中国文明
中国文明(ちゅうごくぶんめい)は、中国大陸における文明・文化などの総称である。中華文明(ちゅうかぶんめい)あるいは中華文化(ちゅうかぶんか)とも。世界最古の文明の一つであり、東アジアにおける中心文化でもある。歴史的には同文化圏内で広大な地域や人口を保有し、各地の文化は四千年もの発展を経て、「共通性を持ちながらも、鮮明な地方特色を帯びている」という中国独自の特徴になった。そして、中国大陸だけでは限らず、台湾・香港・マカオ・シンガポール等の中華圏や、日本・韓国・ベトナム・モンゴル等の漢字文化圏の国々にもかなり重要な影響を与えた。
古代中国文明
古代中国文明は、黄河文明、長江文明、遼河文明の三つの文明に大別される。
20世紀中期の定説では、黄河文明が古代中国文明の中心地とみなされていた。すなわち、まず黄河流域で粟を主作物とする農業文明が興り、これが自然および地理的な要素の影響を受け、次第に水稲を主作物とする長江流域へと移行、発展していった。したがって、長江文明は黄河文明を継承したものと思われていた。また、北方草原遊牧民族と黄河流域の農業民族は土地をめぐり絶え間なく争い続け、この過程で遊牧文明と農業文明が直接的な交流、融合を得続けた。
しかしながら、1986年の三星堆遺跡の発見以降、そのような「長江文明は黄河文明の継承と発展の結果である」という見方には疑問が持たれ始めている。さらに、21世紀の中華文明探源プロジェクトによれば、中国文明の起源は黄河流域だけではなく、もっとほかに多くの文明がかかわっているとされる。
近年は始祖の民族のひとつである「華夏族」の観点から、華夏文明としても研究されている[1]。
地域・民族
中国文明はおおまか次の地域に分けられる。主体民族である漢民族(華夏族)に加えて、チベット民族、モンゴル民族、ウイグル、満州民族、朝鮮民族などの民族がそれぞれの特色を持つ地域文化を作り上げている。
- 中原・華北および陝西の黄河流域
- 四川・重慶一帯の長江上流
- 湖南・湖北および江西一帯の長江中流
- 安徽・浙江・江蘇一帯の長江下流
- 東北地域
- 内蒙古地域
- 新疆地域
- 西蔵、青海および四川西部のチベット地域
- 華南および南華東の越文化地域
言語
文化
思想・宗教
宇宙観・天文学としては、陰陽思想と五行思想(陰陽五行思想)・ 易経の八卦・中国暦(農暦)・二十八宿・天干地支などがある。
思想・学問には諸子百家がある。
このうち後世に注釈を経て発展したものとして朱子学(宋)・陽明学(明)・考証学(清)がある。
中国では道教・儒教・仏教を三教とする。道教には神仙思想・民族宗教も含まれる。源流として祖霊信仰がある。
科学技術
ジョゼフ・ニーダムは中国文明における造紙術・ 印刷術・羅針盤・火薬の発明を四大発明とした。
数学の分野では周髀算経(前漢)・九章算術・祖沖之・算盤を参照。
農学では斉民要術・天工開物・夢渓筆談。医学は伝統中国医学を参照。本草綱目・黄帝内経も参照。
政治思想・制度
世界観としては中国文明を「世界の中心=中華・中国」とし、周辺地域を辺境とする中華思想がある。華夷秩序ともよばれる。
- 易姓革命
- 禅譲制
- 放伐
- 皇帝 - 王 - 覇者
- 宦官
- 冊封体制
- 中華法系
- 科挙制
- 浸透王朝
- 征服王朝
- 中華思想
- 天子守国門、君主死社稷
- 三民主義(中華民国(現在の台湾)の建国思想。
- 驅除韃虜、恢復中華
- 共産主義(中華人民共和国の建国思想。毛沢東など)
- 開発独裁(改革開放思想。鄧小平など)
文学・史書
- 中国の寓話
- 小説には紅楼夢・西遊記・三国演義・水滸伝・老残遊記・閲微草堂筆記・肉蒲団・金瓶梅がある。
- 詩歌には漢賦・楽府詩・唐詩・唐伝奇・宋詞・宋詩・元曲がある。
- 戯曲には京劇・崑劇・滬劇・湘劇・黄梅戲・双簧・相声がある。
自然・動物
服装
服飾は夏朝から明朝・現代まで復興できたの漢服や、清朝の剃髮易服から中華民国にかけてのチャイナドレスがある。
建築・彫刻
美術工芸
工芸には青銅器・漆器・陶器・磁器・玉器・金器・銀器・灯籠・屏風・彫漆がある。
琴棋書画
文士は「琴棋書画」と称して、琴・圍棋・書道・絵画の四芸を嗜むとされた。
楽器には古筝・古琴・琵琶・洞簫・方響・箜篌・二胡・揚琴・編鐘・笙・竽などがある。
武術
その他
ギャラリー
脚注
- ^ 中国歴史博物館編著『華夏文明史』 朝華出版社,2002年。王克林『華夏文明論集』山西人民出版社,2006
関連項目
- 中国の新石器文化の一覧
- 中華圏
- 中国化
- 中国本土(チャイナ・プロパー)
- 中国学
- 講談社「中国の歴史」
- 中華文明探源プロジェクト
- 夏商周年表プロジェクト(探源プロジェクトの前段階)
外部リンク
- CHINA7-華夏思想と由来
- 中国文化としての礼楽余項科、静岡大学、国際関係・比較文化研究第3巻 第1号、2004