裸の銃を持つ男

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裸の銃を持つ男』(はだかのガンをもつおとこ、The Naked Gun)は、1988年1991年及び1994年アメリカ合衆国で制作された次の3つのコメディ映画のシリーズ名である。

シリーズ概要[編集]

  • 裸の銃を持つ男(原題: The Naked Gun: From the Files of Police Squad!, 1988年)
  • 裸の銃を持つ男 2 1/2(原題: The Naked Gun 2 1/2: The Smell of Fear, 1991年)
  • 裸の銃を持つ男 33 1/3 最後の侮辱(原題: The Naked Gun 33 1/3: The Final Insult, 1994年)

3つの作品は、いずれもレスリー・ニールセン演ずる『無鉄砲でへまやしくじりをものともしない猪突猛進型』の警部補フランク・ドレビン (Frank Drebin) の奮闘振りを描いている。

共演はプリシラ・プレスリー(Priscilla Presley、エルビス・プレスリーの元妻)、ジョージ・ケネディO・J・シンプソンなど。

このシリーズは、1982年からアメリカで放映されたテレビシリーズ『Police Squad!』(邦題「フライング・コップ」)の映画版である。『Police Squad!』及び本映画シリーズの制作陣はジェリー・ザッカー (Jerry Zucker)、ジム・エイブラハムズ (Jim Abrahams)、デヴィッド・ザッカー (David Zucker)及びパット・プロフト (Pat Proft) など。

シリーズごとのナンバーが2 1/2や33 1/3になっているのは、フェデリコ・フェリーニによるイタリア映画『8 1/2』のもじりである。また、「33 1/3」はLPレコード1分間の回転数にも掛けている。なお、シリーズタイトルの邦題『裸の銃を持つ男』は007シリーズの『007 黄金銃を持つ男』のパロディとなっている。

シリーズの特徴として、次の要素が挙げられる。

主な登場人物[編集]

フランク・ドレビン(レスリー・ニールセン
本シリーズの主人公でロサンゼルス市警の刑事。自分が普通にしたことが、後で大パニックの原因になっていたり、奇想天外な捜査で事件を解決してしまう一流の刑事。見た目は白髪頭の初老の風貌だが、年齢は不詳で若い頃から見た目があまり変わっておらず意外にも筋肉質な体つき、1000人もの麻薬の売人を抹殺したり(最後の数名は偶然車で轢いてしまった)と、実績も確かだが、いつも何かトラブルを起こし、上司の頭痛の種にもなっている。正義心が強いが麻薬、風俗と不謹慎な言動も多い。共和党の大統領の前でも民主党を応援するほどの民主党員でもある。
エド・ホッケン(ジョージ・ケネディ
フランクの上司の警部。フランクの良き友人。おっとりとして天然ボケだが、ほかのキャラよりは常識人。パート1ではすごい食欲を見せた。パート33 1/3では人手不足のため、フランクに助っ人を依頼する。妻子持ちで夫婦仲が良くパート2では奥さんに子供が出来る。
ノードバーグ(O・J・シンプソン
フランクの相棒。9年間相棒を組んでいる。パート1では冒頭で銃撃され、パート2 1/2では誰にも気付いてもらえずデトロイトまで行く羽目になったりと、シリーズを通して不幸な目にあっている刑事。混乱を沈めるために放つセリフが毎度のように一言多く、逆にパニックを引き起こしてしまうクセがある。
ジェーン・ドレビン(旧姓スペンサー)(プリシラ・プレスリー
シリーズのヒロイン。パート1の悪役ビンセント・ラドウィッグの元秘書。後にフランクの妻となる。パート1とパート2 1/2の間で一度フランクとの仲は破局しているが、2 1/2のラストで晴れて結ばれる。しかし、パート33 1/3で再び破局して、ラストで結ばれている。シリーズ通して、毎度終盤で人質にされる。
テッド・オルソン(エド・ウィリアムス
ロサンゼルス市警の鑑識課主任。趣味で007ばりの奇妙な兵器を次々と開発する。鑑識官として活躍するが、一方で恐竜の足跡を見つけたり、ノアの箱舟に使われた丸太を発見したりと、事件とは全く無関係の発見をすることも。ちなみにDVDの音声解説によると演じたエド・ウィリアムズの本職は高校教師らしい。
パプシュミア(レイ・バーク
アメリカを潰そうと目論む謎の男。二度にわたりアメリカの面目を潰すためのテロを企てる。パート1とパート33 1/3の事件の黒幕。VHS・DVDの吹き替えでは何故か田舎風のなまりがある喋り方をする。事件の糸を引いている立場であったが、フランクたちにその存在を知られること無くPart33 1/3のラストで死亡した。
アル
フランク達の同僚の物凄く背の高い刑事。登場する時は長身が災いして絶対に顔が映らない。ドラマ「フライング・コップ」でも登場している。スタッフの音声解説によると、ドラマの時とは違う俳優が演じているとのこと。

Part1[編集]

ヴィンセント・ラドウィッグ (リカルド・モンタルバン)
ロサンゼルス一の実業家。その名声はアメリカのみならず、世界中に知れ渡っており、日本の天皇とも面識があるほどの人望がある。しかし裏では麻薬売買などの犯罪に手を染めた極悪人で、冒頭でノードバーグを半殺しにした張本人。エリザベス女王のロサンゼルス訪問の際、莫大な報酬と引き換えに、女王の暗殺計画に加担する。特殊な催眠装置を使い、ノードバーグの主治医や野球選手のレジー・ジャクソン、さらにはジェーンまでも冷徹な暗殺者にした。
市長 (ナンシー・マルシャン)
ロサンゼルスの市長。エリザベス女王の訪米の最初の訪問先にロサンゼルスを選んだことでとても喜んでいるが、暗殺計画を捜査中のドレビンたちが起こすトラブルに頭を悩ませる羽目になる。ソフト版の吹き替えではザマス口調で話す。
エリザベス女王
イギリスの女王。訪米の最初の訪問先にロサンゼルスを選ぶが、ラドウィッグの陰謀で暗殺されそうになる。レセプションでドレビンが身を挺して彼女を暗殺から守ったが、手段が手段だったために、新聞にとんでもない写真がトップを飾ってしまった。
レジー・ジャクソン
実在の野球選手。カリフォルニアエンジェルスの外野手。ラドウィッグの催眠装置によって、女王に拳銃を向けてしまう。
アミン、アラファト、カダフィ、ホメイニ、ゴルバチョフ
冒頭、ベイルートの某所に集まって会議を開いていたアメリカと敵対する国の首脳達。アメリカを潰すために様々なアイディアを出し合い、意気投合するが、給仕に化けて潜入していたドレビンに全員叩きのめされた。乱闘中、ゴルバチョフはアザを拭き取られニセモノと判明。また、ホメイニのターバンの中はモヒカンであった。原語版でのこの会議は真面目に話し合っているが、吹き替え版では殆どがギャグで埋め尽くされている。

Part2 1/2[編集]

クエンティン・ハプスバーグ (ロバート・グーレ)
エネルギー業界の重鎮で、石油会社ヘキサゴン石油の社長。ジェーンに近づき、マインハイマー博士スピーチが自分に大きな損失になると知り、それを阻止するべく、同じく損失を被るであろう、石炭業界、原子力業界の大物達と手を組んで暗躍する。物語終盤、自分の計画が失敗すると悟るや否や、レセプション会場に仕掛けた核爆弾を爆破する『B計画』を発動するも、ドレビンに敗れ、爆発の中止パスワードを教えようとした時に手違いでビルから落下。幸い庇がクッションとなったため無傷だったが、直後に中盤で動物園から逃げ出していたライオンに食われるという悲惨な末路をたどった。演じたロバート・グーレは、フライングコップの第5話のオープニング中に死亡するゲストとして出演している。
アルバート・S・マインハイマー (リチャード・グリフィス)
クリーンエネルギーを研究している著名な博士。Part2 1/2におけるジェーンの上司でもある。国のエネルギー政策を石油・石炭・原子力から太陽光などのクリーンエネルギーに変えるよう、大統領に進言するつもりが、クエンティンらから命を狙われ、監禁されてしまう。尻に目印になるような大きなアザがある。一度会った人間の顔は絶対に忘れないほどの記憶力を持っており、これが後に事件の真相を掴む鍵となる。足が不自由で車椅子を使っている。
アール・ハッカー(リチャード・グリフィス)
クエンティンが連れて来た、マインハイマー博士の偽者。変装で人に成りすますことを生業とする悪党。ギャラは最低100万ドルで経費は依頼者側持ち。左利きでマインハイマー博士よりも少し背が高い。パーティーの席でドレビンと対面した際、ドレビンが操作を誤ったために車椅子が暴走し、会場の窓から飛び出し、鞭打ちになってしまった。
ヘクター・サヴァージ (アンソニー・ジェームズ)
デトロイト出身の元プロボクサー。現在はクエンティンの手下で、冒頭の研究所を爆破した爆弾を仕掛けた男。ドレビンやジェーンを暗殺しようとするも失敗。ドレビンともみ合いの末、消火栓を口に咥えさせられ、体が破裂するまで水を飲まされて死亡した。
ジョージ・ブッシュ大統領
第41代アメリカ大統領。国のエネルギー政策にマインハイマー博士の進言を大々的に盛り込んでいこうと考える。彼は共和党員だが、ラストでドレビンが民主党を応援するような発言に、場の雰囲気に流されて思わず拍手しそうになる。

Part33 1/3[編集]

ロッコ・ディロン (フレッド・ウォード)
爆弾魔でアメリカ中のあらゆる爆破事件の糸を引いている男。マザコンな性格。収監されているステーツビル刑務所から爆破の指示を行っていた。パプシュミアから500万ドルの大金を報酬に、アカデミー賞の授賞式を爆破する計画を立案する。刑務所に潜入してきたドレビンを仲間に加え、刑務所から脱獄。計画を進めるが、ドレビンとのもみ合いの末に母親のミュリエルが巻き添えを食らって死亡したことで錯乱。ジェーンをドレビンの目の前で殺そうとするも、失敗。最後は会場の天井から突き抜けてそのままパプシュミアの乗るヘリコプターのトイレに突き刺さり、2人まとめて爆死した。ちなみに彼の収監されていたステーツビル刑務所はフライングコップでも名前が登場し、事件の犯人は全員この刑務所に送られていた。
ミュリエル (キャスリーン・フリーマン)
ロッコの母親。息子を溺愛している。銃を持つととても撃ちたがる性格。太った体系をしている老婆だが、ピンク色のセクシーなハイレグ水着を愛用している。アカデミー賞授賞式の会場で爆弾を発見したドレビンに、ジェーンを人質にして優位に立つが、ロッコとドレビンのもみ合いの末に暴発した銃弾が『拍手』と書かれた看板に命中し落下、直撃したことで、拍手喝采の中(死ぬ直前にはスタンディングオーベーション)死亡。
タニヤ・ピーターズ (アンナ・ニコル・スミス)
ロッコの恋人で、ロサンゼルスの病院で看護婦をしている。モデルのような美人だが、実は男。かつてドレビンたちが担当した1970年のディスコ射ち合い事件の容疑者だったため、ドレビンの顔を覚えていた。予告編では3回も紹介された。
ルイーズ
Part33 1/3でのジェーンの同僚の弁護士。男嫌いで、ドレビンと破局したジェーンを傷心旅行へ連れて行く(テルマ&ルイーズのパロディ)。そのときの荷物を下ろさずにクラブに立ち寄ったために、全部盗まれてしまった。車のナンバーは「MAN HATR(男嫌い)」。
フィル・ドナヒュー
実在の司会者。アカデミー賞の最優秀監督賞の発表を担当するはずが、爆弾の捜索のためにドレビンに後ろから手刀で気絶させられ、入れ替わられてしまう。ドレビンとそっくりなため、ドレビンの起こす失態の数々は全てドナヒューのせいになってしまい、テレビ局の監督に「来年からはドナヒューは使わない!」と言われてしまった。

キャスト[編集]

裸の銃を持つ男[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
VHSDVD TBS テレビ朝日
フランク・ドレビン レスリー・ニールセン 中村正 小島敏彦 羽佐間道夫
ジェーン プリシラ・プレスリー 高島雅羅 堀越真己 高島雅羅
エド ジョージ・ケネディ 富田耕生 吉水慶 川久保潔
ノードバーグ O・J・シンプソン 二又一成 中田和宏 大塚明夫
ヴィンセント・ラドウィッグ リカルド・モンタルバン 小林勝彦 仁内建之 大木民夫
市長 ナンシー・マルシャン 麻生美代子 竹口安芸子 京田尚子
テッド・オルセン エド・ウィリアムス 北村弘一 塚田正昭 石井敏郎
パプシュミア レイ・バーク 城山堅 清川元夢 千田光男
エリザベス2世 ジャネット・チャールズ
アル・ヤンコビック

裸の銃を持つ男PART2 1/2[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
VHSDVD テレビ朝日
フランク・ドレビン レスリー・ニールセン 中村正 羽佐間道夫
ジェーン プリシラ・プレスリー 高島雅羅
エド ジョージ・ケネディ 藤本譲 川久保潔
ノードバーグ O・J・シンプソン 金尾哲夫 大塚明夫
クエンティン・ハプスバーグ ロバート・グーレ 吉水慶 田中信夫
アルバート・S・マインハイマー リチャード・グリフィス 加藤正之 緒方賢一
アール・ハッカー 増岡弘
テッド・オルセン エド・ウィリアムス 塚田正昭 石井敏郎
ヘクター・サヴァージ アンソニー・ジェームズ 千田光男
ジョージ・ブッシュ大統領 ジョン・ロアーク 大木民夫 仲木隆司
暴漢 アル・ヤンコビック

裸の銃を持つ男PART33 1/3 最後の侮辱[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
VHSDVD テレビ朝日
フランク・ドレビン レスリー・ニールセン 中村正 羽佐間道夫
ジェーン プリシラ・プレスリー 高島雅羅
エド ジョージ・ケネディ 藤本譲 川久保潔
ノードバーグ O・J・シンプソン 銀河万丈 大塚明夫
ロッコ フレッド・ウォード 池田勝 麦人
タニヤ アンナ・ニコル・スミス 雨蘭咲木子
ミュリエル キャスリーン・フリーマン 沼波輝枝 片岡富枝
パプシュミア レイ・バーク 塚田正昭 千田光男
テッド・オルセン エド・ウィリアムス 石井敏郎
ルイーズ エレン・グリーン 安達忍
タイロン ブルース・A・ヤング 中田和宏
看守 R・リー・アーメイ 清川元夢 北村弘一
ジェームズ・アール・ジョーンズ 長島雄一
オリンピア・デュカキス
アル・ヤンコビック
ヴァンナ・ホワイト
メアリー・ルー・レットン

エピソード[編集]

  • 各作オープニングの『赤色燈があちこちに突入していくシーン』は、“台車に赤色燈を乗せて撮影したら、意外に面白かったので”という理由で作られた。
  • 多くのベテラン声優を起用した吹き替え版には、字幕版以上にブラックジョークやオヤジギャグが満載。
    • ベイルートでのゴルバチョフの意見:「アメリカ人の舌の上に、イカの刺身をストローで乗せて、これがホントのベロストロイカ
    • ノードバーグが入院した時:ドレビンがノードバーグ夫人に対して「必ずホシを挙げてみせます。ご主人の命日までに」etc.
  • “ロサンゼルス市役所における市長の講演時、ドレビンがマイクのスイッチが入っている状態でトイレに入ったため、小便の音が館内に流れてしまう”というギャグは、製作者が友人の結婚式の時に自らやらかした失敗談が元になっている。
  • エンゼルスの対戦チームとしてマリナーズが選ばれた理由は、マリナーズの人気がなかったから。製作者側はギャラを払うどころか、マリナーズ側からシーズン入場券を贈られたほど。
  • 野球場の観客には子供が全く見当たらない。理由は「統制を乱すから」。
  • 第三作にはアンナ・ニコール・スミスが出演していた。フルメタル・ジャケットのハートマン軍曹で有名なR・リー・アーメイも端役で出演している。
  • 第三作ラストの劇場観客場面にウォーリーをさがせ!の主人公ウォーリーに扮した人物が紛れている。
  • 第三作の刑務所での回想シーンにある、ドレビンとジェーンの結婚式のシーンは元々第二作で使用する予定だった。ブライダルカーがソーラーカーなのは第二作で無公害エネルギーを題材にしていたためで、同じ車が登場するシーンが第二作の序盤にある(クエンティンがクリーンエネルギーの商品を解説しているシーン)。

備考[編集]

  • この作品の主役、レスリー・ニールセンが出演したいくつかの作品は「裸の…」「…を持つ男」などという日本語タイトルがつけられているが、ほとんどは当シリーズと無関係であり、あくまでも当シリーズのヒットを受けて日本の映画会社が命名したものである。とはいえ、「単なる二番煎じ」などではなくコメディとして高く評価されているものが多い。

リブート[編集]

今後に本シリーズのリブート実写映画の制作が企画されている[1]

脚注[編集]

関連項目[編集]