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身体障害者手帳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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身体障害者手帳の表紙
身体障害者手帳の証明欄
身体障害者手帳の詳細欄

身体障害者手帳(しんたいしょうがいしゃてちょう)とは、身体障害者がそれを対象とする各種制度を利用する際に提示する手帳で、身体障害者が健常者と同等の生活を送るために最低限必要な援助を受けるための証明書にあたる。「身体障害者手帳」を省略して「身障者手帳」と呼ばれる場合もある。

身体障害者福祉法第15条に基づき、対象者の居住地の都道府県知事が発行する[1]。ただし、対象者の居住地が政令指定都市中核市である場合はその政令指定都市・中核市、都道府県から発行権限が移譲された市町村である場合はその市町村、鳥取県鳥取市岩美町若桜町智頭町八頭町である場合は鳥取市が発行する[2][3][4]

援助内容は補装具義肢の交付など有形のものから、ヘルパーサービスや税金の減免など無形のものまで多岐にわたる。これとは別に、知的障害がある者に関しては療育手帳が、精神に障害がある者に関しては精神障害者保健福祉手帳がそれぞれ存在する。

類別

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種類

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「身体障害者」の種類定義は身体障害者福祉法と身体障害者福祉法施行規則によって定義され以下がある。

聴覚障害・平衡機能障害
上肢機能障害・下肢機能障害・体幹機能障害・乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害(上肢機能障害・移動機能障害)

種別と等級

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種別と等級は数字であらわされ、数字が小さいほど重度である。最高度は1級。障害を複数もつ場合は、各部位に対して個別に等級がつき、その合計で手帳等級が決定される。

第1種で1〜4級は、重度(特別障害者)、第2種で1級以下は、中度・軽度(一般障害者)に区別される。

また、肢体不自由には等級上「7級」が存在するが、単独の障害では交付されない。なお、重複して6級以上となる場合は手帳が交付される。

身体障害者手帳の概略

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各種の福祉サービスを受けるためには、身体障害者手帳の呈示が必要となる。

実際にサービスを受けようとする場合には、不正使用防止のため原本の呈示でなければ効力がない。手帳を呈示するだけでよい場合もあるし、券面を相手が複写する場合もある。

身体障害者手帳の不正使用の例としては、有料道路通行料の割引を受けるために、健常者が身体障害者手帳の証明写真を貼り替えて行使する事案が発生した。これは有印公文書偽造罪及び同行使罪(また場合によっては詐欺罪)が適用され、罰せられる犯罪行為である。 また手帳を貸与・譲渡した者にも、手帳返還命令が下される(身体障害者福祉法第16条2)

身体障害者手帳には、一部の例外(後述)を除き更新義務がなく、等級変更する場合であっても本人申請が前提であるため、手帳を再交付される機会が少ない。このことから、手帳が更新されないままに長年使用され続けることも多い。そのため、手帳に貼付された顔写真と、現在の容貌とが著しく異なっているために本人確認ができず、サービスが受けられないというトラブルになったりすることもある。こうした場合には、本人の希望があれば新しい写真で再交付される。 貼られた写真が古く、現在の容貌と異なっていても手帳としては有効であるが、その場合、別の写真入り身分証明書も携帯しておくと、手帳使用時に無用のトラブルを避けることに役立つことがある。

ただし、例外的に再認定が必要な場合がある。身体障害者福祉法施行規則第3条各号の規定により、乳幼児にかかる障害等級認定に際しては、先天性欠損等障害の改善が見込めないものを除き、成長に応じてその症状の変化の可能性がありうるため、概ね6歳時を目処に再度認定手続きを要請される。また今後病状の変化(軽度化もしくは重度化)が見込まれる等の理由で、医師の診断書に「将来再認定の必要」に関する記述がある場合にも、再度認定手続きを要請される(1年後または3年後もしくは5年後)。

身体障害者手帳のデザイン(表紙の色など)は、全国統一ではなく都道府県で異なる。したがって他県にてサービスを受けようとして手帳の表紙のみを呈示しても、係員が身体障害者手帳であることを理解できずにサービスを断られることもある。その場合には、本人の写真、障害の種類が記載されているページを開いて呈示すると、身体障害者手帳であることが相手に分かる。

またJR等の鉄道事業者が設けている割引(大部分の私鉄はJRに準ずる)を受ける場合は、手帳に「旅客鉄道会社運賃割引・第1種」等の記載があるので、その部分も見せるようにする(割引が適用される条件については障害の種類や鉄道会社によって異なるので、利用する場合各自で確認されたい。ただし「旅客鉄道会社運賃割引」の記載がない手帳は、JR等の割引は受けられない。また、この制度は日本国内の居住者が対象であるので海外で発行された身体障害についての証明書では割引はない)。

福祉サービスの具体的内容

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地域、障害の程度によって異なるため、詳細は住民票のある市区町村に確認のこと。

  • 福祉機器(車椅子義肢装具盲人安全つえその他多数)の交付
  • 家族向け公営住宅抽選倍率が優遇、単身での入居資格が与えられる。
  • 医療費(健康保険の自己負担分)助成[注釈 1]
  • 所得税住民税
    • 障害者控除の適用(所得控除)
      • 同居特別障害者の場合・所得税75万円、住民税53万円
      • 同居以外の特別障害者の場合・所得税40万円、住民税30万円
      • 特別以外の普通障害者の場合・所得税27万円、住民税26万円
    • マル優の利用が可能
    • 退職所得控除額の100万円増額(障害者になったことによる退職)
  • 相続税
    • 障害者控除の適用(税額控除)
      • 特別障害者の場合・85歳に達するまでの年数に20万円を乗じた金額
      • 一般障害者の場合・85歳に達するまでの年数に10万円を乗じた金額
  • 贈与税
    • 一定の信託契約に掛る信託受給権の障害者非課税枠の適用[注釈 2]
      • 特別障害者の場合・6000万円まで非課税
      • 一般障害者のうち精神に障害のある者の場合・3000万円まで非課税
  • JR・大手私鉄[注釈 3][注釈 4]
    • 第1種:介護人同伴の場合は本人、介護人とも普通乗車券、普通急行券[注釈 5]、回数乗車券[注釈 5][注釈 6]、定期乗車券[注釈 5][注釈 7]が全区間5割引。本人単独の場合は普通乗車券のみが片道100km(営業キロ等)を超えて5割引[注釈 8]
    • 第2種:本人のみ普通乗車券のみが片道100km(営業キロ等)を超えて5割引。本人が満12歳未満で介護人同伴の場合は介護人のみ定期乗車券[注釈 5][注釈 7]のみが全区間5割引。
  • 一部鉄道事業者[注釈 9]
  • バス
  • タクシー
    • 居住自治体が地元タクシーの割引券を交付することが多い。会社によっては障害者手帳の提示で料金を割り引くところもある。
  • 公共施設
    • 都道府県立施設や博物館・動物園の入場料や駐車料金が、免除されたり割引されたりする。
  • 自動車関連
  • 携帯電話
  • 日本郵便株式会社[注釈 18]
    • 障害者手帳1級及び2級の場合、無地又はインクジェット紙、又はくぼみ入り通常郵便葉書20枚を、4月から5月に申請により配布
  • NHK放送受信料 
    • 世帯の課税状況や障害の程度や種類により、全額免除か半額免除される場合がある[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ 条件は自治体により異なる。
  2. ^ 過去に贈与税の障害者非課税枠の適用を受けた部分については適用なし。
  3. ^ ただし、旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄に「第1種」又は「第2種」の記載のない障害者手帳は割引の対象外である。
  4. ^ 西鉄を除く大手私鉄など、JR以外の鉄道事業者の多くも、同様の割引制度を行っていることが多い。
  5. ^ a b c d e 利用時は単独乗車不可。
  6. ^ a b JR以外の多くの鉄道事業者は普通回数乗車券に限る。
  7. ^ a b c d 小児定期乗車券を除く。一部鉄道事業者は小児定期も5割引となる場合がある。介護人は通勤定期乗車券に限る。
  8. ^ a b 第2種と同一扱い。
  9. ^ 大手私鉄は西鉄のみ、その他一部の中小私鉄と一部を除く公営地下鉄など
  10. ^ a b 利用時は単独乗車不可。ただし、回数乗車券、定期乗車券は本人単独乗車可能とする場合がある。
  11. ^ a b 回数乗車券、定期乗車券も対象となる場合がある。
  12. ^ 普通乗車券・回数乗車券も自社局線内に限り5割引となる場合がある。
  13. ^ a b バス定期のみ3割引。一部バス事業者は小児定期も3割引となる場合がある。介護人は通勤定期に限る。本人が満12歳未満の場合、多くのバス事業者は定期運賃は介護人のみ3割引。
  14. ^ 介護人も対象となる場合がある。
  15. ^ 最大料金に対する割引であるので、休日ETC割引などに重複しての適用はない。本制度ではETCの装備は要件としない。
  16. ^ 車両の指定ではなくなった。
  17. ^ 駐車禁止指定場所の免除であり、駐停車禁止区域や駐車禁止の法定場所は対象とならない。
  18. ^ 青い鳥郵便葉書の無償配布。

出典

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  1. ^ 身体障害者福祉法”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2014年2月24日閲覧。
  2. ^ 2-1 身体障害者手帳”. 健康・福祉. 平塚市役所障がい福祉課. 2014年2月24日閲覧。
  3. ^ 障がい者手帳交付事務の権限を市町村に移譲します”. 大阪府. 2018年5月29日閲覧。
  4. ^ 鳥取市の中核市移行について”. とりネット. 鳥取県. 2018年5月29日閲覧。
  5. ^ NHK放送受信料の免除基準内容” (PDF). 日本放送協会. 2019年9月11日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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