ゴールデンアイ

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ゴールデンアイ
GoldenEye
監督 マーティン・キャンベル
脚本 ジェフリー・ケイン
ブルース・フィアスティン
原案 マイケル・フランス
原作 イアン・フレミング
製作 マイケル・G・ウィルソン
バーバラ・ブロッコリ
製作総指揮 トム・ペブスナー
出演者 ピアース・ブロスナン
ショーン・ビーン
イザベラ・スコルプコ
ファムケ・ヤンセン
ジョー・ドン・ベイカー
ロビー・コルトレーン
チェッキー・カリョ
ゴットフリード・ジョン
アラン・カミング
マイケル・キッチン
セレーナ・ゴードン
デスモンド・リュウェリン
サマンサ・ボンド
ジュディ・デンチ
音楽 エリック・セラ
主題歌 「GoldenEye」ティナ・ターナー
撮影 フィル・メヒュー
編集 テリー・ローリングス
製作会社 ダンジャック
イーオン・プロダクションズ
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
ユナイテッド・アーティスツ
配給 アメリカ合衆国の旗 MGM/UA Distribution Co.
イギリスの旗日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗 1995年11月17日
イギリスの旗 1995年11月24日
日本の旗 1995年12月16日
上映時間 130分
製作国 イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $60,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $356,429,941[1]
イギリスの旗 $28,297,964
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $106,429,941
配給収入 日本の旗 10億円[2]
前作 007/消されたライセンス
次作 トゥモロー・ネバー・ダイ
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ピアース・ブロスナン
(2002年撮影)
ショーン・ビーン(2015年撮影)
ティナ・ターナー(1985年撮影)

ゴールデンアイ』(『007/ゴールデンアイ』、原題: GoldenEye)は、マーティン・キャンベル監督の1995年スパイアクション映画。映画「ジェームズ・ボンド」シリーズ第17作。ジェームズ・ボンド役をピアース・ブロスナンが演じた初の作品である。

概要[編集]

当時、イアン・フレミングの007原作は短編『ナッソーの夜』(原題: Quantum of Solace、2008年に『007/慰めの報酬』として映画化) だけが残っていたが、この映画では原作として使用されなかった。また、本作は007小説の後継者とされたガードナーが、前作に続き小説を執筆している。007シリーズとしては初のドルビーデジタル作品でもある。

1990年代に入って冷戦が終結し、またアルバート・R・ブロッコリらシリーズ当初からの製作者が去ったことにより、シリーズ2度目の大きな転換期となった作品である。ボンドが悪の組織と戦う構図は変わらないものの、映画は007シリーズの世界観を大きく変更し、近代化をさせようという意図が見て取れる。

世界観だけでなく、アクションシーンの方向性やカット割も、過去シリーズと大きく変更された。ボンド役もピアース・ブロスナンへ交代した。ブロスナンは『リビング・デイライツ』の際にもボンド役をオファーされていたが、『探偵レミントン・スティール』の契約が残っており受けることができず[3]、本作で出演を果たした。しかし、本作でのボンド役の第1候補はリーアム・ニーソンで、アクション映画に惹かれないという理由で断っていたことが後に明らかとなった[4]

ストーリー[編集]

ソビエト連邦の崩壊前。ソ連・アーカンゲルの化学兵器工場を爆破すべく006ことアレック(ショーン・ビーン)と共に侵入したボンド(ピアース・ブロスナン)だったが、責任者のウルモフ大佐(ゴットフリード・ジョン)に見つかりアレックが拘束され、ボンドの目前で頭を撃たれてしまう。ボンドはやむなく彼を見捨てて爆弾のタイマーを6分から3分に早め、軽飛行機を奪って脱出、工場を爆破して任務を達成した。

それから9年後。20世紀も終わりに近く、ソ連は既に崩壊していた。ボンドはモナコロシアの犯罪組織「ヤヌス」のメンバーである元ソ連空軍戦闘機パイロットのゼニア(ファムケ・ヤンセン)をマークしていたが、彼女と将軍になっていたウルモフは、対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリコプタータイガーを、デモンストレーションを行っていたフランス海軍フリゲート艦上から奪取・逃走する。

その後ゼニアとウルモフは、そのヘリコプターを用いて隠密でロシアのセヴェルナヤにある秘密宇宙基地を訪れる。そこにプログラマーとして勤める職員のボリス(アラン・カミング)は二人と同じヤヌスの一員であり、かねてより二人を手引きしていた。ゼニアとウルモフは抜き打ち査察を装い、ソ連時代に開発された、内蔵した小型核爆弾を用いて発生させた高出力EMPを目標に照射する秘密衛星兵器「ゴールデンアイ」の起動キーを受け取ると、ボリスを除いてそこの兵士と職員を皆殺しにする。また宇宙基地ごと隠滅するために、宇宙空間に存在する「ゴールデンアイ」衛星2機のうち1機を用いてEMPを基地に向けて照射し、宇宙基地は壊滅、警報を受けて飛来していたMIG29戦闘機も墜落する。しかしこのとき女性コンピューター技士のナターリア(イザベラ・スコルプコ)は、奇跡的に生き残り脱出することができていた。この様子をイギリスのMI6から衛星中継を通じて見ていたボンドは、「ゴールデンアイ」とヤヌスの関係の手掛かりを求めてサンクトペテルブルクへと赴く。

一方、ロシアの大臣会議に出席し、セヴェルナヤの事故がシベリア分離派の犯行と推測するという虚偽の報告をしたウルモフは、ミシュキン国防大臣(チェッキー・カリョ)からボリス以外の行方不明者がいることを知らされる。ボンドはサンクトペテルブルクでCIAのジャック・ウェイド(ジョー・ドン・ベイカー)と元KGBのヴァレンティン・ズコフスキー(ロビー・コルトレーン)の仲介を受け、ゼニアと接触することに成功し、彼女を通じてヤヌスの幹部と接触するチャンスを掴む。しかし、そこで待っていたのは9年前ウルモフに殺されたはずのアレックであり、彼がヤヌスの首領であることを告げられる。アレックの両親はコサック出身であり、旧ソ連の共産体制で迫害を受けていたためイギリスに加担しようとしたが、第二次世界大戦後にイギリスがソ連に対してコサックたちを引き渡したため両親が自死を選び、以来イギリスに恨みを持ちながらMI6で二重スパイとして長年生き抜いてきたことを告白する。アレックはボンドを捕らえ、ボリスに接触を図ったためやはり捕まったナターリアとともに、用済みとなったタイガーの中に閉じ込めて爆破しようとするが、間一髪で2人は脱出することに成功する。しかし直後に駆け付けたロシア軍によって捕らえられ、ミシュキンによる尋問を受けることになる。ここでボンドとナターリアはミシュキンに事件の真相を告げるが、割って入ってきたウルモフがボンドの銃を使ってミシュキンを殺害し、ナターリアが連れ去られる。戦車を奪ったボンドはサンクトペテルブルク市内でウルモフを追いかけるうちに、ヤヌスが拠点としている秘密の軍用列車を発見する。列車内でウルモフを倒しナターリアを奪還することに成功したボンドは、ナターリアのハッキングによってヤヌスの隠し拠点がキューバに存在することを突き止める。しかしボリスとゼニアは小型ヘリコプターで逃走。

「ゴールデンアイ」を起動するにはセヴェルナヤと同規模のパラボラアンテナが必要だということから、キューバに赴いた2人はウェイドが用意した小型機に乗って上空からその探索を試みるものの、まったく見つけられずにいた。その時突如攻撃を受けたセスナ機はジャングルに墜落。その後ゼニアがボンドに襲い掛かってくるものの、彼女を倒すことに成功する。一方、隠し拠点にいたボリスとアレックは残った「ゴールデンアイ」1機を起動させるため、湖の底に隠していたパラボラアンテナと基地を出現させて発射準備に入った。基地内部に侵入して発見され、投降したボンドはアレックから、ヤヌスの計画はボリスを用いてイギリスのイングランド銀行に不正アクセスして金を引き出し、その操作記録を「ゴールデンアイ」で隠蔽すると共にイギリス経済に壊滅的な打撃を与える計画であったことを告げられる。しかしナターリアが「ゴールデンアイ」の挙動を書き換えることに成功し、大気圏突入させて自爆させるよう仕向けさせた。そしてボンドは仕掛けておいた爆弾を起動させて基地を爆破し、パラボラアンテナの上に設けられたクレードル上でアレックと一対一の死闘を繰り広げ、彼を突き落とし、爆発して落下するクレードルの下に彼を葬った。ボンドはナターリアが奪ったヤヌスのヘリコプターに間一髪で飛び移り、無事地上に生還。水入らずの時間を楽しもうとした二人だったが、その矢先にウェイドとアメリカ海兵隊によって救出されるのだった。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

主人公であるMI6エージェント。今作からは禁煙中の設定である。犯罪組織「ヤヌス」を相手に立ち向かう。落下する飛行機に同じく落下しながら乗り込むなど緻密な行動力を持つ。
今作のボンドガール。セヴェルナヤの宇宙センターに勤めるコンピューター技士。ボンドの協力者。非喫煙者(ノンスモーカー)。
もう1人のボンドガールでヤヌスのメンバー。グルジア人女性で元ソ連空軍戦闘機パイロット。ボンドが任務でマークしていた。オープニングではボンドと危ないカーチェイスを繰り広げた。喫煙者(ノーマルスモーカー)で胆力が強く、セックスを武器に絞殺する危険な一面を持ち、ウルモフを呆れさせた場面もあった。
本作の悪役で、ヤヌスのボス。かつてはMI6に所属していたエージェントで、ボンドと同じく00ナンバーである「006」であった。
現れた敵を即座に撃ちぬくなど優れた射撃能力を持つ。
両親はリエンツ・コサックで、旧ソ連の共産体制で迫害を受けていたため他のコサックたちと同じように第二次世界大戦ではナチス・ドイツに協力していた。ナチスの敗戦後はイギリスに亡命しようとしたが、イギリスがソ連に対してコサックたちを引き渡したため大勢のコサックが処刑され、生き残りながらそれを恥じた両親が自殺を選んだ。以来イギリスに恨みを持ちながら、MI6でソ連の二重スパイとして長年生き抜いていた。
ボンドと化学工場に潜入した際に当時大佐だったウルモフに捕らえられた上射殺されたが、実は偽装であり、工場の早期爆破に巻き込まれて顔に傷を負いながら生き残り、ヤヌスのボスとなっていた。9年後、ボリスを使ってイングランド銀行に不正アクセスして大金を外部に送金した後、ゼニアとウルモフに強奪させたゴールデンアイを使ってその記録を隠蔽すると同時に、イギリス経済に壊滅的な打撃を齎すことを目論み、それを阻止しようとするボンドと対決する。
CIA職員。
元KGB職員。現役時代に007から片足を撃たれたことがあり、杖を突いている。
ナターリアのプログラマー仲間であるが実はヤヌスの一員でコンピュータオタクである。口癖は「俺は天才だぁ!(I am invincible!)」。
ソ連軍大佐・アーカンゲル化学兵器工場警備責任者→ロシア連邦軍将軍(上級大将)・宇宙局長官。
現場の判断能力に優れている軍人だが、ボンドの斜め上を行く奇策に手こずることもあった。
冒頭、ボンドがアレックと潜入したアーカンゲル化学兵器工場の警備責任者を務めていた。アレックを拘束した後射殺するが、ボンドに逃げられてしまった上、結局工場は爆破されてしまった。
9年後には将軍にまで上り詰めており、「第二の鋼鉄の人」と呼ばれるほどの愛国者として知られているが、裏ではヤヌスと繋がっており、自己の利益のために軍の装備や人員を流用していた他、ゼニアと組んでゴールデンアイを強奪する。冷酷な性格で、命令に従わなかった部下を射殺、戦車に乗ったボンドに追われながら逃げる際には通行人を容赦なく跳ね飛ばさせていた。
国防大臣。ボンドとナターリアに面会した際、旧ソ連時代仕込みの尋問テクニックを披露する。
今作からの女性ダブルオーセクション長。冷徹な性格で、幕僚であるタナーから密かに「数字の魔女」と揶揄されている。しかし007を任務へ送り出す際には無事生還するよう声をかけている。本人曰く、「婆さん」呼ばれされるのは孫だけで十分である。
MI6の装備研究開発部門の長。
Mの秘書。ゼニアをマークする007に、変な気を起こさないよう釘を刺した。
007を評価するためにMが派遣した心理士。冒頭で公道上でのカーチェイスに付き合わされた挙句、007に誘惑されてしまった。
ズコフスキーの愛人。ステージで『Stand by Your Man』を歌うが、あまりにひどい歌声にボンドも「Who's strangling the cat?」と皮肉を言う。

興行成績[編集]

米国では『消されたライセンス』の3倍のチケットが売れた。1995年の映画の世界興行成績で第3位[5]の約3億5000万ドル(資料により若干相違がある[1][6][7])で、インフレ率を勘案しない場合、過去最高だった『ムーンレイカー』の約2億1000万ドルを上回った[8]。日本では1996年度の外国映画配給収入で第10位[9]

キャラクター、キャストなど[編集]

ジュディ・デンチ(2007年撮影)
  • 初代から5代目までの全てのボンドと共演した唯一の俳優であるQ役のデスモンド・リュウェリンはブロスナンについて、「コネリー以降、最高のボンドを見た気分だ」とインタビューや音声解説で絶賛している。また、007シリーズと同じく世界的に有名なスパイアクション映画となったミッション:インポッシブルシリーズトム・クルーズは、主人公のイーサン・ハントがブロスナンのボンドに影響を受けていると公言している。
  • イザベラ・スコルプコ演じるナターリア・シミョノヴァはボンドの任務に巻き添えになるという典型的なパターンを踏襲しているが、過去のボンドガールよりも自立した女性、繊細ながらも芯の強い女性として描かれており、前半ではもう一人の主人公のような扱いを受けている。また、ボンドと出会ってからは最後までボンドと行動を共にし、ボンドの任務に巻き込まれるだけではなくパートナーとしてボンドを助けている。当初からボンドと対等に渡り合い、強気な姿勢でボンドの敵に対しても勇敢に立ち向かうほか、孤独な稼業を続けるボンドに思いやりを示すなど、1990年代以降のボンドガールの方向性を決定付けた。近年のシリーズのボンドガールでは特に人気が高いが、衣装の種類は少なく、劇中では3パターンほどしか着用していない。
  • 本作よりM役が女性のジュディ・デンチに交代された。新しいMはオックスフォード大学法学部卒で、MI6では分析官を長年務めた学者タイプの人物であり、ボンドのような秘密工作官たちからは煙たがられている。ボンドの友人で秘密工作本部長のビル・タナーは分析官に信頼を置く彼女を「数字の魔女」と表現。子持ち。前任のMはコニャック党だったが、彼女はバーボン党。ジャックダニエルなどを飲んでいる。女好きのボンドに「女性軽視の恐竜で冷戦の遺物」と嫌味を言うものの、「生きて帰って」と励ます。その後の作品ではボンドの任務の取り組み具合を見て前任者たちと同様、ボンドに理解を示す。
  • Mが女性になったのは、1990年代に実際のMI5MI6ではない)のトップが女性だと判明し、大きく報道されたことを受けたものである。
  • ジュディ・デンチは、1998年の「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー助演女優賞を受賞した。過去、オスカー受賞者をキャスティングしたこと(クリストファー・ウォーケンハル・ベリーら)はあるが、007シリーズ出演以降、アカデミー賞を受賞したのはジュディ・デンチショーン・コネリーベニチオ・デル・トロ(「消されたライセンス」に出演)ミシェル・ヨーの4人[10]
  • 脇役には大物ではなく地味でもひと味ある俳優を置くのがシリーズの伝統だが、ジュディ・デンチはこの後アカデミー賞やトニー賞を受賞し、さらには毎年のようにこうした大きな賞にノミネートされてきたほか、その功績によりイギリス王室から「デイム」の称号まで許されるなど、イギリスを代表する大女優となった。それでも本人はボンドシリーズの大ファンということで、2012年に007シリーズを卒業するまでの17年間M役のオファーは二つ返事で引き受けていたという。
  • マネーペニー役も今作からサマンサ・ボンドに代わった。ボンドとマネーペニーは年齢差なく、互角に戯れる従来の設定に戻っている。ボンドは彼女がある男性から観劇に誘われたことを聞いて興味を示す。
  • 当初、アレック・トレヴェルヤン役にはアンソニー・ホプキンスが考えられていた。また、ショーン・ビーンはボンド役の候補だった。ボンド役の候補が別の役で出演するのはシリーズの常套手段である。
  • ジャック・ウェイド役を演じたジョー・ドン・ベイカーは、「007/リビング・デイライツ」では敵役の武器商人の「ブラッド・ウィティカー」を演じていた。なお、ジャック・ウェイドは次作「トゥモロー・ネバー・ダイ」にも登場する。
  • ティナ・ターナーが歌った主題歌「ゴールデンアイ」は、U2ボノジ・エッジが作詞・作曲した。
  • 007シリーズで幾度も特殊効果を担当してきたデレク・メディングスは、本作撮影終了後に死去した[11]。このため、本作はエンド・クレジットにメディングスへの献辞が記されている。

主題歌[編集]

前作に続き、ベテランR&Bシンガーであるティナ・ターナーが起用され、同タイトル曲を歌った。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位10位と健闘したが楽曲のレベルが低く、アメリカでは「ビルボード」誌R&Bチャートで最高位89位。また、同サウンドトラック・アルバムは、アルバム・チャートで最高位180位だった。

また、主題歌候補としてエイス・オブ・ベイスが「ゴールデンアイ」を歌っているが選考で敗れた[12]

エピソード[編集]

MI6本部
ヴェルザスカ・ダム
カジノ・ド・モンテカルロ
宮殿広場
サンクトペテルブルク
アレシボ天文台
  • 「ゴールデンアイ」は原作者イアン・フレミングジャマイカの別荘名。元々は彼がイギリス海軍情報部のエージェントだった頃、第二次大戦中に指揮していた作戦(ゴールデンアイ作戦)の名前だった。
  • ボンドの所属組織は前作まで英国秘密情報部(O.H.M.S.S.:On Her Majesty's Secret Service)などと呼ばれ、ウェストミンスター宮殿のすぐ近くにあるユニバーサル商事(Universal Exports)という会社をカムフラージュに使用していた(ただし、建物が映されたことはない)が、本作から実在のMI6(正式にはSISであるが)となり、本部の外観の映像も、ロンドンのヴォクスホールにある実際のMI6本部のものが使用されるようになった。
  • 本作冒頭でボンドはソ連アーカンゲル(アルハンゲリスク)の化学兵器工場に潜入する。ダムのロケは、スイス、ティチーノ州のヴェルザスカ・ダムで行われた。ここでボンドが決行したバンジージャンプは、実際にスタントマンのウェイン・マイケルズがジャンプを行って撮影された。
    • 工場を脱出したボンドは、バイク(カジバ・W16)で飛行機(ピラタスPC-6)を追い、断崖からダイブして乗り移る。このシーンはスイス・アルプスでロケされ、実際にスカイダイバーのジャック(ズー)・マルニュイがスタントを行っている。
    • アストンマーチン・DB5をドライブするボンドは、フェラーリ・F355をドライブするゼニアとカーチェイスする。
    • ボンドはカジノ・ド・モンテカルロでゼニアとバカラをした後、アントワーヌ砦から彼女の行く先を観察する。
    • ゼニアとウルモフは、エルキュール港に停泊していたフランス海軍フリゲート艦ラファイエットからタイガー・ヘリを奪取する。
  • ソビエト連邦の崩壊により、シリーズで初めてロシア国内(サンクトペテルブルク)でのロケが実施された。しかし、実際には多くのシーンがロンドンなどで撮影されている。
    • ロシア国防省の会議が行われた建物は、サンクトペテルブルクの宮殿広場にある旧参謀本部で、向かいに見えるのはエルミタージュ美術館である。
    • ボンドはブリティッシュ・エアウェイズ828便でサンクトペテルブルク空港に到着するが、その建物として使われたのはロンドン郊外のエプソム競馬場である。
    • ウェイドの車(モスクヴィッチ 412)が故障したシーンの撮影は、ロンドンのサマセット・ハウス前で行われた。ここは冬にはスケートリンクになる場所である。
    • ボンドは拉致されたナターリアを追うため、ロシア陸軍の戦車を奪って市街地を走る。この戦車は爆発反応装甲風の部品を装備するなどT-72らしく見せているが、撮影に使用されたのはT-54である。
    • 戦車に乗ったボンドは市街でのカーアクションを繰り広げるが、破壊される建物はセットである。途中、ペリエのトレーラーを大破させ、路上に缶を散乱させる。
    • ヤヌスのミサイル列車の走行シーンは、イギリスのネーン・バレー鉄道で撮影された。同鉄道は、『オクトパシー』の列車アクション・シーンでも使われている。
  • ボンドはキューバ潜入のためプエルトリコに渡り、ウェイドにセスナ172型機を手配してもらう。ボンドとナターリアの海岸のシーンは、ラグナビーチで撮影された。
  • キューバにあるヤヌスの基地は、プエルトリコのアレシボ天文台でロケが行われた。ゴールデンアイをコントロールするパラボラアンテナは、実際は電波望遠鏡である。アレシボ天文台は現在も存続しているが、電波望遠鏡は2020年12月に崩壊してしまった。
  • 「ゴールデンアイ・アルティメット盤」DVDはイギリスでは、初の「uncutバージョン」でリリースされた。イギリスでは、冒頭のアレックの銃殺シーンと、オナトップのナターリャへの頭突きシーンが映倫規定に触れ、一部カットされ、「PG-12」規定で公開されたが、アルティメットDVDではこの2カットが追加され、規定も「PG-12」から「R-15」に格上げされた。この規定変更は「美しき獲物たち」でも「PG-12」から「R-15」へランクが改定された。日本盤も同様の「uncutバージョン」。しかし、日本で既に発売されたDVD「ワーナー・ホーム・ビデオ版」「ゴールデンアイ(特別編)」はマスターがアメリカ公開版だったため、「アルティメット版」と同じuncutバージョンで収録されていた。
  • ファムケ・ヤンセンアラン・カミングは8年後に『X-MEN2』でも共演している。
  • 2010年4月、WOWOWハイビジョン画質にて完全放映された。
  • 2012年にDVD版(1枚組)が再発売された際、ジャケット写真がボンドとナターリアが仲良く戯れているものに変更された。公開から15年以上経過した現在でも本作の主演コンビが高い人気を保っていることを証明することとなった。

日本語吹替[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 テレビ朝日[13]
ボンド ピアース・ブロスナン 神谷明 田中秀幸
ナターリア イザベラ・スコルプコ 塩田朋子 日野由利加
006/アレック ショーン・ビーン 小川真司 磯部勉
オナトップ ファムケ・ヤンセン 弘中くみ子 小山茉美
ウルモフ将軍 ゴットフリード・ジョン 西村知道 金尾哲夫
ボリス アラン・カミング 坂口哲夫 牛山茂
M ジュディ・デンチ 此島愛子 森田育代
マネーペニー サマンサ・ボンド 加藤優子
Q デスモンド・リュウェリン 糸博 田口昻
ズコフスキー ロビー・コルトレーン 島香裕
ウェイド ジョー・ドン・ベイカー 青森伸 島香裕
ミシュキン チェッキー・カリョ 稲葉実 糸博
タナー マイケル・キッチン 小島敏彦 福田信昭
キャロライン セレナ・ゴードン 麻丘夏未 園田恵子
少佐 サイモン・クンツ 大黒和広 伊藤栄次
戦艦艦長 パヴェル・ダグラス 津田英三 小山武宏
戦艦士官 オリビエ・ラジュー 山野井仁 高塚正也
コンピューターストア店長 コンスタンティン・グレゴリー 稲葉実 堀部隆一
チャック・ファレル提督 ビリー・J・ミッチェル 糸博 浜田賢二
ディーラー ウラジミール・ミラノヴィッチ 津田英三 緒方文興
ピエール N/A 永野広一 野島健児
演出 N/A 福永莞爾
翻訳 佐藤一公 たかしまちせこ
効果 N/A リレーション
調整 栗林秀年 山田太平
編集 オムニバス・ジャパン N/A
プロデューサー 貴島久祐子 圓井一夫
山川英一郎
制作 ムービーテレビジョン
初回放送 N/A 1999年4月11日
21:02-23:09
日曜洋画劇場

※テレビ朝日版はキングレコードから発売の特別版DVDにリピート放送の短縮音源が収録[14]

小説[編集]

  • ジョン・ガードナー 著、後藤安彦 訳『ゴールデンアイ』文藝春秋、1995年12月10日。ISBN 9784167309602 
  • Gardner, John (1995-10-19) (英語). Goldeneye. Sceptre. ISBN 9780340635377 

秘密兵器など[編集]

ユーロコプタータイガー
  • BMW(前期型のZ3ロードスター)がボンドカーとして初めて使われた。以下のものを装備しているが、劇中での目立った活躍はない。
  • 本作から腕時計のタイアップ・メーカーがオメガとなり、「シーマスター ダイバー 300M」が使用された[15]。この時計はクォーツ時計である。鉄板をも焼き切るレーザートーチ機能を備える。また、仕掛けた爆薬を遠隔操作で時限爆破させることもできる。『ムーンレイカー』で使用された日本のメーカーの時計では、爆薬と時計本体がワイヤーで結ばれていたが、今回はワイヤレスによる起動が可能になっている。なお、このシーマスターは支給品であり、006も9年前にしていた旧型を、引き続き愛用していることになっている[16][17]
  • 銃。ダムからのバンジージャンプの際、地面にワイヤーを打ち込み反動を防ぐ。また、レーザーを発射し鉄板を焼き切る。
  • 男性用革ベルト。バックルに内蔵したワイヤーを発射し、成人男性一人ほどの荷重を吊ることが可能。
  • パーカー・ジョッター・ボールペン型C-4手榴弾。ノック3回で4秒信管が作動。もう一度3回ノックすると解除される。
  • この他、Qの研究室には以下のものが登場。

脚注/参照[編集]

  1. ^ a b c Goldeneye” (英語). The Numbers. 2022年8月13日閲覧。
  2. ^ 1996年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  3. ^ The Sexiest Man Alive 2001: Pierce Brosnan; STAYING STEELE” (英語). ピープル. 2009年8月5日閲覧。
  4. ^ “リーアム・ニーソン、幻の5代目ボンド”. シネマトゥデイ. (2005年3月2日). https://www.cinematoday.jp/news/N0006112 2009年8月5日閲覧。 
  5. ^ Movie list by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月22日閲覧。
  6. ^ Goldeneye” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月22日閲覧。
  7. ^ Goldeneye” (英語). Internet Movie Database. 2009年6月22日閲覧。
  8. ^ Box Office History for James Bond Movies” (英語). 2009年8月24日閲覧。
  9. ^ 興行成績一覧”. キネマ旬報. 2009年6月22日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ 番外編の「ネバーセイ・ネバーアゲイン」に出演したキム・ベイシンガーを含めると5人
  11. ^ Young, Cy (1995年9月14日). “OBITUARY: Derek Meddings” (英語). インデペンデント. https://www.independent.co.uk/news/obituaries/obituary-derek-meddings-1600979.html 2009年8月5日閲覧。 
  12. ^ BBCを英語で読む「ボンド映画の主題歌になれなかった名曲たち」(6)
  13. ^ 007 ゴールデンアイ”. ふきカエル大作戦!!. 2022年7月29日閲覧。
  14. ^ 初回放送版を収録とされていたが、カジノでのボンドとオナトップの会話がカットされている
  15. ^ ジェームズ・ボンド・ウォッチとはどのシーマスター・ウォッチなのでしょうか?”. オメガ. 2009年8月16日閲覧。
  16. ^ Q Branch at Her Majesty's Secret Servant
  17. ^ James Bond Gadget Watch History at Watchismo Times

関連項目[編集]

外部リンク[編集]