たちかぜ型護衛艦

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たちかぜ型護衛艦
DDG-170 さわかぜ
艦級概観
艦種 ミサイル護衛艦(ミサイル駆逐艦
建造期間 1973年 - 1981年
就役期間 1976年 - 2010年
前級 DDG:あまつかぜ
次級 DDG:はたかぜ型護衛艦
性能諸元
排水量 基準:3,850トン(DDG-170は100トン増)
満載:5,200トン
全長 143m
全幅 14.3m
吃水 4.65m
深さ 9m
機関 蒸気タービン,2軸推進(60,000ps
三菱 船用2胴衝動型タービン 2基
三菱長崎CE 2胴水管型ボイラー[1] 2基
速力 最大: 32ノット
乗員 277人(DDG-169から250人)
言語 表記
日本語 たちかぜ型護衛艦
英語 TACHIKAZE class destroyer

たちかぜ型護衛艦(たちかぜがたごえいかん、JMSDF DDG TACHIKAZE class)は海上自衛隊第3次防衛力整備計画によって計画・建造された、「あまつかぜ」に次ぐ第二世代ミサイル搭載護衛艦である。

概要

海上自衛隊では「あまつかぜ」以来ほぼ10年間DDG(ミサイル搭載護衛艦)は建造されていなかったが、DDH(ヘリコプター搭載護衛艦)のように周辺海域にとどまらない外洋作戦にも対応した大型のミサイル護衛艦が求められ[2]、昭和46年(1971年)度に計画されたのが、「たちかぜ」である。

艦型規模に大きな制約のあった「あまつかぜ」に比べて大型化しており、設計的には改良型というより、たかつき型の船体にターターシステムを積み込んだ、というコンセプトである。また、海上自衛隊のDDGとしては初めて、デジタルコンピュータによって武器管制を統合するシステム艦となった。

搭載ミサイルRIM-24ターターからRIM-66スタンダードに進化した。その他の兵装であるMk 42 5インチ砲アスロック、全体的な配置などはたかつき型に準じている。前甲板に5インチ砲とアスロック発射機を備え、艦体後部にも5インチ砲を設置、艦尾にMk 13ミサイル発射機を設置している。イルミネーター2基も艦の後部にある。マストはマック方式で2基。また、推進機関に蒸気タービンを採用しており、同推進機関を採用したのは海自DDGとしては本型が最後である。

たちかぜ型はターターDシステムを搭載し、海上自衛隊としては初めて大規模なコンピュータを搭載した艦となっており、各種センサー及び武器類を統合管制する戦術情報処理装置としてOYQ-1Bを搭載している。(なお2番艦の「あさかぜ」ではOYQ-2Bに、3番艦の「さわかぜ」ではOYQ-4に更新されている。) 2番艦では、1番艦では省略されていた一部の装備が追加されたため基準排水量は若干増大している。3番艦の「さわかぜ」では大幅に変更がなされている。

ミサイル発射機をハープーン艦対艦ミサイルと兼用できるMK13mod4に更新した他、アスロック発射機の装填方式、電子装置の更新、洋上補給装置の位置などである。なお、3隻とも高性能20mm機関砲CIWS)2基を後日装備し、近接防空能力の向上を図っている。

ネームシップの「たちかぜ」はあたご型イージス護衛艦あたご」と、2番艦「あさかぜ」は同じく「あしがら」と交代して退役したが、3番艦「さわかぜ」の後継艦は計画されていない。

艦隊旗艦

「たちかぜ」は1998年(平成10年)に2番砲塔の撤去と司令部設備の新設改修を施し、2007年(平成19年)1月15日まで護衛艦隊旗艦を務めた。

あたご型の就役により2隻が退役したため、3番艦「さわかぜ」が2007 年(平成19年)3月25日より護衛艦隊旗艦を務めた。なお「さわかぜ」は2番砲塔の撤去をしなかった。

2010年(平成22年)6月25日の「さわかぜ」の退役により護衛艦隊旗艦は廃止された。

兵装・電装要目

たちかぜ
(DDG-168)
あさかぜ
(DDG-169)
さわかぜ
(DDG-170)
兵装 73式54口径5インチ単装砲×2基
高性能20mm機関砲CIWS)×2基
(※就役後、装備)
Mk.13 mod.3 単装ミサイル発射機×1基
SM-1MR SAM用)
Mk.13 mod.4 GMLS×1基
(SM-1MR SAM / ハープーン SSM用)
74式アスロックSUM8連装発射機×1基
HOS-301 3連装短魚雷発射管×2基
C4I MOFシステム SUPERBIRD-B2衛星通信)
海軍戦術情報システム リンク 11/14
OYQ-1 WES OYQ-2 TDS OYQ-4 CDS
Mk.74 mod.13 ミサイルFCS
FCS-1A(72式)主砲FCS FCS-2-21(81式)
主砲FCS
SFCS-6A UBFCS
レーダー SPS-52B 三次元
OPS-11B 対空
OPS-17 対水上 OPS-28 対水上
OPS-20 航海
SPG-51C ミサイル射撃指揮
ソナー OQS-3A 艦首装備 OQS-4 艦首装備
電子戦
対抗手段
NOLR-6 ESM NOLQ-1 統合電子戦(ESM/ECM)
(※ OLR-9B ミサイル警報装置を含む)
OLT-3 ECM
Mk.36 mod.2 SRBOC(Mk.137発射機×4基)
SLQ-25 対魚雷デコイ

同型艦

艦番号 建造番号 艦名 建造 起工 進水 竣工 除籍
DDG-168 2308 たちかぜ 三菱重工業
長崎造船所
1973年
(昭和48年)
6月19日
1974年
(昭和49年)
12月17日
1976年
(昭和51年)
3月26日
2007年
(平成19年)
1月15日
DDG-169 2309 あさかぜ 1976年
(昭和51年)
5月27日
1977年
(昭和52年)
10月15日
1979年
(昭和54年)
3月27日
2008年
(平成20年)
3月12日
DDG-170 2310 さわかぜ 1979年
(昭和54年)
9月14日
1981年
(昭和56年)
6月4日
1983年
(昭和58年)
3月30日
2010年
(平成22年)
6月25日

登場作品

映画
伊勢湾防衛線展開の場面で「たちかぜ」が登場。
アニメ
TV版第八話に国連軍駆逐艦として登場。ガギエルに対し対潜攻撃を行うも全く効果がなかった。
小説
  • 『異界戦艦大和』
戦艦大和」の幽霊船出現の報を受け、「たちかぜ」が調査に出動。
架空のたちかぜ型4番艦「うらかぜ」が登場する。

脚注

  1. ^ 発生する蒸気の性状は、40kg/cm2 450℃ 120t/hである。
  2. ^ 第三次防衛力整備計画作成作業経過報告 秘 四〇・一〇・二八 堂場文書

関連項目