生前葬
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生前葬(せいぜんそう)とは、存命している人物が自分自身の葬儀を行うこと。
概要[編集]
自らの生があるうちに縁のある人やお世話になった人を招いてお別れと礼を述べるために行なう人が多い。また、本来出席できないはずの自分の葬儀に喪主として参加することができるため、思い通りのやり方で行うことができる。そのため多くは、無宗教であったり、音楽やスライドなどを多用した明るい葬儀であったり、一般の葬儀とは異なるイベント的な葬儀となる。形式はカラオケ大会から立食パーティー、また、自費出版の自分史を配るなど、様々である。
しかし、本人が本当に亡くなった後も、遺族により再び葬儀が行われることもままある。
日本では交際範囲の広い知識人が、自らの社会的活動の終止を告知する機会として開催することが多い。
生前葬を行った主な有名人[編集]
- 2代目三遊亭金朝
- 落語家。 1907年に行った。1909年に死去。
- 2世曽呂利新左衛門
- 落語家。 1914年に行った。1923年に死去。
- 児玉誉士夫
- 右翼運動家。1960年に生前葬を行った。1984年死去。
- 月亭可朝
- 落語家。1968年に芸名を桂小米朝から月亭可朝に改名した際に花月のイベントで、3代目笑福亭仁鶴がお経を読みながら棺桶から出てくるという企画を行った。2018年死去。
- 水の江瀧子
- 女優。1993年に生前葬を行い、以後芸能界を引退しメディアに露出せず隠居生活を送っていた。2009年死去。
- 2世茂山千之丞
- 狂言師。還暦の時に生前葬を行った。2010年死去。
- 養老孟司
- 解剖学者。2004年11月に山口県防府市の多々良学園講堂ホールにて行った。
- 仰木彬
- 2004年野球殿堂のパーティーのスピーチで「今日のパーティーでございますが、これは私の生前葬だと思っております」と発言。2005年死去。
- 辛淑玉
- 2007年5月5日に、長野県松本市の神宮寺にて生前葬を行った。生前葬を行った理由は、保守論客、死刑を強硬に主張する犯罪被害者・遺族と、肩入れして死刑反対運動を「弾圧」する一部メディア、石原慎太郎批判に本腰を入れない日本人などへの「怒りをぶっつける」ことだという。
- 久米田康治
- 漫画家。2007年6月21日に『さよなら絶望先生』が第31回講談社漫画賞少年部門を受賞し、その授賞式後の2次会で生前葬が行われた。作風に則った(同氏の項目参照)ネタとしての生前葬である。のちに、久米田の生前葬がこのWikipediaに掲載されていることを作品内で自ら言及し、ネタにしている。
- ビートたけし
- お笑いタレント、映画監督。2009年4月3日に、バラエティ番組『たけしのニッポンのミカタ!』(テレビ東京)の初回収録にて生前葬を行った(放送は同月10日)。「コントで葬式をやると番組が当たる」というジンクスを参考にしたため。立会人代表は、共演者である国分太一(TOKIO)。
- 桑田佳祐(サザンオールスターズのボーカル兼リーダー)
- ミュージシャン、シンガーソングライター。2009年4月20日放送のフジテレビ系『桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜(第2期)』の第1回の企画として、共演者のユースケ・サンタマリア曰く「『リニューアル』として一度桑田佳祐に死んでもらい、『新生桑田佳祐』として生まれ変わってもらおうという意図」のもとで『桑田佳祐追悼特別番組』というタイトルで生前葬を行った。司会として佐々木恭子アナウンサー、ゲストとしてユースケと岸谷五朗が出演。番組の最中に虎の着ぐるみを着た桑田が登場するが、着ぐるみが佐々木・ユースケ・岸谷に見えていないという体で番組が進むため、スケッチブックに「はすい(破水)してます(当時佐々木は妊娠中で、同年5月に出産予定だった)」と書いてカメラに出し、その後乳児(の人形)を足元から取り出してみたり、尻尾を股間に挟みそれを用いて自慰を意識される行動を取るなど、好き勝手な行動を連発した。
- この企画はネット上で様々な反響を呼び[1]、「フジテレビ史上第2位」とされる程の量の苦情の電話も殺到し、これが原因で番組のプロデューサーを担当した恭子の兄・佐々木将は髪が白髪になるほどのストレスになった事がDVD-BOX「桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜 あいなめBOX」の中で言及された。
- テリー伊藤
- 2010年9月18日に、生前葬を実施したと発表。
- 仲村みう
- 2011年11月23日に、芸能界引退イベントとして生前葬を実施。
- 松みのる
- 2013年2月13日に生前葬を実施[2][3]。松竹梅のメンバー。
- カンニング竹山
- 2014年『竹山のやりたい100のこと〜ザキヤマ&河本のイジリ旅〜』の企画で行った。
- SMAP
- 2014年7月26日に、『FNS27時間テレビ』のオープニングの企画として「今までのSMAPから生まれ変わる為に」という名目で、メンバー全員の生前葬が行われた。グループは2016年に解散したが、メンバーは存命中。
- 小椋佳
- 2014年9月12日~15日に、生前葬コンサートを開催[4]。
- AKIRA (プロレスラー)
- 2014年10月10日に、自身のレスラー生活30周年記念のプロレスイベントとして開催[5]。
- 大橋巨泉
- 80歳の誕生パーティー「傘寿の会」での本人談[6]。2016年7月12日死去。
- アントニオ猪木
- 2017年10月21日に両国国技館で行われた『INOKI ISM.2』の中で生前葬を行った[7]。2022年10月1日死去。
- 安崎暁
- 実業家。2017年12月11日、同年10月に末期の胆嚢癌が見つかったことを受け、感謝の気持ちを伝えたいとして新聞広告を出し、ANAインターコンチネンタルホテル東京で「感謝の会」を開催した[8][9][10]。2018年5月26日死去。
- 桑原征平
- 関西テレビ放送出身のフリーアナウンサー。2019年に75歳の誕生日(5月)、朝日放送ラジオでの番組パーソナリティ生活15年(6月)、アナウンサー生活50年(8月)を相次いで迎えたことから、「桑原征平生前葬〜甦生(よみがえり)の儀〜」(2部構成による同局主催の有料イベント)を、同年9月13日(金曜日・仏滅)にあましんアルカイックホール・オクトで開催した。日本国内のAMラジオ局が主催するイベントでは初めてとされる生前葬で、「(桑原本人や出演番組の)ファンミーティング」も兼ねていたため、関係者以外の一般客から香典を受け取る代わりに指定席のチケットを販売(いずれの部も前売の段階で完売)。桑原と縁の深い10の企業・医療機関がスポンサーに付いたほか、同月29日(日曜日)には、朝日放送ラジオで19:00 - 21:00に『桑原征平生前葬~甦生の儀~スペシャル「人生は挑戦!」』(生前葬のダイジェスト音源に生放送のトークを交えた特別番組)を放送している。ちなみに、桑原は生前葬の開催後も、ラジオパーソナリティやフリーアナウンサーとしての活動を継続中。
- 小松政夫
- コメディアン・俳優。「芸能活動の集大成的な作品」として、2019年10月31日から11月4日まで、「『うつつ』小松政夫の大生前葬」という舞台作品をキンケロ・シアター(東京都目黒区)で上演した[11]。終演直後の定期検診で肝細胞に見付かった癌が原因で、翌2020年12月7日に78歳で死去[12]。死去の直後に放送されたテレビ番組で、「小松政夫の大生前葬」への出演シーンの映像が訃報や回顧企画に多用された。
- おめがシスターズ
- おめが レイ(姉)と おめが リオ(妹)の2人からなる日本のバーチャルYouTuberのユニット。バーチャル双子YouTuber。2019年11月5日に自身の誕生日を迎えた際に、YouTube上でLive配信を行い、企画として妹リオの生前葬を行った[13]。バーチャルYouTuberとして生前葬を行ったのは初めて。Youtube活動は継続中。
生前葬を行った架空の人物[編集]
- 名取羽美
- 上記の久米田康治の漫画「かってに改蔵」のメイン・ヒロイン。第271話にて生前葬を行っている(また、クラスメートの生前葬を勝手に行っている)。
- 糸色 望
- 上記の久米田康治の漫画「さよなら絶望先生」の主人公。生前葬と似たような形の物を「模死」として行っている。
- 山遊亭海彦
- 原作:立川談四楼、作画:さだやす圭の漫画「山遊亭海彦」の主人公。第1話にて生前葬を行っている。
- 白鳥貞美
- 監督:倉本聰、主演:中井貴一のテレビドラマ「風のガーデン」の主人公。第8話にて生前葬を行っている。
- 赤木しげる
- 福本伸行『天 天和通りの快男児』の登場人物。晩年重度のアルツハイマーに侵されたため尊厳死を決意し、その決行直前に親しかった人物を集め別れを告げた。
脚注[編集]
- ^ 「サザン桑田死亡」ドッキリ放送 やり過ぎか?ネットで論議J-castニュース
- ^ 生前葬 松稔ハッピーエンドパーティー
- ^ 【松竹梅】松稔 自分史 -生前葬-
- ^ 小椋佳、「生前葬コンサート」リハで「さらば青春」など披露|スポーツ報知2014年9月13日閲覧
- ^ 10・10AKIRA生前葬に蝶野、船木参加|東スポWeb2014年9月13日閲覧
- ^ 小倉キャスターが秘話 巨泉さんからお宝!大量ジャズLPレコード|スポーツ報知2016年7月22日閲覧
- ^ 猪木、生前葬で「千の風になって」を熱唱|スポーツ報知2017年10月21日閲覧
- ^ 「末期がん、元気なうちに「感謝の会」 元コマツ社長の安崎さん 」日本経済新聞2017/12/11 20:47
- ^ 「末期がん公表 コマツ 安崎元社長「感謝の気持伝える会」開催」NHK12月11日 17時25分
- ^ 「末期がんのコマツ元社長、感謝伝える「生前葬」」読売新聞2017年12月12日 08時20分
- ^ 小松政夫 37年ぶり小劇場で主役「大生前葬」 まだ死なないのかと言われたいな、あはは東京新聞 2020年12月16日閲覧
- ^ 小松政夫さん 昨秋に肝細胞がん判明も…抗がん剤治療受け仕事 NHKドラマ「すぐ死ぬんだから」が遺作にスポーツニッポン 2020年12月16日閲覧
- ^ (日本語) おめがリオ、逝く 2019年11月6日閲覧。
関連項目[編集]
- お葬式で会いましょう - 生前葬を扱ったテレビドラマ
- おめがシスターズ