パレット (絵画)

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パレット

パレット(調色板[1]、交色板[1]: palette)は、絵画を描く際に使用される、絵具を混合するための板である。調色板(ちょうしょくばん)など様々な訳語があるが、現代日本語ではあまり使わない。語源は「小さな (-ette) (pale)」。

基礎的な意味でのパレット[編集]

用途による差異[編集]

パレットの素材としては、油絵具用途として合成樹脂、大理石、御影石、木、水性絵具用途として合成樹脂、金属、陶器がある。この他にペーパーパレットと呼ばれる使い捨てるタイプもある。当然、これ以外の素材もパレットになる。基本的には絵具などの材料と反応しない物質であれば、パレットとして使用し得る。 水性絵具用のパレットの内閉じるものは主として、透明水彩絵具用であり、再溶解が面倒なガッシュ不透明水彩には使わない。伝統的な、木製のパレットは有色地に描くには都合が良かったと考えられているが、褐色を呈する顔料の使用頻度が低下している現代ではあまり勧められていない。

形態的には、ナイフで盛り付けられるほど粘度が高い絵具の場合、仕切りのない一枚板のパレットに複数の色を置いても問題は起こらないが、水彩絵具やテンペラなど、粘度が低い絵の具のパレットには仕切りや適度なへこみが必要となる。

発展的な意味でのパレット[編集]

特定の芸術家が用いる絵具色彩総体をパレットと呼ぶ。そして画家のパレットは本来的には調色板ではなく、選択して並べられる絵具の組み合わせであると言われることもある[2]

パレットの構成[編集]

絵具を選択する上で重要な指標になるのは、それぞれの絵具に使用されている顔料であり、専門家用の製品であればそれぞれの製品やパンフレットに使用顔料が明記されている。特に実用的な判別方法としてカラーインデックスに従った名称、特にColour Index Generic Nameが記載されている。

ペイントツールのパレット[編集]

PhotoshopSAIなどのペイントツールでは、色を作ったり、作った色を一覧として表示したりするウィンドウをパレットと呼ぶ。

注釈[編集]

  1. ^ a b 落合直文「ぱれっと」『言泉:日本大辞典』 第四、芳賀矢一改修、大倉書店、1927年、3802頁。 
  2. ^ 『色彩科学事典』 日本色彩学会 (編集) 朝倉書店 1991/10 ISBN 425410104X ISBN 978-4254101041

参考文献[編集]

  • 『油彩画の技術 増補・アクリル画とビニル画 』 グザヴィエ・ド・ラングレ 著 黒江 光彦 訳 美術出版社 1974.01 ISBN 4568300304 ISBN 978-4568300307
  • 『絵画技術体系』 マックス・デルナー 著 ハンス・ゲルト・ミュラー 著(改訂) 佐藤一郎 訳 美術出版社 1980.10 ASIN: B000J840KE
  • 『絵画技術入門―テンペラ絵具と油絵具による混合技法 (新技法シリーズ) 』 佐藤 一郎 著 美術出版社 1988.11 ISBN 4568321468 ISBN 978-4568321463
  • 『絵画技術全書』 クルト・ヴェールテ(Kurt Wehlte) 著 ゲルマール・ヴェールテ(Germar Wehlte) 著 佐藤一郎 監修翻訳 戸川英夫 訳 真鍋 千絵 訳 美術出版社 1993.03 ISBN 4568300460
  • 『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』森田 恒之監修 森田 恒之ほか執筆 美術出版社 2000.3 ISBN 4568300533

関連項目[編集]