2ステップ

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2ステップガラージ
様式的起源
文化的起源 1990年代後期、イギリスの旗 イギリス ロンドン
使用楽器
派生ジャンル
融合ジャンル

2ステップガラージ(ツーステップ ガラージ、2-step garage)、または単に2ステップ(ツーステップ、2-step)は、現代のエレクトロニック・ミュージックのイギリスを中心とするジャンルの1つであり、UKガラージ (UK garage) の比較的人気の高いサブジャンル。[1]2ステップ(この用語は「ガラージ伝統の4つ打ちにのっとらない、さまざまなぎくしゃくした変則的なリズムの大まかな範ちゅう」を表現するために作り出された[1])のサウンドの最も重要な特色の1つは、そのリズムがほか多くのエレクトロニック・ミュージックのスタイルに見られる4つ打ちのような規則正しいキックドラムの演奏パターンをもたないことである。

特徴[編集]

2ステップガラージのドラムパターンは一般に各小節の2拍目・4拍目でキックドラムが演奏されない点、そしてシャッフル3連符を用いる点に特徴づけられ、「よろめくファンクの雰囲気[1]」を伴い他のハウステクノとは明らかに異なるビートを生じさせる。4つ打ちから単純にこれらの拍のキックドラムを間引いた形のパターンをもつトラックの場合、キックドラムの演奏周期が元の2倍に引き伸ばされた状態であり、4つ打ちのトラックより遅いものとして知覚されうるが、シンコペーションを使用したベースライン英語版の導入や、パーカッション以外のサウンドをパーカッションのように使用するアプローチがリスナーの興味を保つ。

楽器編成には通常、キーボードシンセサイザードラムマシンが含まれる。ほかに音楽的な彩りのために添えられる楽器として、ギターピアノ管楽器などが挙げられる(サンプリングによるものが多い[要出典])。シンセサイザーを基本とする2ステップのベースラインは、ルーツとなる従来のUKガラージやそれ以前、ドラムンベースジャングルのものと似ているが、ファンクソウルからの影響も聴いて取ることができる。ボーカルスタイルはハウスR&Bで一般的なものと似ている。[2][3]アカペラのボーカルを細かく分割・エフェクト処理し一種のパーツのように使用するアーティストもいる。また、他のUKガラージの派生ジャンルとほぼ同様に、特にライブオールドスクール・ジャングルを彷彿とさせるボーカルスタイルのMCがしばしば特色をなす。[1]

ヒップホップ[2]ドラムンベース(特にサブジャンルのハードステップ英語版[4]テックステップ[1])からの影響も評論家によって指摘されている。ライブイベントの攻撃性の低さから、2ステップシーンには前身のジャンルを取り巻くものとはかなり異なる雰囲気があったという事実を指摘した評論家もいる。[要出典]

来歴[編集]

初期[編集]

2ステップはスピードガラージ (speed garage) などの当時のジャンルからの(おそらく反動的な)進化として、ジャングルやガラージ中心のロンドンの海賊ラジオ局を軸に1つのジャンルとして有名になった。[いつ?]初期の2ステップの番組は土曜の朝や日曜の午後のような「週末の豊かで美しいひととき」に放送されることが多かった。

人気の上昇[編集]

評判になるにつれ、このサウンドに特化したクラブイベントが特にロンドンサウサンプトンに出現しはじめた。コード9 (Kode9) の名で知られるレーベルオーナー/ダブステップミュージシャンのスティーブ・グッドマン (Steve Goodman) はハイパーダブ (Hyperdub) のウェブサイトで、「UKハードコア連続体」(UK hardcore continuum)[ハードコア/ジャングル/ガラージサウンド内での持続的な進化を要約するグッドマンのフレーズであり[5]、シーンを詳細に記録するマーティン・クラーク (Martin Clark) などのライターが後に採用[6]である2ステップやその後の派生物に大きな影響を与えるクラブ「フォワード」(Forward>>) の第一歩についてコメントしている。

議論の余地はあるかもしれないが、ティナ・ムーア (Tina Moore) の楽曲「ネヴァー・ゴナ・レット・ユー・ゴー」(Never Gonna Let You Go) を1997年にアメリカの[7]ケリー・G (Kelly G) がリミックスしたものが最も初期の2ステップトラックの一例であり、この作品は全英シングルチャート第7位のヒットとなった。

1999年 - 2000年:メインストリームでの成功[編集]

1999年から2000年にかけて、2ステップは商業的成功におけるピークを迎えた。2ステップのイベントにはより多くの女性・より攻撃的でない人々が集まったため[要出典]、パーティーの主催者にはジャングル、ドラムンベースその他音楽的前身がテーマのイベントよりも好まれたと一部の評論家は指摘した。ドラムンベースとほぼ同様に2ステップはジャンルを超える訴求力を獲得しはじめ、2ステップ制作チームのアートフル・ドジャー (Artful Dodger) とR&Bボーカリストのクレイグ・デイヴィッド (Craig David) のコラボレーションによる楽曲「リ・リワインド」(Re-Rewind) は1999年後期に全英シングルチャート第2位に到達した。

2000年 - 現在:衰退とその後[編集]

2000年以降、1ジャンルとしての2ステップの人気は下り坂になったが[4]、ホースパワー・プロダクションズ (Horsepower Productions)、ゼッド・バイアス (Zed Bias)、ウーキー (Wookie) 、スティーブ・ガーリー (Steve Gurley) [8][9]らが実験的な2ステップをリリースしR&Bからの影響の多くを取り払う動きがあった。このスタイルは「ダーク・2ステップ」(dark 2-step)、「ニュー・ダーク・スウィング」(new dark swing)[10]、そしてより一般的には「ダーク・ガラージ」(dark garage) など多くの名称をもつようになった。このスタイルは、グライム (grime) などUKガラージの影響を受けた音楽のより新しいスタイルに大きな影響を与え、ベースを強調するスタンスと後期2ステップのインストゥルメンタル作品となる性質を取り込んでもっともな結論を出したダブステップ (dubstep) の直接的前身ともなった。[8][11][12][13]2006年、テンパ・レコーディングス (Tempa Recordings) のコンピレーション『ルーツ・オブ・ダブステップ』(Roots of Dubstep) のリリースや、ダブステップサウンドのルーツへの回帰を切望するアーティストたちにより、この実験的なスタイルへの関心は再び高まった。[6]

著名なアーティスト[編集]

(50音順)

クリスティーン・ブロンド (Kristine Blond)「ラヴ・シャイ」(Love Shy)ショーラ・アーマ (Shola Ama)「イマジン」(Imagine) のリミックスなどで知られる[それぞれPlatnumによるカバー版およびUKガラージの楽曲一覧に関連情報(英語版)]。

2ステップのトラック制作/DJプレイ歴をもつ日本人・日本のアーティスト[編集]

1998年10月リリースのアルバム『beatmania』収録曲「Ain't It Good (Original Vocal Mix)」後半部でアレンジを2ステップに展開させている[要出典]。またHirataのプロデュースとアレンジで翌1999年8月にリリースされ[17]イギリスの音楽制作情報誌『Sound on Sound』で5つ星の評価を受けた[18]サンプリングCD『MILLENNIUM GARAGE』にも2ステップのスタイルをとる素材が含まれる[要出典]

J-POPにおける2ステップ[編集]

日本のアーティストが歌う2ステップ、およびその応用楽曲の一例(50音順)

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e Reynolds, Simon. “Adult hardcore”. The Wire (182). オリジナルの17 October 2008時点におけるアーカイブ。. http://www.thewire.co.uk 2008年10月16日閲覧。. 
    A transcription of this article is available here as a PDF file.
  2. ^ a b Tony Verderosa ; edited by Rick Mattingly. (2002). The Techno Primer: The Essential Reference for Loop-based Music Styles. Milwaukee, WI: Hal Leonard. ISBN 0-634-01788-8 
  3. ^ ed. by Graham St. John (2004). Rave Culture and Religion. London: Routledge. ISBN 0-415-31449-6 
  4. ^ a b Stuart Borthwick and Ron Moy. (2004). Popular Music Genres: An Introduction. Edinburgh: Edinburgh University Press. ISBN 0-7486-1745-0 
  5. ^ Goodman, Steve (2007年1月3日). “Hardcore Garage: We bring you the future, the future..”. Hyperdub 2Step Garage archive (2000-2005). 2008年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月23日閲覧。
    An archived copy of this article may be found here
  6. ^ a b Clark, Martin (2006年8月23日). “The Month In: Grime/Dubstep”. Pitchfork Media. 2015年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月11日閲覧。
  7. ^ Murphy, Ben (2018年4月4日). “今もフレッシュに響くUKガラージ ベスト10” (日本語). Red Bull. 2020年2月21日閲覧。
  8. ^ a b “The Primer: Dubstep”. The Wire (279). オリジナルの6 October 2008時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081006115701/http://www.thewire.co.uk/current/index.php 2008年10月18日閲覧。. 
  9. ^ Eshun, Kodwo (2007年1月3日). “Wookie: Civilization and its Discos - Part 1”. Hyperdub 2Step Garage archive (2000-2005). 2008年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月19日閲覧。
    An archived copy of this article may be found here
  10. ^ Clark, Martin (2006年4月12日). “The Month In: Grime/Dubstep”. Pitchfork Media. 2008年12月11日閲覧。
  11. ^ Clark, Martin (2007年8月8日). “The Month In: Grime/Dubstep”. Pitchfork Media. 2008年10月16日閲覧。
  12. ^ de Wilde, Gervase (2006年10月14日). “Put a bit of dub in your step: a new form of dance music from Croydon is ready to conquer the world”. The Daily Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2006/10/14/bmdubstep14.xml 2008年10月18日閲覧。 
  13. ^ Pearsall (2005年6月18日). “Interview: Plasticman”. Riddim.ca. 2008年10月18日閲覧。
  14. ^ a b c d e 2-Step/British Garage Music Genre Overview”. AllMusic. All Media Network. 2019年11月20日閲覧。
  15. ^ Re-rewind! The odd tale of how UK garage legends Artful Dodger became Original Dodger | Dance music | The Guardian”. 2019年11月22日閲覧。
  16. ^ DiBella, M.F.. “Review of MG4”. AllMusic. All Media Network. 2019年11月20日閲覧。
  17. ^ クリプトン | MILLENNIUM GARAGE(サンプリング素材)” (日本語). ec.crypton.co.jp. 2020年5月30日閲覧。
  18. ^ About LA Stylez – LA Stylez” (日本語). 2020年5月30日閲覧。

関連項目[編集]