世界無形遺産
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無形文化遺産(むけいぶんかいさん)は、ユネスコによって選定される、民族文化財、フォークロア、口承伝統などの無形の文化である。
2003年の第32回ユネスコ総会で採択された「無形文化遺産保護条約」に基づいて、無形文化遺産の重要性についての意識を向上させるために、ユネスコ内に設置された無形文化遺産保護に関する政府間委員会によって、人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanity)作成される予定である。
2008年6月に開催された締約国総会で採択された運用指示書に、代表一覧表に記載される基準やタイムテーブルが示されている。それによれば、2009年9月に開催予定の政府間委員会で第1回の代表一覧表が作成され、その後毎年更新されていく予定である。代表一覧表は、各締約国から提出される個別提案案件を、政府間委員会に設けられる補助機関が審査し、その後、政府間委員会が最終的に評価・決定することによって作成される。なお、世界遺産とは異なり厳格な価値の評価基準はない。
目次 |
[編集] 概要
芸能(民族音楽・ダンス・劇など)、伝承、社会的慣習、儀式、祭礼、伝統工芸技術、文化空間などが対象である。有形の文化遺産については既に1972年に採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づき世界遺産としてリストアップされていたが、無形の文化遺産についてはその枠組みで保護することが難しいため、新たな枠組みが作られた。無形文化遺産保護条約は、締約国が30か国に達した時点から3か月後に発効する規定となっており、採択されてから約3年後の2006年4月20日に発効した。
ユネスコでは、無形文化遺産保護条約の発効に先立ち、人類の口承及び無形遺産の傑作を讃えるとともに、その継承と発展を図ることを目的として、ユネスコの基準を満たすものを、隔年で「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」(傑作宣言)として発表していた。第1回の宣言は2001年に、第2回の宣言は2003年に、第3回の宣言は2005年に行なわれ、それぞれ19件、28件、43件が傑作宣言されている。これらは無形文化遺産保護条約の発効後は代表一覧表に統合されることとされており、条約発効後の2006年以降傑作宣言は行われていない。
2007年9月には、代表一覧表や「緊急に保護する必要のある無形文化遺産の一覧表(危機一覧表)」などの作成について協議する、ユネスコの第2回政府間委員会が日本で開催された。この委員会では、第1回の一覧表作成を、2009年9月に行うことで各国政府代表が合意した。2008年6月に開催されたユネスコ総会で正式に決定された[1]。なお、代表一覧表への各締約国の提案提出期限については、第1回は2008年9月末となっている。ちなみに、危機一覧表は2009年3月15日である。第2回目以降は、代表一覧表への提出期限は毎年8月末とされている。
なお、この代表一覧表のことを「世界無形文化遺産」や「世界無形遺産」と表記していることが多いが、正式にはこのような名称はない。
[編集] 一覧表の種類
条約第16条、17条に基づいて作成される無形文化遺産の国際的保護を行うために作成される一覧表は、関係締約国からの提案または要請に基づき、締約国から選出される政府間委員会が作成する。一覧表は、「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」(代表一覧表)と「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」(危機一覧表)の2種類がある。
[編集] 分類
- 口承による伝統・表現(「無形文化遺産の伝達手段」としての言語を含む)
- 芸能
- 社会的慣習
- 儀式・祭礼行事
- 自然・万物に関する知識・慣習
- 伝統工芸技術
[編集] UNESCO「人類の口承及び無形遺産の傑作」の宣言
[編集] アフリカ
| 提案・申請国 | 掲載年 | 名称[2] | 分類 |
|---|---|---|---|
| 2005 | グゥララ地域のアヘリル | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2005 | ウガンダのバーククロスの製作 | 伝統技能 | |
| 2003 | 叙事詩アル・シラー・アル・ヒラリヤ | 口承の伝統と表現 | |
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2005 | カンクラング(マンディンゴ族の成年の儀式) | 祭礼、社会的慣習 |
| 2001 | ニアガッソラのソソバラの文化的空間 | 文化的空間、伝統音楽 | |
| 2001 | アファウンカハのグボフェ「ダグバナ社会の横吹きラッパの音楽」 | 伝統音楽 | |
| 2005 | マキシ仮装 | 伝統芸能、祭礼、社会的慣習 | |
| 2005 | ムベンデ/ジェルサレマの踊り | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2003 | 中央アフリカのアカ・ピグミー族の口承伝統 | 口承の伝統と表現、伝統音楽 | |
| 2005 | ナイジェリアにおけるイファ占い制度 | 社会的慣習、祭礼 | |
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2001 | ゲレデの口承遺産 | 口承伝統と表現、儀式及び祭礼 |
| 2005 | 治療のための踊り、ヴィンブザ | 祭礼、社会的慣習 | |
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2005 | グレワムクル | 社会的慣習、祭礼、伝統芸能 |
| 2005 | ヤーラルとデガルの文化的空間 | 文化的空間、社会的慣習、祭礼 | |
| 2003 | ザフィマニリの木彫知識 | 伝統知識と技能 | |
| 2005 | チョピ族のティンビラ | 伝統芸能 | |
| 2001 | ジャマ・エル・フナ広場の文化的空間 | 文化的空間 | |
| 2005 | タンタンのムッセム | 社会的慣習、祭礼 |
[編集] アジア・太平洋諸国
| 提案・申請国 | 掲載年 | 名称 | 分類 |
|---|---|---|---|
| 2003 | イラクのマカーム : 伝統音楽 | 伝統音楽 | |
| 2001 | クッティヤタム・サンスクリット劇 | 芸能 | |
| 2003 | ヴェーダ詠唱の伝統 | 口承の伝統と表現、儀式及び祭礼 | |
| 2005 | ラーマーヤナの伝統演劇 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2003 | ワヤン人形劇 | 芸能 | |
| 2005 | インドネシアのクリス | 伝統技能、社会的慣習、祭礼 | |
| 2001 | ボイスン地域の文化的空間 | 文化的空間 | |
| 2001 | 宗廟先祖のための儀礼および祭礼音楽 | 儀式及び祭礼 | |
| 2003 | パンソリの詠唱 | 芸能 | |
| 2005 | 江陵端午祭 | 社会的慣習、祭礼 | |
| 2003 | カンボジアの宮廷舞踊 | 芸能 | |
| 2005 | クメールの影絵劇 | 伝統芸能 | |
| 2003 | キルギス叙事詩の語り部、アキンズの技芸 | 口承の伝統と表現 | |
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2003 | シャシュマカーム | 伝統音楽 |
| 2001 | 昆劇 | 芸能 | |
| 2003 | 「古琴」(七弦琴)演奏技 | 伝統音楽 | |
| 2005 | 新疆ウイグル自治区のウイグル族の大曲(ムカム)芸術 | 伝統芸能 | |
| 2003 | ラカラカの舞踏と歌唱 | 芸能 | |
| 2001 | 能楽 | 伝統芸能 | |
| 2003 | 人形浄瑠璃文楽 | 伝統芸能 | |
| 2005 | 歌舞伎 | 伝統芸能 | |
| 2003 | バヌアツの砂絵 | 伝統知識と技能 | |
| 2005 | バウルの歌 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2001 | イフガオ族の歌、ハドハド | 口承の伝統と表現 | |
| 2005 | ラナオ湖マラナオ民族のダランゲン叙事詩 | 口承の伝統と表現 | |
| 2005 | ドゥラミツェの太鼓と仮面舞踏 | 伝統芸能 社会的慣習、祭礼 | |
| 2003 | ベトナムの宮廷音楽、ニャ・ニャック | 伝統音楽 | |
| 2005 | ベトナム中央高原におけるゴングの文化的空間 | 文化的空間、伝統芸能 | |
| 2003 | モリンホール(馬頭琴)の伝統音楽 | 伝統音楽 | |
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2005 | オルティンドー―モンゴル人の伝統的な「長い歌」 | 口承の伝統と表現、伝統芸能 |
| 2005 | マヨンの舞踊劇 | 伝統芸能 |
[編集] ヨーロッパ・アラブ諸国
| 提案・申請国 | 掲載年 | 名称 | 分類 |
|---|---|---|---|
| 2003 | アゼルバイジャンのムガーム音楽 | 伝統音楽 | |
| 2005 | アルバニア民衆の同音多声音楽(アイソポリフォニー) | 伝統芸能 | |
| 2005 | ドゥドゥーク音楽 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2003 | サヌアの歌 | 伝統音楽 | |
| 2001 | シシリアの人形劇 | 芸能 | |
| 2005 | テノール風の歌の口承伝承:サルデーニャ牧羊文化の無形遺産としての表現 | 口承の伝統と表現 | |
| 2003 | キーヌ島の文化的空間 | 文化的空間 | |
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2003 | バルト地方の歌謡・舞踏フェスティバル | 儀式及び祭礼 |
| 2001 | グルジアの多声音楽の歌謡 | 伝統音楽 | |
| 2001 | エルチェの神秘儀 | 儀式及び祭礼 | |
| 2005 | ベルガの民衆祭り「パトゥム」 | 社会的慣習、祭礼 | |
| 2005 | フヤラ:楽器とその音楽 | 伝統芸能 | |
| 2005 | スロバキア地方のウェルブンク(新兵の踊り) | 伝統芸能 | |
| 2003 | 大衆講談師 メッダの技芸 | 口承の伝統と表現 | |
| 2005 | メウレウィー教団のセマの儀式 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2005 | パレスティナのヒカイェ | 口承の伝統と表現 | |
| 2005 | ショプロウク地域の古来のポリフォニー・舞踏・儀式 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2003 | バンシュのカーニバル | 儀式及び祭礼 | |
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2005 | ベルギーとフランスの巨人とドラゴンの行列 | 祭礼、社会的慣習 |
| 2005 | ペトラとワディラムのベドゥの文化的空間 | 文化的空間、口承の伝統と表現 | |
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2001 | リトアニアの十字架の手工芸とその象徴 | 伝統知識と技能 |
| 2005 | チャルシュの伝統 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2001 | セメイスキの文化的空間と口承文化 | 文化的空間 | |
| 2005 | ヤクートの英雄叙事詩「オロンホ」 | 口承の伝統と表現 |
[編集] 北中南米アメリカ・カリブ諸国
| 提案・申請国 | 掲載年 | 名称 | 分類 |
|---|---|---|---|
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2001 | ザパラの人びとの口承遺産と文化的表現 | 口承の伝統と表現、伝統知識と技能 |
| 2003 | ムーアタウンの逃亡奴隷 マルーンの遺産 | 文化的空間 | |
| 2003 | トゥンバ・フランセーサ | 芸能 | |
| 2005 | ラビナル・アチのバレエ(戯曲、劇、舞踊、舞踊劇) | 伝統芸能 社会的慣習 | |
| 2005 | コスタリカの牛飼いと牛車の伝統 | 伝統技能、祭礼、社会的慣習 | |
| 2003 | バランキーヤのカーニバル | 儀式及び祭礼 | |
| 2005 | パレンケ・デ・サン・バシリオの文化的空間 | 文化的空間、社会的慣習 | |
| 2001 | ヴィラ・メラのコンゴ族の聖霊の集団の文化的空間 | 文化的空間 | |
| 2005 | ココロの舞踊劇の伝統 | 伝統芸能、社会的慣習 | |
| 2005 | エル・グエグエンセ | 伝統芸能 | |
| 2003 | ワジャピ族の口承及び絵画による表現 | 口承の伝統と表現、伝統知識と技能 | |
| 2005 | バイアのレコンカボ・デ・バイアのサンバ・デ・ローダ | 伝統芸能、社会的慣習 | |
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2001 | ガリフナの言語、舞踏および音楽 | 口承の伝統と表現 |
| 2005 | タキーレとその織物技術 | 伝統技能、社会的慣習 | |
| 2001 | オルロ・カーニバル | 儀式及び祭礼 | |
| 2003 | カラワヤ族のアンデス的宇宙観 | 伝統知識と技能 | |
| 2003 | 死者に捧げる原住民の祭礼 | 儀式及び祭礼 |
[編集] 脚注
- ^ ユネスコ無形文化遺産、09年に初登録 能や歌舞伎も / asahi.com / 2007年9月7日
- ^ 日本語訳は、ユネスコ・アジア文化センターの資料をもとに記載している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ユネスコの「世界無形遺産について」のページ
- ユネスコ・アジア文化センターの「第1回/第2回 傑作宣言サイト[ユネスコ公式サイトの日本語版]」
- ユネスコ・アジア文化センターの「第3回 傑作宣言サイト[ユネスコ公式サイトの日本語版]」
- アジア太平洋 無形文化遺産データベース

