トルココーヒー
![]() |
トルコ・コーヒー(トルコ語:Türk Kahvesi - テュルク・カフヴェスィ 英語:Turkish coffee - ターキッシュ・コーヒー)は、コーヒーの淹れ方の一種。水から煮立てて、上澄みだけを飲む方法である。
2013年にユネスコの無形文化遺産にトルココーヒーの文化と伝統が登録された。
歴史[編集]
約450年前、オスマン帝国内のイエメン統治者オズデミル・パシャにより、コーヒー豆が皇帝に献上された。まずイスタンブールのタフタカレ地区でコーヒーが飲まれるようになり、その後ヨーロッパに広まる。現在でもこの伝統的なコーヒーの飲用法は、中東・北アフリカ・バルカン諸国で共通している。
概略[編集]
ギリシアとキプロスのギリシア人の間ではギリシア・コーヒーまたはビザンティン・コーヒー、アラブ人の間ではカフワ・アラビーヤ、アルメニア人の共同体ではアルメニア・コーヒーと称される。
淹れ方[編集]
- 用意する道具としては、粉状にされたコーヒー豆・冷水・ティースプーン、トルコではジェズヴェと呼ぶコーヒー用の鍋、それがなければ小さな手鍋。この鍋の深さはコーヒーの粉が沈むのに十分なほどであればよい。ジェズヴェは銅でできたヒシャク型で、木の把手がついている。
- コーヒーの粉はティースプーンに山盛り1杯が、1人分の分量である。コーヒーと砂糖を同じ割合でジェズヴェに入れる。1人あたりデミタスカップ1杯(100mL)の水を、多すぎないように注意しながらジェズヴェに入れる。煮立てて沸騰してきたら火を弱め、浮かんできた泡をカップに等分に分けて入れる。ふきこぼれる寸前に火を止めて、ジェズヴェにあるコーヒーをカップに注ぐ。粉が沈むのを待って上澄みを飲む。好みによって、カルダモンで風味をつけることがある。水の代わりに牛乳を用いてもよい。
コーヒー占い[編集]
飲み終わった後のカップにソーサーをかぶせてひっくり返し、カップの底に残った粉の状態によって飲んだ者の運勢を占う「コーヒー占い」がある。
諺について[編集]
トルコには他人に親切にせよという意味で、「1杯のコーヒーにも40年の思い出」という諺がある。トルコ語で「40」には「かなり大きな数」という意味があり、「40年の思い出」とは「長年の思い出」ということになる。つまり、他人に1杯のコーヒーをご馳走するだけで、その親切をなにかにつけて思い出してもらえるものだ、という教えになる[1]。
脚注[編集]
- ^ 『遊牧民族の知恵 トルコの諺』 [要ページ番号]
参考文献[編集]
- 大島直政 『遊牧民族の知恵 トルコの諺』講談社〈講談社現代新書 546〉、1979年6月。ISBN 978-4-06-145546-7。