アンプ

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アンプ音声増幅する音響機器。英語名amplifierの略称から慣例的にこのように呼ばれることが多い。入力信号の電圧電流または電力を大きくして出力する(それぞれ、電圧増幅・電流増幅・電力増幅)電子回路である。用途、出力の大きさ、付加機能によりいくつかの種類がある。

SOUND WARRIOR SW-10 真空管アンプ

目次

[編集] 音響分野

音響分野では、レコードプレーヤーCDプレーヤーチューナーカセットプレーヤーなどの再生装置からの出力を増幅する増幅器をプリアンプ、あるいはコントロールアンプと呼び、プリアンプからの出力をスピーカーを鳴らせるほどまで増幅する増幅器をメインアンプあるいはパワーアンプと呼ぶ。1台で両方の機能を持つアンプをプリメインアンプまたはインテグレーテッドアンプ(総合アンプ)という。プリメインアンプの中には、プリ部とメイン部を切り離して使えるものもあった。

[編集] プリアンプ(コントロールアンプ)

レコードが主なメディアだった時代は、カートリッジの微少な出力を増幅し、RIAA特性を平坦にするフォノイコライザアンプが必要で、プリアンプに内蔵されることがほとんどだった。この部分だけを独立させたものをフォノアンプなどという。現在では主要メディアがCDに移行し、もはやフォノイコライザを持たない機種もある。その点ではプリアンプの意義は薄れている。だが、プリアンプは単に信号を増幅するだけでなく、高音域、中音域、低音域をそれぞれ大きくしたり小さくしたりできるトーン・コントロールつまみや、ステレオの左右の信号の大きさを調整する(左右)バランス調整つまみ、複数接続されている再生装置のどれを再生するかを選べる入力切替スイッチ入力セレクタ・スイッチ)、テープレコーダへの入出力を制御するテープモニタースイッチなどの機能が付いていることが多い。

[編集] メインアンプ(パワーアンプ)

これに対し、メインアンプは、単に電力を増幅するだけで、出力音量を調整するボリュームつまみが唯一付いているだけの機器が一般的である。また、プリアンプの使用を前提とし、ボリュームすら無いものも少なくない。CD時代になり、機器の出力レベルとインピーダンスがラインにほぼ統一された現在、プリアンプによる音質の劣化を嫌い、CDプレーヤー等を直接メインアンプに接続する場合もある。ただしボリュームが無いメインアンプではこういう使い方はできず、またメインアンプに付属するボリュームはプリアンプ付属のボリュームよりも質が劣る場合が多いため、必ずしも音質向上する訳ではない。メインアンプは発熱が大きいので放熱に注意しなければならない。

[編集] プリメインアンプ

インテグレ-ティッドアンプともいう。プリアンプとメインアンプの両方の機能を単一の筐体に持たせたもの。現在では一般的にはこの形が標準となっている。上記のプリアンプの持つ機能を持つから、前面にはそのような入力切り替えや音量と音質調節のボタン類が並び、背面には各種入力端子と共にスピーカ用の端子がある。スピーカを二系統切り替えられるようになっているものも多い。

安価な機種ではさらにチューナーを内蔵したチューナーアンプ(これはレシーバーとも呼ばれる)、CDプレーヤーを組み込んだ機種などもある。高級機種は普通はセパレートアンプ、つまりプリアンプとパワーアンプを分けるので、プリメインアンプには100万円を超えるような機種はまずないが、しかし次第に高額機種も出現している。そのようなものでは、外見では一体ではあるが、内部はほぼ完全に区分されている例もある。また、外部にプリ部分とメイン部分の接続端子を持つ例もある。それを繋いだままなら一体のプリメインアンプとして使え、それを外せば別のプリアンプ、あるいはメインアンプを接続してセパレートアンプとして使える。グレ-ドアップする際に一気に買い換えせずにすむ、という利点がある。

[編集] 増幅素子

初期の頃は、電磁力と機械機構を組み合わせた物(リレー)が使われたが、真空管が発明されると飛躍的に性能が向上しラジオ電気蓄音機に組み込まれた。

現在では真空管に代わってトランジスタIC等が使われ、電力効率、寿命が著しく向上した。アナログ回路が主流であるが、入力信号をデジタル化して内部処理をすべてデジタル信号のまま処理するデジタルアンプも実用化されている。

現在でも一部オーディオマニアの間では真空管によって増幅された音質が好まれることがあるため、これらの需要を満たすためロシアや東欧、中国で生産され続けていた真空管が用いられるだけでなく、米国ウエスタンエレクトリック社では真空管の再生産を始めた。

1920年代真空管アンプ

[編集] デジタルアンプ

現在デジタルアンプとは音声変調したPWM波やPDM波の形で増幅するアンプを指し、増幅方式はD級増幅に分類される。従って、デジタル入力を備えた製品でも、CDなどから入力されたデジタル信号(PCM信号)をそのまま増幅するわけではない。デジタルアンプでは入力信号により変調されたパルス波の振幅を増幅するため、最終出力段のトランジスタはONかOFFかの単純なスイッチング動作となり、アナログアンプに比べ電力効率が飛躍的に高いことが最大の特長である。基本的な原理は、電圧可変スイッチング電源の出力電圧を入力(音声)信号に応じて変化させることと等価である。

D級増幅を世界で初めて採用した市販のオーディオアンプは、1977年に発売されたソニーのTA-N88である[1]。これは、自励発振型のPWM変調回路により入力信号からアナログ的にPWM波を生成するものであるため、これを世界初のデジタルアンプとするかについては意見が分かれるものの、今日のデジタルアンプの原型となるアンプである。

また、デジタルアンプはその電力効率の高さから小型オーディオや携帯オーディオなどのアンプ、また多チャンネルを扱うAVアンプ用としてよく用いられるほか、従来のアナログアンプにない特長を活かしたハイエンド機のアンプとして販売されているものもある。 中でも、1999年8月にシャープが発売したΔΣ1bitデジタルアンプ SM-SX100は有名であり、これは同社が高級オーディオアンプ(標準価格100万円)として十数年ぶりに発売したもので、その後もモデルチェンジを重ねている。

かつてCDが登場した頃にデジタルアンプと呼ばれたのは、DAコンバータを内蔵しデジタル入力を持つアンプの事であり、内蔵のコンバーターでアナログ変換した後の信号処理は非デジタルアンプと同一であり、現在デジタルアンプと呼ばれているものとは本質的に異なる。またAVアンプについても、デジタルアンプと呼ばれるものが多いが、詳細は後述する。

[編集] AVアンプ(AVセンター)

オーディオビジュアルアンプ(センター)。ホームシアター用のアンプである。映像信号の入出力もでき、セレクターとしての機能も持っているのが、AVアンプの特徴である。前述のプリアンプ、プリメインアンプがCD等を初めとする左右2chの信号を扱うのに対して、AVアンプはサラウンド機能を持ちそれ以外のchを有するものが多い。

初期のAVアンプには、単にオーディオ用のアンプに映像信号の入出力端子を追加したものが多く、音声信号は2chであった。

その後サラウンド機能を持つAVアンプが登場する。1980年代半ばよりステレオ再生と互換性のあるドルビーサラウンドが登場し、ビデオソフトの音声としても普及したため、それに対応するAVアンプが増加した。また、通常のステレオ音声であっても、各社独自の信号処理によりサラウンド化するようになった。最初は3chの簡易的なもの(リアchはモノラル)であったが、後にセンター信号と方向強調回路を付加し5chとしたドルビープロロジック方式が登場した。

1990年代後半以降にドルビーデジタル方式が、主にDVD-Videoソフトの普及によって浸透する事となる。一般的にフロント左右、サラウンド左右、センター、ウーハーの5.1ch分(ウーハーは再生する音声信号が低音成分のみの狭い音域のために、0.1chと表現されている)を扱う。DVD-Video・デジタル放送の普及に伴いDTSAACにも対応した製品が増えた。最近では2chや2.1chで仮想サラウンド再生が可能な製品が多く、サラウンドバックなどを加えた6.1ch、7.1ch、9.1ch音声を出力する製品も存在する。

初期のステレオ信号ないしドルビーサラウンドに対応したAVアンプは、入力される音声信号はアナログであったが、その信号をデジタル化して処理する例が多かったため、そういう意味でデジタルアンプと呼ばれた製品も多いが、現在のD級増幅のデジタルアンプとは異なるものである。現在のAVアンプはDVDプレーヤー等からデジタル出力されたソースに対応しており、またアナログ信号であってもデジタル化の後でD級増幅しており、現代的な意味でデジタルアンプと言える製品が多い。

2006年頃からBlu-ray Disc等に伴ってHDMI入出力を備えたAVアンプが登場、2008年前後には普及価格帯に広がった。従来のS/PDIF端子では扱えないドルビーTrueHDDTS-HDマスターオーディオなどに対応する(低価格機種はTrueHD・DTS-HD等のデコーダを省略し、再生機側でデコードした非圧縮音声の再生のみ対応する場合がある)。またHDMIの映像信号を中継するだけでなくアナログ映像入力をデジタル化・アップコンバートして出力できる製品も存在する。

音楽専用の2chアンプに比べて多くのチャンネルの音声と映像信号を同時に制御するため、同価格の物では内部の部品や電子回路の品質に差があったり、音声の再生に不要なノイズの発生や回路の複雑化、他チャンネルが干渉し合うことがある。このためかつてはAVアンプの音質は、より低価格のプリメインアンプの音質と比べても劣ると言われた事があった(各種機能を付加しているため、同価格のプリメインアンプに対して劣るのは当然の話である)。ただしこれはアナログ信号を扱う場合の話であり、現在のD級増幅のデジタルアンプにおいては、入力信号もデジタルである場合には音質も極めて高いと評価される製品も多い。

[編集] ヘッドホンアンプ

ヘッドホン専用のアンプ。ヘッドホン端子の無い製品に接続する目的や、より高音質でヘッドホンリスニングする為に使用される。複数台のヘッドホンの同時使用が可能な製品も多く存在し、複数人がヘッドフォンで同じ入力をモニターできる。

[編集] ICアンプとディスクリートアンプ

アンプには信号増幅をIC(集積回路)で行うICアンプと、集積していない回路で行うディスクリートアンプがある。ICアンプのメリットは、部品点数を減らしてコストを下げられることと、全体のサイズを縮小できることにある。ディスクリートアンプのメリットは、部品を選定してより品質の高い回路を組めることにある。

[編集] 著名なブランド

[編集] 級について

増幅回路には、増幅方式を示す分類としてA級・B級・AB級・C級・D級などがある。これは、製品の優劣による等級ではなく、増幅回路の方式による分類である。増幅素子では出力が小さすぎる場合や大きすぎる場合に歪が発生するが、級の違いによってこの歪の特性が異なる。そのため、音響機器としてのアンプの増幅方式の違いは大きな関心事となる。

アナログアンプの場合、主にスピーカへの出力を担う増幅回路(出力段、終段と呼ばれる)の方式によって分類され、A級・B級・AB級が使われる。また、D級とは、デジタルアンプで用いられる増幅方法である(それぞれの詳細は増幅回路を参照のこと)。

[編集] 擬似A級

トランジスタの非直線性領域を使用しないA級は、B級やAB級よりも歪の発生する要因が少ないが、消費電力や発熱などの制約により大出力を得ることは難しい。この克服をアピールした製品が1970年代末頃から1980年代にかけ流行した。

B級あるいはAB級を基本としながら、信号波形に応じて出力段のバイアス量を変化させるなど、非直線性領域を使用しない工夫が施された製品であり、「疑似A級」と総称される。

本来の意味でのA級が用いられている機種は、この「疑似A級」と区別するために「純A級」とも呼ばれ、高級機の一部にのみ存在する。

擬似A級の各社の呼称例

  • 「A+級(Class A+)」、「Class AA」、「New Class A」(テクニクス)
  • 「ピュアA級」、「ノンスイッチングA級」、「New Super Optical Class A」(デンオン)
  • 「HCA回路」、「Dual Amp Class A」(ヤマハ)
  • 「ピュアA」(ケンウッド)
  • 「スーパーA」(日本ビクター)
  • 「クォーターA」(マランツ)

他、多数。

[編集] その他の級

Lo-Dでは、信号の大きさによって電源電圧の高低を切り替え、アンプの効率を高める方法が「E級」と呼称されていた。

[編集] 参考文献・出典

[編集] 関連項目