Puppy Linux

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
Puppy Linux
Banner logo Puppy.png
Slacko Puppy 5.6 のデスクトップ スクリーンショット
Slacko Puppy 5.6 のデスクトップ スクリーンショット
開発元企業 / 開発者 Barry Kauler / Puppy community
OSの系統 Linux
開発状況 開発中
ソースモデル FLOSS
最新安定版リリース Wary・Racy 5.5 / Slacko 5.7 / Precise 5.7.1 / 2014年5月10日(5か月前) (2014-05-10
パッケージ管理 PetGet
カーネル種別 モノリシックカーネル
既定のユーザインタフェース JWM
ライセンス 各種
ウェブサイト www.puppylinux.com

Puppy Linuxパピーリナックス)とは、Linuxディストリビューションの一つ。独自に開発されたLive CDLinuxディストリビューションであり、3.0以前はSlackwareと高い互換性を持っていた。現在はSlackware・T2・Ubuntuをベースにした各バージョンが開発・公開されており、それぞれのパッケージ利用が可能となっている。 単に Puppy と略して呼ばれることもある。

概要[編集]

ハードディスクにインストールする必要がないLive CDとして、全てCDから起動させることが可能である。広く一般に公開され、GPLライセンスに従って配布されており、無償で利用することが可能である。パピー(子犬)がそのマスコットになっている。

特徴[編集]

  • Live CDとして提供されるが、ハードディスク及びUSBメモリへのインストールも可能。
  • 動作保証する環境が、CPUがPentium 166MMX、メインメモリが128MB(〜4.x系)・256MB(5.x系)であり古いパソコンでも動作可能。[1]
  • 起動時にRAMへシステムを読み込み利用する仕組みで、ハードディスクが無くても運用できる。
  • 起動時以外はLive CDが不要であるため、CDドライブを他の目的に使用可能。ただし、システムの読み込みの際には20倍速以上のCDROMドライブを装備していることが望ましい。
  • パッケージの基本的な管理は、PETパッケージ・マネージャーによって行う。採用されているパッケージ形式は、PET。その実態はディレクトリ構成+インストール情報をパッケージしたtgzファイルである。
  • 色々な個人設定はメディアやハードディスクへ恒久的に保存できる。
  • リマスタリング機能を利用することで、ユーザーは独自にカスタマイズしたLive CDを容易に作成することが可能。
  • 主要アプリケーション及びライブラリをSlackware、T2、Ubuntuから移植している他、多くのアプリケーションがスクリプトによって構築されている。
  • 4.3以降の版ではパッケージマネージャがDebian、Ubuntuなどで使用されている.debパッケージに標準対応し、Ubuntuのパッケージを利用できるようになった。ただし、ライブラリの不足により動作しない場合がある。

歴史[編集]

オーストラリアの Barry Kauler によって開発された Linuxディストリビューションである。公式ウェブサイトでは英語版がその公式なリリースとして公開されているが、現在世界的な人気を得て各国語版に改編されたバージョンが多く存在し、[2]公認された日本語版も存在する。

リリース[編集]

主なバージョンおよびリリース日は以下の通り。

バージョン 4 まで[編集]

バージョン リリース日 備考
0.1 2003年6月18日[3] 初公開
1.0 2005年3月29日[3]
2.0 2006年6月1日[4]
2.16.1JP 2007年7月17日[5] 初の正式日本語版がリリースされた。
3.0 2007年10月14日[6]
4.0 2008年5月5日[7] T2プロジェクトからアプリケーション及びライブラリのソース取り込み。
GTK2 を使用するプログラムのみで構成し、UIの統一。
4.1 2008年10月6日[8] 起動スクリプトの見直しによって起動時間の短縮が図られた。
4.2 2009年3月28日[9] Barry K 以外の人物(フォーラムメンバー)がプロジェクトリーダーを務めた。
WindowsVistaを意識したデスクトップ。
4.3 2009年9月18日[10] Barry K プロジェクトリーダーに復帰。4.12以前の簡素なデスクトップとなる。

バージョン 5 以降[編集]

バージョン 5以降の Puppy Linux はいくつかの系列に分かれている。これまでにも Barry K 以外の人物がプロジェクトリーダーを務める、コミュニティ・エディションと呼ばれるもの(バージョン 4.2 など) があった。また、「公式」ではない派生も多く存在した。バージョン 5以降はむしろそれら派生の中から Barry K が後付けで「公式」と宣言した経緯のものがある。Playdayz が主宰する Lucid Puppy(Lupu)、01micko が主宰する Slacko の2つがそれである。この2つが「公式」と宣言された後に、 Barry K 自身も Wary、続いて Racy を開発したために、これらの系列が並列することとなった。その後 Barry K は Precise Puppy の開発に着手。Wary/Racyはサービスパック5.5.1 を最後に、Precise Puppy に集約される見込み[11]

Precise Puppy[編集]

Barry K による開発。Ubuntu 12.04.1(Precise Pangolin) とバイナリ互換。Ubuntuの膨大なリポジトリにアクセスできる。Precise Pangolinは5年間のLTS(Long Term Support、長期サポート)であるため、Precise Puppyも同等に扱われる。PAEカーネルが通常となり、non-PAEは"retro"という扱いになった。

バージョン リリース日 備考
Precise Puppy 5.4 2012年10月23日
Precise Puppy 5.5 2013年3月10日[12]
Precise Puppy 5.6 2013年5月21日[13]
Precise Puppy 5.7 2013年7月29日[14]
Precise Puppy 5.7.1 2013年8月3日[15]

Slacko Puppy[編集]

01micko をリーダーとするプロジェクトチームによる開発。Slackware ベース。カーネル、ライブラリに比較的新しいものを採用。32bitOSながら 3GB超えのRAMをサポートする PAEカーネルのものもリリースしている。

バージョン リリース日 備考
Slacko Puppy 5.4 2012年12月2日[16]
Slacko Puppy 5.5 2013年3月6日[17]
Slacko Puppy 5.6 2013年8月13日[18]
Slacko Puppy 5.7 2014年5月10日[19]

Wary Puppy・Racy Puppy[編集]

Barry K による開発。T2ベース。Xサーバーは Puppy 4.x系と同じで、比較的古いハードウェア(グラフィック・カード)のサポートを意図している。RacyはWaryに比べ新しいカーネルや Xサーバーを採用し、最近のハードウェアへのサポートを意図している。カーネルと Xサーバー以外は基本的にWaryとRacyで同じ。バージョン 5.2.2 から WaryとRacyが基本的に同時リリースされている。

バージョン リリース日 備考
Wary 5.0 2010年12月29日[20] Barry KによるWary(慎重なパピー)最初の正式リリース
Wary / Racy 5.5 2013年3月3日[21]
Wary / Racy 5.5.1 2013年5月13日[22] サービスパックのみのリリース

バージョン5.5へのサービスパック(5.5.1)を最後に、今後は Precise Puppy に集約される見込み[11]

Lucid Puppy[編集]

Playdayzをリーダーとするプロジェクトチームによる開発。Ubuntu 10(Lucid) とバイナリ互換。カーネル 2.6.33.2 や主要ライブラリを変更することなく改良、保守が続けられた。Lupu-5.2.8-005 を最後に更新対象から外されている。

バージョン リリース日 備考
Lucid Puppy 5.0 2010年5月15日[23]
Lucid Puppy 5.1 2010年8月13日[24]

Raring Puppy[編集]

Barry K による開発。Ubuntu 13.04(Raring Ringtail) とバイナリ互換。現在アルファ版のみが公開されている。

バージョン リリース日 備考
Raring Puppy 5.7alpha1 2010年6月16日[25]
5.6.94 (5.7alpha2) 2010年6月29日[26]

パピーリナックス日本語版[編集]

パピーリナックス日本語版
Banner logo Puppy.png
Precise Puppy Linux (Precise-550JP) デスクトップ スクリーンショット
Precise Puppy Linux Precise-550JP のデスクトップ画面
開発元企業 / 開発者 Barry Kauler / Puppy community / パピーリナックス日本語版開発チーム
OSの系統 Linux
開発状況 開発中
ソースモデル FLOSS
最新安定版リリース Precise-571JP / 2014年1月18日(8か月前) (2014-01-18
パッケージ管理 PetGet
カーネル種別 モノリシックカーネル
既定のユーザインタフェース JWM
ライセンス 各種
ウェブサイト openlab.jp/puppylinux

パピーリナックス日本語版Puppy Linux-)はPuppy Linuxを日本語化し、使いやすくするようにアプリケーションの追加・修正などを独自に行っているバージョン。公認でありながらも日本語版だけのリリースが行われたり、アイコンや背景等も独自のものを用意するなど、日本語版独自の動きもあるのが他のLinuxプロジェクトとは大きく異なる特徴である。日本語版独自のキャラクターとして犬張子が採用されている。

リリース[編集]

バージョン リリース日 備考
パピーリナックス 2.16.1 日本語版 2007年7月17日[5] 初の正式日本語版がリリース。
パピーリナックス 3.01 日本語版 2007年11月28日[5] 3.x 系の日本語版リリース。
パピーリナックス 4.0 日本語版 2008年7月2日[5] 4.x 系の日本語版リリース。
パピーリナックス 4.1.1 日本語版 2008年12月6日[5]
パピーリナックス 4.1.2 日本語版 2009年1月19日[5]
パピーリナックス 4.2 日本語版 2009年5月27日[5]
パピーリナックス 4.3 日本語版 2009年10月14日[27]
パピーリナックス 4.3.1 日本語版 2009年12月1日[28] 日本語版では独自の改善が加えられている。
Wary-511-01J 2011年4月18日[29] Wary 5.1のbugfixとアプリのVerUp。日本語版独自の改善が加えられている。
431JP2012 2012年3月15日 4.3.1日本語版リリース以降2年余の改良成果を加えた。日本語版独自のリリース。
Lupu-528JP 2012年7月27日[30] Lucid 5.2.8.005をベースに日本語化、日本語版独自の改良も加えられている。
Precise-550JP 2013年6月14日[31] Precise 5.5をベースに日本語化。
Precise-571JP 2014年1月18日[32] Precise 5.7.1-retroをベースに日本語化。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 近年は大容量のメモリに対応する PAE 対応版も配布されるようになり、日本語版では Precise-550JP が PAE 対応のみで配布されている。
  2. ^ Barry Kauler (2008年). “Puppy-related web sites” (英語). 2010年3月9日閲覧。
  3. ^ a b Barry Kauler (2003年). “Puppy developer news: year 2003” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  4. ^ Barry Kauler (2008年). “Puppy developer news: from 1.09 to 2.01” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g パピーリナックス日本語版 (2010年). “パピーリナックス日本語版更新履歴”. 2010年3月10日閲覧。
  6. ^ Barry Kauler and the Puppy Team (2007年10月). “Release notes for Puppy Linux version 3.00” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  7. ^ Barry Kauler (2008年5月). “Announcement and release notes for Puppy Linux 4.00” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  8. ^ Barry Kauler (2008年10月). “Announcement and release notes for Puppy Linux 4.1” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  9. ^ Barry Kauler (2008年). “Puppy Linux 4.2” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  10. ^ Barry Kauler (2009年10月). “Announcement and release notes for Puppy Linux 4.3” (英語). 2010年3月10日閲覧。
  11. ^ a b Barry Kauler (2013年5月25日). “Precise: the new Wary?” (英語). 2013年5月25日閲覧。
  12. ^ Barry Kauler (2013年3月10日). “Precise Puppy 5.5” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  13. ^ Barry Kauler (2013年5月21日). “Precise Puppy 5.6” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  14. ^ Barry Kauler (2013年7月29日). “Precise Puppy 5.7” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  15. ^ Barry Kauler (2013年8月13日). “Precise Puppy 5.7.1” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  16. ^ Barry Kauler (2012年12月2日). “Slacko Puppy 5.4 final” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  17. ^ Barry Kauler (2013年3月6日). “Slacko 5.5 released” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  18. ^ Barry Kauler (2013年8月13日). “Slacko Puppy 5.6 released” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  19. ^ Barry Kauler (2014年5月10日). “Slacko Puppy 5.7 released” (英語). 2014年5月22日閲覧。
  20. ^ Barry Kauler (2010年12月29日). “Wary Puppy 5.0 released” (英語). 2010年12月29日閲覧。
  21. ^ Barry Kauler (2013年3月3日). “Wary (and Racy) 5.5 released” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  22. ^ Barry Kauler (2013年5月13日). “Service Pack for Wary/Racy 5.5” (英語). 2013年5月13日閲覧。
  23. ^ Announcement and release notes for Lucid Puppy 5.0.1” (英語) (2010年5月). 2010年5月29日閲覧。
  24. ^ Barry Kauler (2010年8月13日). “Puppy Linux 5.1 released” (英語). 2010年8月25日閲覧。
  25. ^ Barry Kauler (2013年6月16日). “Raring Puppy "5.7alpha1"” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  26. ^ Barry Kauler (2013年6月29日). “Raring Puppy 5.6.94 (5.7alpha2)” (英語). 2013年9月18日閲覧。
  27. ^ パピーリナックス4.30日本語版リリースノート”. パピーリナックス日本語版開発チーム (2009年10月14日). 2010年3月8日閲覧。
  28. ^ パピーリナックス4.3.1日本語版リリースノート”. パピーリナックス日本語版開発チーム (2009年12月1日). 2010年3月9日閲覧。
  29. ^ パピーリナックスWary-511-01jをリリースしました”. パピーリナックス日本語版開発チーム (2011年4月18日). 2010年4月18日閲覧。
  30. ^ パピーリナックス Lupu-528JP”. パピーリナックス日本語版開発チーム (2012年7月27日). 2013年10月1日閲覧。
  31. ^ パピーリナックス Precise-550JP”. パピーリナックス日本語版開発チーム (2013年6月14日). 2013年10月1日閲覧。
  32. ^ パピーリナックス Precise-571JP”. パピーリナックス日本語版開発チーム (2014年1月18日). 2014年1月18日閲覧。

外部リンク[編集]

日本語[編集]

英語[編集]