アウトレイジ (2010年の映画)

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アウトレイジ
OUTRAGE
監督 北野武
脚本 北野武
製作 森昌行
吉田喜多男
製作総指揮 北野武
出演者 ビートたけし
椎名桔平
加瀬亮
三浦友和
國村隼
杉本哲太
塚本高史
中野英雄
石橋蓮司
小日向文世
北村総一朗
音楽 鈴木慶一
撮影 柳島克己
編集 北野武
太田義則
配給 日本の旗 ワーナー・ブラザース映画
オフィス北野
公開 フランスの旗 2010年5月17日CIFF
日本の旗 2010年6月12日
上映時間 109分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 7.5億円[1]
次作 アウトレイジ ビヨンド
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アウトレイジ』(OUTRAGE)は、2010年6月12日に公開された日本映画北野武の15本目の監督作品。

キャッチコピーは「全員悪人」。

過激なバイオレンスシーンや拷問シーンが数多く含まれるため、映倫R15+指定を受けた。

あらすじ[編集]

関東一円を支配する巨大暴力団・山王会の関内会長は、傘下の池元組が麻薬を扱う村瀬組と兄弟杯を交わして親密になっていることを快く思っていなかった。そこで関内の右腕・加藤はこの2つの組を仲違いさせようと企て、池元に対して「村瀬を締めろ(軽い制裁を与えろ)」と無理な命令をする。兄弟分の村瀬に手を出せない池元は、配下の大友組に村瀬組を締めることを命令する。池元の二枚舌、山王会の思惑に翻弄されながらも、大友組は村瀬組を締めることに成功し、村瀬組は解散する。

池元の行動に不愉快を覚えつつ、大友は村瀬のシマを事実上継承し、大使館の闇カジノで成功を収める。一方、村瀬が隠れて麻薬を売っていることが発覚し、池元に唆された大友は村瀬を殺害する。ところが、このことを口実に池元は大友に破門を言い渡し、大友は怒りを露わにする。大友は復帰のため、関内の元を訪れ許しを請うが、逆に関内は池元の殺害を唆す。そこで大友は悪びれず闇カジノを訪れていた池元を殺害する。闇カジノを狙っていた関内は、今度は池元組若頭の小沢に、組を継ぎたければ親の仇を討てと煽り、大友組と池元組の抗争を仕掛ける。本家の手助けも得た小沢は、次々と大友組の組員を殺害し、彼らを追い詰めていく。

主要人物[編集]

山王会本家[編集]

関東一円を取り仕切る巨大暴力団。

関内
山王会本家会長。
関東の暴力団の頂点に長年に渡り君臨する。当事者に対しては表面上は寛容な態度をとるが、内心は腹黒く狡猾な性格。自分は穏やかな口調で配下に接し、右腕の加藤を使って命令を下す。自分の命令にはだれも逆らえないのをいいことに、麻薬でシノギを行う村瀬と、彼とつるむ弟分の池元を追い込むため、池元に村瀬組を締めるよう命令を下す。これが一連の騒動のきっかけとなる。
村瀬が射殺されると池元に大友組の破門を行わせ、陳情にきた大友には池元を殺害するよう唆す。池元が大友に殺害されると、今度は小沢に大友を討って仇を取れと発破をかけ、抗争を煽る。両者の共倒れで大友組の闇カジノを手に入れる算段だったが、加藤に裏切られ頭部を撃ち抜かれ死亡する。
加藤
山王会本家若頭。山王会のナンバー2。
会長の関内に対して、殴られたり、怒鳴られようとも無言で服従する彼の右腕。冷静沈着な策略家。本家の直接の命令役で安易に手打ちを行った池元を叱責したり、小沢を唆したりする。大友と小沢の抗争が始まると、直接行動に出て小沢を手助けする。だが、最後は小沢と関内を射殺し、小沢に関内殺しの罪を着せた上で山王会本家会長の座に収まる。

池元組[編集]

山王会の直参(二次団体)で、大友組の上部団体。

池元
山王会池元組組長。
私欲のために、周りに二枚舌を使う下劣な男。一連の騒動の元凶。会長の関内に媚びへつらいつつ、麻薬の金欲しさに村瀬に山王会入りを持ちかけ、兄弟の杯を交わす。本家から村瀬組を締めるよう命じられると、傘下の大友組に丸投げする。村瀬と大友の抗争が激化し、村瀬が泣きつくと安易に手打ちを進め、さらに村瀬から大友に払われた詫び金を自分の懐に入れる。やがて村瀬が麻薬売買を続けていることが発覚すると、大友に村瀬の殺害を唆す。しかし、村瀬殺害が本家で問題視されると大友に破門を言い渡し、彼を激怒させる。これらの経緯にも関わらず、大友組の闇カジノに入り浸るという軽はずみな行動をとってしまったことから、大友に場所を容易に特定される結果を招いただけでなく、彼の怒りの火に油を注ぐこととなった。大友から脇腹に鉄拳を喰らい、身動きを取れなくされたうえで(おそらく肋骨を折られたものと思われる)、顎に強烈な一撃を受けて舌を噛み千切った挙げ句、銃で止めを刺され死亡。遺体はグバナン大使と大友組によって大使館の車で運ばれ、河川敷に埋められた。
小沢
山王会池元組若頭。
池元の側近で、20年間若頭として彼に尽くす。大友組組員の岡崎が木村と飯塚に殺された際、池元とともに関内に叱責され、そのことを大友に伝えて怒鳴りつけたり(池元組としては動きもせずに、大友組に任せっきりにしているのにも関わらず)、直後に江本が水野から暴力による制裁を食らった途端に笑いながら許したりと大友組には上から目線の態度をとっていた。池元からの信頼も厚かったが、関内や加藤に唆され、後釜を狙いはじめる。大友による池元殺害時は彼を見捨てるが、関内から組を継承したいなら親の仇を取れと釘を刺され、大友組との抗争を始める。加藤の支援もあって、大友組の幹部や組員たちを次々に殺害し、大友組の壊滅に成功する。組を継ぐため関内の下に報告に赴くが、そこで加藤に射殺され、関内殺しの罪を着せられてしまう。

大友組[編集]

池元組の傘下(山王会の三次団体)で、規模こそ小さいものの武闘派の組織。

大友
山王会池元組内大友組組長。
池元から厄介な仕事ばかりを押し付けられるが、これを愚直に従う昭和の任侠精神を持つ生粋の武闘派。自分で手を下したくない池元によって村瀬組を締める役目を押し付けられる。自ら率先して動き、2度にわたる村瀬組との抗争では、村瀬に直接手を下している。
池元や本家の命令によって村瀬と抗争をしたにも関わらず、詫び金は池元に取られ、そのうえ破門される事態に陥る。ここに至って怒りを露わにし、関内の唆しもあって池元を殺害すると、同じく唆された小沢との抗争が始まる。組織力の差から組員達が次々と殺害され、徐々に追い詰められていく中で水野を逃がし、悩んだ末に自身は旧知の片岡を頼って刑務所に服役することで難を逃れようとする。しかし、先に服役していた木村に刺されてしまう。
水野
山王会池元組内大友組若頭。
組長同様の武闘派で、失態を犯した部下に対しても容赦無く暴力を振るうが、大友には強い忠誠心を持つ。命令には決して背かず、身だしなみも整えて接する。村瀬組との抗争でも先陣を切って動き、麻薬の売人などを締め上げていく。石原とともに、グバナン大使に闇カジノの経営を強制させたりと、重要任務をこなす。
小沢との抗争が始まると、事の結末を見届ける為に大友に身を隠すよう指示される。しかし、情婦のマンションから出たところを小沢の部下に拉致された末に、処刑に近い形で惨殺されるという最期を遂げた。
石原
山王会池元組内大友組組員。金庫番。
大友・水野とは対照的な現代ヤクザで、英語を流暢に話せるなど頭脳を武器とする。旧態依然としたヤクザを馬鹿にしており、自身の上の地位に当たる人間たちも愚かしく思っている。このため、たびたび殴ってくる水野に怒りを覚え嫌っている。
従来から闇取引や株売買で手広く商売を行っており、村瀬組との抗争を通して大使館で闇カジノを開くことを発案し、任される。売上げのいくらかを横領しており、小沢との抗争が始まると、鉄砲玉として本家にカチコミに行くフリをして逃亡を図っただけでなく、自身の横領を知っていた組員を殺害した。
終盤、加藤が会長の座に付くと、本家の金庫番となり、さらには加藤の側近の座にまでのし上がった。
安倍
山王会池元組内大友組組員。大友組の幹部。
大友、水野と同じく大友組屈指の武闘派。水野とともに麻薬の売人に制裁を加えた。
小沢との抗争で、敗北を悟った大友に拳銃を手渡され逃げるよう指示される。しかしその道中、小沢の部下に包囲網を張られ、射殺される。
岡崎
山王会池元組内大友組組員。
ヤクザには見えない気弱なサラリーマン風の容貌をしている。大友の指示により、わざと村瀬組が経営するぼったくりBARに引っ掛かる。
飯塚の指を持って謝罪に訪れた木村をコケにしただけでなく、その後も村瀬組のBARにたかりに訪れ続けるなど、調子に乗った言動を繰り返していた。また、他の組員の軽い冗談に激怒するなど短気な面が伺える。
上記のことから、木村・飯塚らに屋台で酔い潰れていたところを拉致され、凄惨な暴行の末に死亡。遺体を大友組の事務所の前に放置される。
江本
山王会池元組内大友組組員。
武闘派の多い大友組のなかでは珍しい物静かな男。違法カジノではディーラーを務めていた。岡崎が木村達に拉致された時に一緒に同席していながらも助ける事が出来なかったため、水野に理不尽なまでの暴行を受ける。
終盤、小沢との抗争で他の組員が次々と殺害されていくなか逃亡するも、逃げ切れない事を悟ったのか公衆トイレで所持していた拳銃で自殺を図ろうとするが、後を追ってきた小沢の部下に射殺される。

村瀬組[編集]

山王会に所属していない独立組織で、池元組とは兄弟分。

村瀬
村瀬組組長。
麻薬売買や水商売をシノギにする弱小ヤクザで、山王会入りするため、池元と兄弟の杯を交わす。ところが抗争が起こってしまい、池元に泣きついて収拾を図ろうとするが、木村の暴走によって金による手打ちでは済まなくなる。山王会本家に謝罪しに行くも、歯医者で大友に襲撃され、口中をドリルで抉じられる大怪我を負った上で引退に追い込まれる。しかし、その後も隠れて麻薬売買を続けていたことが発覚し、池元に唆された大友にサウナで側近共々、射殺される。
木村
村瀬組若頭。
飯塚の不始末について、謝罪のために大友組の事務所を訪れるが、始めから許す気のない水野らから文房具のカッターでの指詰めを強要される。さらには、大友に顔をカッターで切り付けられた。そのため、大友組への復讐を誓い、村瀬に黙って岡崎を殺害し、さらに大友の命を狙うが逆襲に遭い、逃走する。これが遠因となって村瀬は引退に追い込まれる。終盤で刑務所に服役しており、後から服役して来た大友の背中を二回刺し、復讐を果たす。
飯塚
村瀬組組員。
長髪が特徴の若手組員。村瀬組のボッタクリバーでポン引き兼恐喝係を務める。抗争を狙う大友組に嵌められ、謝罪のため指を詰める。許す気のない大友組によって木村が重傷を負わされると彼に従って大友組の組員を拉致、殺害する。これによって村瀬組と大友組の抗争は収拾がつかなくなり、実家のある青森に逃亡を図るが、その道中、新幹線内で射殺される。

警察[編集]

片岡
組織犯罪対策部(マル暴)の刑事。
暴力団と癒着し、賄賂を受け取っている悪徳警官。大友とは大学時代のクラブ(ボクシング部)が一緒で個人的に関係を持つ他、山王会の加藤ともパイプがある。先輩にあたる大友とは現在も定期的に情報交換をする仲で、彼が村瀬を射殺した件では証拠不十分で不起訴に仕立て上げる。後半、大友が小沢に追い詰められると大友に出頭を促し、彼を服役させる。そして大友が獄内で刺殺された情報を会長となった加藤に報告し、後任の山本刑事を彼に紹介する。

グバナン共和国[編集]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

ノミネート[編集]

製作[編集]

「どうやって人を殺そうかというプロセスを先に考え出し、それに対しストーリーを後付けした」という。

石原役候補の俳優は加瀬亮の他に押尾学がいたが、「胡散臭い感じがする」という理由で不採用になっている。英語が得意で武闘派を嫌う「インテリヤクザ」キャラの石原のイメージに合わなかったからと言われる。「もしも(押尾を)採用していたら作品がお蔵入りになって、他の出演者への賠償がとんでもない事になっていた」と押尾学事件報道の際、北野が自身の出演番組情報7days ニュースキャスターで語っていた。また、番宣の際には、「加瀬くんは、悪人に見えにくかったので、インテリヤクザという設定にした」とも語っている。

北村総一朗が演じた山王会会長・関内の邸宅は、北野の親友、所ジョージが所有する別荘、通称「沖縄ベース」を借りて撮影した。その際、北野は冗談か本気かは定かではないが「この家を爆破するシーンを撮りたい」と所に言ったが、さすがにそれは許可されなかった。

神戸フィルムオフィスの協力でポートアイランド東門街などでロケが行われた[2]ほか、大友組事務所は神戸市中央区旧居留地に有るビルの一室にて撮影され、この部屋は映画公開後もセットを再現の上で当時の資料と合わせて公開されている[3]

プロモーション[編集]

TSUTAYA限定でスペシャルDVD『アウトレイジ 危険すぎる男たちの素顔』付き前売券を発売。2010年6月11-13日には本映画公開記念として池袋・新文芸坐で過去作品を3日間限定上映された。

公開・反響[編集]

丸の内ルーブル渋谷東急他全国155スクリーンで公開され、2010年6月12-13日初日2日間で興行収入1億4,530万9,000円、動員は10万6,138人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第4位となった[4]。また、ぴあ初日満足度ランキングでも第4位になっている。

第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式参加した。プレス限定上映会ではブーイングや退席者が出た。[5]映画祭期間中に発行された映画誌による評価は厳しく、批評家九人による評価はコンペティション部門で最低クラスのものだった。[6]

Blu-ray / DVD[編集]

2010年12月3日発売。発売・販売元はバンダイビジュアル。

  • アウトレイジ DVD版(1枚組)
    • 映像特典
      • 特報
      • 劇場予告編
      • TVスポット集
      • キャストインタビュー
  • アウトレイジ Blu-ray版(1枚組)
    • 映像特典:DVD版と同様
  • アウトレイジ スペシャルエディション(3枚組・初回限定生産)
    • ディスク1:本編Blu-ray(Blu-ray単品版と同様)
    • ディスク2:本編DVD(DVD単品版と同様)
    • ディスク3:特典DVD
      • 4SHOTS(北野武×椎名桔平×加瀬亮×三浦友和)
      • メイキング「OUTRAGE -INSIDE OUT-」
      • カンヌ国際映画祭レポート
      • 初日舞台挨拶
    • 封入特典
      • 解説書(16P)
    • 特製アウターケース付きデジパック仕様

続編[編集]

2010年9月6日に、本作品の続編となる『アウトレイジ2』の製作を発表。北野作品としては初の続編となる[7]。公開は2011年秋を予定していたが、東日本大震災の影響で、2012年秋に延期され[7]、2012年4月17日に『アウトレイジ ビヨンド』のタイトルに決定、10月6日公開予定と発表された[8]。シリーズとしてはこの次作で完結する。

脚注[編集]

外部リンク[編集]