赤木しげる

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

赤木しげる(あかぎ しげる)とは、福本伸行漫画作品『天 天和通りの快男児』に登場する架空の人物であり、そのスピンオフ作品である『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』の主人公である。

人物[編集]

白髪の博徒。才知・直感・運気・精神力などギャンブルで勝つために必要な要素全てが超人的なレベルに達している孤高の天才として描かれている。

「雨降る場末の雀荘に迷い込んだひとりの少年。それまでの短い人生をいやが応にも人に想像することを強いる真っ白な髪、その目は底なしの闇」と『アカギ』の1巻で言及されているように、もっとも若い登場シーンは13歳(1958年)であるが、そのころからすでに白髪であった[1]

常識や損得や生死に囚われず、勝負そのものや信念の貫徹を希求する赤木しげるの姿勢は、大金や生存を目的とする極限の勝負を描くことの多い福本作品の中において異彩を放つものとなっている。

『天』での赤木しげる(壮年・中年期)[編集]

何の後ろ盾もなくただ己の能力のみを頼りに生きてきた伝説の博徒。

3年ほど裏社会の頂点に君臨していたが、立場や名声が自分を束縛するという主義のため、早い段階で引退した。「神域の男」「鬼神」「百年に一人の天才」「転ばずの赤木」といわれ、数えきれないほどの伝説をもつ。勝負事において無敵といえるが、全盛期と比べるとその運気にわずかに翳りがみられる場面もあった。自由気ままな言動で周囲を振り回す不良中年ぶりは、一般的な価値観からすると「自己中心的でいいかげんな人物」とも言えるが、勝負事に対する姿勢は非常に真摯であり何よりも真剣勝負を好む。

来歴(壮年・中年期)[編集]

裏社会からの引退から3年後、自分の代理にした代打ち・室田が天貴史に敗れたことで、天と対戦。終始天を圧倒する。30荘目に、ツキを天に持っていかれて大差をつけられてオーラスを迎える。役満を天に直撃しないと逆転できないという厳しい状況のオーラスに、驚異的な裏ドラへの読みを見せ倍満を直取りするが、全盛期に比べてわずかに運気が翳った描写があり、逆転はできなかった。もう3つドラが乗っていれば逆転だった上、裏ドラは両隣どちらももし開いていたら暗刻にドラが乗っていた状況(=逆転)であり、赤木もそれに気付いており終了後に天、ひろゆきを戦慄させた。この半荘一回の負けを理由に勝負から手を引く。

天との勝負から2年後、日本屈指の裏雀士たちが集まり雌雄を決する「東西戦」に参加。天が頭をつとめる東陣営に入り、現役最強の代打ち原田克美や赤木出現以前の裏世界最強であり『天』における赤木のライバル僧我三威らを相手に、ひとり別次元の強さを発揮し東軍巻き返しの原動力となる[2]。また東軍所属の未熟な青年井川ひろゆきに対して助言する場面も多く、師弟のような関係になる。

東西戦の9年後、麻雀を理解できなくなるほどの重度のアルツハイマー型認知症にかかり、「赤木しげるとしての自分」が消える前に命を絶つことを決意。東西戦の仲間やライバル達に必死に翻意を促される。この際、僧我に赤木を生かすためと決着をつけるために最後のギャンブル勝負を挑まれるが、そこでも確率を無視したような直感力をみせている[3]

最後の仲間達との会話の中で、晩年、何人かの人間に借金があったことが語られている。債権者は「貸してる気じゃなかったみたいだぜ」「押しつけるように渡してきた(清算した)が……葬式の香典でそっくりそのまま返ってきやがった」と語られているが、負債の内容がギャンブルによるものなのかは不明である。元々「成功を積み上げ過ぎると自分を縛る。だから成功をする度にそれを崩してきた」ために、勝負事で大金を得てもすぐにそれを溶かしていた。

「記憶を全部失って廃人となっても、自分が「家族」として面倒を見る。死なないでくれ」と泣きながら懇願する天の真心に触れ、作中で初めて目に涙を浮かべて感謝を伝えるが、結局最期まで決意が揺らぐことはなく、1999年(平成11年)9月26日、仲間たちに看取られながら静かに死去。享年53。

『アカギ』での赤木しげる(少年・青年期)[編集]

主人公である白髪の少年。

麻雀・その他ギャンブルの天才。才気・精神性・運量、その全てが常軌を逸しており「悪魔」と比喩される。若年ながら数々の修羅場をくぐりぬけ、伝説を築き上げていく。独自の死生観を持ち、自らを半死人と評す程に生への欲求を感じられず、死への恐怖を感じない自分を異常者であると理解している。

来歴(少年・青年期)[編集]

生い立ちは不明。推定される生年は1945年(昭和20年)生まれ。

昭和33年、13歳の時にチキンラン勝負を行い生き残り、嵐を避けるために場末の雀荘に立ち寄る。そこで命懸けの麻雀勝負をしていた南郷はアカギに異様な才気を感じ、自分の代打ちを頼む。このときは麻雀のルールすら全く知らず、南郷から簡単に教わっただけであったが、またたく間にその天賦の才能を開花させ熟練者竜崎を圧倒。敵方もプロの代打ち矢木圭次を投入するが、覚醒したアカギをとめられず、二連勝でアカギの勝利となる。また、この時に不良刑事安岡と知り合う。

矢木戦の延長戦として五日後に、800万を賭けて裏世界で五指に入る実力者市川と対戦、ギリギリの激闘の末に勝利。一躍その名を裏世界に轟かせる。しかし、その後アカギは雲隠れしてしまう。

6年後、アカギは玩具工場で働きながら、チンピラの間で喧嘩狂として名を馳せていた(その6年間も命懸けの勝負をし続けていた旨の発言をしている)。安岡が赤木しげるの名を騙らせたニセアカギ(平山幸雄)を倒したプロの代打ち浦部と対戦、圧倒的不利を覆し勝利。その後、町中の雀荘で勝負を挑んできた仲井純平と対局し勝利した後、再び行方をくらませてしまう。

1年後、丁半博打での言いがかりで肩を負傷。治療先の病院で安岡と抑木に戦後の日本を裏から支配してきた闇の王、鷲巣巌との対局を依頼される。血液と大金を賭ける超特殊麻雀「鷲巣麻雀」で最大の敵・鷲巣巌と死闘を繰り広げる。6回戦において血液を1800cc奪われ死の淵に立たされた時、鷲巣との決着を味わいたい、即ち生きることへの欲求を生まれて初めて感じとることができた。

原作が終了しておらず番組が勝負の途中で終わってしまったアニメでは「鷲巣との戦いは伝説として語り継がれ、後に神域の男として裏社会に君臨する」とされている。

他者との関わり[編集]

井川 ひろゆき
他の者には見せない面倒見の良さを見せる。東西戦で最も多くのアドバイスを送った。
僧我 三威
壮年期における赤木のライバル的存在。赤木の前に裏社会に君臨した「怪物」。僧我の名前を聞いた時には珍しく戦いに意欲を見せていた。
天貴史
好敵手であり同じ陣営で戦う仲間であったが、死の間際に必死で自殺をとどまらせようとした行為に、自分には家族はいないが「友」はいた、と思わせ赤木に涙させた男。
鷲巣 巌
赤木究極の敵と銘打たれ戦後の日本を裏から支配した「闇の王」。アカギが唯一自分の同類と認めた男であり、アカギに初めて生を実感させた人物でもある。

備考[編集]

  • 福本は「理想の男像」「精霊のような存在」と語っている。
  • 名前の由来は、名字はカッコいいイメージで俳優の赤木圭一郎からとられた。名前のしげるは収まりがよかったため。
  • 福本が「週刊少年「」」のなかのインタビューで「福本作品の中でもっともギャンブルが強いキャラは誰か?」という質問を受けた際、「天か赤木のどちらかである」と答えた。
  • 死後10年となる2009年9月27日に「アカギ墓碑開眼法要」並びに十周忌法要が竹書房主催で執り行われた。法要後は武蔵野市吉祥寺のバー・スカラベ店内にて墓碑が展示、2010年4月1日から千葉県いすみ市岬町の「麻雀博物館」に期間限定展示され、2014年1月現在は吉祥寺のバー・SurpasS店内にて常設展示中[4]

演じた俳優・声優[編集]

  • 萩原聖人(アニメ『闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才〜』)
  • 柏原崇(Vシネマ『闘牌伝アカギ』『雀魔アカギ』)
  • 草尾毅(ゲーム『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』)

その他[編集]

  • 『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』のアニメ版では、ポロシャツの色が青に統一され、ズボンやスニーカーの色が白になった。原作ではあまり統一感が無く、ピンクオレンジになっている表紙も存在する。
  • 中年期となった『天』では、トラ柄のワイシャツに白のスーツになっており、上述の同アニメ最終回のシーンにもこの姿は確認できる。

脚注[編集]

  1. ^ だがVシネマ版では1958年時点で17歳(故に1941年生まれと推定される)となっており、また白髪との設定はない。
  2. ^ 少なくとも、原田は東西戦の決勝前に赤木の再参戦を天に仄めかされた際、天の提示した東軍に若干有利となる特殊なルールを呑まざるを得ない程度には、赤木の実力を恐れていたことが示唆されている
  3. ^ 『9』(ナイン)と呼ばれる、互いに数牌を1枚ずつ出し、その大小と合計得点を競うゲームを僧我と行い、9戦全てを僧我と同じ数牌を出して引き分けとした。なお、この勝負で9戦全て同じ牌を出し合う確率は1/362,880である。
  4. ^ アカギ墓碑開眼・十周忌法要