つばめ (人工衛星)

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超低高度衛星技術試験機「つばめ」
(SLATS)
所属 JAXA
主製造業者 三菱電機
公式ページ 超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)
日本の旗 日本
運用者 JAXA
目的 超低軌道を飛行する衛星技術の確立
設計寿命 2年以上
打上げ場所 種子島宇宙センター
打上げ機 H-IIAロケット37号機
打上げ日時 2017年12月23日[1]
物理的特長
本体寸法 2.5(X) x 5.2(Y) x 0.9m(Z)
質量 400kg以下(暫定)
発生電力 1140W以上(暫定)
主な推進器 イオンエンジン、化学推進系
軌道要素
周回対象 地球
高度 (h) 268km~180km
近点高度 (hp) 180km
遠点高度 (ha) 268km
搭載機器
原子状酸素(AO)
モニタシステム
原子状酸素を観測する
材料劣化モニタ 熱制御材の劣化を監視する
小型高分解能光学センサ 低高度から高解像度の画像を得る
引用資料[2]

つばめ(超低高度衛星技術試験機:Super Low Altitude Test Satellite、略称:SLATS)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した、人工衛星の超低軌道飛行技術の確立を目的とした人工衛星。2017年(平成29年)12月23日にH-IIAロケット37号機によりしきさいと相乗りで打ち上げられた[3]

概要[編集]

従来の技術では人工衛星を高度300km以下の超低軌道に投入した場合、通常の地球観測衛星が周回する高度600km-800kmの軌道に比べて1,000倍の大気の抵抗を受けるため、衛星の速度が低下して大気圏に落下してしまい継続的な地球観測が不可能であった。しかし超低高度での継続的な地球観測を実用化することができれば、衛星軌道が従来より地上に近いため、従来と同じセンサを使用しても高分解能化が可能であり(同コストで高性能化)、センサを小型・軽量化しても従来と同様の性能のまま(低コスト化しても同様の性能)で観測ができるようになる。つばめはこの超低軌道飛行技術を実証するために開発された衛星である[4][5]

つばめでは、従来から衛星のエンジンとして一般的に使われているガスジェットエンジン(化学エンジン)に比べて、燃料の使用効率が10倍高いキセノンイオンエンジンを採用することで長期間にわたって軌道高度を維持できるようにする。キセノンイオンエンジンは小惑星探査機はやぶさで使用されたことで有名になったが、つばめでは技術試験衛星きく8号で採用されたイオンエンジンのXIESに改良を加えたものを使用する[2]

つばめはH-IIAロケットにより遠地点643km、近地点450kmの楕円軌道に投入された後に、ガスジェットエンジンを使って高度392kmの円軌道に移行し、太陽電池パドルを立てた「エアロブレーキモード」に入り、大気抵抗を大きくして燃料消費を抑えながら高度を下げていく。高度268kmで「エアロスルーモード」に移行して大気抵抗を最小化してイオンエンジンの噴射による軌道維持を開始する。高度220kmまではイオンエンジンのみで高度の維持が可能であるが、最低高度180kmではイオンエンジンとガスジェットエンジンを併用して高度を維持することになる。設計寿命は2年であり、打ち上げから1年9ヵ月後までに最低高度180kmの飛行試験を実施する予定である[5]

また、超低高度での原子状酸素の影響による金色の熱制御材(多層インシュレーション:Multi Layer Insulation)のポリイミドフィルムの劣化をモニタリングする装置も備える[2]

仕様[編集]

  • 全長 - 2.5m
  • 全幅 - 5.2m
  • 全高 - 0.9m
  • 重量 - 380kg[5]

搭載機器[編集]

  • 小型光学センサ - レンズ口径20cm、重量19.8kg、分解能1m以下[5]
  • 原子状酸素(AO)モニタシステム
  • 材料劣化モニタ

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]