ドン・キホーテ放火事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

ドン・キホーテ放火事件(ドン・キホーテほうかじけん)は、2004年12月13日12月15日ディスカウントストアドン・キホーテ埼玉県さいたま市内の店舗で相次いで発生した一連の放火事件である。
浦和花月店では、店員3人が焼死、8名が負傷する惨事(放火殺人)となり、マスコミ報道では特に同店の放火火災について取り上げられた。 なお、容疑者の逮捕後に同市内の総合スーパーへの放火4件も同一犯であるとされたため、本項では合わせて記述する。

目次

[編集] 概要

12月13日の20時50分頃、緑区国道463号(本線)と埼玉県道1号さいたま川口線(支線)が交差する『花月交差点』傍にある「ドン・キホーテ浦和花月店」の寝具売場で放火が発生。犯人は着火を確認後即ちに逃走したとされる。着火地点が入口から遠ざかった場所であり、避難経路の策定など防火体制の不備やドン・キホーテの特徴である圧縮陳列での商品への燃え移り(延焼)が災いし、浦和花月店は全焼した。一度は店内から脱出したものの、来店客が逃げ遅れていないかの確認のため再突入を行った3人のアルバイト店員が店内から再脱出できず焼死。3人とも同じ場所で炭化した状態で発見されている。

ドン・キホーテの社長は被害者の立場ではあったものの、「なぜ店員に再突入を行わせて被害を拡大させたのか」「圧縮陳列に問題は無かったのか」等の経営責任や、同店の営業再開に含みを持たせた曖昧な対応についてマスコミ各社から追及を受けることとなった(詳細はドン・キホーテ (企業)を参照)。

同日23時頃、見沼区の「ドン・キホーテ大宮大和田店」で衣料品に放火が発生。店員の発見が早期であったため小火に留まったが、犯人は逃走。なお、浦和花月店からは縦貫する埼玉県道1号支線を経て埼玉県道1号本線である第二産業道路区間を北上し、『大和田交差点』で左折した埼玉県道2号さいたま春日部線旧国道16号)沿い、距離にして約10km以内に位置する。

12月15日15時頃、13日の事件を受け警備体制を強化していた「ドン・キホーテ大宮大和田店」で同一犯が再び放火。40歳代の女が避難騒動に乗じて買い物かご単体(800円相当)を店外に持ち出し、店員の制止を振り切りマイカーで逃走、自宅に持ち帰った。この女が放火の重要参考人容疑者として浮上し、同日午後10時過ぎに逮捕された(後述)。

この女の逮捕後に、以下の放火事件(逃走)についても同一犯であることが浮上した。

捜査の過程で、ドン・キホーテの放火では、ガソリンスタンドで購入した灯油を店内の売り物である織物(寝具・衣料品)に染みこませて着火していた事が明らかとなる。

[編集] 容疑者の逮捕

12月15日15時頃に再び放火した「ドン・キホーテ大宮大和田店」での買い物かご単体(800円相当)を自宅に持ち帰ったとして、埼玉県警窃盗容疑で40歳代の元看護師で無職の女を放火事件の重要参考人とし、捜査員が中央区の自宅駐車場で発見するが、車内で立て籠もる。同日午後10時過ぎにこの窃盗容疑で逮捕した。なお、窃盗・放火いずれの容疑も否認している(別件逮捕)。
この容疑者は放火前の11月にも同店で金槌を用いてショーケースを破壊してボストンバッグなどを盗んだ容疑で逮捕歴が有った。しかし、精神疾患での通院歴があり、簡易精神鑑定で心神衰弱による責任能力無しと判断され起訴猶予処分となり12月8日に釈放されていた。

警察の取り調べでは放火容疑について否認を続けたが、2005年4月21日に7件の放火容疑を認め、建造物等放火、放火未遂などの容疑で再逮捕された。しかし同月25日に一転して容疑を否認し、裁判に於いても否認すると接見した弁護士に話したとされる。

[編集] 裁判

  • 従業員の遺族はさいたま市消防局の怠慢により死亡したとして、2007年12月にさいたま市に対し損害賠償訴訟を起こすも、2010年5月にさいたま地裁において請求は棄却される。原告は控訴するも2011年3月1日、東京高裁で和解が成立した。
    • 和解の内容は、「1.さいたま市は、この件の賠償義務を負わない。2.さいたま市消防職員が119番を聞き取るメモ用紙に『通報者の身の危険を感じた場合には早期に避難を促す』との趣旨の文言を印刷する」など、火災の教訓を生かして適切に対応することを遺族との間で確認した。

[編集] 模倣犯

容疑者逮捕後の2004年12月中に模倣犯と思われる以下の放火事件が発生。これらの容疑者逮捕についての報道は2011年6月時点でも無く、未解決のままと思われる。現住建造物等放火罪容疑で捜査が行われている場合の公訴時効は25年である。

  • 12月16日に「大宮ロフト(旧:西武百貨店大宮店)」で女子トイレのゴミ箱の中身が燃える小火が発生。
  • 12月下旬に「ドン・キホーテ環八世田谷店」で放火未遂事件が発生。防犯カメラの記録により男の犯行と断定される。

[編集] 店舗のその後

  • 浦和花月店は焼け焦げて一部半壊した建物にブルーシートを被された状態が続き、捜査の進捗で警察官や警備員の警備が解けると、侵入防止用の警報装置が装備され無人となった。事件直後は営業休止扱いとし営業再開に含みを持たせていたが、2005年10月に解体されて更地となった。その後跡地に、当地からほど近い場所で営業していた「サンドラッグ浦和花月店」が新築移転し2006年2月から営業している。
  • なお元々はスーパーマーケットの「マルエツ中尾店」で、1990年代に火災で建物が損傷し営業を断念。修繕後に「サミット」として営業されたのち、1999年4月1日に「ドン・キホーテ浦和花月店」として開業した。テレビ朝日などでは開店当時の取材映像を保有しており、事件時に報道ステーションなど報道番組でその素材を交えながら放送していた。
  • 2010年5月1日に同じ国道463号沿いで400メートル程西(浦和駅方向)に離れた所で、1984年から営業していたドン・キホーテ グループの「長崎屋浦和店」を転換(改装のみ)する形で「ドン・キホーテ浦和原山店」として新規開店(店舗の移転による事実上の再建)した。
  • 2010年5月19日に、浦和原山店の駐車場入り口に事件で殉職した3人の店員の遺族の希望で慰霊碑が建てられた。
  • 大宮大和田店は営業を継続したが、2010年にドン・キホーテ グループのドイトによるDIY用品・ホームセンターの「タウンドイト」へ転換され、「タウンドイト 大宮大和田店」として営業中。

[編集] ドン・キ役員による詐欺事件

2009年から2010年にかけて、ドン・キホーテで当事件の遺族・マスメディア対応の最高コンプライアンス責任者を担当していた当時の常務が、遺族対応のコンサルティング会社へ支払う経費として、自身の決裁で同社から約1800万円の費用を得たが、その申請書類が虚偽で、得た金を私的流用(着服)した事が社内調査で明らかとなり、2010年12月に辞職した。同社は警視庁へ詐欺容疑で告発し、2011年6月6日に同容疑で警視庁に逮捕された。[1][2]

[編集] 脚注

  1. ^ 毎日.jp2011年6月6日配信「ドン・キホーテ」元常務逮捕 放火の遺族対応装い [1]
  2. ^ 当社元取締役の逮捕について (PDF, ドン・キホーテ プレスリリース)
個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス