ヤマハ・VMAX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤマハ・VMAX(ブイマックス)とは、1985年にヤマハ発動機から海外へ輸出が開始されたオートバイ(大型自動二輪車)の1つ。日本国内でも販売されている。
目次 |
[編集] 初代
[編集] 概要
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
正式名称はVmaxである。アメリカではVmax12の名称で販売された。車体種別はネイキッドタイプともアメリカンタイプともとれない独特なもの。搭載されるエンジンは水冷4ストローク70°V型4気筒1,197cc。0mphからの発進加速での速さを競い合うドラッグレース、アメリカンなモータースポーツに参加する競技車両を彷彿させるデザインが、独特の魅力を醸し出す。発表当時、その加速力はポルシェをも凌ぐと言われ、ドラッグレースの距離0〜1/4マイル(約402m)までの到達時間は10秒台に到達する実力を誇った。発売からすでに20年以上経ったものの、日本の大型オートバイ市場の中でも根強い人気を保っている。また、燃料タンク(本物はシートの下)やエアダクトはダミーという、奇抜なデザインも人気になった。
[編集] Vブーストシステム
この車両最大の特徴は、Vブーストシステムと呼ばれる装置を搭載していたことであった。エンジンの回転数が6,000回転を超えた辺りからキャブレター下部にある、インテークマニホールドの前後を繋ぐバタフライバルブが開き始めて8,500回転で全開となり、1気筒当たりツインキャブ(2つのキャブレターが連結された状態)に変化し、高回転時のみ大口径キャブレターを装着した状態を作り出し、多量の混合気をシリンダー内に積極導入する仕組みである。実際、6,500回転あたりから豹変する強烈な吹け上がりは、当時の量産市販車世界最大の出力であった145psを実感させるに十分なものであった。ただし後の1990年に発売された国内仕様の車体には、馬力規制の関係上、採用が見送られたため98psとなった。しかしながら、国内仕様に後付でVブーストを搭載するキットや、フルタイムVブーストシステムなど、Vブーストに関係のパーツが販売されており、国内仕様を海外仕様以上に仕上げることも可能となった。
[編集] 逸話
Vmaxを作る際、本国(日本)のエンジニアが、アメリカ合衆国側に「作るにあたってどの程度の出力を目安にすれば良いか?」と言う質問に対しアメリカ側は「出せるだけ」と即答したという事は有名な話。
製作しているうちにあまりにも重くなりすぎたため、当初の0-1/4マイルの目標タイムを達成できないと危惧したヤマハのエンジニアがどうせダミーなんだからとエアスクープを非金属製にしようとするや、デザイナーが「『エンジンの部品』がプラスチックのバイクなんてあるか!」と憤怒したため、フェンダー等を除く車体外装のほとんどはクロモリ鋼かアルミニウムで構成されている(もちろん目標のタイムはクリアされている)。
デビューのお披露目時、WGPのヤマハワークスライダー、ケニー・ロバーツによるバーンアウトのデモンストレーションと、初代カタログに2頁わたる見開きのバーンアウトの写真があまりにもセンセーショナルだったため、それ以降、北米ではVmaxタイプの、いわゆる「マッチョ・バイク」の保険料が高騰したという逸話が残っている。
時代を感じさせるエピソードではあるが、デビューから数年は「誰も全開にし続けた者はいない。」という伝説がまことしやかに世間に流布されていた。
アメリカのハーレー乗りが『Cool 』と認める唯一の和製アメリカンと言われている。
[編集] 2代目
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Vmaxは長い間モデルチェンジを受けることなく販売され続けていたが、近年は各地のモーターショーでプロトタイプが展示されていたことから新型の発売が期待されるようになり、2008年6月5日に23年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型の海外仕様が発表された。
新型VMAXは完全新設計で、車体やエンジンの構造などは同社のスーパースポーツであるYZF-R1の技術を応用して設計されている。エンジンは初代と同じV4ながら65°に変更され、排気量は1679ccに増大されており、フューエルインジェクションが装備されたため最大の特徴であったVブーストシステムは廃止になったが、その替わりとして吸気系統の部品であるファンネルの長さを可変させる YCC-I を搭載させ、出力は200ps(147kw)と大幅に増強された。
初代の弱点とされた車体構造も見直され、オールアルミフレームに52mmフロントフォークを装備させ、ブレーキもABS仕様となっている。ただし剛性確保のため車両重量は311kgと、さらに大柄となった。
従来は逆輸入車という方法で、販売店主導による国内販売が行われてきたが、平成20年9月から適用された排出ガス基準強化規制と騒音規制にて可否確認が取れない事が判明した。これにより海外市場からの逆輸入車の販売は、違法車両販売となる可能性が危惧される事になり、ヤマハでは前述の規制に適応する日本仕様を開発、2009年4月20日に19年ぶりとなる国内仕様を発売。車体構成は海外仕様とほぼ同じだが、前述の排ガス規制と加速騒音規制に対応すべく、エンジン出力を低減したほか、サイレンサーの口径も小さくさせ、二重パイプを採用した。これらの事から国内仕様の出力は、輸出仕様の最大値である200psより低下したものの、初代の海外仕様を上回る151psを確保し、馬力規制撤廃後のオートバイにおいて最大の出力となる数値となった。なお、国内仕様は、180km/h以上の速度を出せない仕様となっている。

