007 ユア・アイズ・オンリー

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007 ユア・アイズ・オンリー』(ダブルオーセブン ユア・アイズ・オンリー、For Your Eyes Only)は、1981年公開、ジョン・グレン監督のスパイアクション映画007シリーズ第12作。また、原題はイアン・フレミングの007シリーズ第1短編集 (日本語タイトルは『007号の冒険』)と、同書収録の短編(『読後焼却すべし』)のタイトルでもあり、本映画の原作としてはその他同書の『危険』が使用されている。

小説[編集]

"For Your Eyes Only"イアン・フレミングの小説007シリーズ第1短編集(単行本としては8冊め)で、1960年ジョナサン・ケープより出版された。日本では1964年に『007号の冒険』のタイトルで、東京創元社から井上一夫訳により発売され、2007年に改訳版が『007/薔薇と拳銃』のタイトルで発売された。

収録作[編集]

バラと拳銃 (薔薇と拳銃)- From a View To A KIll
映画『007 美しき獲物たち』の原作。
読後焼却すべし - For Your Eyes Only
本短編集の表題作。本映画『007 ユア・アイズ・オンリー』の原作。前半部のエピソードに使われている。
危険 - Risico
本映画『007 ユア・アイズ・オンリー』のもう一つの原作。中盤のエピソードに丸ごと使われている。
珍魚ヒルデブランド - The Hildebrand Rarity
登場人物が映画『007 消されたライセンス』に使用された。"PLAYBOY" 1960年3月号掲載。
ナッソーの夜 - Quantum of Solace
映画『007 慰めの報酬』の原作。"COSMOPOLITAN" 1959年5月号掲載。

出版[編集]

映画[編集]

007 ユア・アイズ・オンリー
007 For Your Eyes Only
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監督 ジョン・グレン
脚本 リチャード・メイボーム
マイケル・G・ウィルソン
製作 アルバート・R・ブロッコリ
製作総指揮 マイケル・G・ウィルソン
出演者 ロジャー・ムーア
キャロル・ブーケ
音楽 ビル・コンティ
主題歌 シーナ・イーストン
撮影 アラン・ヒューム
編集 ジョン・グローヴァー
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 イギリスの旗 1981年6月24日
日本の旗 1981年7月11日
上映時間 127分
製作国 イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $28,000,000[1]
興行収入 $195,300,000[1]世界の旗
配給収入 20億5000万円[2]日本の旗
(1981年度洋画配給収入2位)
前作 007 ムーンレイカー
次作 007 オクトパシー
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ジョン・グレン監督の1作目として、これまでの推理小説的、あるいは特撮作品と打って変わって大胆なスタントシーンで構成され、スーパーアクションムービーとなった作品。オープニングのヘリコプター・空中スタントから、カーチェイス、スキーアクション、銃撃戦、そして水中での格闘、ロック・クライミングと、スリリングなシーン満載の大作。SF色が濃い前作『ムーンレイカー』から007映画の原点へ軌道修正されたシリーズ中傑作の一つである。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

ストーリー[編集]

地中海のアルバニア沖にて、漁船に偽装して調査活動をしていた英国スパイ船「セント・ジョージ」が何者かが仕掛けた機雷によって沈没した。この船にはイギリス軍のミサイルを自由に操って誘導できる装置、ATACが搭載されていた。それを知ったソ連はさっそくギリシャの組織にATACを手に入れるように依頼する。

一方ボンドは休暇中のMに代わり、政府の意を受けて調査していたハブロック博士が殺されたことによって、殺しの実行者ゴンザレスがいるスペインへ飛ぶが、ゴンザレスの仲間に捕まる。武器も奪われ窮地に立つボンドだが、突然ゴンザレスが何者かにボウガンで撃ち殺され、その混乱に乗じて逃げ出したボンドは博士の美しい娘メリナと遭遇し共に逃げる。ゴンザレスを殺したのは父のみならず母や両親の仕事仲間を殺された復讐を目論んだメリナの仕業であり、ゴンザレスを殺された件で手がかりを失ったと判断した政府は博士殺しの黒幕を突き止めるのは不可能だと判断するが、ボンドはゴンザレスに殺しの報酬の札束を渡した男が怪しいと睨み、Qの協力を得てその男がロックであることを掴み、メリナやロック、そして第2次大戦当時からの対英協力者のクリスタトスとの紆余曲折を経てギリシャへ飛ぶ。クリスタトスはギリシャの密輸業者コロンボがソ連の協力者だと聞かされ、ロックの胸にもコロンボの組織の一員である証の鳩の飾りがあったが、知り合ったリスル伯爵夫人をロックが運転する車で轢き殺された直後に遭遇した男たちの胸にも同じ飾りがあり、ボンドは彼らに捕まる。

ボンドの前に姿を現したコロンボは真実を語る。かつては同じ抵抗組織の一員として、イギリスに協力してギリシャに攻め込んだ枢軸軍と戦っていたコロンボとクリスタトスであったが、今ではコロンボと袂を分かって別の密輸組織を立ち上げ、ヘロインの密輸で荒稼ぎするのに飽きたらず、ソ連とも通じていた。そしてセント・ジョージを沈めたのも彼の仕業であった。また、ロックの胸にあったあの鳩の飾りは、2人の組織からクリスタトスへ寝返った名残であったのだ。真実を知ったボンドはコロンボと共闘して彼の一味と共にクリスタトスの所有する倉庫を襲撃し、セント・ジョージを沈めたのと同型の機雷とヘロインを染み込ませたロール紙を発見する。そして車で逃走を図るロックを見つけたボンドは車を銃撃して行く手を阻み、最後には車ごと突き落すのであった。

そしてメリナと再会を果たしたボンドは彼女と協力してセント・ジョージの沈没地点を発見するが、そこでクリスタトスの一味の襲撃を受け、ATACを奪われる。そして2人はロープで縛られた上で鮫が泳ぐ海をボートで引きずり回されるが、機転を利かせて脱出する。そしてコロンボの協力で、クリスタトスが第2次大戦からよく使っていた岩山の上の廃修道院にいるのを突き止めたボンドはメリナやコロンボ一味と共に乗り込む。足を踏み外せば終わりという切り立った斜面をボンドは登攀し、廃修道院側からの移動手段である物資補給用のゴンドラを確保したボンドは一同を上へと引き上げると、ボンドがイタリアで知り合った、クリスタトスがスポンサーとなっていた女子フィギュアスケート選手のビビと彼女のコーチがクリスタトスの手で無理やり連れてこられているという予想外の事態に遭遇しながらも、攻撃を仕掛ける。戦いの果て、クリスタトスを追い詰めるボンドだが、そこでメリナが彼を殺そうと迫る。それを制するボンドをクリスタトスが不意を突いて撃とうとするが、コロンボがナイフを投げつけて引導を渡した。

そこにヘリでやって来たKGBのゴーゴル将軍は、クリスタトスから受け取る予定であったATACを手にしていたボンドにそれを渡すよう迫るが、ボンドは渡すと見せかけて遠くへと放り投げ、ATACは岩肌に当たって砕け散る。「お互いに手にしない、痛み分けだ」というボンドの言葉に納得して笑みを浮かべたゴーゴル将軍は部下と共にヘリへと戻り、去っていった。かくして任務を片付けたボンドはコーチと一緒にビビが負傷したコロンボを介抱しているのを見てメリナに「ビビも新しいスポンサーを見つけた」と言うと、某所でサッチャー首相からの祝いの言葉を無視して2人で海へと身をゆだねるのであった。

興行成績[編集]

公開初日の観客動員数は前作の3割増し、全世界のチケット売り上げは約2億ドル。レンタルビデオでは2650万ドルとなった。1981年の映画の世界興行成績で、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に次ぐ第2位を記録した[3]。日本では1981年度の外国映画配給収入で『エレファントマン』(24億5000万円)に次ぐ第2位(20億5000万円)で、日本映画の第1位『連合艦隊』(19億円)を上回った[2]

エピソード[編集]

  • M役のバーナード・リーが撮影前に逝去したため、彼への敬意を示し、今作ではMは登場しない(休暇中という設定)[4]。代わりに国防大臣フレデリック・グレイと参謀本部長が指令を命じた。国防大臣を演じたジョフリー・キーンは同じ役で『私を愛したスパイ』『ムーンレイカー』『オクトパシー』『美しき獲物たち』『リビング・デイライツ』にも出演した。
  • ボンドガール役のキャロル・ブーケは前作『ムーンレイカー』の撮影スタジオを見学に行った際、マーケティング担当のチャールズ・ジュローがブロッコリに推薦して抜擢された。「長い髪が美しいからボウガンを持たせたら映える気がした」「シャネルのイメージガールに選ばれたほどの美貌だ。メリナ役にはうってつけだった」と語っている。
  • トポルは、パーティの席でブロッコリの妻ダナにコロンボ役を指名された。
  • クリスタトス役のジュリアン・グローヴァーは、かつてボンド役の候補になったことがある。
  • 公開時のポスターでは、青のビキニを穿き、クロスボウを持ったハイヒールの女性が大きく股を開いて立ち、その脚の間の向こう側でボンドが銃を構えているが作られた。その女性はシチュエーションから考えるとキャロル・ブーケに思えるが、後ろ向きで上半身は写っていない。実際は誰であるか取りざたされた末、ニューヨーク生まれのジョイス・バートル(当時22歳)であることが明らかになった[5]
  • ゴンザレスがくつろぐプールにいる女性たちの一人を演じたテューラは、その後性転換した元男性であることが判明した。
  • 雪山のシーンでは大勢が食事するテラスのテーブルの上を、ジャンプしてきたボンドがスキーで滑走してめちゃくちゃにする。このとき、ワイングラスを片手に驚いて立ち上がる男は、助監督のビクター・トジャンスキー。彼は『私を愛したスパイ』、『ムーンレイカー』でも同様の趣向で登場し、今回が最後となった。
トレーシー・ボンドの墓標
  • オープニングでボンドは妻トレーシーの墓参りをする。彼女は『女王陛下の007』のエンディングでボンドと結婚式を挙げるが、その直後に仇敵スペクターの首領エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドによって殺された。墓標によると、1943年生まれ、1969年(『女王陛下-』の公開年)没となっている。
  • 続く場面でボンドを窮地に陥れるのは、スキンヘッドでペルシャ猫を抱いた電動車椅子の男。どう見てもブロフェルドのように思えるが、劇中では一切名前が出ず顔も写らない[6]。これは、『サンダーボール作戦』の映画化権を持つケヴィン・マクローリーが、スペクターとブロフェルドの著作権が自分にあることを主張していたためである。ボンドはこの男を、ノース・テムズ・ガス・ボード社の建物の煙突の中に落下させ、以後シリーズにはブロフェルドらしき人物は登場していない。一方、マクローリーは1983年にショーン・コネリー主演で『サンダーボール作戦』をリメイクした『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を製作し、スペクターとブロフェルドを登場させた。2012年にFacebookの公式アカウントで行われた「全作品を通じて好きなシーン」を募集し発表する企画で、一連のシーンが「ブロフェルドの死」という題名で取り上げられた[7]。また、車椅子&ギプスについては『女王陛下の007』でのボンドとのボブスレーでの決闘シーンに敗れたときに負った強度のむち打ち症の後遺症と推測される[8]
  • 伯爵夫人リスル役のカサンドラ・ハリスは、後に5代目ボンド役を務めたピアース・ブロスナンの妻だった。その後、1991年にガンで他界。ブロスナンはロケ地に陣中見舞いに訪れている。スタッフの多くがそのとき、ブロスナンの端正な容姿を見て、将来のボンドになることを確信したという。ブロッコリもブロスナンのことを後々まで覚えていた。
  • 前2作から引き続き、国防大臣とゴーゴル将軍は再登場しており、ジョーズもベビーフェイスとして再登場が検討されたが、結果として見送られた。
  • ロジャー・ムーアは本作撮影終了後、ボンド役の降板を正式に表明したが、適任者が見つからないことなどから、続投することになる。なおそれに際して後にボンド役を務めることになるティモシー・ダルトンにもオファーが来たものの「ココ・シャネル」の出演を当時控えていたことから断念した背景がある。

秘密兵器[編集]

本作は秘密兵器に頼らないボンドを描くという意図から、その登場は極めて少ない。

  • ボンドカーとしてロータス・エスプリターボが使用されたが、本格的なカーチェイスを行うのは、シトロエン・2CVである。本作に登場する2CVは、撮影用に、本来の水平対向2気筒エンジンの代わりに上位車種のGS用の水平対向4気筒エンジンを搭載している。
    • ロータス・エスプリ・ターボの一台目は、「盗難防止装置」のため、ガラスを割られただけで自爆してしまう。
    • 二台目は当初Qの研究室に置かれており、後の場面でボンドが同乗したフェラーラにボタンをさわらないよう注意することからも、何らかの特殊機能は備えていたものと思われるが、活躍はせずに終わる。
  • セイコーの腕時計「セイコー ハイブリッド」を着用。衛星回線による通信機能を備え、音声通信と液晶ディスプレイへのメッセージ表示が可能。エンディングでは、女性首相(当時はマーガレット・サッチャーがイギリスの首相だった)からの通信が入るが、ボンドは毎回恒例の理由で黙殺する。この他に、同社の「ダイバープロフェッショナル」も使用されていると見られる[9][10][11]
  • ロックの身元を割り出すのに、Qが開発中の「3-D・ビジュアル・アイデンティグラフ」を使用。モニターを見ながら対象者の立体画像を作成し、インターポールCIAモサッド、西ドイツ警察などのファイルと照合できる。
    • この装置のある部屋に入る扉の暗証コードは、『私を愛したスパイ』の主題歌 "Nobody Does It Better" の最初のフレーズである。
  • この他に、Qの開発中の秘密兵器として以下のものが登場。
    • 男が片腕にはめたギプスが、横ざまに半回転して人形の頭を打ち砕く。
    • 人形が差した雨傘に水をかけると、刃が飛び出して傘が閉じ、人形に突き刺さる。それを見たボンドは、"Singing in the Rain"(『雨に唄えば』)をもじった駄洒落を言い、Qの不興を買った。

主題歌[編集]

主題歌「For Your Eyes Only」は、後に1980年代に一世を風靡することとなるイギリスの新人女性シンガー、シーナ・イーストンが大抜擢された。さらに、シーナ本人がオープニング・タイトルに登場する。シリーズを通じて主題歌を歌う本人がオープニング・タイトルに登場するのは、本作におけるイーストンが唯一の例(ただし第20作『ダイ・アナザー・デイ』では、主題歌を歌うマドンナが本編中に端役でカメオ出演している)。同主題歌は、イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位8位、アメリカの「ビルボード」誌では、最高位4位と、両国でトップ10入りを果たし大成功だった。また、主題歌候補として「For Your Eyes Only」は他にブロンディ(詞も曲も異なる)が歌っているが、最終選考でイーストンに敗れた。

映画「ロッキー」のサウンドトラックを手がけたビル・コンティが担当した同サウンドトラック・アルバムは、「ビルボード」誌アルバム・チャートで最高位84位だった。

タイトルに歌手を登場させた理由としてビンダーは一言「美人だから」と答えている。また、映像ではトップレスに見えるが、イーストンは歌手のため、撮影では肩出しのドレスを着用していた。

その他[編集]

  • “Eyes Only” なら「見て読む以外不可(複写など不可)」の意味の慣用句で、極秘文書に使われる。原作の邦題「読後焼却すべし」や「他言無用」が意訳として適切である。原題 “For Your Eyes Only” は、「あなただけに見て欲しい」という女性からの性的誘惑も暗示したダブル・ミーニングとなっている。ボンド映画の世界観を端的に表現した秀逸なタイトルといえる。物語の最後にメリナがボンドを「月夜の海へダイビング」に誘うために青のバスローブを鮮やかに脱ぎ、このセリフを言う。
    メテオラ
  • ボンドがギリシャ、メテオラの絶壁から蹴落とされて宙吊りになる場面では『私を愛したスパイ』のオープニングで英国旗のパラシュートダイブを行った、リック・シルベスターがスタントを担当した。
  • そのメテオラでは当初、「エロと暴力に満ちた映画」ということで修道僧達の反発をまねき、修道院の屋根に撮影反対を訴える派手な布が覆い被せられていた。他にも様々なトラブルがあったこのメテオラのクライマックスのシーンは苦労に反してあまり評判が良くなかった。
  • ボンドとメリナが縄で縛られ海をボートに引きずられるシーンは、フレミングの小説『死ぬのは奴らだ』のラストシーンを参考にした(当然ながら映画版『死ぬのは-』にそのシーンはない)。
  • キャロル・ブーケ演じるメリナはそれまでの作品のボンドガールと異なり、黒く長い髪をなびかせ、聡明でクールビューティーな魅力を持つ美女として歴代でも屈指の人気を持っている。ロジャー・ムーアも印象深いボンドガールにブーケを挙げ、「瞳の色がきれいで、息を飲むような美しさだった」と振り返っている。その清楚なイメージを保つため、彼女の性生活についてのセリフが削られている(DVD版に特典映像として収録)。また、終盤に潜水服の胸元をクリスタトスの部下にナイフで引き裂かれ、皆が好奇の目で見つめる中、服を強引に脱がされるシーンがカットされている。その後、ボンドと抱擁するような格好で縄で縛られる場面でも、当初は清潔な白の下着姿の予定だったが、現場でブーケが実際に服を脱いで下着姿になると、それを見た監督は彼女のブラジャーパンティーを見せれば官能的になりすぎると判断し、最終的に黒のビキニと白のTシャツに変えられて肌の露出は下半身のみに留まった。また、歴代のボンドガールでは珍しく、最後までボンドとのベッドシーンはない(暗示されているだけで直接の描写はない)ばかりか、物語のラストまでボンドとキスさえも交わしていない。
  • エンドロールではボンドとメリナらしきアニメーションが2人で海を泳ぐシーンで締められている。エンドロールにアニメーションが登場するのは本作のみ。
  • ブーケは鼻の病気で水中に潜ることが出来なかった。そのため、水中にいるように見せかけるため機械で風を送り、スローモーションで撮って泡を付け加えた。この映像美は高く評価された。
  • 本作に出てくる潜水艇ネプチューン号は、プロダクション・デザイナーのピーター・ラモントがデザインし、『私を愛したスパイ』でロータス・エスプリの潜水モデルを製作した、ペリー・オーシャノグラフィック社が製造した。
  • 沈没船でボンドとメリナを襲う一人乗り潜水艇は、イギリス、オーゼル(OSEL:Offshore Submersible)社のマンティス(MANTIS)。
  • 潜水用具の提供は、スキューバプロ社。
  • ボンドの履くスキー板は、オーリン・マークVI。ビンディングはチロリア。スキーブーツはガルモント。
  • スキーウェアの提供は、ドイツのボグナー社。その創業者の息子ウィリー・ボグナー(Jr.)が、『私を愛したスパイ』に続きスキー・アクション・スキーの撮影を担当。
コルティナダンペッツォ
  • イタリア、コルティナダンペッツォの街中と雪山でボンドを襲うオフロード・バイクは、ヤマハ・XT500。公開当時、同型のXT250が上映劇場に展示されたり、特番に登場したりした。
  • オープニングでボンドを迎えに来るヘリコプターには、Universal Exports(ユニバーサル貿易)と書かれているが、これは007シリーズの英国情報部が隠れ蓑としている会社名。
  • メリナの両親が殺される場面や、ボンドとロックの対決などは、ギリシャのコルフ島で撮影された。カジノのシーンは、同島にオーストリアのエリザベート皇后が建てたアレキオン宮殿が使われた。シトロエン・2CVのカーチェイス・シーンは、スペインのマドリッド近郊という設定になっているが、実際はこれもギリシャで撮影された。
  • 雪山のロケが行われたコルティナダンペッツォは、1956年の冬季オリンピック開催地で、スケート・リンクやスキーのジャンプ台などでも撮影が行われた。本作の公開時、007映画最大の市場であるアメリカでは、レークプラシッドオリンピック開催の翌年にあたり、ウィンター・スポーツへの関心が高い時期だった。
  • ソ連KGBのゴーゴル将軍の乗るヘリコプターは、ソ連が開発しポーランドで生産されたMi-2が使用された。
  • ボンドとゴーゴル将軍とは、前二作『私を愛したスパイ』と『ムーンレイカー』では曲がりなりにも協調路線を歩んできたが、本作ではATACの争奪戦を繰り広げる。2年前の1979年にソ連のアフガニスタン侵攻が起こり、翌1980年には、アメリカを始めとする西側諸国がモスクワオリンピックをボイコット(ただしイギリスは参加)するなど、70年代のデタントから一転し東西の緊張が高まっていたことが背景にある。ただしラストではデタントに通じる発言をボンドが発し、ゴーゴルもそれを笑顔で受け入れている。また、ゴーゴルはATACを求めながらもボンドを殺す意図は無かったようで、ボンドを撃とうとした部下を制止する場面がある。
  • ラストでサッチャー首相と夫のデニスが登場。本人達によく似た俳優を選び、公開当時の英国の観客には大受けだったという。
  • 監督ジョン・グレンのシンボルは鳩。彼が監督した007シリーズには、鳩の登場シーンがある。本作では、ボンドがメテオラの断崖を登る際、岩陰から急に飛び立ち彼を驚かす。

日本語吹替[編集]

役名 俳優 TBS DVD/BD
ボンド ロジャー・ムーア 広川太一郎
メリナ・ハブロック キャロル・ブーケ 戸田恵子 沢海陽子
アリスト・クリスタトス ジュリアン・グローヴァー 穂積隆信 有本欽隆
ミロス・コロンボ トポル 小林清志 水内清光
ビビ・ダール リン=ホリー・ジョンソン 潘恵子 武田華
リスル カサンドラ・ハリス 沢田敏子
ロック マイケル・ゴサード 阪脩
ゴゴール ウォルター・ゴテル 中庸助 島香裕
Q デスモンド・リュウェリン なし[12] 白熊寛嗣
ルイジ・フェラーラ ジョン・モレノ 納谷六朗
ゴンザレス ステファン・カリファ 石塚運昇
タナー ジェームズ・ヴィリアーズ 阪脩
グレイ ジェフリー・キーン 宮内幸平 佐々木省三
ヤコバ・ブリンク ジル・ベネット 巴菁子
エリック・クリーグラー ジョン・ワイマン 星野充昭
ティモシー・ハブロック卿 ジャック・ヘドレー 加藤正之
車椅子の男 ジョン・ホリス 加藤精三
司令官 ピーター・フォンテイン 石森達幸
海軍士官 コーネリアス・ギャレット 稲葉実
花屋の店員 ロビン・ヤング 堀越真己
セント・ジョージ号の船長 広瀬正志
  • TBS版 - 初回放送1987年12月22日(火)20:00-21:54 『ザ・ロードショー』※キングレコードから発売の特別版DVDに収録。
プロデューサー - 上田正人、演出 - 小山悟、翻訳 - 木原たけし、効果 - 遠藤堯雄/桜井俊哉、調整 - 小野敦志、製作 - 東北新社/TBS、解説 - 荻昌弘
※通常2時間枠での初回放映。
死ぬのは奴らだ」から「カジノ・ロワイヤル」まで007シリーズは延長枠初回放映がほぼ恒例で、通常枠での初回放映は、上記期間の作品中唯一の例となった。
月曜ロードショー」時代から数々の007作品の案内役であった解説者の荻昌弘が解説した、最後の初回放映ともなった。
  • DVD/BD版 - 初出2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
地上波初回放送2009年1月25日21:00-22:54 テレビ朝日日曜洋画劇場
演出 - 福永莞爾、翻訳 - 谷津真理、調整 - 金谷和美、製作 - 東北新社

参照[編集]

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  1. ^ a b For Your Eyes Only” (英語). The Numbers. 2009年6月21日閲覧。
  2. ^ a b 1981年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  3. ^ Movie list by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月21日閲覧。
  4. ^ またその関係で「スペクター」までの23作品で唯一Mがとうじょうしない。
  5. ^ James Bond movies are known for racy scenes...” (英語). TIME (1981年6月20日). 2007年6月7日閲覧。
  6. ^ ただし、DVDの音声解説ではジョン・グレン監督は明確にブロフェルドだと述べている。
  7. ^ 煙突の男はブロフェルドだった……007 ユア・アイズ・オンリー”. RBB TODAY. 2012年12月13日閲覧。
  8. ^ 「ジェームス・ボンド映画化25周年&新ボンド誕生!」(1987年発売 VHS)中の007名場面ベスト10の5位にこの場面がランキングされた際、水野晴郎のコメントより。なお、1位は『ゴールドフィンガー』のボンドがレーザー光線で窮地に陥る場面。
  9. ^ ボンドウォッチプロジェクト
  10. ^ Q Branch at Her Majesty's Secret Servant
  11. ^ James Bond Gadget Watch History at the watchismo times
  12. ^ 登場シーンがカットされたため。

外部リンク[編集]