くじ

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くじとは、正負や順序が割り当てられる対象について、その割り当て情報をあらかじめ与えずに選択をさせること。またはその対象のこと。割り当て情報は、対象に見えないよう封入されていてもよく、また選択の後に無作為な手段で割り当てを行ってもよい。

宗教的に神の意志を問うために用いられることもあるが、世俗世界では確率の上で平等な割り当てを行うために用いられることが多い。この場合は結果について、あらかじめ公にされている単純な確率計算以上の予測を行えないことが必要である。

賭博の手段として用いられることもある。この場合は娯楽性を高めるため、戦略的な選択によって勝率を高められる可能性を持たせることもある。

種類[編集]

主に以下の種類がある。

法規制[編集]

富くじを発売・取次ぎ・授受した者は刑法187条により処罰される。ただし、個別の法律によって合法化されている場合もあり、具体例として当せん金付証票法に基づき発行される宝くじなどがある。

表記[編集]

漢字では、孔子の字が当てられる。英語では「Sortition」、漢語では「抽籤(ちゅうせん)」と訳されるが、「籤」が当用漢字に含まれなかったため、「抽せん」とまぜ書き表記される。一部で「抽選」表記が見られるが、これは日本新聞協会による独自の基準で定めた代用表記である。

方法[編集]

一般的な「くじ引き」の方法は、紙片・こより・枝・木片・棒・マッチ棒・電線・球体などを用い、特定の数だけに文字や記号、色といった印を付け、他のものと識別できるようにしたものを用意して該当者一人一人に引かせることをいう。長さのある用具の場合は用具の長短で決める場合もある。転じて、歳末などに商店街等で催されるくじ引きを行なう行事を指す。用具に石・貝殻・骨等を用いる場合は宿っている霊力を信じた占い的な要素が強くなる。

論理[編集]

通常、くじ引きの確率はくじを引く順番にかかわらず平等である(確率保存)。

事例[編集]

歴史的にまた現在も行われている「くじ引き」の例は以下の通り。

古代アテネでは、一部を除く公職者は、希望する市民の中からくじで選ばれた。
室町幕府4代将軍足利義持は子の5代将軍義量に先立たれた後も、後継者を定めず自ら政務を執り続けたため後継者が定まらず、危篤状態に至った際に、側近の三宝院満済管領畠山満家らが義持の4人の弟の中からくじ引きによって後継を選ぶことを承諾させた。義持の死後、石清水八幡宮において神籤が催され、義持の弟の中から青蓮院義円(のち足利義教)が選ばれて6代将軍となった(詳細は将軍継嗣問題#継嗣決定前に将軍が死去したケース参照)。
  • 皇室会議の議員のうち皇族議員及び予備議員の当選人の決定
互選で得票数が同じ場合はくじによって決定する(皇室会議議員及び予備議員互選規則17条、23条)。
指名選挙では、上位2名による決選投票でも獲得数が同数の場合はくじ引きとなる。方法は、黒玉と白玉を銀紙に包み、それを抽選箱に入れ引いてもらい、黒玉を引いたものがその院における内閣総理大臣指名となる。ただし、これまで内閣総理大臣指名選挙において、抽選で総理大臣の指名が決まった例は1度も無い。
  • 公職選挙法上の選挙における得票数が場合の当選人の決定
得票数が同じ場合は選挙会において選挙長がくじによって当選人を決定する(公職選挙法95条)。同法では、抽選の方法自体は規定されていないが、抽選器を用いる例が多い。
衆議院と参議院の各議院の協議委員においてそれぞれ互選された両院協議会の議長(交代制)の初会の議長はくじによって決定する(国会法90条)。
職務代理者(副知事あるいは副市町村長)が複数あり、長が代理の順序を予め定めておらず、また、職務代理者の間での席次の上下が明らかでなく、さらに年齢が同じである場合にはくじによって決定する(地方自治法152条)。
選挙終了後初めて行う本会議では議長選出選挙を行うが、その際、最多得票者が複数いて法定得票を上回り、かつ得票が同数の場合はくじ引きとなる。
得票数が同じ場合はくじによって決定する(地方自治法施行令134条)。
  • 選挙管理委員会に欠員を生じた場合に補充する補充員の決定
候補となる補充員が複数おり、その補充員の選挙の時が同時であるときは得票数により、得票数が同じであるときはくじによって決定する(地方自治法182条)。
2009年から施行。裁判員候補者予定者の選定(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律21条)、呼び出すべき裁判員候補者の選定(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律26条)、裁判員の選定(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律37条)、選定予定裁判員の選定(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律91条)にくじが用いられる。
検察審査員候補者の選定(検察審査会法10条)、検察審査員及び補充員の選定(検察審査会法13条)、補充する補充員の選定(検察審査会法18条)、追加補充員の選定(検察審査会法19条)、臨時に検察審査員の職務を行う者の選定(検察審査会法25条)にくじが用いられる。
審査に付される裁判官が複数あるときは中央選挙管理会がくじで決定した順序による(最高裁判所裁判官国民審査法施行令1条)。
  • 公売における落札者等の決定
落札となる同価の入札をした者が複数ある場合の落札者の決定にくじが用いられる(地方自治法施行令167条の9)
特許庁長官に同年同日に競合する同名の商標が出願された場合で、商標登録出願人の協議が成立せず、出願の放棄・取り下げ・却下等がない場合には、くじによって商標登録を受ける者を決定する(商標法8条)。
1989年(平成元年)に行われた東京大学の総長選挙は激戦となり、理学部有馬朗人教授と教養学部本間長世教授との間で行われた決選投票でも、ともに586票の同数を得て勝負がつかなかった。選考内規により、くじ引きが行われた結果、有馬が第24代東京大学総長に決定した。
複数球団が同一選手を指名した場合くじ引きとなる。「交渉権獲得」の判が押してあるのが当たりである。
志願兵以外の徴兵対象者は、徴兵対象年齢に達すると、毎年各州の講堂に集められくじを引かされる。引いたくじによって、陸軍海軍空軍のいずれかの軍に徴兵されることになる。なお、徴兵免除のくじも存在しており、これはあまりにも徴兵対象者が多いための措置である。
2010年(平成22年)に行われた自民党の参議院議員総会長選挙は、主要3派の派閥支持を受けた当時参議院幹事長の谷川秀善と「派閥均衡や年功序列によらない人事」を掲げた中曽根弘文の間で行われた投票で、ともに40票の同数だったため、くじ引きによる決選が行われた結果、中曽根が参議院議員会長に決定した。

関連項目[編集]