Arch Linux

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Arch Linux
Archlogo.png
開発元企業 / 開発者 Aaron Griffin
OSの系統 Linux
開発状況 活動中
ソースコード オープンソース
最新安定版リリース

2011.08.19

/ 2010年8月20日
対応プラットフォーム i686, x86-64
カーネル種別 モノリシックカーネル
ライセンス 様々
ウェブサイト http://www.archlinux.org/

Arch Linux(アーチ・リナックス)は、軽量かつシンプルであることを指針として開発されている独立系Linuxディストリビューション[1]である。開発チームの設計アプローチは、「シンプリシティ」、エレガンス、コードの正確性、およびミニマリズムにフォーカスしている[2]。「シンプリシティ」 (Simplicity)とは、Arch Linuxの言うところでは「…不必要な追加、修正、あるいは複雑化を伴わない…」ことであり、それは初心者の立場よりも開発者の立場からの見た場合のことだと定義している[3]

目次


Arch Linuxは、2002年3月にジャッド・ヴィネットにより設立され、最初のリリースである 0.1(コードネーム Homer)は2002年3月11日に公開された。ジャッドは、別の最小主義ディストリビューションであるCRUXに刺激を受けてArchの開発を思い立った。彼は2007年10月1日までプロジェクトを率いたが、自身の時間不足を理由に辞任し、以降プロジェクトはアーロン・グリフィンが率いている[4]

Arch Linuxの Arch の発音は、[ɑːrtʃ]または[aːtʃ](例えば archerparchment など。カタカナにするならどちらにしても「アーチ」)である[5]。よく似た名前のディストリビューションに「Ark Linux」があり、直接の関係はないものの、「我々は名称をArk Linuxに変更します」とアナウンスしたエイプリルフールのネタに利用された[6]

[編集] デザインと理念

Arch Linuxの大部分はバイナリパッケージをベースとしている。これらのパッケージは、近代的なハードウェアでのパフォーマンスを重視するために、i686およびx86-64マイクロプロセッサを対象としている。ソースコードからの自動コンパイルを行うPorts/ebuildライクなシステム (Arch Build System; ABS) も提供されている。

Arch Linuxは、開発者にとってシンプルで無駄の無いシステムにフォーカスしているが、特にユーザを支援するための主な取り組みではGUIの設定ツール開発を行っていない。例えば、パッケージマネージャのグラフィカル・フロントエンドは公式に用意されていない。ただし、設定ファイルや広く利用されるシェルスクリプトには豊富な注釈がつけられている[7]。これは「コマンドラインを恐れない中級・上級のGNU/Linuxユーザ」のためのディストリビューションとして好評を得た[8]

あなた達がその管理を複雑なツールに頼るシステムを構築することはエンドユーザにとって害になるだろう。[…] 「あなた達が複雑なシステムを隠そうとしても、結局より複雑なシステムになってしまうのが落ちだ」。中身を隠すための抽象化レイヤーは決して良いものではない。その代わり、その中身はある程度彼らが隠すことを必要としないように設計されなければならない。

—アーロン・グリフィン(phraktured.net: Archwayより)

[編集] initフレームワーク

Arch Linuxは、シンプリシティのために柔軟性をトレードオフして、BSDスタイルのinitフレームワークを採用している。これはSystem Vランレベルおよびinittabファイルの使用も許しているが、ランレベルとの間には微妙な違いがある。これは、デーモンごとに番号を振ったシンボリックリンクがランレベルごとのディレクトリに格納されるSystem Vのシステムとは対照的に、起動時のモジュールおよびデーモンのロードが主要設定ファイル /etc/rc.conf に非常にシンプルに記述されることによるものである。

[編集] インストール

Arch Linuxウェブサイトでは、CD (ISO)およびUSB (IMG)イメージが提供されている。KISS原則にコミットメントするArch Linuxのインストーラは、ユーザとの対話のためにダイアログを使用したシンプルなシェルスクリプトである。最小構成のデフォルトインストールでは、シンプルなGNU/Linux環境、すなわちGNUツールチェーンLinuxカーネル、少数の追加モジュールとライブラリ、およびbashシェルのみがインストールされる[9]。システムカスタマイズおよび拡張(ウィンドウマネージャデスクトップ環境などのソフトウェアの追加)は手動で行わなければならず、インストールするパッケージはオンラインリポジトリからダウンロードする。従って他のオペレーティングシステムに比べ、Arch Linuxは一般にインストールに関していくぶん挑戦的であると言われる[10]

[編集] パッケージ管理

[編集] Pacman

すべてのパッケージはPacmanパッケージマネージャを使用して管理される。Pacmanは、パッケージのインストール、アップグレード、削除、ダウングレード、そしてデータベースおよび依存関係の自動解決を行う。PacmanはC言語で記述されている[11]。Arch Linuxのパッケージはi686およびx86-64用に最適化されており、Arch Linuxパッケージツリーから取得される。Arch Linuxは、インストールを高速に行うために、主にtar.xzとtar.gz形式のバイナリパッケージをベースとしている[12]

[編集] リポジトリ

2011年9月時点で、以下の公式リポジトリが用意されている:

core
基本システムをセットアップするために必要なすべてのパッケージが収容される。
extra
基本システムでは必要とされないパッケージが収容される。デスクトップ環境とそのプログラムはこれに含まれる。
multilib
x86_64ユーザのために、64ビット環境で使用する32ビットアプリケーションが集約される。
community
コミュニティによりビルトされたパッケージが収容される。投票により十分な数の支持を得たものが「トラステッドユーザ」(trusted user, TU) により採用されcommunityに登録される。

この他に、リポジトリに収容される前のテスト段階のパッケージ用リポジトリがある:

testing
「core」および「extra」リポジトリ用。
community-testing
「community」リポジトリ用。
multilib-testing
「multilib」リポジトリ用。

また、リビルドによってテスト用パッケージが破壊されるのを回避するために「staging」および「community-staging」リポジトリが用意されている。

unstableリポジトリは2008年7月をもって停止され、ほとんどのパッケージは他のリポジトリへ移動した[13]。これら公式リポジトリに加え、利用者が提供する非公式リポジトリ (PUR)が多く存在する。

[編集] ABS

ABS (Arch Build System) は、ソースコードからパッケージを作成するPortsライクなソースパッケージ管理システムである。ソースtarボールをバイナリパッケージへコンパイルし、それをPacmanを通してインストールする[14]。ABSは、PKGBUILDSと呼ばれるシェルスクリプトのディレクトリツリーを提供し、公式のものを含むあらゆるパッケージのカスタマイズ、コンパイルを可能にする(インストールと削除はその後にPacmanにより行われる)。コンパイラフラグを変更したシステム全体のリビルドもABSによりサポートされる。ABS makepkgツールはサード・パーティソフトのソースからカスタム.pkg.tar.xzパッケージを作成する際に使用される。作成されたパッケージもまた、Pacmanによりインストールおよび管理が可能である。

[編集] AUR

公式リポジトリに加え、Arch Linuxユーザコミュニティリポジトリ(Arch Linux User-community Repository; AUR)では、ユーザが作成した、リポジトリに存在しないパッケージのPKGBUILDスクリプトが提供される。 PKGBUILDスクリプトは依存関係のリストアップとチェックおよびArch Linuxアーキテクチャに適した設定によりソースからのビルド作業を簡略化する。スクリプトはArch Linuxウェブサイトからダウンロードできるが、「yaourt」のようなツールでダウンロードおよびビルドのプロセスを合理化することができる。「yaourt」などのツールは公式リポジトリに存在しないパッケージのPKGBUILDスクリプトをAURから検索しそれらを自動的にダウンロードおよび実行する[15]

AURには以下の理由によりリポジトリに収容されないパッケージも提供している:

ライセンス問題
再配布は認められていないが利用はフリーなソフトウェアはAURに収容される。Arch Linuxウェブサイトで運営されるAURには実際にはそれらソフトウェアの提供サイトからダウンロードするPKGBUILDスクリプトが収容されている。Google EarthRealPlayerなどが該当する。
変更された公式パッケージ
AURには公式パッケージの様々なバリエーションも収容される。公式パッケージのベータバージョンなどが該当する。

あらゆるソフトウェアのPKGBUILDSは一般のユーザが提供することができ、あらゆるPKGBUILDはそのポリシーによりAURでの制限を受けずにcommunityリポジトリへ登録するための投票を受けることができる。

[編集] バージョン

[編集] 「ローリング・リリース」

Arch Linuxは、Gentoo Linuxなどと類似した、ディストリビューションの明確なバージョンを持たない「ローリング・リリース」システムを採用している。新しいバージョンのパッケージは日々提供され、このパッケージ管理手法は、利用者がシステムを常に最新の状態に保つことを可能にしている[16]。Arch Linuxのリリースは、単なるパッケージ集合の最新スナップショットであり(修正インストールソフトウェアが伴なうこともある)、離散的なリリースごとにユーザの移動を奨めるようなものではない。インストール後の更新さえ行えば、どのリリースをインストールしても違いが生じないのである。実際にArchのフォーラムにはインストールの古さを誇示しているユーザが見受けられる。

バージョン2009.02以降、最適なハードウェアサポートを行うために、カーネルのバージョンアップにあわせてリリースが行われることになった。これは、およそ3、4ヶ月おきに新たなリリースが出ることを意味する。

[編集] リリース

日付 バージョン コードネーム カーネル
2011-08-20 2011.08.19 3.0.3
2010-05-17 2010.05 2.6.33.4
2009-08-10 2009.08 2.6.30.4
2009-02-16 2009.02 2.6.28
2008-06-24 2008.06 Overlord
2008-03-31 2008-03-1 Core Dump
2007-10-07 2007.08-2 Don't Panic
2007-08-05 2007.08 Don't Panic
2007-05-17 2007.05 Duke
2007-03-31 0.8 Voodoo
2006-05-23 0.7.2 Gimmick
2006-01-05 0.7.1 Noodle
2005-01-24 0.7 Wombat
2004-03-01 0.6 Widget
2003-06-21 0.5 Nova
2002-12-18 0.4 Dragon
2002-08-07 0.3 Firefly
2002-04-17 0.2 Vega
2002-03-11 0.1 Homer

[編集] 派生プロジェクト

  • Chakra - KDEをモジュール化したKDEmodデスクトップ環境を標準とし、Qtベースのグラフィカルインストーラやアップデータ、パッケージマネージャ (Pacmanのフロントエンド) などを提供し、Arch Linuxよりもユーザフレンドリなディストリビューションにフォーカスしている。ChakraはArch Linuxのフォークであり、独立したプロジェクトである[17]
  • ArchBang - Arch Linuxをベースに、インストールメディアおよびデフォルトのウィンドウマネージャに最小主義のOpenboxを採用したもの。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ ArchWiki :: Beginners Guide - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
  2. ^ The Arch Way”. 2008年9月7日閲覧。
  3. ^ phraktured.net: Archway”. 2008年9月7日閲覧。
  4. ^ Arch Linux Forums / Arch Leadership”. 2008年9月7日閲覧。
  5. ^ [arch] Pronnounciation of our beloved distribution's name”. 2008年9月7日閲覧。
  6. ^ We're Changing Our Name!” (2007年4月1日). 2008年7月14日閲覧。
  7. ^ Arch Linux: An End To My Distro Shuffle?”. www.osnews.com. 2008年10月24日閲覧。
  8. ^ PolishLinux.org Wiki: Arch Linux”. 2008年10月24日閲覧。
  9. ^ ArchWiki :: Beginners Guide - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
  10. ^ Wordpress :: Arch 2008.06 Review”. 2008年9月7日閲覧。
  11. ^ ArchWiki :: Pacman - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
  12. ^ Pierre Schmitz (2010年3月23日). “Switching to xz compression for new packages”. Archlinux.org. 2010年3月23日閲覧。
  13. ^ “Arch Linux Newsletter 08-04-2008”. http://www.archlinux.org/static/newsletters/newsletter-2008-Aug-04.html 2008年9月7日閲覧。 
  14. ^ ArchWiki :: ABS - The Arch Build System - ArchWiki”. 2008年9月7日閲覧。
  15. ^ Intervju: Arch Linux: Popular KISS distro”. [1]. 2008年10月24日閲覧。
  16. ^ DVD-Guides.com - Arch Linux Review”. 2008年9月7日閲覧。
  17. ^ DistroWatch, DistroWatch.com: Chakra GNU/Linux, distrowatch.com, http://distrowatch.com/table.php?distribution=chakra 2011年9月1日閲覧。 

[編集] 外部リンク

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