ヘンルーダ

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ヘンルーダ
Ruta graveolens
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: ヘンルーダ属 Ruta
: graveolens
学名
Ruta graveolens
和名
ヘンルーダ
英名
Common Rue
Ruta graveolens

ヘンルーダオランダ語: wijnruit [ˈʋɛinrœyt])はミカン科の常緑小低木。日本語の「ヘンルーダ」はオランダ語に由来する。「ルー」(rue)あるいは「コモンルー」(common rue)とも呼ばれる。学名はRuta graveolens

地中海沿岸地方の原産で、樹高は50cmから1m位。葉は、青灰色を帯びたものと黄色みの強いもの、斑入り葉のものなどがあるが、対生し、二回羽状複葉で、サンショウを少し甘くしたような香りがある。丸みを帯びたなめらかな葉がレース状に茂り「優雅なハーブ」と呼ばれる[1]。花は夏咲きで、黄色の4-5弁の花で、あまり観賞価値はない。

江戸時代に渡来し、葉に含まれるシネオールという精油成分が通経剤・鎮痙剤・駆虫剤などに利用され、料理の香りづけにも使われていたが、ウルシのように接触するとかぶれる[1]など毒性があるとされ、今はほとんどその目的には使われていない。精油として採取されたルー油はグラッパなどの香り付けに使われている[2]

漢字では芸香(うんこう)と書き、しおりに使うと本の虫食いを防ぐと言われた。古くは書斎を芸室(うんしつ)ともいった。

「眼鏡のハーブ」と呼ばれるほど視力を高める効果があると信じられていた。そのため、古代ローマでは、画家はこれを大量に食べたという[3]。 しかし、紀元1世紀にディオスコリデスは妊娠中の内服の危険性について警告している。

ヘンルーダは、春の彼岸過ぎにタネをまいて育てる。乾燥に強いが、半耐寒性で、高温多湿にもやや弱い。

なお、ミカン科はラテン語でRutaceaeといい、ヘンルーダ属(Ruta)が科を代表する属(模式属)になっているため、かつては日本語でも「ヘンルーダ科」と呼ばれていたが、日本人にとってはヘンルーダよりみかんの方が身近な植物であるため、1960年代半ばから、ミカン科と呼ぶようになった。

脚注

  1. ^ a b サンティッチ,ブライアント 2010, p. 269.
  2. ^ 武政三男 『スパイス&ハーブ辞典』、文園社、1997年、p214
  3. ^ 基本ハーブの事典 東京堂出版 北野佐久子 2005年p214-217

参考文献

  • バーバラ・サンティッチ; ジェフ・ブライアント 著、山本紀夫 訳『世界の食用植物文化図鑑』柊風社、2010年。ISBN 9784903530352 

関連項目