ワールド・イズ・ノット・イナフ

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ワールド・イズ・ノット・イナフ
The World Is Not Enough
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監督 マイケル・アプテッド
脚本 ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド
ブルース・フィアステン
原案 ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド
原作 イアン・フレミング
製作 マイケル・G・ウィルソン
バーバラ・ブロッコリ
出演者 ピアース・ブロスナン
ソフィー・マルソー
ロバート・カーライル
デニス・リチャーズ
ロビー・コルトレーン
デスモンド・リュウェリン
マリア・グラツィア・クチノッタ
サマンサ・ボンド
マイケル・キッチン
コリン・サーモン
セレナ・スコット・トーマス
ウルリク・トムセン
ゴールディ
ジョン・セル
クロード=オリビエ・ルドルフ
ジュディ・デンチ
音楽 デヴィッド・アーノルド
主題歌 「The World is Not Enough」
ガービッジ
撮影 エイドリアン・ビドル
編集 ジム・クラーク
製作会社 ダンジャック
イーオン・プロダクションズ
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
ユナイテッド・アーティスツ
配給 アメリカ合衆国の旗 MGM Distribution Co.
イギリスの旗日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗 1999年11月19日
イギリスの旗 1999年11月26日
日本の旗 2000年2月5日
上映時間 127分
製作国 イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $135,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $361,832,400[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $126,943,684[1]
日本の旗 19億9000万円[2]
前作 トゥモロー・ネバー・ダイ
次作 007/ダイ・アナザー・デイ
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ワールド・イズ・ノット・イナフ』(原題: The World Is Not Enough)は、マイケル・アプテッド監督の1999年スパイアクション映画。映画「ジェームズ・ボンド」シリーズの第19作。日本での公開は2000年2月5日。

ストーリー[編集]

ボンドはスペインビルバオにいるスイスの銀行家の所へ赴き、強奪されたMI6の機密文書を取り戻すために石油王ロバート・キング卿が使った大金を回収することに成功する。その際、MI6エージェントを殺した犯人を白状しようとした銀行家は、自らの秘書を務めていた女暗殺者に殺されてしまう。ボンドの帰還後、キング卿は大金を確認するためにMI6を訪れる。Mへ任務の経過を報告している最中に、ボンドはその大金に罠が仕掛けられていることに気づくが間に合わず、キング卿は爆死した。ボンドは犯人と思われる女暗殺者を追うが、激しいボートチェイスの末、追い詰められた女暗殺者は「彼からは逃げられない」という言葉を残して自爆する。

真犯人はKGB出身で、009に銃弾を頭に撃ち込まれるも死なず、体内に残った銃弾の影響で痛みを感じない体となったテロリスト「レナード」だと睨んだMI6は、キング卿の娘であり、レナードに誘拐された経験があるエレクトラ・キングが次に狙われると判断する。エレクトラ誘拐事件の捜査にはMI6も関与していたが、レナード確保のために彼女を見殺しにするような形になり、結局エレクトラが自力で脱出したという事実にMは罪悪感を覚えていた。エレクトラの警護を命じられたボンドは、彼女が石油パイプラインの工事を指揮しているアゼルバイジャンへ向かう。誘拐事件の影響でエレクトラはMI6への不信感を抱いていたが、ボンドは雪山で彼女を襲ったパラモーター付きのスノーモービルを操る武装集団を退ける。それを機に急接近した二人は肉体関係に至った。

一方、レナードは廃棄される予定の核弾頭を奪取する作戦を進めていた。ボンドはエレクトラの部下を調査するうちに成り行きのような形でその現場に遭遇。レナードに銃を突きつけるが、彼はエレクトラの処女を奪ったのが自分であることを明かし、「生きている実感が無ければ死んだ方がマシだ(There's no point living, if you can't feel alive)」と語る。その言葉は以前エレクトラが発したものと同じだった。結局、核弾頭はレナードに奪取され、ボンドは弾頭解体作業に従事していた女性科学者クリスマス・ジョーンズの協力を得て脱出する。ボンドはエレクトラがストックホルム症候群の影響でレナードに愛情を抱き、協力しているのではないかと疑うが、奪われた核弾頭がキング社の石油パイプラインに仕掛けられる事態が発生。クリスマスと共に核爆発の阻止に向かったボンドだが、弾頭内のプルトニウムは奪われた量の半分に過ぎなかった。一方、エレクトラの要請で彼女の下を訪れたMはレナードたちに拘束されてしまう。

ボンドは情報を得るために元KGBのヴァレンティン・ズコフスキーの下に向かい、彼を抹殺しに現れたキング社の大型チェーンソー装備ヘリ部隊を退ける。レナードの目的は奪取したプルトニウムを使ってロシアの原子力潜水艦をメルトダウンさせる事でボスポラス海峡を核汚染し、石油輸送ルートをキング社のパイプラインに独占させることだった。加えて黒幕のエレクトラは、誘拐事件で自らを見殺しにした父とMへの復讐も企んでいた。

イスタンブールでエレクトラに捕まったボンドはガローテによる拷問を受けて殺害されそうになるが、救援に現れたズコフスキーが致命傷を負いながらも杖に仕込んだ銃で拘束具を破壊したことで脱出。「愛する女を殺せないはず」と挑発するエレクトラだが、ボンドは容赦なく彼女を射殺した。Mを救出し、攫われたクリスマスを追って潜水艦に飛び込んだボンドは、原子炉室でレナードと対峙する。痛みを感じないレナードとの格闘に苦戦するボンドだが、彼が原子炉へ燃料棒を挿入した瞬間を狙って冷却装置を起動し、噴出した燃料棒が胸に突き刺さってレナードは死亡。メルトダウンも原子炉を水中へ沈めたことで阻止された。

MI6本部へ帰還したMは、未だ消息不明のボンドとクリスマスの捜索を命じる。人工衛星からの赤外線センサーで調査したところ、画面にはベッドの上で絡み合いながら体温を上げていく二人の姿が映っていた。本部の一同が呆気にとられる中、Qの後継者”R”は映像をストップし、「2000年問題による誤作動かもしれない」と誤魔化すのだった。

スタッフ[編集]

  • 監督 - マイケル・アプテッド
  • 製作 - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
  • 原案 - ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
  • 脚本 - ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ブルース・フィアステン
  • 音楽 - デヴィッド・アーノルド
  • 主題歌 - ガービッジ
  • 撮影 - エイドリアン・ビドル
  • 編集 - ジム・クラーク
  • プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
  • 美術 - ニール・ラモント
  • 特殊効果 - クリス・コーブルド
  • 視覚効果 - マラ・ブライアン
  • メインタイトル・デザイン - ダニエル・クレインマン

キャスト[編集]

主人公のピアース・ブロスナン
(2002年撮影)

ボンドガール[編集]

ボンドガールにはソフィー・マルソーと、デニス・リチャーズ(アメリカ)が選ばれた。

ソフィー・マルソーは『ラ・ブーム』でデビューし、日本でも人気になった女優である。パート2の『ラ・ブーム2』にも出演。その後、演技派女優となり、ヌードにもなって映画『アンナ・カレーニナ』(1997年)、『真夏の夜の夢』(1999年)などにも出演した。

科学者を演じた美人女優デニス・リチャーズはある意味でソフイー・マルソー以上の人気を獲得した。彼女は自分の役割を「頭がよく」、「行動的」と考えていたが、彼女はその役柄を充分演じられていないと批判された。しばしばローカットのタンクトップと、タイトなショーツで構成された彼女の服装は、好ましくないというメディアの評価を引き出した。リチャーズは、多くの観客が彼女の服装を「からかった」が、「ボンドガールの私が本当に科学者のように見えたら、ボンドのファンは失望しただろう」と述べた。

その後リチャーズはビューティーコンテストの風刺作品『ドロップ・デッド・ゴージャス』で、キルスティン・ダンストと共演した。この映画は時間とともに新しいファンを獲得し、「カルト映画」と見なされている。甘やかされて育ったクイーンを演じているリチャーズは、彼女が「かわいいのと同じくらい厄介である」として、ロサンゼルス・タイムズからそのパフォーマンスを称賛された。2001年に、彼女はキャシー・ゲラーとして『ロスとモニカの従兄弟と~』にゲスト出演した。その年の後半、彼女はチャーリー・シーンと共演し、ジェニファー・ダンカンとして『スピンシティ』のエピソードに出演した。デニスは30代になっても40代になっても、美しさが衰えないとも見られている。

興行成績[編集]

本作は1999年の映画の世界興行成績で第8位を記録し[3]、インフレ率を考慮しない場合、前々作の『007 ゴールデンアイ』を超えるシリーズで「過去最高の興行成績」となった[4]

主題歌[編集]

アメリカのロック・バンド、ガービッジが起用され主題歌を担当した(ヴォーカルのシャーリー・マンソンはイギリス出身)。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位11位を獲得しているが、アメリカではチャート入りを果たせなかった。同サウンドトラック・アルバムもチャート入りを逃している。

キャラクター、キャストなど[編集]

  • 複雑化した現代社会を描いており、シリーズの中では、やや複雑なストーリーとなっている。
  • ブロスナンのシリーズでは初めてシリアス路線となっており、ボンドも無抵抗の敵の下っ端を射殺するなど、ハードな部分が多く、その分ボンドの恒例のジョークはあまり登場しない。アクションシーンも冒頭のボートチェイス以降はやや地味なものが多くなっている。デヴィッド・アーノルドが担当した音楽もそれまでより不気味さ・冷たさ・哀愁を漂わせるものが多い。
  • 本作はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー75周年記念作品だった。
  • MI6のスコットランド支部として登場するセイン城では初代Mを演じたバーナード・リーの肖像画が掛けられている。
  • 劇中でQは引退することをボンドに告げ、Rを紹介してボンドに別れの言葉を述べる。これはQを演じるデスモンド・リュウェリンが年齢を理由に俳優業からの引退を表明したため。Rがエレベーターで上がりながら登場するのに対してQがエレベーターで下に下がって退場する、という象徴的な場面がある。さらに、ラストでRはMI6の一同とともにいるが、いつもいるはずのQがそこにいないのも同様の演出。なお、Rとはボンドがジョークとして言ったものであり、キャスト表にもRと明記されているだけで、彼が本当にRと呼ばれていたかは不明。
  • 公開前からQ引退の噂は世界中のファンの間で話題になっており、リュウェリンの続投を望むファンの声は多かったが、撮影終了の6週間後に彼は交通事故で死亡してしまったため叶わぬものとなり、本当に本作が彼の遺作となってしまった[5][6]
  • MI6のスコットランド支部ではボンドが好意を抱いている医師のモリー・ワームフラッシュ博士がいる。ボンドの誘惑に負け、情熱的な昼下がりを過ごすとボンドに「健康証明証」を発行し、マネーペニーに嫌味を言われてしまう。
  • 本作は、メインのボンドガールが死亡する数少ない作品。他にも『女王陛下の007』、『カジノ・ロワイヤル』でもメインのボンドガールが死亡するが、それらとは違ってボンド自身が任務遂行のため射殺する点で大きく異なる。

エピソード[編集]

  • デニス・リチャーズは本作でゴールデンラズベリー賞の最低助演女優賞を受賞する結果となった。
  • 日本人歌手の森川美穂がカジノの客としてカメオ出演している。
  • 「ワールド・イズ・ノット・イナフ」(世界を手に入れてもまだ足りない)はボンド家の家訓。劇中でもボンドが囚われ拷問されているさいに口走っている。『女王陛下の007』ではボンドが紋章院を訪ね、この語句が書かれた紋章が先祖のものだと教えられるくだりがある。
  • 日本公開版のみ、エンディングテーマソングがLUNA SEAの「Sweetest Coma Again feat.DJ KRUSH」に変更されている[7]
  • エンドクレジット直前に「JAMES BOND WILL RETURN」の文字が入っている(通常はエンド・ロールの最後に「次回作でまたお会いしましょう」という日本語字幕と共に表示されている)。
  • レナード役には、当初ゲイリー・オールドマンが候補に上がっていた。
  • 日本版DVDではオープニングや、ズコフスキーの工場にヘリカッターが出現する場面などで字幕が極端にずれている現象が見られる。これは不具合やミスではなく、マルチアングル機能を利用してシーンの舞台裏を再生するシークレット・アクセスと字幕との共存が技術的に不可能だったためである。
  • 公開から約7年後にユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズが解散したため、007シリーズとしては最後のユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ配給作品となった。

日本語吹替[編集]

役名 俳優 VHS/DVD/BD テレビ朝日
ジェームズ・ボンド ピアース・ブロスナン 横島亘 田中秀幸
エレクトラ ソフィー・マルソー 山崎美貴 佐々木優子
クリスマス デニス・リチャーズ 藤貴子 佐藤あかり
レナード ロバート・カーライル 諸角憲一 古川登志夫
M ジュディ・デンチ 森田育代 沢田敏子
マネーペニー サマンサ・ボンド 加藤優子 佐藤しのぶ
Q デスモンド・リュウェリン 田口昂 北村弘一
R ジョン・クリーズ 島香裕 塚田正昭
ズコフスキー ロビー・コルトレーン 手塚秀彰 玄田哲章
ブル ゴールディ 緒方文興 後藤敦
ロバート・キング卿 デヴィッド・コールダー 稲垣隆史
ダヴィドフ ウルリク・トムセン 柳沢栄治 大塚芳忠
ビル・タナー マイケル・キッチン 御友公喜 福田信昭
チャールズ・ロビンソン コリン・サーモン 佐々木誠二
ラシェーズ パトリック・マラハイド 小島敏彦
シガー・ガール マリア・グラツィア・クチノッタ 安藤みどり
モリー・ウォームフラッシュ セレナ・スコット・トーマス 園田恵子 入江純
アカキエビッチ大佐 クロード=オリヴィエ・ルドルフ 廣田行生 山野井仁
ガボール ジョン・セル 西凜太朗
アルコフ博士 ジェフ・ナトール 島香裕 関貴昭
パイプライン技術者 ジミー・ルズーニス 伊藤和晃
通信士 クローシュ・アサド 中田雅之 田中完
  • VHS/DVD/BD版 - 初出2000年8月4日発売VHS/DVD特別編、2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
演出 - 福永莞爾、翻訳 - 宮川桜子、調整 - 長井利親、製作 - ブロードメディア・スタジオ
  • テレビ朝日版 - 初回放映2003年3月2日21:00-23:24 『日曜洋画劇場』(正味約120分) ※キングレコードから発売の特別版DVDに収録。
演出 - 福永莞爾、翻訳 - 平田勝茂、効果 - リレーション、調整 - 山田太平、製作 - ブロードメディア・スタジオ

ノベライズ[編集]

  • レイモンド・ベンソン『ワールド・イズ・ノット・イナフ』小林浩子訳、角川書店、2000年1月25日。ISBN 9784042767022
  • Benson, Raymond (1999-11-18). Tommorrw Never Dies. Hodder & Stoughton. ISBN 9780340765463 

秘密兵器[編集]

  • ワルサーP99、メガネのボタンを押すと炸裂し、相手を怯ませることができる。
  • 透視メガネ。このレンズを通すと、衣服の下に隠されているハーネス・銃器・刃物といった物体を可視化できる。当然ながら女性の下着まで丸見えになってしまうため、使用した際はボンドも目のやり場に困っていた。
  • 小型ボート。MI6本部にあった試作機で冒頭の暗殺実行犯とのボートチェイスに使用。後方にあるジェット噴射装置を使用しているため、水面だけでなく地上もある程度移動可能となっている。潜水機能付き。船体正面には2門の追尾式ミサイルランチャーを装備している。ボートチェイス後に中破してしまった。
  • シェルター機能付きスキージャケット。エレクトラとのスキーの際に着用。ジャケットの紐を引くことでシェルターを展開する。テロリスト達のチェイス中に発生した雪崩からエレクトラを守る際に使用した。
  • クレジットカード型キーピック。ICチップを取り、VISAのロゴがある側をスライドさせることでキーピックが展開する。
  • スイスの高級腕時計メーカーの「シーマスター ダイバー 300M」を着用している[8]。前作と同じ機種を使用している。文字盤が点灯し、非常灯となる。また、フックのついたワイヤーを発射し、それを巻き取って身体を持ち上げ脱出する、といった機能を持つ[9][10]
  • ボンドカーとしてBMW・Z8が使用された。ミサイル発射装置や、遠隔操作機能を搭載している。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

参照[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]