ライン (音響機器)

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ラインとは、音響機器同士を一定範囲の互換性を保ち接続するための、アナログ音声信号の電気的経路である。ヘッドフォン用やマイクロフォン用といった音声信号経路は対象機器に合わせたインピーダンス電圧レベルを持つが、それらと同様にラインは音響機器間の接続のためのもので、おおむね互換性のある特性を持たせてある。ラインの信号レベル(電圧変化範囲)をラインレベルと言う。ラインの接続に用いる、音響機器に装備された各種コネクタ類を総称してライン端子あるいはラインコネクタやラインジャックと呼ぶ。ライン端子同士を繋ぐ電線をラインケーブルと呼ぶことがある。

電気的特性[編集]

ラインの電気的な特性については全体的なきっちりとした統一規格は無く、放送用業務用民生用で異なる。特に民生用では機種によって異なることも多く、後述する「ロー出しハイ受け」が一般的である。

ラインレベル[編集]

全般的には、ラインレベルはおおむね-20dBuから+4dBu程度である(dBuやdbVという単位についてはデシベル#絶対値としてのデシベルを参照)。放送用および民生用の映像機器に備わる音声信号用端子では-20dBu、民生用音響機器では-10dBV、スタジオ音響設備では米国においては+4dBu、ドイツ(ドイツ公共放送連盟)においては+6dBuである。

インピーダンス[編集]

インピーダンス整合[編集]

前段の機器からの出力の出力インピーダンスと、後段の機器への入力の入力インピーダンスは一致させる(インピーダンス整合をとる)のが基本である。整合されている時に、電力として最も効率よく信号が伝達される。

ラインという名前はテレフォンライン(電話線)から由来しており、ラインのインピーダンスは歴史的には電話回線のインピーダンス600Ωである。このため中継放送の初期から電話回線を用いてきた放送用機器などでは電話回線用機器とのインピーダンス整合をとる必要があり、それら放送用機器や通信機器にも必然的に入出力ともインピーダンス600Ωが普及した。

ロー出しハイ受け[編集]

しかし、特に民生用機器の実際のインピーダンスの範囲は広く、100Ω以下から100kΩ以上のものまである。

このため出力側の出力インピーダンスは十分に低くし、入力側の入力インピーダンスは十分に高くするということがよくおこなわれる。これを俗にロー出しハイ受けと言う。そのようにすると、入力側のインピーダンスが多少異なっていても出力される信号電圧への影響が少ない、という特性になり、信号は電力としてではなく、もっぱら電圧として伝達される。このためノイズに弱い(ノイズが持つ電力を同じとすると、信号の電力が小さいほうがノイズの影響が大きい。ロー出しハイ受けはノイズに強い、とするのは誤解である)。

AV機器のライン入力端子の入力インピーダンスは10kΩや47kΩ程度である。

コネクタ形状[編集]

以下はライン入出力に多く用いられるコネクタ形状であるが、使用できるコネクタ形状はこれらに限らない。コネクタ形状を変換する変換アダプタも市販されている。

RCAピン[編集]

RCAピンコネクタ 
2極のモノラル(1チャンネル)音声用コネクタ。プラグは丸みを帯びた先端が円筒状のリングで包まれた形状。AV機器に多く用いられ、しばしばステレオサラウンド入出力のために複数並列に配置されている。

フォーン[編集]

プラグは棒状で絶縁リングによって区切られた各極があり、先端がくびれた形状。

1/4" 標準TSフォーンコネクタ(φ6.3mm) 
2極のモノラル(1チャンネル)音声用コネクタ。
1/4" 標準TRSフォーンコネクタ(φ6.3mm) 
3極のステレオ非平衡接続またはモノラル(1チャンネル)平衡接続用コネクタ。ステレオ標準コネクタとも呼ばれる。大型のヘッドフォンに時折用いられるものとコネクタ形状は同一。
1/8" ミニTSフォーンコネクタ(φ3.5mm) 
2極のモノラル(1チャンネル)音声用コネクタ。
1/8" ミニTRSフォーンコネクタ(φ3.5mm) 
3極のステレオ非平衡接続またはモノラル(1チャンネル)平衡接続用コネクタ。ステレオミニコネクタとも呼ばれる。民生用のイヤホン・ヘッドフォンに多く用いられるものとコネクタ形状は同一。
1/4" 110号コネクタ(φ6.3mm) 
パッチ盤や業務用機器に用いられるコネクタ。標準フォーンに似ているがコネクタ形状は異なる。
TTバンタムコネクタ(φ4.4mm) 
パッチ盤や業務用機器に用いられるコネクタ。110号コネクタより小型のもの。

XLRキャノン[編集]

XLRキャノンコネクタ 
3極のものが多く流通しており、モノラル(1チャンネル)平衡接続用コネクタとして用いられる。ロックがあるため外れにくく、スタジオ機器やPA機器にしばしば用いられる。

兼用ジャック[編集]

XLR/フォーン兼用ジャック 
通常のXLRジャックの中央に標準TRSフォーンジャックの穴が開いているジャック。省スペースなためオーディオインターフェイスにしばしば用いられる。

パーソナルコンピュータでのライン端子[編集]

パーソナルコンピュータにおけるライン端子は、PCケースに備えられていて内部の端子と結線されていたり、オンボードのサウンドインタフェースの入出力端子がマザーボードに付いていたりする。また、サウンドカードや外付けのオーディオインターフェイスに付いている。

(参考)その他のアナログ音声入出力端子[編集]

ライン端子はコネクタ形状がヘッドフォン端子やマイクロフォン端子と同一であることがあるが特性が異なるため、前述のロー出しハイ受けにマッチする場合を除き、一般には混用できない。信号電圧が過少の場合は音量が不足し、過大の場合は機器を破壊する原因となることもある。

単一の端子でヘッドフォン端子やマイクロフォン端子、デジタル音声端子を兼用する設計の機器では、設定を正しく行わなければならない。

ヘッドフォン端子[編集]

出力インピーダンス 
0Ωから100Ω程度
入力インピーダンス 
8Ωから600Ω程度
出力電圧 
-20dBV程度(民生品)

ラインレベルの信号をヘッドフォンに適した信号に変換するには、しばしばヘッドホンアンプまたはヘッドフォン出力端子の付いたプリメインアンプAVアンプが用いられる。ライン出力レベルがボリュームに応じて変化する機器の場合は、コネクタ形状を適合させるだけで済む場合もある(注意:公式にライン/ヘッドフォン兼用設計でない場合は前述の通り過大入力の危険性がある)。

ヘッドフォン出力の信号をラインレベルに変換する一般的な方法はない。高出力なヘッドホン出力回路を持つアンプであれば、ボリュームを上げることでラインレベルに相当する電圧を出力できる。

マイクロフォン端子[編集]

出力インピーダンス 
100Ωから600Ω程度
入力インピーダンス 
100Ωから10KΩ程度
出力電圧 
-70dBVから-20dBV程度

マイクロフォンレベルの信号をラインレベルに変換するには、マイクプリアンプが用いられる。

ラインレベルの信号をマイクロフォンレベルに変換するには、アッテネータが用いられる。適切なレベルまで減衰できないと過大入力の可能性がある。

エレキギターなどの電子弦楽器[編集]

出力インピーダンス 
15kΩ程度
入力インピーダンス 
1MΩ程度
出力電圧 
-10dBV程度

エレクトリックギターなどの楽器の出力端子はインピーダンスがとりわけ高いため、ダイレクト・ボックスによってインピーダンスを下げてマイク端子に接続可能に変換してから、マイクプリアンプによってラインレベルに変換される。ハイインピーダンス(Hi-Z)入力に対応したオーディオインターフェイスも存在する。

楽器用アンプ(およびアンプヘッド単体製品)でスピーカー出力用に増幅した信号をパワーアッテネータで減衰させてラインレベルに変換する方法もある。こうすることで楽器用アンプの音質的特徴に近いラインレベル信号を得られる。

スピーカー端子[編集]

出力インピーダンス 
0Ω程度
入力インピーダンス 
4Ωから16Ω程度
出力電圧 
+10dBV程度(民生品)

ラインレベルの信号をパッシブスピーカー(アンプを内蔵していない普通のスピーカー)に適した信号に変換するには、プリメインアンプかAVアンプまたはパワーアンプが用いられる。アクティブスピーカー(アンプ内蔵型スピーカー)には多くの場合ライン入力端子が備え付けられており、直接接続できる。

関連項目[編集]