孔子学院

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孔子学院
各種表記
繁体字 孔子學院
簡体字 孔子学院
拼音 Kŏngzǐ Xuéyuàn
発音: コンズ シュエユエン
英文 Confucius Institute
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カナダにある孔子学院

孔子学院(こうしがくいん)とは、中華人民共和国が提案したプロジェクトで、海外の大学などの教育機関と中国の大学等が提携し、中国語や中国文化の教育及び紹介、中華人民共和国との友好関係醸成を目的とする中国語教育機関である。

概要[編集]

孔子の名を冠しているが、儒学教育機関ではなく、中国語語学教育機関である。

大学レベルの「孔子学院」と、中学・高校レベルの「孔子学級」がそれぞれ設置されている[1]。「孔子学院」のほうは、ドイツのゲーテ・インスティテュートやフランスのアリアンス・フランセーズ、スペインのセルバンティス文化センター、そして部分的にブリティシュ・カウンシルを模して作られている[1]。2009年現在世界で推定4000万人が中国語を学んでおり、需要は高い[1]。2019年末までに162の国と地域に550校が設置され、分校に相当する「孔子課堂」が1,172校設置されている[2]

孔子学院プロジェクトは2004年に開始され、同年11月大韓民国ソウル市に初めての海外学院が設置された[3]

孔子学院・孔子学級の目的は主に、海外で中国語と中国文化を教えることである[4]。中国語を教えるほかに、漢方医学や中国史、文化、社会、武道、演劇、生け花、剪紙などをも教える[4]。現代の話題を取り上げることもある[4]

孔子学院プロジェクトは、2004年度から「中国国家対外漢語教学領導小組弁公室」が推進してきたが、2020年6月より中国の大学および企業・団体等による「中国国際中文教育基金会」が担うことになった[5]。中国政府が新たに設置した「中国教育部中外語言交流合作中心」が、国際的な中国語の教育基準の策定・実施、国際的な中国語の教師、教科書、科目などの構築と学術研究支援、国際的な中国語の教師試験と中国語研修等を担当している[6]

日本における孔子学院[編集]

タイにおける孔子学院の展開と中国語熱[編集]

タイにおける孔子学院の具体例として以下のものがある。

  1. ソンクラーナカリン大学孔子学院
  2. プーケットにある ソンクラーナカリン大学大学孔子学院
  3. Mae Fah Luang 大学孔子学院
  4. チェンマイ 大学孔子学院
  5. Suan Dusit Rajabhat大学孔子学院
  6. タイ国立マハサラカム大学孔子学院
  7. Khon Kaen大学孔子学院
  8. Betong 大学孔子学院
  9. 農業大学孔子学院
  10. Bansomdejchaopraya RaJabhat孔子学院
  11. チュラロンコン大学孔子学院
  12. Traimit Wittayalai高校孔子課堂.(http://www.confucius.psu.ac.th/En/en_CIinThailand.aspx)

タイにおいては、中国語熱の高まりにより、上記を含む14か所が設置されている[12]。この設置数は、東南アジア地域最大の設置数であり、東南アジア2位の設置数であるインドネシアの6か所を大きく上回る[12]。タイ北部チェンライ県にあるメーファルーアン大学は中国政府と提携し、2004年に中国言語文化センターを開設し、その施設の中に同学院も入る[12]。施設の建造は中国政府の全額出資である[12]。タイにおける中国語熱には2つの理由があるとされる[12]。1つ目はタイ中国関係の変化である[12]東西冷戦下で、西側陣営についたタイは徹底的な反共政策をとったため、中国語教育が禁止された時期があったが、中国の経済的な台頭で方針転換をした[12]。タイ政府は中国に詳しい専門家が不足していることに危機感を抱き、人材育成に力を入れ始めた[12]。2つ目はグローバル化の流れのなかで中国語が話せる人材を厚遇する企業が増え始めたことである[12]。「中国の友人」を増やそうと中国政府もソフトパワー戦略を強めている[12]。様々な奨学金制度を利用してタイ人留学生を中国に引き寄せており、その結果、中国で学ぶタイ人留学生の数は、韓国人、アメリカ人についで多い[12]。逆に中国は、中国語語学教師として毎年2000人近い中国人をタイに送り込んでいる[12]。タイ国内において中国語を学ぶ中学・高校生は約29万人におよぶという[12]

テレビ孔子学院[編集]

2008年12月17日、山西省太原市黄河電視台によりテレビ孔子学院が開設され、翌日よりアメリカ大陸向けの試験放送が開始された。現在アメリカのSCOLA衛星教育テレビネットで24時間体制で放送され、アメリカ400校の大学、7000校の高校および50を超える都市のケーブルテレビで配信され、視聴者は1500万人と推定されている。

報道[編集]

アメリカ[編集]

アメリカ合衆国では、孔子学院に対して様々な報道が行われている。


アメリカ学識者協会のレイチェル・ピーターソンによると、孔子学院では政治・歴史・経済関連の議論は禁止されており、中国政府の意思がアメリカの大学教育に反映され、資金提供を受けているが故に大学側や教授陣が言いたいことが言えなくなることも問題だとしている[13]

2014年6月に、アメリカ合衆国大学教授協会英語版は「孔子学院は中華人民共和国の中国国家の手足として機能しており、『学問の自由』が無視されている」と批判した。

2018年2月13日には、アメリカ連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官が連邦議会上院の情報委員会の公聴会にて、孔子学院がアメリカ国内にて諜報活動やプロパガンダ活動など違法行為を行っている疑いがあり、捜査対象となっていると証言した[14][15]

2018年2月にマルコ・ルビオアメリカ合衆国上院議員は、「国内外での中国の積極的な政治活動は、アメリカの教室に『潜入』し、探求の自由を抑圧し、表現の自由をむしばむものだ」と述べた。

2018年3月には外国影響力透明化法案がアメリカ下院で提出された。


しかし、2019年2月の米国政府監査院が90の孔子学院を調査した報告書によれば、これらの批判を裏付ける証拠は一切無かった[16]

ジョージワシントン大学の歴史および国際問題が専門のエドワード・A・マッコード名誉教授によれば、孔子学院を攻撃するキャンペーンはアメリカ人に低コストで中国語教育を提供し、文化的理解を向上させるという価値を認識していないと述べている。米国政府監査院の調査でも2014年の大学教授協会の主張を裏付ける証拠は無かった。FBIのレイ長官も「孔子学院は主に中国のソフトパワー戦略の一部と見做している」と述べている[17]

カナダ[編集]

カナダ安全情報局は2007年に、「孔子学院が世界の民心掌握のための中国政府の試みの一部である」とのコメントを表明している[18]。2014年10月1日にトロントの教育委員会は、孔子学院との関係解消を決めた[19]

日本[編集]

阿古智子は孔子学院について、「中華料理や中華圏の伝統文化も広がっているが、たいていは、他の文化の邪魔をしすぎず、共存するような形をとっているのではないだろうか。華人社会は非常に国際的で開放的であると感じる。それに対して、中国政府が推進する孔子学院などの教育や文化事業は、国家主義的で、排他的であるように、筆者は感じてしまう」と述べている[20]

池上雅子は、「中国政府は、世界中の数百の大学内に孔子学院をつくることで海外における中国研究教育を北京政府がコントロールできる体制を整えつつあると述べている[21]

スウェーデン[編集]

スウェーデンでは、孔子学院が中国政府の組織であることにより、同国の国会は「孔子学院が国内の教壇を中国政府に提供することになる」という懸念を表明している[22]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c ディビッド・シャンボー著・加藤祐子訳『中国グローバル化の深層―『未完の大国』が世界を変える」(2015年朝日新聞出版)319ページ
  2. ^ 全球网络-中国国际中文教育基金会”. www.cief.org.cn. 2021年4月13日閲覧。
  3. ^ 中国語学校「孔子学院」、海外で100校の開設目指す 人民網日本語版 2004年11月16日
  4. ^ a b c ディビッド・シャンボー著・加藤祐子訳『中国グローバル化の深層―『未完の大国』が世界を変える」(2015年朝日新聞出版))320ページ
  5. ^ 中国国际中文教育基金会”. www.cief.org.cn. 2021年4月13日閲覧。
  6. ^ 中外语言交流合作中心”. www.chinese.cn. 2021年4月13日閲覧。
  7. ^ 立命館アジア太平洋大学孔子学院開設記念式典が行われました 立命館アジア太平洋大学 2007年4月10日
  8. ^ 早稲田大学孔子学院設立協定書に調印 早稲田大学 2007年4月12日
  9. ^ 新華網 早稲田大学に孔子学院が設立 新華通信ネットジャパン 2007年4月13日
  10. ^ 「工学院大学孔子学院」調印式を挙行 工学院大学 2008年1月23日
  11. ^ 山梨学院大学|山梨学院大学孔子学院開設式を挙行しました”. www.ygu.ac.jp. 2019年9月25日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m 朝日新聞2016年3月20日朝刊Globe第5面「増えるか「中国の友人」」
  13. ^ “世界に広がる中国の「孔子学院」はトロイの木馬? 米国で非難の声が上がる背景とは”. NewSphere. (2017年5月19日). オリジナルの2017年-5-20時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170520070150/http://newsphere.jp/world-report/20170519-1/ 2017年5月20日閲覧。 
  14. ^ “孔子学院が遂にFBI捜査の対象に”. ニューズウィーク. (2018年2月20日). https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/fbi-34.php 2018年2月27日閲覧。 
  15. ^ FBI investigating Confucius Institutes”, The Washington Times, February 14, 2018  
  16. ^ Office, U. S. Government Accountability. “China: Observations on Confucius Institutes in the United States and U.S. Universities in China” (英語). www.gao.gov. 2021年4月13日閲覧。
  17. ^ Confucius Institutes are wrong target for China frustrations” (英語). Nikkei Asia. 2021年4月13日閲覧。
  18. ^ "CSIS say: Confucius part of Chinese bid to win over western hearts", The Chronicle, May 27th 2007.
  19. ^ 北米で相次ぐ「孔子学院」閉鎖 中国政府の価値観押しつけに「NO」 産経デジタルiza、2014年10月14日
  20. ^ “「中国は好き、アメリカは嫌い…」アジアで中華文化が浸透する理由”. 現代ビジネス. (2018年2月20日). オリジナルの2018年2月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180222023232/http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54309?page=3 
  21. ^ 池上雅子「北朝鮮・モンゴル・ミャンマーに見る中国が展開する擬似「満州国」政策」『中央公論』2010年4月号、pp.162-173
  22. ^ Riksdagens snabbprotokoll 2007/08:46 (in Swedish)

参考文献[編集]

  • ディビッド・シャンボー著・加藤祐子訳『中国 グローバル化の深層「未完の大国」が世界を変える」(2015年)朝日新聞社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]