3Dプリンター

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3Dプリンターの一例

3Dプリンター英語: 3D printer)とは、通常の紙に平面的に印刷するプリンターに対して、3DCAD3DCGデータを元に立体(3次元のオブジェクト)を造形する機器。産業用ロボットの一種。

通常は積層造形法(additive manufacturing)[1]によるものを指し、切削造形法によるものは3Dプロッター: 3D plotter)と呼ぶ。3次元のオブジェクトを造形することを、3Dプリント(三次元造形、: 3D printing)と呼ぶ[2][3]

来歴[編集]

初期のものは1980年代に開発され実用化していったが、それらは高価であるばかりでなく、特殊な制御を求められるものであった。

1983年、チャック・ハル英語版がステレオリソグラフィー(光造形法)、また.stl(Standard Triangulated Language)という3Dデータの保存方式を発明し、1986年3D Systems Corpを起業して、翌1987年「SLA 1」として商品化した。これが初の3Dプリンターとされる[4][5][6][7]この後も、1990年代半ばまでに様々な技術開発と製品が出されたが、それぞれ別々の名で呼ばれ、まだ3Dプリンター(もしくはadditive manufacturing)はそれらを表す共通の言葉とはなっていなかった。

1990年、3D印刷ともっとも広く関連づけられるPlastics extrusion技術が、Stratasys社により"fused deposition modeling (FDM)"(熱溶解積層法)として商品化された。

1995年、Z Corporation社が、MITが開発した積層造形法に基づく製品を初めて"3D printing (3DP)"の商標で販売した。これにより、Ink jet material depositionを行う機器をおおまかに他と区別して3Dプリンターと呼ぶようになっていった。

2000年代半ばまでは安くても数百万円するため企業など事業所で導入されるのが主であったが、基本特許が切れたのに伴って数万円~数十万円のものが発売され始め、個人や家庭でも導入されるようになっていった[4]

2008年から2011年にかけて、低価格の個人用3Dプリンタ市場は毎年平均346%もの爆発的成長を遂げ[8]、2013年には7万台が売られたと見積もられている[9]

2010年頃は、3D Systems,Stratasysなど上位3社で業界シェアの80%以上を占め、特に、ストラタシス社のDimension/uPrintシリーズの業界シェアが約50%と高く、事実上の業界標準となっていた[10]。2012年に3D SystemsがZ Corporationを併合して[11]、二社の争いになった。

概要[編集]

3Dプリンター

機種によって多少の違いはあるが、基本的な仕組みは、コンピュータ上で作った3Dデータを設計図として、断面形状を積層していくことで立体物を作成する。液状の樹脂に紫外線などを照射し少しずつ硬化させていくインクジェット方式、熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていくFDM方式(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層法)、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけていく粉末固着方式などの方法がある[12]

製造業を中心に建築医療教育・先端研究など幅広い分野で普及している。用途は業界によって様々である。製造分野では製品や部品などの「デザイン検討」「機能検証」などの試作やモックアップとして、建築分野ではコンペやプレゼン用の「建築模型」として、医療分野ではコンピュータ断層撮影核磁気共鳴画像法などのデータを元にした「術前検討用モデル」として、教育分野では「モノづくり教育のツール」として、先端研究分野ではそれぞれの研究用途に合わせた「テストパーツ」「治具」などの作成用途で使用されている[13]

3Dプリンターの使用用途としては、実際に製品を作る前にそれぞれの部品を3Dプリンターで出力できるサイズに縮小して出力して、デザインの検証・機能検証などの試作に使われることが多い。大手建設会社では建物の模型を3Dプリンターで出力して客に説明する際に使われている。この3Dプリンターを使用するメリットとしては、安いものでは1cm2あたり20円という安価(メーカーによって多少のばらつきはある:但し溶融物堆積法。)で試作できる、今までパソコンの画面上でしか見ることができなかったものが、実際に手に取ることができるため、完成したときのイメージが非常にしやすくなる、などが挙げられる。完成したときのイメージがしやすいということは、実際に製作している過程でも、完成形のイメージがしやすいため製作者に迷いが生じにくいということを意味し、作業効率の向上にも繋がりうる。

また、3Dプリンタは物を作る方法の一つとして、従来からある金型を作っての成形や切削による造形を比較されることが多い為、それに比較すると、3Dプリンタは、コスト及び時間の面で、少数(一つ一つが異なる形状のもの)を作る時に良いとされる。

作る造形物という意味では、

  • 切削では削ることの出来なかった中空形状・複雑な内部形状も3Dプリンターであれば造形が可能
  • 部品を製造するのではなく、一体化された所謂アセンブリされた状態を一度で造形する
  • 複数の異なる材料を使用しての一体造形が可能。
  • 誰が何個作っても毎回同じ物が出来る。
  • 複数のモデルを一度に作ることが出来る。

操作という意味では、

  • 操作者の技術力に依存しない。
  • 機器の取り扱いが容易。造形に人手をあまり要さない。

という特徴を持つ。

昨今では、精細度が良いだけでなく、ラバー(ゴム)系の材料が使えたり、複数の物性の異なる材料を混ぜながら造形が出来たり、カラーの造形が出来る3Dプリンタも出て来ている為、用途の幅も広がりつつある。

問題[編集]

の部品の図面をダウンロードし、3Dプリンターにより部品を作成することで、殺傷能力のある銃が作成されるという懸念がある。米国では非営利団体「ディフェンス・ディストリビューテッド」が2013年に3Dプリンターで作成できる銃の図面を公開している。これは「リベレーター」と名づけられている。日本では2014年5月8日に3Dプリンターで作成した銃を所持していた大学職員の男が銃刀法違反で逮捕された。

また、2014年7月14日には、自称芸術家・ろくでなし子と名乗る女が、自らの女性器の陰部を3Dデーター化し、それを香川県の会社員に配布したとされるわいせつ電磁的記録頒布の容疑で逮捕される事件があった。データーを3Dプリンターにかけると、石膏などで女性器が再現され、これがわいせつ物に相当するものとみなされた[14]

その他[編集]

2005年5月19日(日本では7月9日)に劇場公開された映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で使用されたダース・ベイダーのマスクの試作品作成に、日本の3Dプロッタ機器製造販売会社ローランド ディー. ジー.の3Dプロッタ「MDX-20」が使用された。

脚注[編集]

  1. ^ 「2009年にASTMにおいて、F42委員会が設置され、いわゆる除去加工に対して、積層を繰り返していく付加していく加工という意味でアディティブマニュファクチャリング(AM:Additive Manufacturing)と呼ぶことが決定された」 京極秀樹 「最近のレーザ積層造形技術の開発動向」 『近畿大学次世代基盤技術研究所報告』 vol.1 (2010) pp.69-76
  2. ^ 酒井仁史 「新たな製造法“アディティブマニュファクチャリング(AM)”その使い所と勘所」 『素形材 2013年2月号』 Vol.54(2013)No.2
  3. ^ CNET Japan 特集 ものづくりを加速させる「3Dプリンタ」 『3Dプリント--現在の動きと今後のトレンドを考える』2014年7月15日
  4. ^ a b 3Dプリンター振興協議会 『3Dプリンターの健全発展に関する声明文』 2014年6月25日
  5. ^ 株式会社 スリーディー・システムズ・ジャパン - 会社案内 2014年6月確認
  6. ^ 30 Years of Innovation | www.3dsystems.com
  7. ^ ハルは2014年欧州特許庁より欧州発明家賞「非ヨーロッパ諸国部門」を受賞した。[1]
  8. ^ Growth of Personal Printers - TCT - 3D Printing, Additive Manufacturing and Product Development Technology
  9. ^ Personal 3D Printers: Market Forecast and Market Share Analysis: 2013-2022
  10. ^ ウォーラーズ・アソシエイト社 (Wohlers Associates, Inc.) が発行する業界動向と市場占有率などに関する年1回発行のレポート「Wohlers Reportウォーラーズ レポート」による
  11. ^ 3D Systems Completes The Acquisition Of Z Corp and Vidar | www.3dsystems.com
  12. ^ 早野誠治 「-Laser Sintering-
  13. ^ 京極秀樹 「金属3Dプリンタ先進活用事例」2013年10月28日
  14. ^ 女性器3Dデータ配布容疑 自称芸術家の女「ろくでなし子」を逮捕(スポーツニッポン2014年7月14日 同15日閲覧)

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]