ソグド語
ソグド語は、中期イラン諸語のひとつであり、ザラフシャン川流域のソグディアナ地域(現在のサマルカンド、パンジケント、フェルガナなどを中心としたウズベキスタンやタジキスタンの一部に相当)で用いられた言語。現在では死語。
ソグド語は、中世ペルシャ語やパルティア語と並んで、中期イラン諸語の中でも重要な言語のひとつであり、多くの言語資料が遺されている。ソグド語は中央アジア(トランスオクシアナ)における交易言語であり、中国人商人とイラン人商人との間の共通語でもあった。ソグド語はイラン語派の北東語群に属する。より早期のタイプの言語(古代ソグド語)が存在したという確証は得られていないが、古代ペルシア語の碑文によるとアケメネス朝の時代(紀元前550年-323年)には独立した存在としてのソグディアナが認識されていたようである。ソグド語は文法や形態論は中期ペルシア語と比べてより伝統的な形である。
ソグド語は経済的・政治的に重要な言語であったため、8世紀初頭にソグディアナがムスリムによって征服された後も数世紀にわたって使用され続けた。最も初期の近世ペルシア語はサーマーン朝支配下のソグディアナ地域で発展したため、近世ペルシア語にはソグド語由来の語が多く取り入れられている。現在タジキスタンのザラフシャン川上流のヤグノビ峡谷でヤグノビ人に話されているヤグノビ語は、ソグド語の一方言が残存したものと言われている。
初期のソグド文字の例はソグディアナ地域において発見されている。これらはアラム文字を元にしたものであり、表記と発音が大きく異なっていた。ソグド文字からはウイグル文字が派生し、ウイグル文字は後にモンゴル文字の元となった。
法隆寺で見つかった650年頃のものと思われる香木に、ソグド文字が書かれていた例がある[1]。