ダーウィン賞

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ダーウィン賞(ダーウィンしょう、: Darwin Awards)は、進化論者であるチャールズ・ダーウィンにちなんで名づけられた皮肉の「名誉」であり、ダーウィン賞は、愚かな行為により死亡する、もしくは生殖能力を無くすことによって自らの劣った遺伝子を抹消し、人類の進化に貢献した人に贈られる賞である。なお、優れた業績を挙げた生物学者に授与されるダーウィン・メダルとは全く関係が無い。

歴史[編集]

ダーウィン賞は、都市伝説が広く知られるようになった1985年に、電子メールやニュースグループの議題として作られた。Usenet のふたつの話題、1985年8月7日「Vending Machine tipover[1]、および1990年12月7日の「JATO Rocket Car[2]は、早い時期から紹介されていた。「JATO Rocket Car」の話題は1995年から1997年の間、電子メールにより紹介されていた。また1991年から毎年、1999年ダーウィン賞(1999年の場合)などといった題名のメールリストが、匿名で作成されている。ダーウィン賞を記録したウェブサイトもいくつか存在する。よく知られているのは、ダーウィン賞に関する本の著者であるウェンディー・ノースカットが管理しているサイトである。

受賞資格[編集]

ノースカットは、ダーウィン賞の受賞には5つの条件があるとしている。

子孫を残さないこと — 事故が原因で死亡したかまたは生殖能力を失った者であること。ただし、その前に子孫を残していたら受賞の対象にはならない。
この賞の意義は「愚かな遺伝子を後世に伝えないことで人類の進化に貢献した者」を称えることにある。したがって、事故発生時にすでに子孫を残していたり、事故発生時に高齢等によってすでに生殖能力が失われていた場合は受賞の対象とはならない。「生殖能力を失った」ことを確認するためには、ダーウィンの著書に記述されている「無人島テスト」が適用される。これは「生殖可能な異性とともに無人島に漂着したとして子孫を残せるか」により生殖能力を判断するものであり、残せない状態になっていれば「合格」となる。テストの性質上、試験管内での受精や人工授精、クローン技術による生殖の作成の余地は残されていることになる。実際の受賞者は、事故で死亡したか事故で性器が使用不能になったかのいずれかである場合がほとんどである。なお、これらの規定はしばしば議論の対象となっている。
優れていること — 驚くべき愚行
候補者の愚かさはユニークかつセンセーショナルでなければならない。寝タバコなどのよくある愚行については、ダーウィン賞の対象にはならない。ただし、病院で喫煙を禁止されたにもかかわらず、喫煙を続けたことにより亡くなった人[3]は、受賞の対象となる。素晴らしい功績、例えば、ニトログリセリン錠剤を飲み込み、壁に突っ込み爆発することによって自殺しようとした男性は、この条件に当てはまる。しかし、ダーウィン賞を得ようとして「驚くべき愚行」を行った場合は受賞の対象にはならない。
自ら自然淘汰を行うこと — 自らが死の原因
手榴弾により友人を殺害すること自体は受賞の対象にならない。しかし、手榴弾から煙突クリーナーを作ろうとして自殺してしまった場合[4]は受賞の対象となる。責任を持つ団体が直接関わることを除き、他人を殺害すること、または他人の性機能を奪ってしまうことは受賞の対象とはならない。
正常であること — 明確な判断が可能
対象者は精神疾患を持たず、犯罪者である場合は時効を過ぎていなければならない。
真実であること — 事実であることを証明されなければならない
受賞の対象になった話は、信頼できる情報元(新聞記事やテレビのニュース、確実な目撃者がいるなど)に記録されていなければならない。真実でないことが判明した場合は、受賞資格は与えられない。しかし、とても面白い話であった場合は、都市伝説の欄に記録される。

受賞した事件・事故[編集]

※受賞(Winner)事例と次点(Runner-Up)の事例のみ記載。記載のない年度はノミネート事例のみで受賞なし。

年度 種別 発生国 事由 出典
1994年 受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 商品を盗もうと飲料の自動販売機の上に乗ったが機械が倒れ、その下敷きになって死亡。 [5]
1995年 受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 乗用車にJATOを装着して高速道路を走行したところ車が離陸し、高さ約38メートルの崖の壁面に激突。(都市伝説扱い) [6]
次点 エジプトの旗 エジプト 井戸に落ちたニワトリを助けようと中に降りたが、次々と溺死した6人の男女。その後引き上げられたニワトリは無事だった。 [7]
1996年 受賞 ポーランドの旗 ポーランド 男らしさを誇示しようとチェーンソーで自らの首を切断。 [8]
次点 インドの旗 インド 動物園のトラの首に新年を祝う花輪を掛けようと、檻に侵入して襲われた酔っ払い2人。(1人死亡、1人生存) [9]
1997年 受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 「女にペニスを切断された」と主張していたが、実は自分で切断していた男。(生存) [10]
次点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 鉄道橋からバンジージャンプを行ったが、紐が長すぎたため頭から地面に激突し死亡。 [11]
1998年 受賞 アルゼンチンの旗 アルゼンチン 口喧嘩の末に8階の自宅バルコニーから投げ落とした妻が電線に引っかかっているのを見て、追撃のためか救出のためか自らも飛び降り、そのまま地面に激突して死亡した夫。妻は近くのバルコニーから救助された。 [12]
次点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 水槽掃除を手伝っている最中にふざけて飲み込んだ魚が喉に詰まり窒息死。 [13]
1999年 受賞 イスラエルの旗 イスラエル サマータイムと通常時間を取り違えて時限爆弾を設定し、運搬中に爆死した3人のパレスチナ人テロリスト [14]
受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 シャチと泳ごうと夜中に水族館のプールに忍び込み、水中に引きずり込まれ死亡。 [15]
次点 カンボジアの旗 カンボジア 酒を飲んでいる最中に裏庭から対戦車用地雷を発見、ロシアン・ルーレットと称して3人が次々とその上に飛び乗り、爆発して全員死亡。 [16]
2000年 受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ベルトコンベア式の木材製材機が詰まったので電源を入れたまま直しに向かい、解決した次の瞬間、機械に巻き込まれて死亡。 [17]
受賞 フィリピンの旗 フィリピン ハイジャックに失敗し手製のパラシュートを背に飛行機から脱出するも墜落死。 [18]
受賞 オーストラリアの旗 オーストラリア フォークリフトの安全講習ビデオを撮影の際、速度の出し過ぎとシートベルト未着用により投げ出されて死亡。 [19]
受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 飼い犬の脱走防止のため、庭を囲う形で120ボルトの電流が流れる電気柵を自作。その付近でトマトを栽培し、生ったトマトに手を伸ばした際に誤って柵に触れ感電死。 [20]
受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 自分が虐待していた10歳の息子に包丁を持たせ、「憎いなら刺してみろ」と挑発。一度は包丁を置いた息子にそれを再び持たせてなおも挑発し、ついに刺殺された父親。救急センターで発した最期の言葉は「ガキがこんなことをするなんて信じられるか?」だった。 [21]
次点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 撃鉄が引かれている場合は銃弾が自動装填されるセミオート拳銃でロシアン・ルーレットを行い死亡。 [22]
次点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 飲酒とマリファナ喫煙の上で、恋人とホテルの屋根に枕と毛布を持ちこんで就寝。寝ている間に転落死した女。 [23]
2001年 受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 非常に急いでいたので走行中の電車を弾き飛ばそうと踏切に突っ込んだドライバー。 [24]
受賞 ガーナの旗 ガーナ 呪術的なローションを2週間使用した後、不死身になったことを確認するため友人に自らを撃たせ死亡。 [25]
受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アスファルト溶液のタンク内で灯りのためガストーチを使用し、引火して爆死。 [26]
受賞 メキシコの旗 メキシコ チワワ州にあるクリスタルの洞窟において、天井から生えている巨大なクリスタルを盗掘しようと試みたが、真下に立っていたため落ちてきたクリスタルの下敷きになり死亡した男。 [27]
受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 山道を車で走行中にブレーキが利かなくなり、運転手が同乗者8人に何も告げず車から脱出。残された同乗者の操作により車はすぐに停止し車内に怪我人は出ず、脱出した運転手のみが頭を強打して死亡。 [28]
2005年 受賞 クロアチアの旗 クロアチア 手榴弾を重りに用いた煙突掃除の器具を製作中、爆発して死亡。 [29]
受賞 ベトナムの旗 ベトナム 偶然発見した古い雷管が起爆しないことを証明するため、これを口にくわえた上で友人に電線を繋がせたところ、爆発して死亡。 [30]
受賞 スイスの旗 スイス スイス陸軍中尉が自身の隊に急襲訓練を行うことを個人的に思い立ち、銃剣を手に隊員を襲撃するも、驚いた隊員に銃撃され死亡。 [31]
2007年 受賞 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1.5リットルのシェリー酒を使って自ら浣腸を行い、アルコールの過剰摂取で死亡したアルコール依存症の男。 [32]
次点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 車で走行中にシガーライター部分に電源を繋いだラップトップパソコンを使用し、脇見運転のため対向車と衝突して死亡。 [33]
2008年 受賞 ブラジルの旗 ブラジル トラック運転手向けの霊的な休憩所を作る資金を集めようと、デッキチェアに1000個の風船を取り付けて飛び立ったが遺体となって発見された神父。一度海上から救助要請があるも、彼は所持していたGPSの使い方を知らず、レスキュー隊は場所を特定できなかった。 [34]
2009年 受賞 ベルギーの旗 ベルギー 銀行のATMを破壊しようとダイナマイトを使用し、建物の崩落に巻き込まれて死亡した窃盗犯2人。事件当時建物には他に誰もいなかった。 [35]

出典・脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]