有川ひろ

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有川 浩
(ありかわ ひろ)
ペンネーム 有川 浩
(ありかわ ひろ)
誕生 (1972-06-09) 1972年6月9日(51歳)
日本の旗 日本 高知県高知市
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 園田学園女子大学
活動期間 2004年 -
ジャンル SFミリタリー恋愛
代表作 自衛隊三部作
図書館戦争シリーズ
主な受賞歴 電撃ゲーム小説大賞
(『塩の街 wish on my precious』)
星雲賞日本長編作品部門
(『図書館戦争』シリーズ)
デビュー作塩の街 wish on my precious
配偶者 あり
ウィキポータル 文学
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有川 浩(ありかわ ひろ、1972年6月9日[1] - )は、日本の女性小説家ライトノベル作家高知県出身[1]園田学園女子大学[1]

人物

2003年に『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、翌年に同作にてデビューした。ライトノベルでデビューしながらも、2作目からは一般文芸書籍と同等のハードカバー出版が続いており、電撃文庫出身作家の中でも特異な存在である(文庫で出版されたデビュー作『塩の街』も、後にハードカバーで再出版された)。

2006年、4作目である『図書館戦争』シリーズで大ブレイク。インタビューでは、自作を大人向けのライトノベルと語っており、一般文芸に活動の範囲を広げた現在でも自らを「ライトノベル作家」と称している。デビュー作以後、表紙にアニメ風のキャラクターイラストを使用しないのは、普段ライトノベルを読まない世代にも作品を手にとってもらうための策であり、子供向けのライトノベルの表紙がそういったイラストなのは本来、当たり前だと語っている[2]

名前の由来は、「有川」は書店に本が並んだ時に“あ”から始まる名前なら棚の最初のほうにくるから。「浩」は、親が喜ぶと思って本名から一字抜出したとのこと[3]。また、「浩」が「ひろし」と読めるため男性だと勘違いされることも多い。影響を受けた作家に新井素子を挙げている[4]

作風

デビューからしばらくの間は、主にSFミリタリー色の濃い作品を発表していた。

デビュー作から3作続けて、自衛隊と未知の物体・生物との接触をテーマにした作品を発表しており、陸上自衛隊の『塩の街』、航空自衛隊の『空の中』、海上自衛隊海上保安庁機動隊の『海の底』は合わせて自衛隊三部作と称されている。また、2006年にスタートした『図書館戦争』シリーズでも「図書隊」という架空軍事組織が存在するパラレルワールドが描かれ、SF・ミリタリー的な要素が物語に大きく関わっている。また、そうした中でも、「ベタ甘」とも評される恋愛ストーリーが作品に絡められており、特にヒロインと年齢的・社会的な格差のある男性との恋愛が度々描かれる。

2006年頃からは、『レインツリーの国』や『阪急電車』など、実世界を舞台にした作品も刊行され始めている。

評価

ダ・ヴィンチ2009年1月号に掲載された「BOOK OF THE YEAR 2008」では、恋愛小説ランキングに第1位の『別冊 図書館戦争I』をはじめ、5位以内に合わせて4作品が選出されるなど、恋愛小説家として広く認知されている。また同ランキングの総合ランキングに自身の作品が5作品選出された他、ミステリー&エンターテインメントランキングで『図書館革命』が9位に、好きな女性作家ランキングでは2位に選出されている。

2006年には、『図書館戦争』が『本の雑誌』が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、2007年本屋大賞で第5位を獲得した。

2008年には、『図書館戦争』シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。さらに、本シリーズ5作目の『別冊図書館戦争I』は、雑誌『ダ・ヴィンチ』による「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2008」恋愛小説部門で、第1位を獲得した。

2010年、『キケン』で第1回山田風太郎賞最終候補に挙がり、『植物図鑑』が本屋大賞第8位、第1回ブクログ大賞小説部門大賞を受賞。

2011年、『県庁おもてなし課』で第2回山田風太郎賞最終候補に挙がる。また、「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位を獲得し、第3回ブクログ大賞小説部門を受賞した。『県庁おもてなし課』(角川書店 2011年)の印税をすべて東北地方太平洋沖地震の被災地に寄付することをブログにて公言している[5]。同年、『ストーリー・セラー』が本屋大賞第10位を、『キケン』は本屋大賞第9位、第2回ブクログ大賞小説部門大賞を受賞。

2012年、『空飛ぶ広報室』と『三匹のおっさん ふたたび』が、「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位、第2位をそれぞれ獲得している。

2013年、『空飛ぶ広報室』が第148回直木賞候補に挙がる。同年、『旅猫リポート』が第4回山田風太郎賞最終候補にノミネートされた。

作品リスト

以下、刊行年代順に記載。

自衛隊三部作

図書館戦争シリーズ

  • 図書館戦争(2006年2月 メディアワークス / 2011年4月 角川文庫)
  • 図書館内乱(2006年9月 メディアワークス / 2011年4月 角川文庫)
  • 図書館危機(2007年2月 メディアワークス / 2011年5月 角川文庫)
  • 図書館革命(2007年11月 メディアワークス / 2011年6月 角川文庫)
  • 別冊 図書館戦争I(2008年4月 アスキー・メディアワークス / 2011年7月 角川文庫)
  • 別冊 図書館戦争II(2008年8月 アスキー・メディアワークス / 2011年8月 角川文庫)
  • レインツリーの国(2006年9月 新潮社 / 2009年6月 新潮文庫 / 2015年9月 角川文庫) - 『図書館内乱』に登場する小説を実際に小説化したもの

自衛隊ラブコメシリーズ

三匹のおっさんシリーズ

  • 三匹のおっさん(2009年3月 文藝春秋 / 2012年3月 文春文庫 / 2014年6月 新潮文庫 / 2015年9月 講談社文庫
  • 三匹のおっさん ふたたび(2012年3月 文藝春秋 / 2015年1月 新潮文庫 / 2015年9月 講談社文庫)

シアター!シリーズ

  • シアター!(2009年12月 メディアワークス文庫
  • シアター! 2(2011年1月 メディアワークス文庫)
  • 有川浩脚本集 もう一つのシアター!(2011年5月 メディアワークス文庫)

その他の小説

エッセイ

  • 倒れるときは前のめり(2016年1月 角川書店) - 『ゆず、香る』『彼の本棚』収録

未書籍化作品

読切

  • キケン 番外編(『小説新潮』2010年2月号 新潮社)
  • サマーフェスタ(『野性時代』2011年1月号 角川書店)
  • killing time 800(『小説新潮』2011年1月号 新潮社)
  • 「阪急電車」サイドストーリー(『映画「阪急電車」特設サイト』)
  • 透き間シーズン(『ノベルアクト2』2012年6月 角川書店)
  • ハチジカン(『別冊文藝春秋』2012年7月号 文藝春秋)
  • みとりねこ(『オール讀物』2013年1月号 文藝春秋) - 『BRUTUS』No.745「文芸ブルータス」誌上に先行掲載されている[10]
  • クリスマスに家に帰る(『小説新潮』2014年12月号 新潮社)
  • 三匹のおっさん 特別読み切り(『小説新潮』2015年5月号 新潮社)
  • 図書館戦争 オリジナルミニエピソード(『映画「図書館戦争 THE LAST MISSION」公開記念特設サイト』)

参加アンソロジー

  • Sweet Blue Age』(角川書店、2006年6月21日)
    • 短編作品『クジラの彼』収録(後に短編集『クジラの彼』に収録)
  • 別冊小説新潮『Story Seller』(新潮社より雑誌形態で刊行、2008年)
    • 後に文庫化『Story Seller』(新潮文庫、新潮社、2009年)
    • 短編作品『ストーリー・セラー』収録(後に『ストーリー・セラー』に収録)
  • 『まい・いまじね〜しょん-電撃コラボレーション』(電撃文庫、アスキー・メディアワークス 2008年)
    • 短編作品『恋愛のカミサマ』収録
  • きみが見つける物語 十代のための新名作 恋愛編』(角川文庫、角川書店、2008年)
    • 短編作品『植物図鑑 Paederia scandens var. mairei』収録(「小説屋Sari-Sari」上で連載された『植物図鑑』の第一章部分)
  • 別冊小説新潮『Story Seller』Vol.2(新潮社より雑誌形態で刊行、2009年)
    • 後に文庫化『Story Seller 2』(新潮文庫、新潮社、2010年)
    • 短編作品『ヒトモドキ』収録
  • 別冊小説新潮『Story Seller』Vol.3(新潮社より雑誌形態で刊行、2010年)
    • 後に文庫化『Story Seller 3』(新潮文庫、新潮社、2011年)
    • 短編作品『作家的一週間』収録
  • 『好き、だった。はじめての失恋、七つの話。』(MF文庫ダ・ヴィンチ・メディアファクトリー、2010年)
    • 短編作品『失恋の演算』収録
  • 不思議の扉 午後の教室(2011年8月25日、角川文庫)
    • 短編作品『S理論』収録
  • とっさの方言(2012年8月7日、ポプラ文庫
    • 方言エッセイアンソロジー『何しよらぁ、おんしゃあ!』
  • 『Story Seller annex』(新潮文庫、新潮社、2014年)
    • 『R-18--二次元規制についてとある出版関係者たちの雑談収録』(『小説新潮』2011年5月号 新潮社 の特集Story Seller 2011より)

映像化作品

テレビアニメ

テレビドラマ

映画

脚注

  1. ^ a b c 『文藝年鑑 2015』日本文藝家協会/編、新潮社発行、2015年6月30日初版 巻末「文化各界人名簿」より。
  2. ^ 日経ビジネスオンライン「ライトノベルを買う大人は恥ずかしいか?」(2007年2月23日)
  3. ^ http://d.hatena.ne.jp/sidnanba/20101214
  4. ^ TSUTAYAブックインタビュー、2013年4月20日
  5. ^ 「有川日記」
  6. ^ http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200808000533
  7. ^ http://www.gentosha.co.jp/book/b6249.html
  8. ^ 「Story Seller」に発表された「Side:A」に、単行本のために書き下ろされた「Side:B」を加えハードカバー化
  9. ^ http://www.gentosha.co.jp/book/b9357.html
  10. ^ 『BRUTUS』 No.745(2013年12月01日)マガジンハウス BRUTUS No.745

関連項目

外部リンク