窃盗

窃盗(せっとう)とは、窃かに盗むこと、あるいは単に盗むことをいう。倫理的・道徳的に反社会的行為とされ、また、法的にも、不法行為責任および刑事責任が問われるのが通常である。
また、日本法においては、正しくは「他人の財物を窃取すること」をいう(詳細については窃盗罪を参照)が、法令用語としてはさらに「窃盗を犯した者」即ち「窃盗犯」の意味で用いることもある[1]。
概要[編集]
『窃』も『盗』も、それぞれ他人の物を持ち主の意に反して持ち去ることを意味するが、特に『窃』という語は『こっそりと、気付かれず』という意味合いが強い。しかし刑法において窃盗とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反し自己又は第三者の占有に移転させる行為をいい、占有移転行為が他人に気付かれることなく行われることは要件ではなく、公然と行われる場合なども含む。たとえば「ひったくり」なども暴行の程度が強盗罪のそれに達しない場合には窃盗罪となる。
窃盗の分類[編集]
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日本国の警察庁が犯罪統計[2]において用いている窃盗の手口による分類を示す。
- 侵入盗
- 空き巣、忍込み、居空き、ATM破り、金庫破り、旅館荒し、官公署荒し、学校荒し、病院荒し、給油所荒し、事務所荒し、出店荒し、工場荒し、更衣室荒し、色情ねらい(下着泥棒、後述)、倉庫荒し、その他
- 乗り物盗
- 非侵入盗
その他、窃盗の手法や対象物に基く呼び名としての分類であり、法律上の分類ではないが、よく見られる用語を示す。
- ピッキング・サムターン回し・焼き破り - 「空き巣」を参照
- 枕探し
- カード窃盗 - 「キャッシュカード」の項目を参照
- 電気窃盗
- 情報窃盗 - 磁気ストライプカードの「スキミング」が、これに当たる。
- サラミ法
- 畑泥棒 - 主に、個人が育てている花や木、野菜などの農作物を盗むこと。かつては『野荒らし』と呼ばれた。[3]
- 下着泥棒 (色情ねらい)- 主に家内、ベランダ、脱衣場、コインランドリー等から(主に女性や子どもの)下着を盗むこと。下着ドロボー、下着ドロとも表記される。
- 香典泥棒・御祝儀泥棒
- 文化財泥棒 - 仏像などの文化財を窃盗する。
- ゴト/ゴト師 - パチンコやパチスロに於いて不正な方法で出玉を獲得するいかさま賭博。詐欺罪等ではなく窃盗罪が適用される。
窃盗犯の分類[編集]
- 美術窃盗対策組織
- 国際美術研究財団 - 美術品の研究、窃盗品などの情報を収集する非営利団体
- ヨーロッパ盗難美術委員会 - ヨーロッパで盗難された美術品に関する情報を美術館などに提供するウェブポータルを持つ。
- アート・ロス・レジスター(Art Loss Register) - 世界最大の盗品・紛失作品のデータベース提供会社
- アート・リカバリー・グループ - イタリアに本部がある芸術市場や文化遺産機関に盗難美術品の情報提供・捜索を手掛ける会社
著名な泥棒[編集]
架空の人物については「怪盗」を参照。
防犯の例[編集]
脚注[編集]
- ^ (用例)窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。(刑法第238条 事後強盗)
- ^ 犯罪統計書 平成23年の犯罪
- ^ 八巻正治は自著『君は麦畑の風の中を』の中で「秋の紅葉が過ぎ冬場になると、あたりの山々がもうミカン色いっぱいになります。そしてドライブをしながらヒョイと手を伸ばせば道端のミカンが簡単に取れるのです(ゴメンナサイ)」(同書pp.168)と軽い口調で窃盗の告白をしている。当時、大学教授であった人物が、このような文章を冗談めかしつつも平然と書いていることが、いかに「畑泥棒」が軽い犯罪であるかのように考えられているかの一例である。
関連項目[編集]