ホーカー ニムロッド

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ホーカー ニムロッド Mk. I

ホーカー ニムロッド英語:Hawker Nimrod)は、戦間期イギリスホーカー社で開発された単座艦上戦闘機ホーカー フューリーの派生型ではない。

概要[編集]

開発[編集]

フェアリー フライキャッチャー英語版の後継艦上戦闘機を求める仕様N.21/26が1926年に発行されると、ホーカー社は自社開発した空冷星型ブリストル マーキュリー英語版エンジン装備の単座艦上戦闘機原型機フープ(Hoopoe)のエンジンをロールス・ロイスの新型水冷エンジン(後のケストレル)に置き換えることを考えた。

1930年、仕様N.21/26の改定仕様N.16/30が発行されたとき、ホーカー社はフープにロールス・ロイス F.XIエンジンを装備した社内名称ノーン(Norm)という機体を開発済みだった。ノーンは航空省に購入されニムロッドと改名された。排気管延長、上翼と後部胴体内部への浮き袋装備、ケストレルIIMSエンジンへの換装などの改設計が行われた。

1932年6月にHMS イーグルで行われた空母適合試験に合格し、続いて行われたN.16/30で求められたフロート装備による水上試験にも合格し、量産発注がなされニムロッド Mk. Iとして採用された。採用後も係留フックの追加、カタパルトフックの追加、ヘッドレストとフェアリングの追加などの小改造が実施された。1933年、仕様N.11/33が発行され機体構造の強化、主翼への後退角追加などが施されたニムロッド Mk. IIが開発され、1935年から配備された。後にMk. Iも含めてケストレルVエンジンへの換装、垂直安定板の面積拡大などが施された。

運用[編集]

1932年6月、HMS グローリアスの第408飛行隊とHMS イーグルの第402飛行隊がフェアリー フライキャッチャーからニムロッド Mk. Iに機種改変した。1933年の艦隊航空隊(FAA:Fleet Air Arm)の改編成により、ニムロッド Mk. IはHMS カレイジャスの第800中隊、HMS フューリアスの第801中隊、HMS グローリアスの第802中隊に配備された。

ニムロッド Mk. I/IIは1939年5月にグロスター シーグラディエータによって置き換えられるまで運用された。最後の運用飛行隊は第802中隊であった。

また、1934年には日本海軍が参考実験機として1機を輸入したが、日本海軍による試験では顕著な長所は認められなかった。日本海軍における名称はニムロッド艦上戦闘機(略符号AXH1)[1]

派生型[編集]

ノーン (Norm)
自社開発原型機で、1機が製造された。ロールス・ロイス製F.XIエンジンを装備した。
ニムロッド (Nimrod)
単座艦上戦闘機型原型機で2機(S1577、S1578)が製造された。630馬力のロールス・ロイス製ケストレル IIMS V型12気筒エンジンを装備した。
ニムロッド Mk. I (Nimrod Mk.I)
単座艦上戦闘機型で54機が製造された。車輪とフロートを交換装備可能。ケストレル IIMSエンジンを装備した。
ニムロッド Mk. II (Nimrod Mk.II)
単座艦上戦闘機型で27機が製造された。ケストレル IIMSエンジンまたは640 馬力のケストレルVエンジンを装備した。

スペック(Mk. I)[編集]

  • 全長:8.09 m
  • 全幅:10.23m
  • 全高:3.00 m
  • 全備重量:1,841 kg
  • エンジン:ロールス・ロイス ケストレル IIMS 水冷V形12気筒 630馬力 × 1
  • 最大速度:311 km/h
  • 実用上限高度:8,535 m
  • 航続距離:300 km
  • 武装
    • 7.7 mm ビッカースMk.II/Mk.IIID機関銃 × 2
    • 9kg爆弾 × 4
  • 乗員 1名

出典[編集]

  1. ^ 野沢正 『日本航空機総集 輸入機篇』 出版協同社、1972年、128・130頁。全国書誌番号:69021786

関連項目[編集]