ケビン・メンチ

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ケビン・メンチ
Kevin Mench
阪神タイガースでの現役時代
(2009年、阪神甲子園球場にて)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 デラウェア州ウィルミントン
生年月日 (1978-01-07) 1978年1月7日(46歳)
身長
体重
6' 0" =約182.9 cm
220.46 lb =約100 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手
プロ入り 1999年 MLBドラフト4巡目
初出場 MLB / 2002年4月9日
NPB / 2009年4月3日
最終出場 NPB / 2009年5月16日
MLB / 2010年10月3日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ケビン・フォード・メンチKevin Ford Mench, 1978年1月7日 - )は、アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン出身の元プロ野球選手外野手)。右投右打。愛称は"シュレック"[1]

経歴[編集]

プロ入りとレンジャーズ時代[編集]

1999年MLBドラフト4巡目でテキサス・レンジャーズから指名を受け、プロ入り。

2002年4月9日にメジャーデビューを果たした。同年は新人選手ながら110試合に出場し、15本塁打を放った。その活躍が評価され、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの投票で7位に入った。

2003年は故障で離脱した。

2004年はレンジャーズで復活し、125試合の出場で26本塁打を放った。

2005年6月30日にはメジャータイ記録となる3イニング連続本塁打を記録。7月8日には、当時12勝4敗・防御率2.33とサイ・ヤング賞最有力候補だったロイ・ハラデイの足に打球を直撃させ、シーズン後半を棒に振らせている[2]

2006年には、シーズン序盤の4月21日から4月28日にかけて、右打者としてはメジャー史上初の7試合連続本塁打を放つ活躍を見せた。7月26日にレンジャーズの球団通算5万本目の安打を記録した。

ブルワーズ時代[編集]

2006年7月28日にミルウォーキー・ブルワーズにトレード移籍した。

2007年オフにFAとなった。

レンジャーズ傘下時代[編集]

2007年オフに古巣のレンジャーズとマイナー契約を結んだ。

ブルージェイズ時代[編集]

2008年5月9日にトロント・ブルージェイズへトレードされメジャー復帰を果たした。

阪神時代[編集]

2008年12月24日、ルー・フォードの後釜となる外国人選手を探していた阪神タイガースと年俸1億6500万円で契約。当時阪神監督であった岡田彰布によれば、2007年頃にもメンチが阪神の獲得リストに挙がりながら、金銭面で見送られていた。しかも、岡田が退任する予定ではなかった2008年9月の時点で、現場サイドでは翌年の獲得最有力候補としてネルソン・クルーズを検討していた。なぜメンチを獲得したのか真相は不明だが、フロントの担当者が現場を無視して「メンチを使え」と強制したわけではなく、球団社長の南信男も「(フロントの担当者は)そんな人物ではない」と断言している[3]。阪神では、桧山進次郎2006年代打専任となって以降、桧山の定位置だった右翼手を固定できない状態が続いていたため、メジャー通算89本塁打のパワーに加え、俊足・強肩を併せ持つメンチには大きな期待がかかり、4番候補として期待された。

2009年5月16日、神宮球場でのヤクルト戦にて

2009年の春季キャンプでは持ち前の長打力を発揮し、守備でも紅白戦で俊足の赤星憲広を外野からの好返球でアウトにするなどの活躍で、首脳陣から高い評価を得た。これに伴い、このシーズンから監督に就任した真弓明信は、メンチを4番右翼で起用することを前提として、今岡誠葛城育郎一塁手として起用するために、新井貴浩広島東洋カープ時代に本職だった三塁手に戻すコンバートを行った。ところが、メンチはオープン戦に入ると140 km/h前後の速球にさえ対応できず[4]打率.143・1本塁打の数字に終わり、シーズン開幕時にはレギュラーの座が危ぶまれる状況になった。球団OBで評論家の江夏豊は、メンチは速球を窮屈そうに打つだけでなく、緩い球であっても窮屈そうだから投手としては非常に攻めやすそうだ、という印象を語っている[3]

それでも、右翼の定位置を争う桜井広大林威助が揃って結果を残せなかったこともあり、メンチは開幕後もスタメン出場を続けていた。しかし、状態は一向に上向かず、4月22日に体調不良を訴えて一軍登録抹消となった。なお、当初は腎機能障害の疑いとされたが、その後の検査で腎機能には問題がなかったと判明し、症状としては単なる疲労の蓄積というものであった。その後、ウエスタン・リーグで9打数8安打という好成績を残したことから5月15日に一軍復帰したが、2試合で無安打のまま再び抹消された。対照的に桜井は調子を上げたため出場機会を奪われ、さらにクレイグ・ブラゼルの獲得を決めた球団の方針もあって、その後一軍に復帰することはなかった。球団社長の南も「(メンチは)来年いることはない」と明言。妻の出産に立ち会うため7月24日に帰国し、再来日することなく11月6日に退団が正式発表された[5]。一方で人柄は真面目で、打てないとなると一塁にヘッドスライディングするなど必死のプレーを続けていた[6]

ナショナルズ時代[編集]

2010年2月にワシントン・ナショナルズとマイナー契約した。8月7日の対ロサンゼルス・ドジャース戦でメジャー復帰。8回に代打で出場し、郭泓志からヒットを放った。その後も代打要員として起用されたが、27打数で3安打・0本塁打・1打点・打率.111に終わり、シーズン終了後にFAとなった。

2012年2月18日、自らのTwitterで現役を引退していたことを公表[7]

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

















































O
P
S
2002 TEX 110 412 366 52 95 20 2 15 164 60 1 1 2 5 31 0 8 83 4 .260 .327 .448 .775
2003 38 139 125 15 40 12 0 2 58 11 1 1 0 1 10 0 3 17 2 .320 .381 .464 .845
2004 125 481 438 69 122 30 3 26 236 71 0 0 0 4 33 2 6 63 6 .279 .335 .539 .874
2005 150 615 557 71 147 33 3 25 261 73 4 3 0 3 50 4 5 68 6 .264 .328 .469 .797
2006 87 349 320 36 91 18 1 12 147 50 1 0 0 2 23 5 4 42 4 .284 .338 .459 .797
MIL 40 133 126 9 29 6 1 1 40 18 0 0 0 3 4 0 0 17 4 .230 .248 .317 .566
'06計 127 482 446 45 120 24 2 13 187 68 1 0 0 5 27 5 4 59 8 .269 .313 .419 .733
2007 101 308 288 39 77 20 3 8 127 37 3 1 0 3 16 2 1 21 3 .267 .305 .441 .746
2008 TOR 51 131 115 18 28 11 1 0 41 10 2 0 0 2 14 2 0 18 3 .243 .321 .357 .677
2009 阪神 15 56 54 1 8 3 0 0 11 2 1 0 0 0 2 0 0 9 1 .148 .179 .204 .382
2010 WSN 27 29 27 2 3 0 0 0 3 1 0 0 0 0 2 0 0 6 0 .111 .172 .111 .284
MLB:8年 729 2597 2362 311 632 150 14 89 1077 331 12 6 2 23 183 15 27 335 32 .268 .324 .456 .780
NPB:1年 15 56 54 1 8 3 0 0 11 2 1 0 0 0 2 0 0 9 1 .148 .179 .204 .382

記録[編集]

NPB

背番号[編集]

  • 28 (2002年 - 2006年途中)
  • 24 (2006年途中 - 2007年)
  • 36 (2008年)
  • 32 (2009年 - 2010年)

登場曲[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Mench on hot streak since changing shoe size ESPN、2006年4月28日。
  2. ^ Halladay won't pitch this season after breaking leg ESPN、2005年8月27日。
  3. ^ a b 岡田彰布・江夏豊『なぜ阪神は勝てないのか? ~タイガース再建への提言』、23 - 26ページ。
  4. ^ 真弓監督「大変」…メンチ3球三振 デイリースポーツ、2009年3月15日。
  5. ^ 来季の契約について 阪神球団公式サイト、2009年11月6日配信
  6. ^ 「神のお告げ」グリーンウェル、「浅草観光」ミセリ…プロ野球界の記憶に残る“トホホ助っ人”列伝(3/4ページ) 文春オンライン、2021年6月20日、2021年7月11日閲覧。
  7. ^ Kevin Mench Official Twitter

関連項目[編集]

外部リンク[編集]