形態論

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形態論(けいたいろん、英語:morphology)とは、言語学の一分野で、と語の間の意味的・形態的なパラダイム関係や、語の内部構造について論じる学問分野である。のなかでの複数の語のシンタグム関係を論じる統語論と区別される。

目次

概論 [編集]

語を構成する意味の最小単位は形態素と呼ばれる。例えば unhappiness という語は、un-, -happi-(happy), -ness の3つの形態素から成っている。形態素は、語より基本的なものである。語の中には、「青」「山」のように単一の形態素から成るものもあれば、「青空」「山のぼり」のように複数の形態素から成るものもある。一般に、後者のタイプの方が多い。

語の形態変化は、屈折派生に分類される。

屈折 基本的に語の意味を変えず、他の語との関係を示すために起こる形態変化であり、名詞格変化動詞活用人称変化がこれにあたる。
派生 意味や品詞を変える形態変化であり、日本語では「-さ」「-的」、英語では-ness, re- などが例として挙げられる。
一般に、派生接辞は屈折接辞よりも内側につくことが知られている。

形態論のモデル [編集]

形態論には、以下のような複数のモデルがあるが、それぞれに一長一短があり、適宜組み合わされて説明することが多い。

IA モデル [編集]

IA(Item and Arrangement)モデルは、語の形式と意味を、それを形成する形態素の形式と意味から導こうとするモデルである。このモデルでは、形態素というアイテムをアレンジし結合することで語の形成を説明できると考える。例えば、「あおい」は「あお」+「-い」から形成され、unhappiness は un- + happi- + -ness から形成される、という説明の仕方である。

IA モデルにはいくつかの問題点が指摘されている。まず、形態素の融合(fusion)を説明することができない。融合とは、普通は複数の形態素として現れるものが、単一の形態素となって現れることである。例えば、トルコ語において、

gel-ir-im(来る - 現在 - 1人称単数)「私は来る」

で「-ir-」「-im」として現れている形態素は、その否定文で、

*gel-me-r-im(来る - 否定 - 現在 - 1人称単数)

というようにはならないで、

gel-mem(来る - 否定・現在・1人称単数)「私は来ない」

というように、否定の形態素「me」と融合して現れる。IA モデルでは、形態素を単純に繋げれば語を形成できると考えるので、このように形態素が融合する場合を説明できない。また、

see - saw;sing - sang - sung - song

などの変化も、形態素の結合によらないので、単純な説明ができない。

IP モデル [編集]

IP(Item and Process)モデルは、IA モデルの問題点を克服するモデルで、形態素をプロセスとして捉える。例えば、see - saw、sing - sang で、過去を表しているのは母音の変化であるが、それを捉えるために、英語の動詞が過去形になるプロセスとして、形態素「-ed」の付加と同時に、「母音の変化」というものがあると考える。

IP モデルも万能ではないことが指摘されている。補充法的な語形を含む語の場合、語形と語形の間に全く類似点が無く、合理的なプロセスを提示できない場合がある。例えば、go の過去形 went は、動詞 wend に由来する補充形で、現在形の go との間に形態的な類似が皆無である。IP モデルでは、この語形変化を説明できない。

WP モデル [編集]

WP(Word and Paradigm)モデルは、ある語について、全ての語形をパラダイム(範列)として列挙する方法である。これによれば、補充形も含めて、あらゆる語についてもっとも正確な記述が可能だが、同時にもっとも煩雑なモデルでもあり、説明としてすっきりしない場合が多い。

関連書籍 [編集]

関連項目 [編集]