「イモビライザー」の版間の差分
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'''イモビライザー'''(Immobilizer)とは電子的な[[鍵 (道具)|キー]]の照合システムによって、専用のキー以外では[[エンジン]]の始動ができないという[[自動車盗|自動車盗難]]防止システムの呼称である。 |
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通常、車の鍵はキーシリンダー内部とキーの鍵山が一致すればイグニッション[[スイッチ]]をオンにすることができ、エンジンを始動することができる。これに対してイモビライザーは、専用キーに埋め込まれた[[トランスポンダ]]と呼ばれる[[集積回路|電子チップ]]が持つ固有の[[ID]][[コード]]と車両側のIDコードを電子的に照合し、一致すればエンジンを始動させることができる。従って合カギなどで[[扉|ドア]]を開け、エンジンを始動させようとしてもIDコードが一致しない限りエンジンを始動させることができない。 |
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キーのIDは[[暗号化]]されており、その組み合わせは膨大な数になるため、複製することはほぼ不可能に近い、そのため合カギや[[配線]]直結の手口にも有効なセキュリティシステムとされてきた。(ただし、当然ではあるが[[車上荒らし]]には効果がない。) |
キーのIDは[[暗号化]]されており、その組み合わせは膨大な数になるため、複製することはほぼ不可能に近い、そのため合カギや[[配線]]直結の手口にも有効なセキュリティシステムとされてきた。(ただし、当然ではあるが[[車上荒らし]]には効果がない。) |
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また、運転席付近にある整備用のコネクタに差し込むことで車両側のIDコードをリセットして別のキーのIDコードに照合させることでエンジンの始動を可能にする「イモビカッター」なるものが登場し、十数秒で解錠できるようになってしまった。現在の法令ではこれらの所持は違反ではないが、[[2011年]]2月にこれを販売していた男に対して[[窃盗]]幇助罪が適用され起訴されたケースがある。 |
また、運転席付近にある整備用のコネクタに差し込むことで車両側のIDコードをリセットして別のキーのIDコードに照合させることでエンジンの始動を可能にする「イモビカッター」なるものが登場し、十数秒で解錠できるようになってしまった。現在の法令ではこれらの所持は違反ではないが、[[2011年]]2月にこれを販売していた男に対して[[窃盗]]幇助罪が適用され起訴されたケースがある。 |
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一部の[[損害保険]]会社では、この装備車を対象とした保険料の割引サービスも行っているが、一方で実際に車両が盗まれた場合に保険金支払いを拒絶される事例が多発している。この場合、保険金支払いを受けるには契約者が自ら[[訴訟]]を提起しなければならず、長い時間と労力を要する。リーディングケースとなった2005年12月13日大阪地裁判決の事案<ref> |
一部の[[損害保険]]会社では、この装備車を対象とした保険料の割引サービスも行っているが、一方で実際に車両が盗まれた場合に保険金支払いを拒絶される事例が多発している。この場合、保険金支払いを受けるには契約者が自ら[[訴訟]]を提起しなければならず、長い時間と労力を要する。リーディングケースとなった2005年12月13日大阪地裁判決の事案<ref>{{Cite web|date=2005-12-19|url=http://response.jp/issue/2005/1219/article77468_1.html|title=イモビライザーがあってもクルマは盗める…裁判所が判断|publisher=Response.|accessdate=2011-05-05}}</ref>によれば、[[被告]][[損保ジャパン]]は「イモビライザーは解除不能であるから盗難は不可能なはずである」と加入者による保険金詐欺を匂わせた主張を続けたため、盗難から一審の支払い命令[[判決]]を得るまでに1年9か月を要している。[[TBSテレビ|TBS]]「[[NEWS23|ニュース23]]」2006年1月9日放送分では、この問題を特集した際に、イモビライザー破りの手口が業者により明かされており、結局はイモビライザー以外の自己防衛も必要だという事が語られている。 |
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出始めた当初は、一部の[[高級車]]などに採用されていた程度だったが、最近では小型車や[[ミニバン]]など、標準装備として採用される車種が多くなっている。欧米では低価格の小型車でも装着が事実上義務付けられている。 |
イモビライザーが出始めた当初は、一部の[[高級車]]などに採用されていた程度だったが、最近では小型車や[[ミニバン]]など、標準装備として採用される車種が多くなっている。欧米では低価格の小型車でも装着が事実上義務付けられている。 |
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[[2004年]]に発売された[[スズキ・スイフト]]は[[日本車]]の1300・1500ccクラスとしては初めて、全グレード標準装備としている。また、[[特別仕様車]]ではよく特別装備として装備される機能でもある。 |
[[2004年]]に発売された[[スズキ・スイフト]]は[[日本車]]の1300・1500ccクラスとしては初めて、全グレード標準装備としている。また、[[特別仕様車]]ではよく特別装備として装備される機能でもある。 |
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== 関連項目 == |
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2011年5月4日 (水) 16:44時点における版
イモビライザー(Immobilizer)とは電子的なキーの照合システムによって、専用のキー以外ではエンジンの始動ができないという自動車盗難防止システムの呼称である。
機能
通常、車の鍵はキーシリンダー内部とキーの鍵山が一致すればイグニッションスイッチをオンにすることができ、エンジンを始動することができる。これに対してイモビライザーは、専用キーに埋め込まれたトランスポンダと呼ばれる電子チップが持つ固有のIDコードと車両側のIDコードを電子的に照合し、一致すればエンジンを始動させることができる。従って合カギなどでドアを開け、エンジンを始動させようとしてもIDコードが一致しない限りエンジンを始動させることができない。
キーのIDは暗号化されており、その組み合わせは膨大な数になるため、複製することはほぼ不可能に近い、そのため合カギや配線直結の手口にも有効なセキュリティシステムとされてきた。(ただし、当然ではあるが車上荒らしには効果がない。)
だが、イモビライザーを搭載した車が盗まれるケースもゼロではない(2005年10月25日に起きたJ1(当時)FC東京の茂庭照幸選手のランドクルーザー盗難事件など)。 また、運転席付近にある整備用のコネクタに差し込むことで車両側のIDコードをリセットして別のキーのIDコードに照合させることでエンジンの始動を可能にする「イモビカッター」なるものが登場し、十数秒で解錠できるようになってしまった。現在の法令ではこれらの所持は違反ではないが、2011年2月にこれを販売していた男に対して窃盗幇助罪が適用され起訴されたケースがある。
一部の損害保険会社では、この装備車を対象とした保険料の割引サービスも行っているが、一方で実際に車両が盗まれた場合に保険金支払いを拒絶される事例が多発している。この場合、保険金支払いを受けるには契約者が自ら訴訟を提起しなければならず、長い時間と労力を要する。リーディングケースとなった2005年12月13日大阪地裁判決の事案[1]によれば、被告損保ジャパンは「イモビライザーは解除不能であるから盗難は不可能なはずである」と加入者による保険金詐欺を匂わせた主張を続けたため、盗難から一審の支払い命令判決を得るまでに1年9か月を要している。TBS「ニュース23」2006年1月9日放送分では、この問題を特集した際に、イモビライザー破りの手口が業者により明かされており、結局はイモビライザー以外の自己防衛も必要だという事が語られている。
イモビライザーが出始めた当初は、一部の高級車などに採用されていた程度だったが、最近では小型車やミニバンなど、標準装備として採用される車種が多くなっている。欧米では低価格の小型車でも装着が事実上義務付けられている。
2004年に発売されたスズキ・スイフトは日本車の1300・1500ccクラスとしては初めて、全グレード標準装備としている。また、特別仕様車ではよく特別装備として装備される機能でもある。
脚注
- ^ “イモビライザーがあってもクルマは盗める…裁判所が判断”. Response. (2005年12月19日). 2011年5月5日閲覧。