リゾートやまどり
リゾートやまどりは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が2011年から保有している鉄道車両(電車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。
本項では2018年まで運行されていた同名の快速列車、および再改造前のお座敷列車「やまなみ」「せせらぎ」についても解説する。
概要
群馬デスティネーションキャンペーンに合わせ、JR東日本高崎支社の新しい「のってたのしい列車」として2011年に運行を開始した。名称は群馬県の県鳥ヤマドリに由来する。
車両
後述する「やまなみ」のMM'ユニットと「せせらぎ」編成を種車に東急車輛製造で改造施工をした6両編成[1][2]。編成番号はYD01。
車内は初代「成田エクスプレス」用253系グリーン車の廃車発生品を活用したリクライニングシートを採用した上で普通車に格下げされたが、2+1アブレスト、シートピッチは120cm[3]とグリーン車並みとなっている。また、2号車にミーティング室「和」が、4号車にキッズスペースが設置されるなど団体列車用の設備も設けられている。
YD01編成 | ← 上野・新宿 前橋・長野原草津口 →
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号車番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
車両番号 | クハ484-703 ↑ (クロ484-7) ↑ (クハ481-1107[4]) |
モハ484-703 ↑ (モロ484-10) ↑ (モハ484-58) |
モハ485-703 ↑ (モロ485-8) ↑ (モハ485-58) |
モハ484-704 ↑ (モロ484-11) ↑ (モハ484-1071) |
モハ485-704 ↑ (モロ485-9) ↑ (モハ485-1071) |
クハ485-703 ↑ (クロ485-5) ↑ (クハ481-1105[5]) |
旧編成 | せせらぎ | やまなみ | せせらぎ |
-
車内
-
展望室
-
キッズルーム
-
ミーティングルーム「和」
運用
高崎車両センターに所属し、首都圏を中心に臨時列車で運用されている。快速列車が大半であるが、2011年夏の「リゾート草津」では特急列車として運行された[6]。
快速列車の「リゾートやまどり」で定期的に運用されていたが、2018年を最後に同列車は運行されていない。
快速「リゾートやまどり」
リゾートやまどり | |
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概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 快速列車 |
地域 | 埼玉県・群馬県 |
運行開始 | 2011年8月5日 |
運行終了 | 2022年12月11日(予定) |
旧運営者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
路線 | |
起点 | 大宮駅 |
終点 | 長野原草津口駅 |
営業距離 | 137.8 km |
使用路線 | 高崎線・上越線・吾妻線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 | 全車指定席 |
技術 | |
車両 | 485系電車(高崎車両センター) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 | 直流1,500V |
リゾートやまどりは、2011年から2018年まで大宮駅 - 長野原草津口駅間で運行されていた臨時快速列車である。
「のってたのしい列車」のひとつと位置付けられ、一時は武蔵野線経由で八王子まで延長する「はちおうじやまどり」、新習志野まで延長する「しもうさやまどり」も存在した。しかし2015年以降は運行日数が減少し[7][8][9]、2018年9月2日の運行を最後に設定されていない。ただしそれ以降も、運行日数が大幅に少ないものの「四万温泉やまどり」(しまおんせんやまどり)として中之条止まりの臨時快速列車が設定されている。
やまなみ
485系お座敷電車 やまなみ・せせらぎ | |
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やまなみ | |
基本情報 | |
運用者 | 東日本旅客鉄道 |
製造所 | 構体製作:東急車輛製造 |
改造所 |
やまなみ:郡山工場 せせらぎ:大宮工場 |
改造年 |
やまなみ:1999年(平成11年)3月 せせらぎ:2001年(平成13年)3月 |
運用開始 | せせらぎ:2001年3月31日 |
運用終了 | 2010年(平成22年) |
投入先 | 新前橋電車区→高崎車両センター |
主要諸元 | |
編成 | 4両編成 |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 |
直流1,500 V 交流20,000 V(50 ・60 Hz) |
最高運転速度 | 120 km/h |
編成定員 |
やまなみ:100人 せせらぎ:116人 |
車両定員 | 本文参照 |
車両重量 | 本文参照 |
全長 |
先頭車 21,500 mm 中間車 20,500 mm |
全幅 | 2,940 mm |
全高 |
4,070 mm パンタグラフ折りたたみ高さ 3,980 mm |
車体 | 耐候性鋼板 |
台車 |
軸箱守(ペデスタル)方式空気ばね台車 DT32E形・TR69H形 |
主電動機 | 直流直巻電動機 MT54D形 |
主電動機出力 | 120 kW × 4 |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 22:77 (1:3.50) |
定格速度 | 72.0 km/h (全界磁)・116.0 km/h (40 %界磁) |
制御方式 | 抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁 |
制御装置 | CS15F形主制御器 |
制動装置 |
発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ 勾配抑速ブレーキ |
保安装置 | ATS-P・ATS-SN |
やまなみは、老朽化した12系客車改造の和風客車「くつろぎ」の代替として、1999年(平成11年)に東急車輛製造で構体を新製、郡山工場(現・郡山総合車両センター)で485系電車から改造されたジョイフルトレインである[10]。編成番号はTG10。
基本コンセプトは「ハイグレードな日本調空間」で、塗装は「緑豊かな高原の山々」をイメージした緑色に、春の花畑をイメージした赤色のラインをアクセントとした[11][10]。
概要
- この内容は「せせらぎ」も共通である。
先頭車がクロ484形とクロ485形、中間車はモロ484形とモロ485形で、各車両の番号は「宴」・「華」・「ニューなのはな」の続番とされた[11][12]。
床下機器や走行装置は種車の485系から流用するほか、冷房装置は車端部屋根上にAU714形集約分散式冷房装置(23.26kW・20,000kcal/h)を各車両とも2基ずつ搭載するが、モロ484形に限りAU714形1台と床置形のNAU183形(15.12kW・13,000kcal/h)を搭載する[11][12]。後述の「せせらぎ」と併結運転が可能であった[12]。
側窓ガラスは大部分が固定窓であるが、非常時の換気を考慮して、中間車の窓ガラスは6か所が内開き式の窓構造である[11][12]。
客室はたたみ敷きの掘りこたつ構造で、座卓と座椅子を備える[11][12]。各車両には通信カラオケを設置している[11][12]。
先頭車の乗務員室直後はソファを設けた展望室としており、仕切り部は大きな窓ガラス構造とした[11][12]。モロ484形にはソファおよびテーブルを設けたミーティングルームを設置する[11][12]。モロ485形にはソファを備えた休憩室と更衣室がある[11][12]。トイレは先頭車の連結面寄りに、共用洋式トイレと男性用小便所、洗面台を設置する[11][12]。
運用
2001年3月31日から営業運転に投入されたが[12]、2010年12月で営業運転を終了し、2011年1月に中間電動車ユニットのみが「リゾートやまどり」への再改造のため東急車輛製造に入場。同年5月に「リゾートやまどり」となって出場した。
残った先頭車2両(クロ485-4・クロ484-6)は引き続き、高崎車両センターに留置されたが、2012年春に開催された「いわてデスティネーションキャンペーン」に際して盛岡支社管内で観光列車を運行する計画が発表され、2011年12月に郡山総合車両センターへ入場。観光列車用として特急「つがる」等で運用されていたモハ485・484-3014と組成した4両編成の「ジパング」に再改造された[13][14]。
← 上野 高崎 →
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号車 | 4 | 3 | 2 | 1 |
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形式 | クロ485-4 (Tsc) |
モロ485-8 (Ms1) |
モロ484-10 (M's1) |
クロ484-6 (T'sc) |
車両重量 (t) | 41.4 | 38.8 | 43.0 | 41.4 |
車両定員 (人) | 24 | 28 | 24 | 24 |
車内設備 | 展望室,トイレ | 更衣室,休憩室 公衆電話 |
ミーティング ルーム |
展望室,トイレ |
せせらぎ
老朽化した12系客車改造の和風客車「やすらぎ」の代替として、2001年に東急車輛製造で構体を新製、大宮工場(現・大宮総合車両センター)で485系電車から改造されたジョイフルトレインである[15]。編成番号はTG11。
基本コンセプトは「日本の四季をめぐる空間」で、塗装は「紅葉の映える山々」をイメージした赤系色に、残雪をイメージした白色のラインをアクセントとした[12]。前面は「やまなみ」とほぼ同じであるが、「せせらぎ」では前面窓上部に前照灯を追加したほか、下部のライトケースは電球交換を考慮した形状とした[12]。
前述の「やまなみ」と併結運転が可能であり、号車番号は「やまなみ」の1 - 4号車に続く形で5 - 8号車とされていた。2010年1月いっぱいで営業運転を終了し、同年7月12日から2011年2月10日にかけて「リゾートやまどり」に再改造された。
← 上野 高崎 →
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号車 | 8 | 7 | 6 | 5 |
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形式 | クロ485-5 (Tsc) |
モロ485-9 (Ms1) |
モロ484-11 (M's1) |
クロ484-7 (T'sc) |
車両重量 (t) | 43.7 | 40.5 | 43.7 | 43.7 |
車両定員 (人) | 28 | 32 | 28 | 28 |
車内設備 | 展望室,トイレ | 更衣室,休憩室 公衆電話 |
ミーティング ルーム |
展望室,トイレ |
脚注
- ^ “「リゾートやまどり」が出場”. 『鉄道ファン』railf.jp. 鉄道ニュース (交友社). (2011年2月11日)
- ^ “ジョイフルトレイン "やまどり" 東急車輛出場”. 鉄道ホビダス. RMニュース (ネコ・パブリッシング). (2011年2月16日)
- ^ 2号車のみ「大きな荷物の乗客に配慮」して150cm
- ^ サロ181-1104→サロ481-1504→クハ481-1107
- ^ サロ181-1102→サロ481-1502→クハ481-1105
- ^ ジョイフルトレイン・イベント列車の運転について (PDF) - 東日本旅客鉄道高崎支社 2011年5月20日(2011年10月27日時点のアーカイブ)
- ^ 2016年には4月から12月まで運行されたが、2018年には7月から9月の3か月のみになっている。
- ^ 春の増発列車のお知らせ (PDF) 2016年1月22日 東日本旅客鉄道
- ^ 夏の臨時列車運転のお知らせ (PDF) 2018年5月18日 東日本旅客鉄道
- ^ a b 「RAILWAY TOPICS「JR東日本高崎支社の新型お座敷電車「やまなみ」」」『鉄道ジャーナル』、鉄道ジャーナル社、1999年7月、104頁。
- ^ a b c d e f g h i j 交友社『鉄道ファン』1999年7月号新車ガイド「JR東日本485系お座敷電車「やまなみ」」pp.102- 105。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 交友社『鉄道ファン』2001年6月号新車ガイド「JR東日本485系お座敷電車「せせらぎ」」pp.57- 62。
- ^ 485系車両を大幅リニューアル!!平泉世界遺産登録を記念した改造車両を運行!愛称募集 (PDF) - 東日本旅客鉄道盛岡支社プレスリリース 2011年12月20日[リンク切れ]
- ^ 新ジョイフルトレイン 愛称決定! (PDF) - 東日本旅客鉄道盛岡支社プレスリリース 2012年2月13日[リンク切れ]
- ^ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2001年6月号RAILWAY TOPICS「JR東日本のお座敷車両 客車「やすらぎ」が電車「せせらぎ」に交代」」p.92。
参考文献
- 交友社『鉄道ファン』
- 1999年7月号新車ガイド「JR東日本485系お座敷電車「やまなみ」」(東日本旅客鉄道(株)高崎支社運輸部車務課)
- 2001年6月号新車ガイド「JR東日本485系お座敷電車「せせらぎ」」(東日本旅客鉄道(株)高崎支社運輸部車務課 中島 勝美)
- 2011年8月号新車ガイド「リゾートやまどり」