発達障害

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Developmental Disability
分類および外部参照情報
MeSH D002658

発達障害(はったつしょうがい、: Developmental disability、DD)は、肉体的・精神的な不全をもたらす慢性的症状らの様々なグループ(障害者の分類)である[1]。発達障害はその個人の生活において様々な困難をもたらし、特に言語、移動、学習、セルフヘルプ、自立生活などでハンディとなるとされる[1]。発達障害は子どもの発育期に発見され、その人の一生にわたって継続する障害である[2]

最も一般的な発達障害には以下が挙げられる。

原因については多くは不明である。複数の要素が関係し、遺伝的、胎児期の保健状態、出生時の環境、感染症、環境要因などが挙げられている[2]。原因は多々あるが、たとえば以下が挙げられる[3]

診断[編集]

子どもが期待される発達段階に達していない場合、発達障害を疑う事ができる。問診および遺伝子検査などが、鑑別疾患を除外するために行われる。

障害の程度は、発達年齢(developmental age)と実年齢との相違を基準として定量化することができる。このスコアはDQ (developmental quotient}として以下に定義される[4][5]

関連する問題[編集]

日本政府は「発達障害は、脳機能の発達が関係する生まれつきの障害です。」と定義している。 CDCは「発達障害は、発達期間中いつでも開始し、通常、人の生涯を通じて続きます。」(Developmental disabilities begin anytime during the developmental period and usually last throughout a person’s lifetime.)と定義している。

児童虐待が脳に器質的損傷を与える事が近年多数報告されている。挑戦的行動をする者のほとんどが児童虐待の被害者である。

胎児期のサイトメガロウイルス、HSV、ジカ熱等の一部のウイルスの感染が脳の萎縮に繋がる事が報告されている。

妊娠中に特定の薬剤(バルプロ酸ナトリウム抗うつ薬SSRI)を使用したことと、子孫の自閉症スペクトラム発症リスクに有意な関連が示されている。同一疾患に対する他の薬剤と有意差があることから、原疾患によるリスク上昇ではない[6][7][8][9][10][11][12]。また、未承認医薬品であるにきび治療薬イソトレチノイン[13]を子宮内曝露した子供の30〜60%が神経認知障害であったとの報告がある[14]。イソトレチノインが神経回路形成に与える影響は解明されていない。先にテトラサイクリン系を長期使用することが多い。

挑戦的行動[編集]

発達障害者の一部は挑戦的行動(Challenging behavior)という習慣を抱えており、これは本人または周囲の身体的安全を危険に晒したり、一般的なコミュニティ施設の利用について喫緊に制限・拒否されるほどの強度・頻度・期間がある、文化的に非常識な行動」と定義されている[15]

発達障害者が行う挑戦的行動には多々の要素があり、生物学的 (痛み、薬、感覚刺激の欲求)、社会的 (退屈、社会的関係の模索、何かのコントロール必要性、コミュニティ規範についての知識欠如、スタッフやサービスらの無反応に対して)、環境的 (ノイズや光などの身体的要因、欲するモノや活動に対してのアクセス獲得)心理的 (疎外感、孤独感、切り捨て感、レッテル、ディスエンパワーメント、人々の負の期待)、もしくは単にコミュニケーションであったりする。

挑戦的行動は、多くの時間をかけて学習と報酬によって獲得されたものであり、同じ目的を達成するための新たな行動を教えれば、その行動を改善させることができる可能性は高い。発達障碍者の挑戦的行動は、多くの場合、何か他の精神的問題が原因のことがある[16]

一般的には、行動的介入応用行動分析などの技法により、特定の挑戦的行動を減らすことに効果があると知られている[17]。近年では、行動文脈分析による発達パスモデルの開発が、挑戦的行動の予防について効果があると言われている[18]

分類[編集]

精神医学で主に使われている国際的な診断基準は2種類あり、 WHOによる国際疾病分類であるICD-10 第5章:精神と行動の障害では、

  • F80-F89 心理的発達の障害
  • F90-F98 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害

の一部が相当し、米国精神医学会によるDSM-5では、

の一部が相当する。このようにICD-5とDSM-5では分類体系が一致していない[19]

知能検査ウェクスラー成人知能検査)で言語性IQと動作性IQの開きが激しい場合は、発達障害を疑ったり、当人へ特別な支援が必要とされている。

日本での分類[編集]

厚生労働省はICD-10,DSM-Ⅳのいずれかに含まれるもの全てを発達障害と定義している[20]。そして、これは先天的もしくは、幼児期に疾患外傷の後遺症により、発達に影響を及ぼしているものを指す。対して機能不全家族で育った児童が発達障害児と同様の行動パターンを見せる事がよくあるが、保護者から不良な養育を受けたことが理由の心理的な環境要因や教育が原因となったものは含めない。また、ある程度成長し、正常に発達したあとに、疾患・外傷により生じた後天的な脳の障害は発達障害とは呼ばれず、高次機能障害などと区別される。

日本の発達障害者支援法によれば、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」が発達障害とされる。具体的には通知文が別途出ている。この通知文を以って日本において発達障害者支援法に含まれている障害を定義している。『厚生労働省・文部科学省連名事務次官通知 17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号 』- 『法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害であること。』吃音トゥレット症候群が発達障害であるとしている通知文である。

1980年代以降、知的障害のない発達障害が社会に認知されるようになった。知的障害が含まれる発達障害は法律上は知的障害扱いであるため、単に発達障害という場合は特に知的障害のないものを指すことがある。このうち、学習障害 (LD)、注意欠陥・多動性障害 (ADHD)、高機能広汎性発達障害(高機能PDD)の3つについては、日本において「軽度発達障害」と称されてきた。この「軽度」とは「精神遅滞に該当しない」という意味だが、発達障害が軽度であると誤解を招いたため、現在では便宜的に「(軽度)発達障害」として分類することがある。なお、高機能広汎性発達障害(高機能PDD)や高機能自閉症という名称も存在するが、これらも知能が精神遅滞に該当しないという意味の「高機能」である。また、高機能自閉症の診断基準は明確ではなく、臨床においてはアスペルガー症候群と厳密に区別する必要は無いとされている[21]

明確な判断は、精神科を標榜する精神科医の間でも大学でこの分野を学んでいないなどの理由で困難とされている。各都道府県政令指定都市が設置する、発達相談支援施設で、生育歴などがわかる客観的な資料や、認知機能試験(IQ検査心理検査等を含む)などを行って、複数人の相談員心理判定員などが見立てとなる判断材料を出す形で、数少ない専門医師が判断し、どのような治療が必要か、SSTが必要かなどの材料を精神科医に提供する、というケースが多い。

環境変化に弱く、環境への適応も苦手とされる。日本精神神経学会は、「極論だが、発達障害のある子ども達は『日常的に災害のような事態』を経験しているようにも思える」という見解を出している[22]

軽度発達障害[編集]

2000年頃からの日本において、「軽度発達障害」という概念が、「精神遅滞」「身体障害」を伴わない発達障害として杉山登志郎により提唱された [23] 。これは高機能広汎性発達障害(高機能PDD、アスペルガー症候群や高機能自閉症などを指す)、LDADHD等、知的障害を伴わない(すなわち総合的なIQが正常範囲内)疾患概念を指して使われる[24](ただし、ADHDについては、別途知的障害を併発するケースがある)。ここでいう「高機能」という語も、「軽度」という言葉同様、知的障害のないという意味でつかわれている。「軽度」と呼称される根拠は、「知能が比較的高い」ためである[24]

厚生労働省はこの用語について、「世界保健機構 (WHO) のICD-10分類に存在しない」、「アメリカ精神医学会DSM-VIに存在しない」ことを指摘し、「誰がどのような意図で使い始めたのか分からないまま広がった用語である」として注意を促している[25]。また、その語感から、「障害の程度が軽度である」と誤解されがちだが、上述の理由から、必ずしも障害自体が軽度とは限らない[* 1]文部科学省[26]2007年、「『軽度発達障害』の表記は、その意味する範囲が必ずしも明確ではないこと等の理由から、今後は原則として使用しないと発表している[27]。ただし、専門家の間等では、便宜上「(軽度)発達障害」として、かつて呼ばれていたものをカテゴライズする意味で、かっこ付して紹介されるケースは現在でもある。

「軽度」と言われるが、罹患者の抱える問題は決して軽くはなく、早期の理解と適切な支援が望ましいとされる[28]。理解、発見が遅れた場合、いじめ不登校非行など二次的な症状を発生させることがある[28]。また、知能自体は障害のない人と同等程度であることも多いため、障害が理解、発見されないまま「障害はない」「(障害が元で出来ないことを)出来るのにやらない」などという見解を周囲の人間から持たれることも少なくないのが現状である。

人口[編集]

米国[編集]

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、3-17歳児童の約17%について発達障害があり、ADHD自閉症スペクトラム脳性麻痺難聴知的障害学習障害視力障害、およびその他の発育不全などを1つ以上抱えているとしている[2]

たとえば難聴乳児の25%は、胎児期のサイトメガロウイルス感染によるものである[2]

CDCの1997–2008年の研究によれば、発達障害の有病率は13.87%、うち学習障害 7.66%、ADHD 6.69%、その他の発達不全 3.65%、自閉症 0.47%であった[29]

日本[編集]

2002年、文部科学省が調査したデータによれば、知能発達に遅れはないが、日常の学習や行動において、特別な配慮が必要とされる、「発達障害などの」児童が6.3%いることが判明した[30]。2006年に名古屋市西部地域医療センター調査した結果によれば、当該地域に居住する6歳から8歳までの児童13558名の内、2.07%を占める281名が広汎性発達障害(PDD)の診断を受けた[30]。その内、知能指数が71以上の「高機能自閉症」は177名であった[30]

日本における福祉[編集]

精神障害者保健福祉手帳[編集]

文部科学省側では、「厚生労働省では従来より発達障害は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に規定された精神障害者向けの障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳の対象として明記していないが、発達障害は精神障害の範疇として扱っている」[31]としている。

厚生労働省側の通知、「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」平成18年9月29日改定の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると、その他の精神疾患として「心理的発達の障害」、「小児(児童)期および青年期に生じる行動および情緒の障害」(ICD-10による)と明記し、発達障害の各疾患を対象にしている。同省の通知では申請用診断書にICD-10カテゴリーF80-F89、F90-F98の記入が可能ではある[32]

一方、書籍によっては二次障害が無ければ取得できないとしているものもある[33]。各自治体によって精神障害者保健福祉手帳の認定基準が異なるためでもある。

療育手帳[編集]

知的障害者向けの障害者手帳の療育手帳取得の適法化を求める声も多い[34]とされているが、療育手帳自体が根拠となる法律が無く、1973年厚生省(現・厚生労働省)が出した通知「療育手帳制度について」や「療育手帳制度の実施について」を参考に都道府県政令指定都市の独自の事業として交付されているため、地域によっては取得できるところもある[35]

同省が出した各通知は1999年地方自治法(施行は2000年4月1日)の改正で、国が通知や通達を使って地方自治体の事務に関与することが出来なくなった(機関委任事務の廃止)影響ですでに効力は失っている。

発達障害者支援法[編集]

同法(平成16年12月10日法律第167号)では、知的障害者以外の発達障害者だけを支援対象として規定している。

障害者自立支援法[編集]

以前から条文に明記はしていないものの対象である。ただし、2009年7月24日時点では市町村における運用が徹底されていないとの意見がある[31]。よって2010年12月3日、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(通称、障害者自立支援法改正案)を成立させ障害者自立支援法を改正、発達障害を明記させた[36]

関連団体[編集]

発達障害児または者の親らで作る相互扶助等を目的として組織された団体があり、一般に「親の会」と名乗っているほか、自閉症関連団体としては社団法人日本自閉症協会がある。発達障害関係の団体が加盟する組織としては日本発達障害ネットワークがある。

歴史[編集]

関連する知的障害に関することも記述する。

発達障害だとされる著名人[編集]

下記に、発達障害だと自認している、もしくは一般的にそう考えられている著名人を列挙する。

脚注[編集]

  1. ^ ちなみに、対義語の「重度」は、「知的障害の度合いが重い」という意味で用いられ、「重度重複障害」などの形で用いられる。

出典[編集]

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  1. ^ a b Developmental disabilities”. アメリカ疾病予防管理センター (2013年). 2013年8月18日閲覧。
  2. ^ a b c d Facts About Developmental Disabilities”. アメリカ疾病予防管理センター. 2015年6月1日閲覧。
  3. ^ MedlinePlus - Developmental Disabilities”. アメリカ国立医学図書館. 2016年1月10日閲覧。
  4. ^ Definition of DEVELOPMENTAL QUOTIENT”. 2014年11月9日閲覧。
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参考文献[編集]

医学書

その他

関連項目[編集]

外部リンク[編集]