被告

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被告(ひこく、Defendant)とは、日本法上は民事訴訟において訴訟を起こされた者をいい、第一審でのみ用いられる。 民事訴訟における訴えを起こされた側の当事者を言い、民事訴訟を起こした原告に対する言葉である[1]

「被告人」と混同されやすいが、刑事訴訟で裁判所に公訴を提起するのは検察官であり、 「被告人」は、検察官に訴えられた人を指す[1]

概要[編集]

被告は民事訴訟の第一審でのみ用いられる[2]控訴審(第2審)では控訴人・被控訴人上告審(第3審)では上告人・被上告人を用いる。控訴人や上告人は、第一審や第二審の判決に不服で上級裁判所に再審理を要求した人のこと。判決に不服なが控訴・上告するので、第一審や第二審の原告・被告いずれが控訴審などでどちらにあたるか決まっているわけではない。この要求をすることのできる人は、民事訴訟では第一審・第二審の敗訴者、刑事訴訟では検察官または被告人両者である[3][4]。ただし、例えば控訴審などにおいて、双方が控訴した場合にはどちらも控訴人兼被控訴人(もしくは文脈により被控訴人兼控訴人)などとなるので、括弧書きにより「第一審原告」「第一審被告」とつけるなど実質上「原告」「被告」という言葉が使われることがある。

反訴が提起された場合、初めに起こされた訴訟の被告を「本訴被告」または単に「被告」と呼び、反訴の相手方を「反訴被告」と呼ぶ。反訴は本訴被告が提起することから、1対1の通常の訴訟では、本訴被告=反訴原告、および本訴原告=反訴被告の関係が成り立つ。

非訟事件調停事件においては、申立てを起こされた側の当事者を「相手方」と呼ぶ。民事執行手続督促手続保全手続においては、申立てを起こされた側の当事者を「債務者」と呼ぶ。

マスコミにおける誤用[編集]

刑事訴訟において罪を犯したとして訴追されている当事者は「被告」であり、これを「被告」と呼ぶのは法律用語として正しくない(刑事訴訟を提起した側(広い意味での原告)は原則として検察官であるが、これを「原告」と呼ぶのは正しくないのと同様である)。実際、刑事訴訟では「被告」という言葉は使われない[1]

しかしながら、多数派の日本メディア報道などにおける用法として、公訴を提起(起訴)された被告人をして「被告」と呼ぶ誤用が浸透している[5][6]。被告という用語そのものについては、本来、民事訴訟を起こされた側の当事者という意味しかないものの、上記誤用がもたらす印象ゆえ、民事訴訟における被告にも、犯罪の嫌疑がかけられているかのような印象を与えてしまう点が問題として指摘されている[7][8]。実際に、被告本人が「俺は何も悪いことはしていない」「不名誉だ」などと怒る例も見られる。

しかしながら、この誤用を改めようという動きは皆無である。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 被告/被告人 | よくわかる裁判員制度の基本用語 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2020年10月21日閲覧。
  2. ^ 被告/被告人 | よくわかる裁判員制度の基本用語 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2020年10月21日閲覧。
  3. ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, 精選版. “控訴人とは” (日本語). コトバンク. 2020年10月21日閲覧。
  4. ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, 精選版. “上告人とは” (日本語). コトバンク. 2020年10月21日閲覧。
  5. ^ 日高報知新聞「被告」と「被告人」 | 新聞 | 札幌弁護士会の暮らしに役立つ情報「ニュース&アーカイブズ」” (日本語). 2020年10月21日閲覧。
  6. ^ 日経クロステック(xTECH). “もう笑えないマイナンバーとマイナンバーカードの混同” (日本語). 日経クロステック(xTECH). 2020年10月21日閲覧。
  7. ^ 山﨑健介ほか「中小企業と診断士のための企業法務Q&A(第3回)売掛金回収(その2)」『企業診断』第9巻第59号、同友館、2012年9月、 NAID 40019419045
  8. ^ 高和直司. “「被告」と「被告人」”. 高和法律事務所. 2021年6月13日閲覧。

関連項目[編集]