その男、凶暴につき
| その男、凶暴につき Violent Cop |
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|---|---|
| 監督 | 北野武 |
| 脚本 | 野沢尚 |
| 製作 | 奥山和由 |
| 出演者 | ビートたけし 白竜 川上麻衣子 佐野史郎 |
| 音楽 | 久米大作 |
| 配給 | 松竹富士 |
| 公開 | 1989年8月12日 日本 |
| 上映時間 | 103分 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| 製作費 | 4億6000万円 |
| 興行収入 | 7億8000万円 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| IMDb | |
『その男、凶暴につき』(そのおとこ、きょうぼうにつき)は、1989年8月12日公開の日本映画。北野武の映画初監督作。松竹富士配給。
目次 |
[編集] 概要
奥山和由による映画の企画段階では、監督:深作欣二・主演:ビートたけしの予定だった。脚本家に野沢尚が起用され、「『第三の男』のハードボイルド版」をコンセプトに第1稿が完成する。この時のタイトルは『灼熱』だった。
しかし深作によると、奥山が意向として出したアクション映画という部分にひっかかりがあり、時間を取っているうちにタイミングを逸してスケジュール調整が出来なかったため、彼は監督を降りる[1]。結局、奥山がビートたけしのスケジュールに沿って好きに撮っていいということで、ビートたけしに監督を依頼[2]。ビートたけしは脚本の書き直しを唯一の条件にこれを引き受け[3]、北野武名義で監督を務める事となった。
お笑い芸人・ビートたけしとは別の映画監督・北野武が誕生した記念すべき作品となった。なお、興行上の理由で、宣伝ポスターでは主演・監督ビートたけしとされ、フィルムのクレジットでは監督北野武、主演ビートたけしとなっている[4]。
内容としては、後の北野作品に通じる徹底したバイオレンス描写やシリアスで個性的な演技をみせた主演のビートたけしの熱演、緊張感のあるエリック・サティのBGM、そして何よりも人気タレントだったビートたけしが映画監督をすることが話題になった。
たけしの処女監督作品は、『キネマ旬報』ではほぼ賛辞一色であったという[5]。山根貞男は、当時数多く登場していた有名人の新人監督の一人と見くびっていたが、徹底してハードな暴力描写に度肝を抜かれたとし、突出した新人監督だと才能を評価した[6]。監督予定だった深作欣二も「面白かった」と感想を述べ[7]、松本人志は北野武作品で一番好きな作品としている[8]。
奥山和由は「子どもに見せるな」というキャッチコピーで、危ない作品というイメージで作品を売り出した。興行成績は、配給収入が5億円で、大高宏雄は「まずまずの成績」と評している[9]。
『ソナチネ』や『HANA-BI』が国際的に高く評価されて以降は、「(特にバイオレンスにおける)北野映画の原点」として重要視されている。
たけしは「この映画で監督をやってなかったら今日まで映画監督をやってなかった」と語っている。
[編集] あらすじ
首都圏にある某都市に住む男、我妻諒介は犯罪者を追い詰めるためには暴力の行使も辞さない凶暴な刑事。その行き過ぎた捜査と粗暴な性格から、勤務する署内でも危険人物として敬遠されていた。警察という組織にあって浮いた存在の我妻だったが、自身を理解してくれる数少ない同僚と他愛もない冗談を言い、ある時は酒を酌み交わし、完全な孤立は辛うじて免れていた。
そんなある日、港で麻薬売人の惨殺死体が発見される。我妻は新人の菊池を引き連れ事件の捜査を開始し、容疑者への殴る蹴るの暴行すら厭わない強硬な手段で次々と犯行グループの全貌を暴いていく。そして、覚醒剤を密売する組織の首謀者として暗躍する実業家の仁藤、その手下で殺し屋の清弘の存在をつきとめた。だがその中で我妻は、あってはならない驚愕の事実にも辿り着いてしまうのだった。
[編集] キャスト
- ビートたけし:我妻諒介
- 白竜:殺し屋・清弘
- 川上麻衣子:我妻の妹・灯
- 佐野史郎:吉成新署長
- 芦川誠:菊地刑事
- 遠藤憲一:麻薬の売人・柄本
- 寺島進:清弘の手下・織田
- 小沢一義:清弘の手下・植田
- 佐久間哲:清弘の手下・片平
- 中村銀次:本庁の刑事・佐藤
- 谷村好一:本庁の刑事・三宅
- 勝部演之:樋口新署長
- 浜田晃:荒木刑事課長
- 上田耕一:石橋刑事
- 石田太郎:友里刑事
- 原吉実:田代刑事
- 河合佑樹:本間刑事
- 平泉征:岩城刑事
- 音無美紀子:岩城の妻
- 岸部一徳:実業家・仁藤
- 吉沢健:新開
- 川上泳:橋爪
- 井田弘樹:塩田
- 松本公成:酒井
- 仁科ひろ子:アリサ
- 趙方豪:精神科医
[編集] スタッフ
- 監修:黒井和男
- 監督:北野武
- 監督補:天間敏広
- 企画:末吉博彦
- 製作:奥山和由
- プロデューサー:鍋島壽夫、吉田多喜男、市山尚三
- 脚本:野沢尚
- 撮影:佐々木原保志
- 美術:望月正照
- 照明:高屋齋
- 音楽:久米大作
- 歌:トレイシー
- 録音:堀内戦治
- 編集:神谷信武
- 助監督:月野木隆
- スチール:野上哲夫
[編集] 受賞歴
[編集] 野沢尚の反応
たけしが監督になり、まず行ったことは脚本から不要な会話を徹底的に削ることであった。そのため、脚本を手がけた野沢尚は、内容が大幅に改編されたことに納得出来ず、宝島社刊『別冊宝島144 シナリオ入門』の脚本家アンケートにて「変えられる前の『その男、凶暴につき』」と記入する程だった。亡くなる直前の2004年に出版されたオリジナル・シナリオを元にした長編小説『烈火の月』で、自分なりの決着を付けている。なお、この小説の初出媒体は奇しくも、因縁のたけしが辛口コラムを長期連載中の『週刊ポスト』誌だった。
野沢は、他人の手で脚本に手を加えられたことに不愉快さを抱き、そんな作品は駄作に仕上がることを願ってすらいたが[10]、たけしのアイディア力、特にクライマックスにおける妹の銃殺を高く評価していた。ただし、本作が傑作に仕上がったのは偶然であり、「きっとアイツは馬脚を現すに違いない」というのが野沢の北野武評であった[11]。
たけしの側は野沢の脚本自体は評価しており、監督第2作についても野沢に執筆を依頼していた。野沢が「せめてもの意地」で断った結果、たけし自身の筆により次作『3-4X10月』が描かれ、期せずしてたけしの脚本家デビューの遠因となった。
[編集] その他
[編集] パロディ
ビートたけしがレギュラーを務めるフジテレビの『オレたちひょうきん族』のレギュラー放送最終回となる1989年8月26日放送分は、本作の公開直後ということもあり、「タケちゃんマン」コーナーで本作のパロディを行った。北野武監督役を松村邦洋が演じた[12]。
題名を捩った作品一覧
- 平成元年 神野龍太郎監督樹まり子主演のアダルトビデオ『その女、変態につき』(宣伝文句は「たけしに見せるな。」)
- 平成9年6月 吉原由起の漫画『ダーリンは生モノにつき』
- 平成15年 山下敦弘監督の映画『その男狂棒に突き』
- 平成17年2月 古茶の漫画『その男「 」につき』
- 平成18年2月22日 般若の曲『その男、東京につき』
- 平成21年4月22日 EXILEがプロデュースしたアニメーション『エグザムライ戦国』15話の副題『その男、野獣につき』
[編集] 出典
- ^ 深作欣二、山根貞男『映画監督深作欣二』ワイズ出版、2003年、pp.449-450
- ^ 東京新聞編集局編『映画監督50人 自作を歩く』東京新聞出版局、2001年、p.143
- ^ “「世界のキタノ」北野武に学ぶ自前キャリア育て”. NIKKEI. 2010年9月11日閲覧。
- ^ 森昌行『天才をプロデュース?』新潮社、2007年、p.78
- ^ 田山力哉『辛口シネマ批評 これだけは言う』講談社、1993年、p.62。
- ^ 山根貞男『日本映画時評1986-1989』筑摩書房、1990年、pp.277-278
- ^ 浅草キッド「VS深作欣二」『濃厚民族』スコラマガジン、2003年、p.20
- ^ ビートたけし『頂上対談』新潮社、2001年、p.73
- ^ 大高宏雄「北野武『3-4X10月』の位置」『興行価値』鹿砦社、1996年、p.34
- ^ 野沢尚『映画館に日本映画があった頃』キネマ旬報社、1995年、p.22
- ^ 『映画館に日本映画があった頃』p.23
- ^ 「『オレたちひょうきん族』クロニクル 剽軽者達の果敢な試行錯誤」『笑芸人』1999冬号VOL.1、高田文夫責任編集、白夜書房、1999年、p.45
[編集] 外部リンク
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