キンモクセイ

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キンモクセイ
Osmanthus fragrans
Osmanthus fragrans
神戸市
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: シソ目 Lamiales
: モクセイ科 Oleaceae
: オリーブ連 Oleeae
: モクセイ属 Osmanthus
: モクセイ O. fragrans
変種 : キンモクセイ O. f. var. aurantiacus
学名
Osmanthus fragrans Lour.
var. aurantiacus Makino[1]
シノニム
英名
fragrant orange-colored olive
品種[2]

キンモクセイ(金木犀、学名: Osmanthus fragrans var. aurantiacus)はモクセイ科モクセイ属常緑小高木樹で、モクセイ(ギンモクセイ)の変種

中国では、正しくは丹桂がこれに当たるが、一般には桂花の名で呼ばれることがある。しかし、桂花は木樨属におけるひとつの名であり、金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)などを含む全ての亜種変種品種を総括するものである。

形態・生態

に小さいオレンジ色を無数に咲かせる。雌雄異株であるが、日本では雄株しか入っていないので結実しない。雄しべが2本と不完全な雌しべを持つ。花は芳香を放つ。芳香はギンモクセイよりも強い。香りの主成分はβ-イオノンリナロール、γ-デカラクトン、リナロールオキシド、cis-3-ヘキセノールなど。このうち、γ-デカラクトンなどはモンシロチョウなどへの忌避作用があることが判明している[3][4]

分布

中国南部原産で、日本には江戸時代に渡来した。

人間との関わり

桂花茶(左)と桂花醤(右) 桂花茶(左)と桂花醤(右)
桂花茶(左)と桂花醤(右)

主に庭木として観賞用に植えられている。

花冠白ワインに漬けたり(桂花陳酒)、に混ぜて桂花茶と呼ばれる花茶にしたり、蜜煮にして桂花醤と呼ばれる香味料に仕立てたりする。また、桂花蟹粉(芙蓉蟹の別名)、桂花鶏絲蛋、桂花豆腐、桂花火腿などのように、鶏卵の色をキンモクセイの花の色に見立てて名づけられた卵料理は多く、正月用の菓子である桂花年糕のようにキンモクセイの花の砂糖漬けを飾るなど実際にこの花が使われる料理もある[5]

キンモクセイの花は甘めでしっかりした強い香りであることから、日本において汲み取り式便所が主流で悪臭を発するものが多かった時期には、その近くに植えられることもあった[6]。その要因から、香りがトイレ芳香剤として1970年代初頭から1990年代前半まで主流で利用されていたため、一部年齢層においてはトイレを連想させることがある[6]

秋の季語である。

都道府県・市区町村の木に指定している自治体

脚注

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年10月16日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2013年10月16日閲覧。
  3. ^ 広島大学生物圏科学研究科・化学生態学研究室. “チョウ成虫の採餌行動”. 研究内容紹介. 2013年10月16日閲覧。
  4. ^ Hisashi Ômura; Keiichi Honda, Nanao Hayashi (2000). “Floral Scent of Osmanthus fragrans Discourages Foraging Behavior of Cabbage Butterfly, Pieris rapae”. Journal of Chemical Ecology英語版 26 (3): 655-666. doi:10.1023/A:1005424121044. ISSN 0098-0331. 
  5. ^ 全国調理師養成施設協会編 編『調理用語辞典』(改訂)全国調理師養成施設協会、調理栄養教育公社(発売)、1998年。ISBN 4-924737-35-6 
  6. ^ a b 田幸和歌子 (2006年10月24日). “トイレの「キンモクセイの香り」が衰退した理由”. Excite Bit コネタ. エキサイト. 2013年10月16日閲覧。

参考文献

  • 茂木透写真『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2001年、293頁。ISBN 4-635-07005-0 

関連項目

外部リンク