半グレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

半グレ”(はんグレ[1])とは、「暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す集団」を指す語[2]。“半グレ集団”とも[3]

語源[編集]

語源は「グレる」の“グレ”であり「愚連隊」の“グレ”であり、またの中間にあたる灰色の“グレー”、「グレーゾーン」の“グレ”[4]。暴力団に詳しいジャーナリスト・溝口敦の命名とされている[5]。語の初出は同ジャーナリスト著『ヤクザ崩壊』(2011年・講談社[6]

“暴力団の陰で新興の組織犯罪集団が勃興している。彼らに対する公的な呼称はまだなく、本書では「半グレ集団」と呼ぶことにする。「半グレ」とは彼らが堅気とヤクザとの中間的な存在であること、また「グレ」はぐれている、愚連隊のグレであり、黒でも白でもない中間的な灰色のグレーでもあり、グレーゾーンのグレーでもある。”
―――溝口敦(2011年・『ヤクザ崩壊 侵食される六代目山口組』)[7]

情勢[編集]

ノンフィクションライターの小野登志郎は、1991年の暴力団対策法施行ならびにその後の暴力団排除条例施行が“半グレ集団”勃興の誘因であったものと推測する[5]日本の各地にその例が見られ、様々な局面において暴力団と対峙する勢力となり、時に暴力団を圧倒してきた[8]東京の「関東連合」がそうした“半グレ集団”の典型とされている[9]。ほか、中国残留孤児の2世ならびに3世を中核構成員とする「怒羅権」や、大阪の繁華街・ミナミで傷害事件などを繰り返しているアマチュア格闘技団体(「強者 つわもの[10])などが“半グレ集団”の例に挙げられてきた[11]

特色[編集]

メンバーには暴走族上がりの者が多く、振り込め詐欺闇金融などといった独自のビジネスを展開する集団もあると見られているものの、実態は定かとなっておらず、社会問題化するに至った[3]。「暴走族の元メンバーやその知人らが離合集散しながら緩やかなネットワークで行動を共にするグループ」(2013年・朝日新聞[12]。振り込め詐欺や闇金融のほか、貧困ビジネス解体工事産廃の運搬業、クラブ芸能プロダクションの経営、ならびに出会い系サイトの運営などが大抵のメンバーのいわゆる「シノギ」(資金獲得活動)となっている[13]

暴力団との顕著な違いとして、暴力団に籍を置いていないがゆえに暴力団対策法の適用を受けないこと、活動の匿名性や隠密性、メンバーの年齢層の若さ(年長でも40歳代まで)、ならびに、人員供給の拡大傾向が挙げられる[14]。少数ながら暴力団系のグループも存在してはいるものの、大半は暴力団と距離を置いているため、暴力団対策法の規制を受ける暴力団とは違い、有効な法規制を受けない状況となっている[15]

暴力団との関係[編集]

大半のメンバーが暴力団組織に所属しない特徴のある半グレであるが、シノギなどにおいては組織として暴力団と共存関係を築き、上納金を収める場合もある。大阪を地盤としていた半グレ集団アビスの場合では、任侠山口組系組織に月30-50万円を上納していたほか、同じ半グレ集団O7(アウトセブン)との対立時には暴力団による仲裁で沈静化が図られている。このため半グレ集団への警察の対応は、暴力団対策を行う大阪府警察捜査4課が実施。2018年9月以降、多数の関係者が逮捕された結果、アビス、O7ともに2018年中に解散に至っている[16]

対策[編集]

2013年には「関東連合」や「怒羅権」などの“半グレ集団”が警察庁によって新たに“準暴力団”と規定され、その実態解明を企図した取り組みが同庁の号令のもとで始動するに至っている[17]。定義は「暴力団と同程度の明確な組織性はないものの、構成メンバーが集団で常習的に暴力的な不法行為をしているグループ」[18]。先立つ2012年に東京で発生した関東連合関係事案「六本木クラブ殺人事件」がそのきっかけであったという[19]

準暴力団に指定されている団体は、東京の8団体と2017年に大阪府警が指定した2団体の計10団体が準暴力団と見なされている[20][21][22]

2017年から2018年にかけて、大阪府警察は半グレ集団アビスが経営していたガールズバーの経営者ら55人を傷害や恐喝未遂などの疑いで逮捕・送検、もしくは書類送検・家裁送致とし、組織を解散に追い込んだ[23]

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ What’s with the police purge on dance clubs?ジェイク・エーデルスタイン 2013年4月7日 ジャパンタイムズ (英語) ― “The investigative journalist Atsushi Mizoguchi coined a term for these outlaws: hangure.” ― “ハングレ” (hangure)
  2. ^ "半グレ"って知っていますか?』 2012年10月29日 NHKクローズアップ現代
  3. ^ a b 半グレ集団 とは朝日新聞 2012年10月22日 コトバンク
  4. ^ 暴力団』 : “暴走族と愚連隊” (p.33) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
  5. ^ a b 暴力団でないアウトロー「半グレ」の実態小野登志郎 2012年12月19日 WEBRONZA
  6. ^ New breed of ‘criminal elements’ emerging from the shadowsマーク・シュライバー 2012年12月9日 ジャパンタイムズ (英語)
  7. ^ ハード・ノンフィクションの巨匠、溝口敦著 『溶けていく暴力団』 第三章「飛んでる半グレ集団」全文公開!(1/8)溝口敦 2013年11月4日 現代ビジネス
  8. ^ 暴力団』 : “暴力団が怖れる集団” (p.172) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
  9. ^ 関東連合が典型の「半グレ集団」ITに疎い暴力団に魅力感じず溝口敦 2012年1月17日 NEWSポストセブン
  10. ^ 半グレ「強者」また逮捕 ミナミで警察官に公務執行妨害』 2013年1月29日 MSN産経ニュース
  11. ^ 半グレは「準暴力団」 警察庁、組織や資金源の実態解明へ』 2013年3月7日 MSN産経ニュース
  12. ^ 朝日新聞』 2013年3月20日・朝刊 - 『半グレに関するトピックス朝日新聞デジタル
  13. ^ 暴力団』 : “半グレ集団とは何なのか?” (p.157) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
  14. ^ 暴力団』 : “暴力団との四つのちがい” (p.158-164) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
  15. ^ 暴力団』 : “暴力団が怖れる集団” (p.173) 溝口敦 2011年 新潮新書 ISBN 978-4-10-610434-3
  16. ^ 【衝撃事件の核心】大阪・ミナミ半グレぼったくりバー”. 産経新聞 (2019年1月3日). 2019年1月3日閲覧。
  17. ^ 「半グレ」は準暴力団 警察庁、取り締まり強化を指示』 2013年3月7日 日本経済新聞
  18. ^ 半グレを「準暴力団」と規定 警察庁 東京、大阪で暗躍か』 2013年3月7日 MSN産経ニュース
  19. ^ 「準暴力団」とは何だ』 緒方健二 2013年4月9日 WEBRONZA
  20. ^ 組織犯罪対策部 (2016年2月25日). “平成27年の暴力団情勢 (PDF)”. 警察庁. 2016年4月3日閲覧。
  21. ^ 大阪のアウトロー・半グレ集団が「準暴力団認定」された裏事情を探る”. 【RNO!】Real News On-line!【リア・ニュー!】 (2018年4月17日). 2018年12月12日閲覧。
  22. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2018年4月14日). “半グレを「準暴力団」認定 複数の不良グループ、大阪で初” (日本語). 産経ニュース. 2018年12月12日閲覧。
  23. ^ 「指示背けば集団リンチ」ミナミの半グレ集団55人摘発”. 朝日新聞デジタル (2018年12月13日). 2019年1月3日閲覧。