コンテンツにスキップ

アクティビジョン・ブリザード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アクティビジョン・ブリザード
現地語社名
Activision Blizzard, Inc.
種類
子会社
業種 情報通信業
前身 アクティビジョン
ヴィヴェンディ・ゲームズ
設立 2008年7月10日 ウィキデータを編集
本社 3100 Ocean Park Boulevard、
製品 ゲームソフトウェア
サービス ゲームソフトウェアの企画・開発・制作・販売
売上高 75.3億USD (2022年)
営業利益
16.7億USD (2022年)
利益
15.1億USD (2022年)
総資産 274億USD (2022年)
純資産 192億USD (2022年)
従業員数
約17,000人[1] (2023年)
親会社 ヴィヴェンディ(2008年 - 2013年)
Microsoft Gaming(2023年 - 現在)
子会社 Activision Publishing, Inc.
Blizzard Entertainment, Inc.
King Digital Entertainment PLC.
Activision Blizzard Japan株式会社
ウェブサイト www.activisionblizzard.com ウィキデータを編集

アクティビジョン・ブリザード: Activision Blizzard, Inc.)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタモニカにあるゲームソフトウェア開発会社。マイクロソフトの子会社。

概要

[編集]

2008年7月10日、アクティビジョンヴィヴェンディ・ゲームズが合併して設立。新会社名にはヴィヴェンディの傘下であるブリザード・エンターテイメントのブランドを採用。当時、合併によってエレクトロニック・アーツを抜いてゲームソフト業界首位になった[2]

2011年、フィギュア連動ゲーム『スカイランダーズシリーズ』の展開を始め、2014年までに売上20億ドルを越える成功を収める[3]

2013年7月25日、アクティビジョン・ブリザードは親会社のヴィヴェンディから4億2900万株を58.3億ドルで買い受けて独立[4]。2013年の売上高は45億8300万ドルでゲームソフトの分野では世界第3位になった[5]。NASDAQ上場時の株主には中国オンラインサービス最大手の騰訊控股(テンセント)があった[6]

2015年11月、キング・デジタル・エンターテインメントを約59億ドル(約7120億円)で買収。

2021年以降、ハラスメント、待遇等の問題が噴出。

2022年1月18日、マイクロソフトが687億ドル(当時は約7.87兆、買収完了時は約10兆)でアクティビジョン・ブリザードを買収することに合意したと発表[7]

2023年10月13日、イギリス競争・市場庁が承認し、マイクロソフトの子会社となった[8]。買収完了にともないボビー・コティックCEOは2023年12月29日に辞任した。

買収完了までの流れ

[編集]

日付は全て日本時間。

2022年
  • 1月18日、マイクロソフトがアクティビジョン・ブリザードを買収すると発表。
  • 12月8日、アメリカ連邦取引委員会(FTC)はマイクロソフトがゼニマックス・メディアの買収に際してEU規制当局に虚偽の申告をしたとして買収差し止めの訴訟を起こす[9]
    • 同日、反トラスト法を専門に取り扱う調査報道機関MLexがEU規制当局に問い合わせたところ事実無根との回答を受ける[10]
  • 同日、アメリカ通信労働者組合(CWA)がマイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収の支持を宣言、FTCを非難する声明を発表[11]
  • 12月9日、アメリカ労働者組合連合会および産業団体会議(AFL-CIO)がマイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収の支持を宣言[12]
2023年
  • 3月28日、日本で承認[13]
  • 4月26日、イギリス競争・市場庁(CMA)、マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収を阻止するとの最終報告書を発表[14]
  • 5月15日、欧州委員会で承認[15]
  • 5月22日、中国で承認[16]
  • 6月12日、FTCが買収手続きの差し止めの仮処分を申請[17]
  • 7月12日
    • FTCの仮処分申請を棄却(FTC敗訴)[18]
      • TRO(一時的接近禁止命令)は5日から3日間(日本時間15日16時59分まで)に短縮。
    • マイクロソフト副会長ブラッド・スミスはCMAが判決を受け譲歩を見せたので交渉のため英競争審判所への不服申立を一時中断を発表[19]
  • 7月13日
    • FTCは棄却を不服として控訴裁判所へ控訴[20]
  • 7月14日、トルコで承認。
  • 7月15日
    • アメリカ第9巡回区控訴裁判所はFTCの控訴を棄却[21]
    • 日本時間16時59分をもってTRO(一時的接近禁止命令)が終了しアメリカで事実上承認。
    • カナダで最終報告が出なかったため事実上承認。
  • 7月16日
    • マイクロソフトのフィル・スペンサーはソニーとCall of Dutyシリーズのみをプレイステーションに10年間提供する契約を交わしたと発表[22]
      • SIEのジム・ライアンは買収後の提供を頑なに拒んでいたが、吉田憲一郎会長の鶴の一声で契約を交わしたことがロイターの報道により判明[23]
      • 任天堂、Steam、他社クラウドサービスはアクティビジョン・ブリザードの全てのIPを一律10年間提供を受けるという契約を交わしている。
  • 7月19日、買収完了期限を3ヶ月後の2023年10月18日(米国時間)まで延長。
  • 8月7日、ニュージーランドで承認
  • 8月22日
  • 10月13日
    • イギリスで承認[24]
    • 買収完了にともない子会社も含めアクティビジョン・ブリザード傘下の企業全てがマイクロソフト傘下となる[8]。なお、買収完了後もFTCは買収阻止のため裁判を続けていた。
2024年
  • 6月6日
    • 米FTCは買収完了後も続けていた差止訴訟を取り下げ。これをもってアメリカも正式に承認。

日本での沿革

[編集]
  • 2015年10月5日、日本法人「アクティビジョン株式会社」の法人番号が指定された。
  • 2017年10月4日、社名をActivision Blizzard Japan株式会社に変更。
  • 2018年2月13日、本社を東京都渋谷区南平台町16番28号グラスシティ渋谷6階に移転。
  • 2019年5月21日、本社を東京都渋谷区恵比寿4丁目24番5号恵比寿パークテラスに移転。

代表作

[編集]

アクティビジョンの代表作

[編集]

アクティビジョンヴィヴェンディ・ゲームズの時代も含む。

ブリザードの代表作

[編集]

ハラスメント問題

[編集]

2021年、女性従業員への性的ハラスメントや待遇の不平等が明るみになり、訴訟に発展した[25]

脚注

[編集]
  1. ^ Bobby Kotick Breaks His Silence: Embattled Activision CEO Addresses Toxic Workforce Claims as Microsoft Deal Hangs in Balance”. Variety (May 31, 2023). January 4, 2023閲覧。
  2. ^ “Activision Beats EA As Top Third Party Publisher In U.S.”. GAMASUTRA. (2007年7月24日). https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=14803 2014年7月7日閲覧。 
  3. ^ “任天堂、20億ドルの“金のなる木”との提携チャンス見逃し 世界的ヒット『スカイランダーズ』開発元が暴露”. NewSphere. (2014年4月18日). https://newsphere.jp/business/20140418-8/ 2014年7月7日閲覧。 
  4. ^ “Activision Blizzard Announces Transformative Purchase of Shares from Vivendi and New Capital Structure”. Business Wire. (2013年7月25日). https://www.businesswire.com/news/home/20130725006767/en/Activision-Blizzard-Announces-Transformative-Purchase-Shares-Vivendi 2014年7月7日閲覧。 
  5. ^ Top 25 Companies by Game Revenues”. Newzoo BV. 2014年7月7日閲覧。
  6. ^ 香港デモ、世界ゲーム界にも飛び火 中国政府支持の米ブリザードにボイコットの声 大紀元時報、2019年10月10日
  7. ^ 【速報】Microsoftが世界トップクラスのゲーム会社「Activision Blizzard」の買収を発表”. Saiga NAK (2021年1月18日). 2021年1月18日閲覧。
  8. ^ a b “マイクロソフト、アクティビジョン買収完了 英当局の認可受け”. ロイター通信. (2023年10月14日). https://jp.reuters.com/economy/industry/IVWGW6WJRVITFBXATQD3PFXFQY-2023-10-13/ 2023年10月14日閲覧。 
  9. ^ 米FTC、マイクロソフトによるActivision買収の差し止めを求め提訴
  10. ^ Microsoft-Activision deal challenged by US FTC
  11. ^ CWA Statement on the FTC’s Decision to Sue to Block the Microsoft/Activision Deal
  12. ^ AFL-CIO: Workers Deserve Seat at the Table, Calls for Microsoft–Activision Blizzard Deal to Move Forward
  13. ^ (令和5年3月28日)マイクロソフト・コーポレーション及びアクティビジョン・ブリザード・インクの統合に関する審査結果について
  14. ^ プレス リリース:クラウド ゲームのイノベーションと選択肢を保護するため、マイクロソフトとアクティビジョンの契約が阻止されました(26.4.23)
  15. ^ EU、マイクロソフトのアクティビジョン買収承認
  16. ^ MSによるアクティビジョン買収が中国で承認―アメリカ民事訴訟での仮差止命令も却下など買収に追い風
  17. ^ “MS買収阻止へ仮処分申請 米当局が加州裁判所に”. 産経新聞. (2023年6月13日). https://www.sankei.com/article/20230613-WZYJOGFJ3JIMTNIQESKPTNFTBA/ 2023年6月13日閲覧。 
  18. ^ “U.S. federal Judge Corley finally rules on Microsoft's Xbox-ABK deal: Microsoft WINS”. Windows Central. (2023年7月11日). https://www.windowscentral.com/gaming/xbox/ftc-vs-xbox-federal-judge-decision 2023年7月12日閲覧。 
  19. ^ BradSmiのツイート- X(旧Twitter)
  20. ^ “米FTC、Microsoftのゲーム大手買収差し止めで控訴へ”. 日本経済新聞. (2023年7月13日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130LP0T10C23A7000000/?n_cid=NMAIL007_20230713_H 2023年7月13日閲覧。 
  21. ^ “マイクロソフトのゲーム大手買収 米裁判所、差し止め再却下 承認へ前進”. 産経新聞. (2023年7月15日). https://www.sankei.com/article/20230715-2GLHYMG4SVPR7NAF3MGL7DQMHE/ 2023年7月15日閲覧。 
  22. ^ “Sony's Microsoft truce marks new gaming reality”. the verge. (2023年7月16日). https://www.theverge.com/2023/7/16/23792215/sony-microsoft-call-of-duty-cod-deal-signed 2023年7月17日閲覧。 
  23. ^ “Sony's Microsoft truce marks new gaming reality”. ロイター. (2023年7月17日). https://www.reuters.com/breakingviews/sonys-microsoft-truce-marks-new-gaming-reality-2023-07-17 2023年7月17日閲覧。 
  24. ^ “Microsoft’s Activision Blizzard deal approved by UK regulators”. The Verge. (2023年10月13日). https://www.theverge.com/2023/10/13/23796552/microsoft-activision-blizzard-cma-approval-uk 2023年10月13日閲覧。 
  25. ^ Activision BlizzardのCEOが告発される。社内のセクハラ黙認や自身のセクハラ疑惑など、組織トップへの告発により再燃するハラスメント問題”. オートマトン. 2023年6月6日閲覧。

外部リンク

[編集]