カフェ・オ・レ
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カフェ・オ・レ(フランス語: café au lait)は、濃く淹れたコーヒー(現代フランスでは通常エスプレッソ〈直火式モカエキスプレスを含む〉が用いられるがそれ以外の抽出方法でもよい)と温かい牛乳を、基本的には同量程度混合した飲料である。フランスで好まれるコーヒーの飲み方である。
フランス語で "café カフェ" はコーヒーのことであり、"au オ" は前置詞 "à" +男性型単数形定冠詞 "le" の縮約型であり、"lait レ" は牛乳のことである。
フランスでは基本的に牛乳とコーヒーが同量のものを指すが、牛乳がやや少なめでも「カフェ・オ・レ」と呼ばれる。牛乳が少量の場合には「カフェ・ノワゼット」と呼ばれる(ノワゼットはフランス語でヘーゼルナッツの意味)。反対に牛乳のほうがコーヒーよりも多い場合は「カフェ・ランベルセ」と呼ばれる(「逆さまのコーヒー」の意味)。
概要[編集]
淹れ方[編集]
濃く淹れたコーヒーと熱い牛乳を、基本的にはほぼ同量、カップに同時に注ぐ。
本場フランスの飲みかた[編集]
フランスの家庭では、大人も子供も、朝食時にカフェオレをたっぷりと飲むのを好む人が多い。
朝、目を覚ますために濃いコーヒーを飲みたいが、朝っ腹(すきっ腹)に濃いコーヒーは胃に刺激が強いため、牛乳で和らげ飲みやすくしたものである。
フランスでは、(カップではなく)カフェ・オ・レ・ボウル(日本の丼鉢のような大きな陶器の器。単に「Bol(仏語Bol)」とも。「Petit dejeuner bol(朝食ボウル)」とも。)でたっぷりと飲まれることが現在でも多い[1]。
歴史[編集]
コーヒーはフランスには17世紀なかばにもたらされたが、当初フランス人に「苦い」と感じられた。当時、この苦い飲み物を飲むために砂糖やはちみつを入れる人々がいたわけだが、1685年にグルノーブル王付きの医師のMonin(モナン)がコーヒーの苦味を抑えるために(砂糖やはちみつでなく)牛乳を入れることを思いついた[2]。
類似のコーヒー飲料[編集]
カフェ・オ・レはコーヒーと牛乳を混ぜたもの全般を指す。
- カフェ・クレーム(café crème)
- コーヒーにクレーム(=フォームドミルク)を入れたもの。カフェ・オ・レの一種で、カフェのメニューとしては通常こちらが用いられ、業務用エスプレッソマシンによるコーヒーとスチームによって泡立て/加熱されたミルクが使われる。
- カフェ・ノワゼット(café noisette)
- エスプレッソに牛乳を少量加えたもの。コーヒーの色がヘーゼルナッツ色となることから。
- カフェ・ランベルセ(café renversé)
- 牛乳の量のほうがコーヒーの量よりも多いもの(「さかさまのコーヒー」「逆コーヒー」という意味)。
日本で2014年に出版された学習者向けのフランス単語解説書に「フランス語ではカフェ・クレーム(café crème)が一般的であり、café au laitはあまり用いられない[3]」と書かれた。がこの短い解説文は誤解を生みがちで、フランス語の正確な意味としては、カフェ・クレームはあくまで「泡立てた」ミルク(フォームド・ミルク)を注いだコーヒーを指す。ただし、現代フランスのカフェや飲食店で提供されるコーヒーはほとんどの場合エスプレッソが使われ、ミルクはフォームを伴ったスチームミルクであるため、実際のところカフェ・クレームとカフェ・オ・レに違いはない。なおフォームドミルクを注いだ飲み物は、イタリア語ではカフェ・ラッテもしくはカプチーノと呼ばれ、日本では(フランス語ではなく)イタリア語のほうが採用される傾向がある。