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在外選挙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

在外選挙(ざいがいせんきょ)は、外国に在留している有権者国政選挙投票すること。特に日本人が投票することを在外日本人投票という事もある。

日本以外においては、大韓民国大統領選挙のように、日本と同様に国外にある在外公館で投票できる国もあれば、中華民国総統選挙のように、必ず帰国して投票しなければならない国もある。

日本で実施される選挙の在外選挙

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日本国憲法第15条は成年による普通選挙を保障し、公職選挙法は日本国民で年齢満20歳以上の者(2016年以降は満18歳以上)が国政選挙の選挙権を有することを示しているが、国外に居住する在外日本人には選挙権が与えられていなかった。この制限が違法であるとして1996年に在外日本人選挙権訴訟が提起された。第1審の途中の1998年公職選挙法が改正され、2000年5月以降の衆議院、参議院それぞれの比例代表制選挙に対してのみ、在外選挙が行えるようになった。

同訴訟の第1審、第2審はいずれも原告の請求が棄却されたが、2005年9月14日に最高裁判所大法廷は、在外選挙の対象が比例代表選挙に限定されているのは日本国憲法に反するとして違憲判決を下した[1]。最高裁は次回の国政選挙において在外国民が投票する地位にあると認定しており、国会は次回の国政選挙までに公職選挙法の改正することが求められた。これを受けて2006年に公職選挙法の改正が行われ、2007年6月以降の選挙で選挙区への投票もできるようになった。2007年7月に行われた第21回参議院議員通常選挙(および同時期に行われる衆議院補欠選挙)から選挙区在外選挙が実施された。

在外選挙の開始後も、衆議院議員総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査においては在外日本人の投票が認められていなかった。これに対して在外日本人国民審査権訴訟が提起された。2022年5月25日に最高裁判所は、2017年最高裁判所裁判官国民審査で在外投票が導入されなかったことについて、裁判官15人の全員一致で違憲判決を下し、国会による立法不作為も認めた[2]

また、日本国憲法の改正手続に関する法律62条の規定により、憲法改正時の国民投票についても在外投票人名簿に登録された者は、在外投票ができる。

在外選挙人名簿への登録

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在外選挙人名簿の登録条件は日本国内の選挙人名簿のそれに準じ、選挙当日の時点で満18歳以上で、日本国籍を取得していること、同一の在外公館の管轄区域内に3ヶ月以上居住していることが求められる。また、日本国内の最終住所地の自治体に国外転出届を提出している必要がある[3]。国外への居住期間の予定が1年未満である場合は国外転出届の提出が求められず、日本国内に住所を有したままとなるため、在外選挙の対象とならず日本国内で投票をすることとなる。

在外日本人選挙人名簿は、原則として国外転出前の最終住所地を管轄する市区町村選挙管理委員会が調製保管する。ただし、国外出生により一度も住民票に記載されたことがない場合、あるいは1994年4月30日までに国外転出した場合は、本籍地の市区町村の選挙管理委員会が管理する[3]

登録申請から正式に登録が認められる「在外選挙人証」の取得には2ヶ月程度、またはそれ以上かかる。その為、選挙直前に申し込んだとしても、直近の参議院議員通常選挙衆議院議員総選挙投票することが出来ない恐れがある。

2022年4月より、出国後に在外選挙人名簿へ登録する場合について、これまで各国の在外公館で行っていた本人確認をインターネットを経由したビデオ通話にて実施出来るようになった。また、同年6月からは登録申請書などの書類もメールにて提出可能になるなど、オンラインによる手続き制度が整備された[4]

2012年12月3日時点で、総務省の在外選挙人名簿登録者数は、10万6156人である[5]

投票をするまでの流れ

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在外選挙人名簿に記載・登録されると、国政選挙に投票することができる。大きく直接所定の場所で投票を行う制度(不在者投票制度に準ずる)と、登録された選挙管理委員会に投票用紙を郵送して投票する制度の2つがある。

在外公館投票

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在外公館投票は在外選挙人証、及び日本国旅券を所定の投票所に持参し、通常と同じ投票の仕組みで投票を行う。記入された投票用紙はクーリエ(外交伝書使)がパウチと呼ばれる外交行囊に入れて、直接外務省の領事局在外選挙室に持参する[6]。その後、投開票日までに各地の選挙管理委員会に送付される[7]

原則選挙公示日の翌日から日本国内での投票日の5日前まで受け付けるが、前述の事情から交通の便が悪い地域ではそれより早く締め切られる場合がある[8]。民間団体「海外有権者ネットワークNY」のまとめでは、2024年の第50回衆議院議員総選挙で在外公館投票を受け付けた日数の平均は4.29日間で、2021年の第49回衆議院議員総選挙では、公示日翌日の1日間のみ受け付けた例がある[7][9]

郵便投票

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郵便投票は、希望者が在外選挙人名簿を管理する選挙管理委員会へ投票用紙を郵送することにより投票する。

投票用紙は原則として任期満了予定日から数えて60日前より在外選挙人名簿を管理する選挙管理委員会に請求できる。なお衆議院解散による総選挙の場合は解散した当日からとなる。

投票用紙は選挙公示日から投開票日の締め切り時間(日本時間20時)までに在外選挙人名簿を管理する選挙管理委員会へ届けられる必要があり、それ以降に到着した場合は投票しなかったものとみなされる。特に衆議院解散では、選挙が決定されてから投開票日までが短いことから時間的余裕がなく、2021年の第49回衆議院議員総選挙では、郵便投票された1041人分の小選挙区投票用紙のうち、約15%にあたる158人分の郵送が期間内に間に合わなかった[10]

日本国内における投票

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日本に一時帰国した際や、国内に転入してから3ヶ月未満で選挙人名簿に登録されていない場合は、投開票日に在外選挙人名簿を管理する選挙管理委員会が指定する投票所で直接投票することも出来る。期日前投票及び不在者投票を行うこともできる。

関連項目

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脚注

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注釈

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    出典

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    1. 平成17年9月14日 大法廷判決 平成13年(行ツ)第82号
    2. “最高裁裁判官の国民審査、在外投票を認めないのは違憲 大法廷が判決”. 朝日新聞. 2022年5月25日. 2022年5月25日閲覧.
    3. 1 2 在外選挙人名簿登録申請の流れ 在外公館申請”. 外務省 (2024年8月2日). 2026年2月15日閲覧。
    4. “最寄りの大使館まで電車で往復8時間、海外有権者から「ネット投票」実現求める声”. 読売新聞. 2022年7月6日. 2022年7月6日閲覧.
    5. “衆院選、在外邦人の投票始まる 「国民団結できる党に」”. 47NEWS. 共同通信社. 2012年12月5日. 2014年6月8日閲覧.
    6. コロナ禍でホテル隔離も 選挙を支える「外交官の地味な仕事」”. Forbes Japan (2021年11月3日). 2026年2月15日閲覧。
    7. 1 2 「投票間に合わない」「早くネット投票を」 衆院選の在外投票、海外邦人ら不満の声”. 朝日新聞 GLOBE+ (2021年10月28日). 2026年2月15日閲覧。
    8. 小早川遥平, 伊藤弘毅, 河野光汰, 田村剛「在外投票が開始、有権者は「もう少し時間を」 解散から7日で終了も」『朝日新聞』2026年1月29日。2026年2月15日閲覧。
    9. 山本知佳「車で8時間か、1万円超かけ郵便か 海外有権者「投票間に合わない」」『朝日新聞』2026年1月24日。2026年2月15日閲覧。
    10. 小川尭洋「海外からの投票率が過去最低に 実質1%台、「無理ゲー」の積み重ね」『朝日新聞』2024年11月7日。2026年2月15日閲覧。

    外部リンク

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