしたてており、その時なぜか急にマリーナは、階段に飾られた聖母子像を見つめて「凍りついて」いたという。この時、マープルは呪いにかかった「シャーロット姫」の詩を暗唱する。検死の結果、ヘザーの死因はカクテルに混入された毒によるものと判明。しかもその毒入りのカクテルは、ジェイソンが作り、もともとマリーナが飲むはずのものだったこともわかった。
映画の撮影が開始されたが、ローラとマリーナの不仲がやはり障害になって一向に捗らない。マリーナはコーヒーに毒が入っていると騒ぐなど、心配されていた精神状態は次第に悪化していく。
ミス・マープルの甥であるロンドン警視庁のクラドック警部は、関係者たちに事情聴取を始めるが、マリーナは自分に脅迫状が届いていることを誰にも明かさずにいたと告げる。そんな折、ジェイソンの助手のエラ・ジリンスキーが毒殺される。エラはジェイソンへの愛からマリーナの存在を疎み、不可解な行動をとっていたのだった。
ミス・マープルとクラドックは、ヘザーがマリーナの身代わりで殺されたという最初の前提が間違っていたのでは、と気づく。ヘザーは何をマリーナに話していたのか。そしてマリーナに新たな危機が迫っていた。
登場人物
- ミス・マープル(ジェーン・マープル)
- 演 - アンジェラ・ランズベリー (日本語吹替:高橋和枝)
- 事件の犯人を推理する老嬢。足を怪我したため出歩くのを控えている。
- マリーナ・グレッグ
- 演 - エリザベス・テイラー(日本語吹替:武藤礼子)
- アメリカ人の大女優。ようやく生まれた子に知的疾患があり、それ以来映画から遠ざかっていたが、今回主演で復帰しようとしている。
- ジェイソン・ラッド
- 演 - ロック・ハドソン(日本語吹替:羽佐間道夫)
- ハリウッドのハンサムな映画監督。マリーナの夫。
- ローラ・ブルースター
- 演 - キム・ノヴァク (日本語吹替:小原乃梨子)
- アメリカ人のグラマーな女優。マリーナとはジェイソンをめぐって傷害未遂事件を起こした過去がある。
- マーティ・N・フィン
- 演 - トニー・カーチス(日本語吹替:広川太一郎)
- ハリウッドの映画プロデューサー。妻であるローラの出番を増やそうと画策している。
- ダーモット・クラドック
- 演 - エドワード・フォックス (日本語吹替:納谷悟朗)
- ミス・マープルの甥でロンドン警視庁の主任警部。叔母の助けを借りながら事件の捜査をしている。
- エラ・ジリンスキー
- 演 - ジェラルディン・チャップリン(日本語吹替:池田昌子)
- ジェイソン・ラッドの助手。ジェイソンを愛している。
- ミセス・ドリー・バントリー
- 演 - マーガレット・コートネイ
- ミス・マープルの友人。マリーナの宿舎・ゴシントン荘の元の所有者。
- ヘザー・バブコック
- 演 - モーリン・ベネット
- 地元婦人会幹事。マリーナの熱狂的なファン。パーティーの最中、急死する。
- チェリー・ベイカー
- 演 - ウェンディ・モーガン
- ミス・マープル宅の家政婦。有名人に会いたくて歓迎パーティーの給仕係を買って出る。
- ベイツ
- 演 - チャールズ・グレイ
- ゴシントン荘の執事。
- マーゴ・ベンス
- 演 - マレラ・オッペンハイム
- 映画の宣伝の為に雇われた女性カメラマン。パーティーの模様を撮影していた。
- 牧師
- 演 - チャールズ・ロイドバック
- セント・メアリ・ミードの牧師。毎週金曜の夜に教会で映画上映会を催すが、映画そのものについては疎い。
- ミステリー映画の中の探偵
- 演 - ナイジェル・ストック
- 教会で上映されたミステリー映画の登場人物。最後の謎解きの場面で映写機が故障してしまった為、ミス・マープルが犯人を言い当てる。
- “ジェイミー”(「スコットランドの女王メアリー」内の役名)
- 演 - ピアース・ブロスナン (ノンクレジット)
- マリーナの相手役の若手の俳優。
参考
- この映画の原題「鏡は横にひび割れて」はテニスンの詩「シャーロット姫」(The Lady of Shalott)の一説で、この詩はアーサー王伝説に現れる美姫がモチーフとなっている。シャーロットの塔に閉じ込められている姫は騎士ランスロットに一目ぼれし、塔から抜け出す際に鏡が割れて呪いがかかり、ついには小舟に横たわって死んでいくというモチーフを指している。なお元となったアストラットのエレインも参照の事。
- マリーナとヘザーの関係が、アメリカ人女優ジーン・ティアニーの実体験と酷似しているため彼女がモデルとする説が存在するが、実際は偶然の一致であり、クリスティはティアニーの事を知らなかった。