スーパーマリン ウォーラス

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スーパーマリン ウォーラス

ウォーラスMk.I(1940年撮影)

ウォーラスMk.I(1940年撮影)

スーパーマリン ウォーラス (Supermarine Walrus) は、イギリススーパーマリーン社で開発された水陸両用偵察機第二次世界大戦前後を通じて使用された。

名称のウォーラスとはセイウチの意であり、発音記号に基づいた表記は「ウォゥルラス」となるが、便宜上この項では「ウォーラス」としている。

開発[編集]

スーパーマリン社のシーガル Mk IIIを運用していたオーストラリア空軍は艦船搭載用の水上機を求めた。その要求に基づき、スーパーマリン社はシーガルの改良型であるシーガル Vを開発した。試作機は1933年6月21日に飛行した。 シュナイダー・トロフィーに出場したスーパーマリン水上機を制作し、後にスピットファイアを設計したレジナルド・J・ミッチェルによって開発が進められた。

艦船のカタパルトから発進するように設計され、軍の最大運用重量でも発進できた。複葉機であり、両翼の下翼にはフロートを装備した。両翼は艦船上で最大幅を5.5m (17ft 11in) まで縮小できるよう折りたたむことができた。エンジンは775hpのブリストル ペガサス VIを搭載し、エンジンは上下の翼の間に推進式で配置された。プロペラの回転トルクに対抗するため、右に4度の推進角オフセットを持つ。骨組みと外板は、木と金属製である。武装は、ヴィッカース K 機関銃を機首と胴体後部に装備し、345kg (760lb) の爆弾か爆雷を搭載できた。艇体脇に引上式の車輪を持ち、補助的に陸地での離着陸も可能であった。

イギリス海軍は、これをウォーラス Mk Iとして採用した。後に木製構造にされた機体がサンダース・ロー社でも生産され、Mk IIと命名された。生産は1936年から1944年まで続けられ、計740機が生産された。

運用[編集]

1935年から量産機がイギリス海軍とオーストラリア空軍へ引き渡され始め、1937年までに24機がオーストラリア空軍に引き渡された。

救難機や対潜哨戒機として活躍し、アイルランド空軍でも運用された。第二次世界大戦ではイギリス海軍とオーストラリア海軍の戦艦や巡洋艦に搭載され、1947年まで使用された。

詳細[編集]

戦艦ロドニーのウォーラス。
航空母艦で運用されるウォーラス。
スペック
  • 乗員:3-4名
  • 全長:10.2m
  • 全幅:14.0m
  • 全高:4.6m
  • 翼面積:56.7m2
  • 空虚重量:2,220kg
  • 運用時重量:3,265kg
  • 最大離陸重量:-- kg
  • 動力:ブリストル製 ペガサスVI エンジン × 1
  • 出力:680HP
性能(目安)
  • 最大速度:215km/h
  • 巡航速度:-- km/h
  • 航続距離:965km
  • 最大運用高度:5,650m
  • 上昇率:360m/min
  • 翼面荷重:57.6kg/m2
武装
  • 固定武装:ヴィッカース K 7.7mm 機関銃 (1 in bows, 1 aft) × 2
  • 爆弾搭載量:345kg

出典[編集]

  • 木村秀政『万有ガイド・シリーズ 4⃣ 航空機 第二次大戦 Ⅰ』

関連項目[編集]

外部リンク[編集]