オーディオマニア
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オーディオマニア[1]は音楽の再生について、音質に極限まで拘る志向を持つ人々のことである。中には音響機器に自分の財産の大半をつぎ込む人もいる。
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[編集] 概要
オーディオを趣味とする人がはじめに現れたのは、家庭用電気式蓄音機(電蓄)が登場しはじめた1930年代の米国である。まだ日米関係も悪化していない時代であり、米国の情報を受け、日本でもほぼ同時期に既にオーディオを趣味とする人が現れている。欧州でも同時期に同様の動きがあったようである。その基本的趣向は現在のオーディオを趣味とする人、オーディオマニアとあまり差はない。
これらに類するとされる人々は、家電量販店等で販売しているような、大衆向けの安価でコンパクトなミニコンポなどは買わない。基本的にはプレイヤー、アンプ、スピーカーの高級品を揃えたり、自作する。スピーカーケーブルや電源ケーブル、コンセントなどにまで拘るのはごく当然なことであるという。また、高級オーディオにおける『よい音』の定義とは人の感覚や好みによる部分が多く、反響板を設置したり部屋の壁の材質を工夫するなど、CD等の媒体の記録情報以外の音にも求める部分が多い。従って、レコーディングスタジオ等の原盤を製作する設備における、如何に記録情報のみを精確に確認することができるかという意味での原音再生と、オーディオマニアのいう原音再生は方向性として違う場合が多い。また、オーディオマニアが思い描く『よい音』が、実際に生演奏を行いその音を身近で聞いているミュージシャンが思う『よい音』と一致しない場合も多い。極端なオーディオマニアになると、例えばオーケストラのコンサートを視聴した際、演奏内容を別にすれば「我が家のオーディオの音の方が上だ」と感じ、現実の生演奏の音響に落胆する事があるようである。
音響機器は交流電源である家庭用電灯線から電力を得ているためハムノイズ等の問題をはらみ、また住宅街にあっても周辺環境の雑音は完全に防ぐ事は難しい。逆に自分の楽しんでいる音が、周囲には騒音となってしまうケースもあるため、これら騒音や雑音の問題解消には、細心の注意を払う傾向が見られる。中には専用の防音室を用意する人もおり、この防音室の施工を専門的に行う業者も存在している。
[編集] 音源・機材に対する指向
音源はデジタルを支持する者と、アナログレコードに趣を求める者がいる。[2]
[編集] レコード指向
オーディオマニアは「空気感」(まるで目の前で演奏しているかのように感じること・「臨場感」とも言う)を求める傾向が根強く、CDは20Hz~20,000Hzまでしか記録・再生できず、空気感が足りないと指摘する意見がある。またデジタル録音では使用不能音域の音は完全に切り取られるため、「音の連続性が損なわれる」などの主張も見られる。優秀録音レコードの場合はプレーヤーを吟味する事で、いくらでも音質の向上が期待でき、スタジオ用の高価なプレーヤーに掛けた場合に、オーケストラでは指揮者の振るタクトが風を切る音まで立体的に再生されるという話まである。
ただし、現実問題としてアナログレコードでCDよりも優れた再生は困難である。さまざまな理由があるが、端的に述べると、高価・高級な機器を最大限に使いこなせばアナログレコードは最高の音質を発揮できるが、その条件を満たさない機器で再生すると、単純に比較してもCDを下回ってしまう。アナログレコードがその本領を発揮できるかどうかは再生機器の性能に大きく左右され易い。また、レコード針がアナログレコードの盤面の音溝をなぞるという再生原理上、再生回数が増えるにつれ音溝が磨耗し音域が徐々に失われる。その際にまっさきに失われるのは、皮肉にも一部のオーディオマニアが重要視している20,000Hz以上の高音域の音である。また、再生を行うまでの手順がCDに比べ煩雑であり、針やカートリッジなどの交換が必要となる部品が存在することもあり、今日ではオーディオマニアの中でさえ、「アナログレコードは贅沢な趣味」という意見がある。最近になりSACDやDVD-AUDIO等の高音質媒体の登場により、人気はアンプのデジタル化の流れともあいまってデジタル移行の傾向も見せている。iPodの登場は、デジタル音源を音声ファイルでCD以上に手軽に楽しめる流れを作り出し、マニアを含めた音楽愛好家のデジタル移行に一層拍車をかけている。
当然ながらアナログであっても記録できる周波数帯域には限界がある。記録できる帯域は、時間あたりの情報記録密度よりも再生時間の延長を目指したLPレコードで100Hz~10数KHz程度であり、CDの帯域よりも狭い。周波数帯域を制限する主な要因は、レコードの線速度である。また、レコードは角速度(回転数)が一定であり、内側に行くほど線速度が遅くなっていく。その為、内側に録音された音楽ほど高周波特性が悪く(帯域が狭く)なっていくと言う特徴がある。
詳細は「レコード」を参照
以上のような欠点があるものの、「温もりがある」、「柔らかい(耳に優しい)」、「自然」と形容されるレコード特有の音響に魅了されるアナログサウンド愛好家は現在も根強く存在する。一部のレコードを除けば周波数帯域がCDより狭い事、周波数特性が均一ではなく中音域主体である事が愛好家には好ましく聞こえるようである。また、ハイファイという観点では明らかに欠点である雑音に郷愁を感じ、それを好意的に捉える愛好家が一部で存在する。レコードの音は高級機器の使用や工夫次第で著しく向上するため(特に高音域と低音域で顕著)、レコードの愛好家は自然とオーディオマニアへの道に進む傾向がある。
[編集] CD指向
[編集] 機材に対する嗜好と音源ソース
その一方で、高音質を追求してゆく高級オーディオ(通称「ピュアオーディオ」)分野には、空気感や臨場感の追求のみが主目的となり、レコードについてはただ音源としてのみ関心を持ち、一番肝心な音楽の芸術性や演奏者の感性などにはほとんど興味を持たず、技術的な高音質化ばかりにこだわる本末転倒な者も多い。
レコードなどの記録媒体に録音された音楽そのものよりも、オーディオというシステムの技術的限界を独自に追及している技術者的、あるいは機材に対する蒐集癖指向を持つ者もおり、一部ではあるが音質向上の為ならば機器の改造や内部パーツの交換などまで自力で行うという者も存在する。
[編集] 機器の価格
音響機器は低価格機から高級機まで値段の幅が限りなく広い(最高級機は数千万円する製品も多く上限が存在しない)が、必ずしも高ければ高いほどいい音であるというわけではない。プレイヤー、アンプ、ケーブル、スピーカーにはそれぞれコンセプトや個性があり、高級なものになればなるほどその度合いが強くなる。それらの相性を考慮し、うまく組み合わせて好みの音を作るのがマニアにとっての楽しみでもあり、探求すべきところでもある。たとえ高級かつ高額なものばかりを組み合わせても、相性が悪ければ音は低価格の音響機器の音と大して変わらなく聞こえるという皮肉な結果を招く。逆に安価な製品では、ある程度の妥協が設計段階に存在するため、オーディオマニアには不評であることが多い。
投資金額は個人差が激しいが、平均的所得のオーディオマニアは機器1台あたり普及品価格の3倍から100倍程を投資する。CDプレーヤーを例に挙げると、仮に普及価格が2万円の装置の場合、初心者やライトユーザーは6万円から10万円の機器。中級ユーザーは20万円から50万円。熱狂的なオーディオマニアになると150万円以上の装置を購入する。
[編集] 機器のコレクション性
オーディオマニアを理解する上で重要な要素に、音以外の部分がある。それは極めて豪華な意匠や素材である。これは高額な機器になればなるほど顕著な傾向にある。意匠が一見シンプルに見えるが実際には素材や表面加工などで贅を尽くしたものなども見られる。これらは時として音質と同等の価値を持って受け入れられるもので、一部のオーディオ評論家やマニアの中には、デザインや質感だけで購入を決断する者も少なくなく、大半のオーディオマニアにとっては音質の次に注目する点である。また、近年ではアンプなどで真空管が機能以外にも意匠面での興味をもって取り込まれる事が見られる。
これは趣味としてのオーディオが視覚上も大きな価値を示している訳で、視覚と聴覚が満足されなければならないと言う点ではコレクターと同質の要素を含んでいると考えられる。往年の名機に対する需要も多く、中古市場も活況である。
[編集] 発展形態
オーディオマニアの発展系として、AVマニアや映像マニアが出現している。映像や、映像と音響の融合分野で、同様のメンタリティーや行動形態をとる。従来の防音室に代わって、完全暗室を求めたりする傾向も見られる。例を挙げると、洋画や邦画、アニメ、ドラマ、ゲームなどにおいて画質と音質を極限まで追求する人達のことをAV(オーディオ・ビジュアル)マニアなどという。
これらはホームシアターなどの設備導入に熱心で、2000年代頃より従来のオーディオマニア市場を支えた団塊世代を中心に、大型プラズマディスプレイやビデオプロジェクターを従来から持つオーディオセットに組み入れ、DVDを音源兼映像ソースとして往年の名画を楽しむという動向も見られる。
このエルダー層への流行という傾向では、映像機器に音響機器以上に多種多様な機器間の接続形態があるため、これを地域のホームシアター設置に対応する電器店に依頼するケースも見られ、これが一頃には衰退した「街の電器屋さん」が再び活路を見出し活性化する現象も発生させている。家電量販店でも、このような需要に対応する動きも見られる。
[編集] マニアの分類
オーディオマニアは仮にシステムが同じでも、それに至る経緯や趣味志向は多種多様を極め、最終目的も多様である。
- 高音質での音楽鑑賞を目的とする場合
- 店員等のアドバイス、専門誌等を参考にして機器購入を進める。目的は高音質での音楽鑑賞であり、投資が一定の水準に達した後は長期に渡って同一システムを使い続ける。元々一般的な音楽好きである人間の必要最小限の設備投資である場合が多く、また比較的ソフトウェアの充実を目指す傾向にあり、ハード面に高額な投資を継続出来ない事情も考えられる。
- 高音質獲得を目的とする場合
- 大半のオーディオマニアはここに分類される。この場合、音質は人によって感覚が異なるため個性的な音作りを目指しやすい。また特定のジャンルに特化したシステムが多く、投資金額は膨大になりやすい。音色の違いを楽しむために複数系統のシステムを所有したり、オーディオの為に専用の部屋を新築・改装したり、少数ではあるが環境を求めて引っ越しをする者まで現れ、最も多種多様なアプローチが行なわれている層になる。システムの大半はジャズかクラシック専用になる。
- システム構築を目的とする場合
- 音質には拘るが見た目やネームバリューに囚われないため、自作による巨大システムが構築されたり、特定のパーツに異常なまでの投資や改造を行なったりする場合が多く、結果としての音質もさる事ながら過程を重視する向きがある。これが最もオーディオを極めている姿勢だと主張するマニアも多い。
- オーディオをコレクションと捉える傾向
- 高額なオーディオ機器は極めて洗練されたデザインや加工である場合も多く、コレクションアイテムとしての側面も極めて強い。この場合はデザイン重視で選択されるため必ずしもコストパフォーマンスに優れた音質が実現されるとは限らない。最近は有名芸能人の一部やカリスマホストなどがインテリアとして所有していたり、一部報道番組のスタジオセットに使用されていたりとメディア露出も甚だしい。
[編集] マニアの指向と衝突
オーディオマニアと呼ばれる、あるいは自認する者を広く見渡した場合、その中には、音楽コンテンツのもつ芸術性や文化性などはそっちのけでただひたすらに機材やケーブル(ケーブルのメーカーや材質など)の収集から、蒐集した機材の価格・性能の優位を誇る「オーディオ機材マニア」とでも言うべき者も存在する。ただこの様な指向は、マニアの自分自慢の常として、興味の無い者や同系統別ベクトルの者には、疎ましく感じられる傾向も否定しきれない。
その一方、現行の最高品質よりも手頃な価格で高性能を目指したマスプロダクションを目的とするオーディオ機器に慣れ親しんでいる層に、いわゆる高級オーディオに触れる機会を設けるところも出ており、旧来からのオーディオマニアは「入場お断り」として低価格オーディオの利用者層に絞り、これら高級オーディオ普及拡大を目指したイベントも開催されている[3]。同イベントでは、2000年代の主流であるデジタルオーディオプレーヤーやCDなどを、業界団体「my-musicstyle実行委員会[4]」の専門家が構築したオーディオシステムに音源として投入、本格的なシステムの奏でる音を「ちゃんとした音」と位置付けて、テーマ別に音響面でもインテリア面でも調和した環境で聞かせるという趣向である。
また、高級オーディオ専門店であっても団塊の世代にも重なるエルダー層(時間・経済に余裕のある中高年層)をメインターゲットとしている店舗の中には、機材を買い漁るのが目的で今一つ品格に欠ける「オーディオ機材マニア」はお断りという姿勢を明確に打ち出している所もある。こういった機材指向の愛好筋には一言居士であるケースもまま見出せる以上、思い入れの強い機材どうしの優劣・可否で愛好者間でも論争の火種にも発展しかねないほか、単純に良い音を求めてよい機材を買い求めたいと考える入門者や初心者ないし部外者には、些か鼻に付く事もある傾向と言える。
[編集] オーディオおたく
1980年代からいわゆる「おたく」という言葉が登場し、オーディオマニアもこの範疇に含められる場合が増え、「オーディオおたく」という表現も見られる様になった。
ただし、そもそものところで、当初の「おたく」というのはかなり否定的なニュアンスを含んで使用されていた言葉である。また、「マニア」という言葉についても趣味ジャンルによって肯定・否定の意味合いが大きく変わるが、ことオーディオ趣味に限って言うならば、
- 音楽コンテンツが持つ芸術性・文化面などへの追求も含めて、これを趣味として没頭する者を「文化性が高く健全な趣味」という意味で、肯定的にオーディオマニア
- 逆に音楽コンテンツに対して機材評価の為の音源以上の価値と興味を見出せない「オーディオ機材マニア」を、オーディオおたく
この様に分類する意見が存在する事も事実である。オーディオマニアには総じて、オーディオは高い文化性を伴う健全な趣味であるという自負心が強く見られ、テレビアニメ・漫画などのサブカルチャー的なおたくと単純に同列視される事を嫌悪する風潮が根強い事が、その背景の一つとして挙げられる[5]。
ただし、90年代以降から徐々に「おたく」という言葉の否定的ニュアンスは薄れてきており、オーディオマニアの間でもおたく呼ばわりされる事を許容する者が見られる様になり、「オーヲタ」という言葉も生まれている。
ちなみに「おたく」という言葉を作った張本人である中森明夫は、オーディオマニアをおたくの範疇に含めている。おたくという言葉ができた当初から、少なくとも言葉を考案した当人にとって、オーディオマニアも立派な「おたく」だったのであり、おたくという言葉ができた後でオーディオマニアをこれに含めるようになった訳ではない。
オーディオマニアが集まる場所であり、オーディオマニアにとっては「聖地」と呼ばれた秋葉原電気街が、今では「おたくの聖地」となっているのは、おたく呼ばわりされるのを嫌悪したオーディオマニアにとっては皮肉以外の何物でもないが、ある意味必然的であったとも思われる。
なお、その秋葉原のオーディオ専門店については、秋葉原のアニメ・ゲーム系おたくの街へという体質的な変化の他、2006年以降の電気用品安全法の運用を巡る混乱などで中古機器の専門店が打撃を被った影響もあって、全盛期の頃の面影は見るべくも無い。だが、特に俗にビンテージ品などと言われる中古品を扱う店舗については、補修に使う高級電子部品の調達のしやすさなどもあり、現在も秋葉原界隈に店舗を構え続ける店は多い。
[編集] 日本での動向
これらの傾向が見られた人は古くより存在したが、1960 - 1970年代に入って、日本では所得の増大と良質な製品の普及により、広くこの趣味が流行している。中流以上の家庭には必ずと云って良い程に高価で嵩張るステレオセットが置かれ、特に熱心な向きでは、コンポーネント化されている各種機能を吟味した上で、それらを接続するケーブルの材質・コネクタの品質をも問う人も見られた。
この時代、一般の家庭にも娯楽家電が普及し始め、オーディオセットの類いは三種の神器からは外れているものの、特に男性の趣味性を甚く刺激している(「ドラえもん」原作でも、のび太の父などがステレオの前でくつろぐ様が幾度となく登場した)。この趣味は元々、富裕層やインテリ層に人気のあるものとされていたが、同年代以降にはホワイトカラー労働者のみならずブルーカラー労働者にも、余暇を高価なオーディオセットに親しむ事に充てる人が増加したようだ。
1980年代に入ると日本は経済的に安定し、国民の間に音響機器が広く普及した。その一方で機器の大衆化が進み、ミニコンポやCDラジカセなどの簡易的な機器が増え、往年のマニア達を嘆かせた。特にCDの普及はレコードを駆逐してしまい、アナログ派のマニアをさらに失望させた。彼らはCDをグレシャム(英)の法則「悪貨は良貨を駆逐する」に准えて唾棄すると共に、まだ磨耗していない中古レコードを捜し求めたり、メーカーに廃盤となったレコードの再発を直訴したりしていた。
1980年代中期を過ぎる頃になると、オーディオマニア達は更に熱心に音質を探求し続けた。その一方でディスコやクラブではDJからのレコードの需要が増大し、直接レコード媒体を手で動かして音を出すスクラッチが人気を博した(CDでは、いくら手動でディスクを回しても再生させることが出来ない・後に擬似的にそのような操作に対応するCDプレーヤーが開発・発売された)。また、レコード特有の音響への郷愁・再評価が行われた事も手伝い、レコードに対する評価は再び上昇した。1990年代に入ってレコード販売が僅かながら増大する動きも見られた。2000年代には大手とインディのレコード会社が限定版として往年の名盤をレコードで再発する現象が起きている。CDは当初オーディオマニアに軽蔑されていたが(LPより価格が高い事やCDプレイヤーを新たに購入する必要がある事も批判対象になった)、その後の技術の進歩による高音質化、簡便性、携帯性などがオーディオマニアを含めた音楽愛好家に評価され、現在では音楽ソフトのスタンダードの地位を獲得している。1990年代には上位規格のSuper Audio CDやDVD-Audioが登場している。2008年にはCDの保護層に液晶パネル用のポリカーボネート樹脂を使用したスーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)やハイ・クオリティCD(HQCD)が発売されている。
1990年代以降ではトランジスタや更には集積回路を使用したアンプが大量生産が利いて安価でもあり、またメンテナンスも楽でコンパクトでもあることから広く利用されているが、音響特性や趣を求めて、真空管アンプに回帰する向きもある。それらの真空管アンプマニアのために、一度は生産が縮小された真空管の生産が再開されたり、まだこれらの生産が続いていたロシアから、航空・軍事向けに質の高い真空管を生産していたメーカーの品だけを輸入する所も見られる。さらには、自作パソコン分野でもオーディオマニアをターゲットにして、真空管アンプを搭載したマザーボードが発売された事もある[6]。
2000年以降になると次世代DVD規格のBlu-ray DiscやHD DVD、テレビゲーム機の高性能化などにより、音質だけでなく画質にもこだわるAVマニアが増え始めた。ハイビジョンでの映像収録やHDオーディオでの音声収録に対応する次世代DVD規格などの登場はAVマニア層の増加に拍車をかけた。そしてハイビジョンやマルチチャンネルサラウンドに本格対応するテレビゲーム機(PLAYSTATION3,XBOX360,XBOX)の登場により、ゲーマー(ゲームマニア)かつAVマニア(オーディオ・ビジュアルマニア)という層もかなり見られるようになった。
最近では次世代テレビと呼ばれる有機ELテレビやレーザーテレビ、FEDテレビ、SEDテレビなどの登場により、映像マニアやAVマニアの層拡大が見込まれると推察されている。
なお音響機器のコレクション性に関しては、中古音響機器の市場も活発ではあるが、バブル景気の頃に絶頂期を迎えた音響機器の往年の名機が電気用品安全法(PSE法とも)の改正に伴い2006年4月より販売できなくなる(検査を合格すれば販売は可能)という事態になり騒動と混乱が起こり、経済産業省が周知が不十分であった事を認めた上で迂回策を提示した。(→電気用品安全法#販売猶予期間の終了をめぐる反対運動)
[編集] デジタル指向
従来ではデータ圧縮の段階で、ノイズとして本来の音に含まれる様々な情報を間引いてデジタル化することから、アナログメディアへの指向が強いと見なされていたオーディオマニアだが、近年ではデジタル技術の向上や、パーソナルコンピュータの高性能化に伴い、音源をデジタルに求める向きも登場、特にパーソナルコンピュータ分野では、1990年代末より従来のサウンドカードよりも音響特性に特化した製品が多く出回るようになり、これらに関心を寄せるユーザーも見られ、新しい種類のオーディオマニアに分類されている。
これらのデジタル指向オーディオマニアでは、MIDIに関心のある層と、デジタル録音に関心のある層に大別できる。MIDIでは、電子楽器というジャンルではあるが、演奏者の指使いや打鍵の強弱といったものが記録されており、これを適切な音源に入力する事で、臨場感のある再生品質が得られると見る向きもおり、より高音質のMIDI音源に注目している。他方のデジタル録音では、デジタルオーディオプレーヤーの普及にも伴い、デジタル録音の再生品質にこだわりを見せ、音響機器メーカーの発売するサウンドカード(内部回路を工夫する事で、再生品質向上を謳うものなど)を購入してパソコンをチューンアップするなどしている。
どちらもスピーカーに相応の出費をする傾向があり、また従来はCDプレーヤーなどにも搭載されていた光出力に対応したサウンドカードを利用、これを外部のアンプに接続するなどの動きも見られる。またサウンドカードの中には単なるステレオ再生だけではなく、DVDの多チャンネル記録に対応して、多様なチャンネル出力に対応する製品も登場している。従来よりDVD再生機能を持つパソコンも多かったが、近年ではパソコンメーカー側も付加価値として音声再生を重視、予め高性能なサウンドカードを搭載したパソコンを発売する傾向も見られる。
また、パソコンを使用する場合、パソコンの静粛性にもこだわりを見せる者が多く、ケース・電源ユニットなどについて、ファンレスなど低騒音仕様の製品への交換などを行う者も珍しくない。また、これらを巡る情報交換がオーディオマニア同士の間で行われる事も多い。
[編集] 著名なオーディオマニア
- 自宅には約7千万円を掛けたオーディオセットを持っているとの事である。
- 最もデジタル録音に関心があった指揮者の一人。CD規格の策定にあたって録音時間をベートーベン第九全編が入る長さ(74分)を確保すべきと主張し採用された。また、音を出しながら早送りと巻き戻しが可能であることも重要と意見を出している。本人も大規模システムを所有し、原音忠実再生を目指していた。
- 浅野勇
- 1972年、自身が学生時代より半世紀近くも夢中となったオーディオの世界について、技術的側面、文化的側面の両方の観点からまとめた本を出版している。ラジオから分かれた趣味のオーディオの世界の起源と、その後、半世紀の間に完成されていったその世界について彼の仲間(他に、伊藤喜多男、岡俊夫、安斉勝太郎、金子秀、新忠篤の名がある。)の座談会記録などから、客観的に知ることができる。
- 落語家。ジャズマニアとしてしられ、LP3万枚以上、CD1万枚以上を所有している。かつてジャズ評論家として自ら司会を務めるラジオ番組を持っていた。自宅の地下室はAVルームとなっている。
- 小説家。
- 元アナウンサー、司会者。自宅や北海道にAVルームを所有しており、THXマークをクレジットすることをホームシアターとしては日本で初めて許されている。自身が司会を務める「情報プレゼンター とくダネ!」でもオープニングトークやAV機器に関するニュースの際に熱く語っている。オーディオ機器だけでなくビジュアル機器にも精通している。
[編集] 脚注
- ^ 英語圏では「オーディオファイル」(audiophile)という表現が使われている。
- ^ 英語版ウィキペディアには「アナログサウンドVSデジタルサウンド」という記事がある。アナログ支持者とデジタル支持者それぞれの主張を比較する事が出来る。
- ^ ITmedia・「ちゃんとした音」を体験して
- ^ my-musicstyleオフィシャル
- ^ また、ある意味皮肉な事ではあるが、「オーディオ機材マニア」的な指向が強い者ほど、「オーディオは、アニメおたくとは方向性の異なる、専門技術や知識が必要な趣味である」として、アニメや漫画のおたくと同一視される事を嫌う風潮が根強くなる傾向も見られる。ただし、そういった「一般の者にはわからない専門知識」をふりかざす人間ほど、世間では「おたく」として嫌悪する風潮がある。
- ^ PC wach記事:「AX4B-533Tube」・ASCII24記事:「AX4GE Tube Japan」
[編集] 参考文献
- 魅惑の真空管アンプ その歴史・設計・製作 上巻・下巻 浅野 勇 監修 誠文堂新光社
[編集] 関連項目
- 家庭の電化 - 電器店 - 家電量販店
- レコード演奏家
- 高級オーディオ(高級機の定義と機械的進化について)
- ゼネラルオーディオ
- 録音
- 音声ファイルフォーマット
- CDよりも音質の高い規格
- Super Audio CD(SACD)
- DVD-Audio(音声のみの再生を目的としたDVDソフト)
- Extended Resolution Compact Disc(XRCD)
- スーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)
- ハイ・クオリティCD(HQCD)
- マニア - おたく

