柳田理科雄

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柳田 理科雄(やなぎた りかお、本名、1961年6月21日 - )は、日本作家漫画原作者ラジオパーソナリティ明治大学理工学部兼任講師。株式会社『空想科学研究所』主任研究員。

人物[編集]

鹿児島県熊毛郡南種子町出身。父は南種子町長を2007年まで4期16年務めた柳田長谷男。

「理科雄」は、ペンネームではなく本名である。彼が生まれる2ヵ月ほど前(1961年4月12日)にユーリイ・ガガーリンが世界初の宇宙飛行を成功させており、これに感激した父が「これからは科学の時代だ」と考えて名付けたものであるという[1]

幼少の頃より科学者を志していた一方、当時放送していた『ウルトラマン』を特撮とは思わず現実のニュース番組だと本気で信じていた少年でもあった[2]。中学時代にはウルトラマンや仮面ライダーの話題について友人たちと熱心に議論を交わしていたという。鹿児島市立城西中学校鹿児島県立鶴丸高等学校を経て京都大学理学部を受験するが失敗。しかも高校時代から憧れていた京都大学の佐藤文隆教授がその年に退官したことを知って、京都大学へ行く目標を見失ってしまう[3]。その後、1年間浪人して東京大学理科一類に入学。当初は宇宙への強い関心から宇宙物理学を専攻するつもりだったが、大学との折り合いが悪くなり[4]、在学中に学習塾講師のアルバイトを始めて以来、その仕事の魅力に取り付かれてしまい、本格的に学習塾講師の道へ進むことを決意して大学を中退。いくつかの学習塾を渡り歩き、中華人民共和国でも1年間の研鑽を積んだ後、1991年に個人経営の学習塾『天下無敵塾』を開校するが、本人いわく「経営者としての才能は全くなかった」とのことで、塾はたちまち経営難に陥る。そのような状況の中、塾の経営を立て直す資金を作るため、中学時代からの友人で当時宝島社の編集者を務めていた近藤隆史の勧めにより、中学時代の友人たちとの議論の話題を本にするという形で、SFアニメ特撮番組などの描写を科学的に考察する『空想科学読本』を1996年に出版、ベストセラーとなった。しかし、彼が経営していた塾は『空想科学読本』の印税が入金される前に倒産してしまったという。その後は高校時代からの友人が経営していた学習塾で講師を務めるなどして、最終的に専業作家となり、1999年には近藤隆史と共に有限会社『空想科学研究所』(2016年7月より株式会社へ移行)を設立、柳田自身は研究所の主任研究員を名乗っている(近藤は所長)。

執筆活動の傍ら、明治大学で非常勤として教鞭を執っているが、大学を中退してしまった過去から、かなりやりがいのある仕事であると著書の中で語っている。講義では、ウルトラマンと怪獣の取っ組み合いのシーンから衝突時に発生するエネルギーの算出などをテーマとしている。

本人の言によると、1990年代までの時点で酒に費やした総額が1千万円を超えているという酒好き。『空想科学読本2』では、「筆者はウィスキーの中ではバーボンが好きだ。(中略)酒全般でいちばん好きなものを挙げるとしたら、芋焼酎『南泉』(上妻酒造)である」などと、自分が好きな酒の銘柄を具体的に語っている[5]。また、仕事の都合で1990年から1年間中華人民共和国に滞在していた時期には「今日本のプロレス界はどうなっているか」と気が気ではなかったというほど無類のプロレス好きでもあり、特に『空想科学読本』シリーズの中では、体が大きく力の強い人間の代表としてジャイアント馬場を頻繁に取り上げている。

SF漫画や特撮番組における戦闘シーンや秘密兵器の設定について熱心な考察を行っている一方、自身の祖父が太平洋戦争で戦死していることから、現実の戦争に対しては明らかな嫌悪を示しており、戦争の定義について「無能な権力者が『これしか道はない』と言って選択してしまう最悪の政策で、関係国の国民は勝敗にかかわらず多大な迷惑を被る」などと、政治への皮肉と批判を込めて表現している。かつてフランス大統領だったジャック・シラクが1996年1月までに6回の核実験を強行した件についても、1997年発行の『空想科学読本2』において、「いくら元ドゴール派だからって、今さら『強いフランス』なんか目指すな、バカ!」などといった表現でシラクを強く非難している[6]

「理科雄」という変わった名前で父が出生届を出した際、町役場の係員からは「本当にこれでいいんですね?」と繰り返し念を押されたという。また、当時健在だった曾祖父(父の祖父)からも「もっと人間らしい名前をつけんか」と怒られたという。しかし、柳田本人はこの珍しい名前のおかげで他人から覚えてもらいやすく、交友関係が広くなったと語っている。

プロ野球は埼玉西武ライオンズのファンである。本人いわく九州出身ということもあって、前身の西鉄ライオンズ時代から応援しているという。

著作活動[編集]

柳田以前にもSF作品に対し科学的に考察した本は多数出版されていたが、子供向けの作品を中心に、劇中描写(作品の設定はあまり省みず描写のみを重視することが多い)に対して科学的な考証を混ぜつつ独自の仮説を展開、笑える結論を導き出すスタイルが受けた。『空想科学読本』については、2016年3月に最新巻である『空想科学読本17』までが発売されている。

他に空想科学シリーズとして、漫画のヒトコマに注目しその描写を科学的に考察する『空想科学漫画読本』や、SFを中心とした実写映画の描写を科学的に考察する『空想科学映画読本』、昔話の内容を科学的に考察する『空想科学日本昔話読本』などを発表している。出版元のメディアファクトリーによれば、空想科学読本1から4までの累計が200万部以上と発表されている[要出典]。また空想科学シリーズ全体では、空想日本昔話読本出版時の宣伝文によれば、累計300万部とされている[要出典]

このほか漫画、小説の原作者としても複数の著作を持っており、事象について「科学的に考察する」ことが作品における重大なテーマになっている。

他に空想科学を冠としたラジオ番組のパーソナリティや、『侍ジャイアンツ』再放送における各種魔球の科学的解説など、マスメディアにおいても活動している。

評価[編集]

作品や考察の手法に対しては、作品設定の認識(公式設定の調査不足、自分独自の設定の作出等)から物理法則の適用まで大小さまざまな間違いが含まれていることが、山本弘らによって指摘されている(例:ロケット推進の原理。ロケットパンチの「光子力ロケット」を光子ロケットと混同してる、など)。山本弘による批判は1冊の書籍となり『こんなにヘンだぞ!空想科学読本』と題して発行されている[7]

科学的な考察の間違いや作品設定の誤認の他、「子どもの夢を壊すような研究をしてどうする」といった意見もあり[8]、評価は分かれる。柳田自身は『ウルトラマン』視聴時にその特撮シーンがとても作りものだと信じられなかったような少年であり、「漫画の世界を否定したいのではなく、実際にやったら、どうなるんだろう? という興味を抑え切れない」[9]や、「空想科学を現実で行うのは大変なこと。科学的に有り得ない物事を考え付くのが人間の空想力の素晴らしいところであり、笑ってしまう点が現代の科学技術がアニメや特撮に追いついていない部分」と述べている。複数回にわたって取り上げている『マジンガーZ』も、再放送を毎回正座して視聴するほど好きだったとも書いている[要出典]

間違いについては本人も気にしており[10]、読者の指摘などを元に再版時や文庫化など機会があるごとに訂正が行われ、注釈やあとがきなどで謝罪を行っている。間違いの指摘についても「科学は皆の力で発展するものだから間違いの指摘はどんどんしてほしい」という姿勢をとっている。

批判の一方で、理科嫌いの子供に科学への興味を惹起させる効果を評価する向きもあり、『全国こども電話相談室』回答者、インパク中部電力出展の監修者、産総研子ども向け科学講座の講師などに選ばれているほか、高校・高専の図書館向けに『空想科学 図書館通信』のFAX送信も行っている。

著書[編集]

  • 空想科学読本』1 - 17 宝島社、1996-97 メディアファクトリー、1999-2016
    • 『空想科学読本6.5』2008 
    • 『空想科学読本Q』2010 
    • 『金の空想科学読本』2011(1~9までの読者が選んだ人気原稿25本を収録したBEST版)
    • 『銀の空想科学読本』2011(1~10までの筆者が選んだ26本を収録したBEST版)
    • 『空想科学読本ミドリ』2011(空想科学の疑問の中でも「緑」をテーマに置いたスペシャル版)
  • 『空想非科学大全』メディアワークス、1998 
  • 『空想科学論争!』(円道祥之および木原浩勝との対談)扶桑社、1999 
  • 空想科学「映画」読本』 1 - 2 扶桑社、2000-04 
  • 『空想科学「漫画」読本』 1 - 4 日本文芸社、2000-05  
  • 空想科学少女リカ』(岡崎弘明との共著)日本文芸社、2004 
  • ゴジラVS柳田理科雄』メディアファクトリー、2004 
  • 『空想科学「日本昔話」読本』扶桑社、2006 
  • 『なぜ僕は理科を好きになったのだろう?』集英社インターナショナル、2006
  • 『ナレッジエンタ読本1 恐竜大戦!』(荒木一成との対談)メディアファクトリー、2007 
  • 『空想科学「生活」読本』扶桑社、2007 
  • 『柳田理科雄のウナレンがゆく なぞなぞは心のラブレター』講談社、2007
  • 『ナレッジエンタ読本4 科学バカ人生!』メディアファクトリー、2008 
  • 『ナレッジエンタ読本9 空想科学入門!』福田沙紀共著、メディアファクトリー、2008(ラジオ番組『福田沙紀と柳田理科雄のラジオ空想科学研究所』を書籍用に再構築したもの)
  • 『ナレッジエンタ読本5 空想キッチン!』(ケンタロウとの対談)メディアファクトリー、2008 「空想お料理読本」文庫 
    • 『空想お料理読本2』メディアファクトリー、2011  
  • 『ナレッジエンタ読本20 史上最強のロボット!』(高橋智隆との対談)メディアファクトリー、2009 
  • 『理科雄は本名です』メディアファクトリー、空想科学文庫、2010 
  • 『イナズマイレブン科学研究所』エンターブレイン、2011 ファミ通BOOKS
  • 『戦国BASARA科学研究所』エンターブレイン、2013 ファミ通BOOKS
  • 『ラジオ空想科学研究所』第1夜-2 武井咲共著 メディアファクトリー、2011-12 空想科学文庫
  • 『空想科学のツイッター』メディアファクトリー、2013
  • 『ジュニア空想科学読本』1 - 10 KADOKAWA角川つばさ文庫)、2013 - 2017
  • 『空想科学「理科」読本』大和書房、2015
  • 『ポケモン空想科学読本』1 - 2 オーバーラップ、2016
  • 『柳田理科雄の1日1科学』汐文社、春・夏・秋・冬 2015 - 2016
  • 『進撃の巨人 空想科学読本』講談社、2016
  • 空想科学大戦! 1 - 4(漫画・筆吉純一郎)メディアファクトリー、1998 - 2000 ソニー・マガジンズ、2001
  • 空想法律読本 1 - 2(科学面の監修を担当)
  • 俊平1/50山本貴嗣作。監修を担当)
  • 空想科学エジソンカサハラテツロー作。初期の原作を担当)

出演番組[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 柳田理科雄著:『理科雄は本名です 空想科学外伝』(空想科学文庫) メディアファクトリー 2010年 ISBN 9784840135191
  2. ^ 不登校新聞 『空想科学読本』著者・柳田理科雄さんに聞く
  3. ^ ものづくり名手名言 第18回 夢に挑む科学 柳田理科雄(空想科学研究所主任研究員)
  4. ^ 東大を中退、起業した学習塾は経営難ーー。ベストセラーシリーズ「空想科学読本」は挫折から
  5. ^ 『空想科学読本2』初版本80ページ。
  6. ^ 『空想科学読本2』初版本102ページ。当時シラクは現職のフランス大統領であった。
  7. ^ 山本弘 『こんなにへんだぞ!『空想科学読本』』 日向泰洋、太田出版、2002年、第3版。ISBN 4-87233-659-3
  8. ^ 空想科学漫画読本1、前書き
  9. ^ 空想科学漫画読本2
  10. ^ 空想科学読本3の後書きより。

外部リンク[編集]