ロジャー・ディーン

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ロジャー・ディーン 2008年撮影(64歳)

ロジャー・ディーンRoger Dean, 1944年8月31日- )は、イギリス出身の画家、アートデザイナー、建築家[1]

概要[編集]

ヒプノシスキーフと並び、多くのプログレッシブ・ロック・アルバムのアート・ワークを担当した事で、そのバンドのファンから親しまれているアート・デザイナー。幻想的な作風を用いて、色づかいや枠線の描き方に東洋絵画風の要素が見られる。

特にイエス関連の作品で知られ、ディーンのイラストがもつ透明で幻想的なグラフィック・イメージが、イエスの追求した音楽性をリスナーに喚起させる力が強く、イエスもそれを高く評価して、一時はイエスの第六のメンバーとも言われた。詳細はイエスとの出会いを参照。

略歴[編集]

1944年、4人兄弟(弟:マーティン、妹:ペニー、妹:フィリッパ)の長男として、イングランドケント州アシュフォードに生まれる。父親がイギリス軍のエンジニアであったため、キプロス香港などを転々とする幼年期、少年時代を過ごした[2]。1959年になって一家がイギリスに戻ると、アシュフォード・グラマー・スクールを経て、母親が結婚前にカンタベリー州の芸術学校で服飾デザインを学んでいた影響からか、1961年、カンタベリー州の王立家具デザイン学校の3年コースに入り、そこで銀細工の加工と家具のデザインを学んだ[2]。1965年、ロンドンの英国王立芸術大学(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)に入学し、デザインの国家免許を取得。1968年、同校を卒業した後、工業デザイナーとして働き始める[2]

1968年、ロニー・スコット・ジャズ・クラブ英語版の改装に携わった関係で、エイドリアン・ガーヴィッツ英語版らのバンド ガン英語版のアルバム『GUN(邦題『悪魔天国』)』のカバー・デザインを依頼され、それが好評であったため、以降、ジャケット・デザインの仕事も手がけるようになった[2][3]。『Us and Them: Symphonic Pink Floyd』におけるディーン自身のライナー・ノーツによれば、ピンク・フロイド在籍時のシド・バレットとアパートをシェアリングしていたという。

1971年、イエスの4作目のアルバム「こわれもの」のジャケット・デザインを担当すると、商業的にも成功するイエスのアルバム・ジャケットの多くを手がけるようになり、プログレッシブ・ロックのファンの間における知名度が上がって、イエスのほか、ユーライア・ヒープジェントル・ジャイアントのジャケット・デザイン、或いはヴァージン・レコードのロゴやレーベルのデザインなどを次々と手がけていく[2][3]

1970年代前半は、イエスのステージ・セットにも携わっており、その為ツアーにも帯同する事が多く[2]、1973年3月の来日公演におけるイエスの記者会見では、当初、イエスの専属カメラマンを装って会場に姿を現したが、目ざとい記者に見破られ、メンバーと一緒にインタビューを受けさせられるハプニングが起きた[4]

1976年にリリースされたジョン・アンダーソンのソロ・アルバム『サンヒローのオリアス英語版』のジャケットは、ロジャー・ディーンがデザインを担当したイエスこわれものに描かれた絵が元になっており[5]、実際にはサンヒローのオリアスのジャケットもロジャー・ディーンが手がける予定だったが、この時既にロジャー・ディーンは初の個人画集『Views』の作成に取り掛かっており、時間的な余裕が無かった為、知人のデイブ・ロウというイラストレイターに依頼したものである。

1975年、自身初の画集「Views」をイギリスで出版[2]。初のジャケット・デザインを担当したGUNのアルバムから、この時点での最新作であるスティーヴ・ハウのソロ・アルバム「ビギニングス」までを、その制作過程まで含めて収録している。

2009年に公開されたアメリカ映画『アバター』に登場する空中に浮かぶ岩、翼竜などの世界観がロジャー・ディーンの描いてきたものにそっくりであることを指摘する人が多いが、ロジャー・ディーンはこの映画には一切の関わりを持っていない。ロジャー・ディーン本人もそっくりであることを自身のホームページで言及している[6]

イエスとの出会い[編集]

イエスのアルバムジャケットのデザインを担当した経緯は、2012年にリリースされたブルーレイ及びDVDビデオ『イエスソングス 40周年記念HDニューマスター版』に特典映像として収録されたインタビュー映像で、ロジャー・ディーン本人及びスティーヴ・ハウとクリス・スクワイアが説明している。最初はロジャー・ディーン自身がアトランティック・レコードのフィル・カーソンに自分の作品を売り込みに行き、フィル・カーソンがそれを気に入って、担当しているレッド・ツェッペリンとイエスのどちらかのアルバムに起用する事を考え、その時『こわれもの』を制作していたイエスに紹介した。クリス・スクワイアのコメントによれば、その売り込みの時点でこわれものに使用された絵は出来ており、厳密な意味でイエスとロジャー・ディーンが初めて行った共同作業は『危機』だった。また同インタビューに於けるロジャー・ディーンのコメントによれば、『究極』も『マグニフィケイション』も担当するつもりだったが、究極はメンバーと意見が合わず、マグニフィケイションはイエスのマネージメントサイドから別の人に頼むと告げられた。

音楽アルバムのジャケット[編集]

イエス・ファミリー[編集]

イエス[編集]

エイジア[編集]

その他のイエス・メンバー関係[編集]

その他のアーティスト[編集]

  • アース・アンド・ファイア;Earth And Fire『Earth And Fire』UK Nepentha(1971)※変形穴あき隠し絵ジャケット
  • アトミック・ルースター;Atomic Rooster『In Hearing Of Atomic Rooster』(1971)
  • アレクシス・コーナー;Alexis Korner『Bootleg Him!』(1972)
  • オシビサ『Osibisa』
  • イット・バイツ 『Eat Me In St. Louis』(1989)
  • オシビサ『Woyaya』
  • ガン;Gun『Gun』(1968)
  • キース・ティペット・グループ;Keith Tippett Group『Dedicated To You, But You Weren't Listening』;With Martyn Dean (1971)
  • キャタピラー;Catapilla『Changes』;Designed By Martyn Dean(ロジャー・ディーンの弟)(1972)
  • グラス・ハマー『The Inconsolable Secret (邦題:悲しみの淵に潜む秘密)』
  • グラハム・コリアー;Graham Collier Music『Mosaics』(1971)
  • クリアー・ブルー・スカイ 『Clear Blue Sky』
  • グリーンスレイド『グリーンスレイド』
  • グリーンスレイド 『ベッドサイド・マナーズ』
  • グリーンスレイド 『タイム・アンド・タイド』
  • デイヴ・グリーンスレイド;Dave Greenslade『Cactus Choir』(1976)
  • グレイシャス;Gracious『This Is...Gracious!!』(1971)
  • グレイヴィ・トレイン;Gravy Train『Staircase To The Day』(1974)
  • サード・イヤー・バンド;Third Ear Band『Music From Macbeth』(1972)
  • ジェントル・ジャイアントオクトパス英語版
  • ジェントル・ジャイアント;Gentle Giant『In A Glass House』;Photography Martyn Dean(1973)
  • ジャンコ・パートナーズ;Junco Partners『Junco Partners』(1970)
  • ジョン・ダマー・バンド;John Dummer Band Featuring Nick Pickett『 "Blue" 』(1971、1972)※変形穴あきジャケット
  • ジョン・ロッジ;John Lodge『Natural Avenue』(1977)
  • スナッフ;Snafu『Snafu』(1973)
  • デル・リチャードソン;Del Richardson『Pieces Of A Jigsaw』(1973)
  • ドクター・ストランジェリー・ストレンジ;Dr. Strangely Strange『Heavy Petting』(1970)※変形穴あきジャケット
  • ナイトウィング 『My Kingdom Come』(1984)
  • ニトロ・ファンクション;Billy Cox's Nitro-Function『Nitro-Function』(1971)
  • ニュークリアス;Nucleus『Elastic Rock』(1970)※変形穴あきジャケット
  • ニュークリアス;Nucleus『We'll Talk About It Later』(1970)※変形穴あきジャケット
  • バッジー;Budgie『Squawk』(1972)
  • バッジーNever Turn Your Back on a Friend 英語版
  • パトゥ;Patto『Hold Your Fire』(1971)※百面相ジャケット
  • パラディン;Paladin『Charge!』(1972)
  • ピート・デロ・アンド・フレンズ;Pete Dello And Friends『Into Youe Ears』(1971)
  • ベイブ・ルース;Babe Ruth『First Base』(1972)
  • マグナ・カルタ英語版『Lord Of The Ages』
  • ミッドナイト・サン;Midnight San『Walking Circles』(1971)
  • ミッドナイト・サン;Midnight San『Midnight San』(1972)
  • ユーライア・ヒープ悪魔と魔法使い英語版
  • ユーライア・ヒープ『魔の饗宴英語版
  • ユーライア・ヒープ『シー・オブ・ライト英語版
  • ユーライア・ヒープ『Acoustically Driven』
  • ライトハウス;Lighithouse『One Fine Morning』(1971)
  • ライトハウス;Lighithouse『Thoughts Of Moving On』(1971)
  • ラマセス;Ramases『Space Hymns』(1971)※6面ポスタージャケット
  • ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団Us and Them: Symphonic Pink Floyd英語版
  • マイク・アブサルム;Mike Absalom『Mike Absalom』(1971)※6面ポスタージャケット
  • マシュー・スウィート『ブルー・スカイ・オン・マーズ』(ロゴデザインのみ)
  • TM NETWORKMajor Turn-Round
  • エレクトリック・シープ『SWEEP』(日本のバンドである)

その他の作品[編集]

  • HARVEST(EMI)、VERTIGO、NEPENTHA(VERTIGOの姉妹レーベル)、FLY(蠅のイラスト)、CARNABY(後期:蟹のイラスト)レコードなどのロゴとレーベル面のイラスト。
  • ヴァージン・レコードの初期のロゴとレーベル面のイラスト。
  • Yessongs (ビデオ・イエスのライブ・ビデオのアートワークを担当)
  • イン・ザ・ビッグ・ドリームアンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウのプロモーション・ビデオのアート・ワークを担当)
  • テトリスTETRiS)のタイトルロゴ(特に2002年以降のガイドラインに対応した作品のほとんどで使用されている)。
  • パソコン用画像処理ソフトウェア Kai's Power Tools英語版の監修。開発者のカイ・クラウス英語版とロジャー・ディーンはイエススティーヴ・ハウのCDのジャケット作成に共同参加している。なお、日本において Kai's Power Tools の初めのバージョンを販売していたソフトウェア会社ビーピーエス(2001年に解散)の会社名ロゴ・マークのデザインもロジャー・ディーンの手によるものだった。同社の発売していたゲーム・ソフト『スーパー ブラック オニキス』のパッケージなどのイラストも担当していた。
  • ABWHフォント

脚注[編集]

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出典[編集]


参考文献[編集]

オリジナル[編集]

  • Views(画集・1975 / 新版・2009)
  • Album Cover Album(写真集・1976 / 新版・2008)※レコード・ジャケットの歴史を紹介
  • Magnetic Storm(画集・1984 / 新版・2009)
  • Views(DVDビデオ・2002)
  • Dragon's Dream(画集・2009)
  • YesSongs 40周年記念HDニューマスター版(ブルーレイ・ビデオ / 2012)

日本語[編集]

  • ロジャー・ディーン 『Dragon's Dream ロジャー・ディーン幻想画集』 佐々木千恵訳、ブルース・インターアクションズ、2009年ISBN 978-4-86020-370-2
  • ロジャー・ディーン 『ヴューズ - ロジャー・ディーン作品集』 風間英美子訳、日本テレビ放送網、1987年ISBN 4-8203-8732-4
  • 黒田史朗 『イエス』 音楽之友社(1073-232170-0777)、1979年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]