トヨタ・4A-GE

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トヨタ・4A-GE
生産拠点 トヨタ自動車
製造期間 1983年4月 - 2002年6月
タイプ 直列4気筒
排気量 1.6リットル
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トヨタ・4A-GE(-ヨンエー ジーイー)は、トヨタ自動車のスポーツツインカム系列のエンジンの一つであり、トヨタ・A型エンジン (2代目)系列である。

概要[編集]

1983年5月に登場したAE86カローラレビン/スプリンタートレノに初めて搭載された。直列4気筒1,600ccで前輪駆動、後輪駆動及びミッドシップ用で、DOHC16バルブもしくは20バルブの、自然吸気もしくはスーパーチャージャーつきエンジンである。

それまでのトヨタ製4気筒スポーツユニットの主力機種であった直列4気筒1,600ccの2T-G系の後継機種として開発された。

これは、2T-G系が度重なる自動車排出ガス規制に対応するために当初よりもパワーダウンして陳腐化したことや、基本設計の設計年次の古さも原因となっていた。ベースとなったエンジンは直列4気筒1,500ccの3A-Uであり、SOHC方式のヘッドユニットであったものをDOHC方式に変更した。さらに2T-G系では2バルブだったものを、現代のDOHCエンジンと同じく吸気2バルブ・排気2バルブの1気筒当たり4バルブとなる16バルブへと進化させ、後に登場するAE101系カローラ・スプリンターへの搭載モデルからは吸気が3バルブとなった1気筒当たり5バルブの20バルブヘッドへ進化している。

トヨタのスポーツDOHCエンジンの多くはトヨタ・2000GTの開発以来パートナーシップを組んできたヤマハ発動機との共同開発によって誕生したものであるが、歴代の4A-Gシリーズはトヨタの単独開発である[注釈 1]。生産についても他の機種[注釈 2]とは異なり、ヤマハ発動機製を示すYAMAHA刻印のあるものの存在は確認されていない[注釈 3]

レギュラーガソリン仕様の初期型では可変吸気システムであるT-VISが採用されていたが、その後廃止されたうえでプレミアムガソリン(ハイオクガソリン)対応となり、AE101型に搭載されたモデルでは前述の20バルブ方式を採用した上でトヨタのメカニカル式可変バルブタイミングシステムである「VVT」が採用され、パワーと扱いやすさと燃費を向上させている。

なお、エンジンの出力向上の要因として

  • 無鉛プレミアムガソリンの普及。
  • エンジン制御用のコンピューターの性能向上。

があげられる。

また、アフターマーケットの一部では排気量をアップして4.5A-G、5A-G、5.5A-G、7A-G、8A-Gと名づけられたチューニングエンジンが存在する事が知られており、それぞれの内径×行程/排気量は


  • 4.5A-G ‥ 内径アップ
    • 83 mm×77 mm/1,666cc
  • 5A-G ‥ HKS製5A-Gキット等による行程アップ
    • 81 mm×83 mm/1,710cc
  • 5.5A-G ‥ HKS製5A-Gキット等を用いたものをさらに内径アップ
    • 83 mm×83 mm/1,796cc
  • 7A-G ‥ ハイメカツインカム7A-FEのブロックを流用
    • 81 mm×85.5 mm/1,762cc
  • 8A-G ‥ ハイメカツインカム7A-FEのブロックを流用し内径アップ
    • 1,850cc程度

となっている。これらはトヨタのエンジン名称規則から外れた名前で呼ばれているため誤解を生むケースも多々あるが、概ね名称規則から大きく逸脱していないために俗称として呼ばれている。

なお、4A-GEUと4A-GELUの違いはエンジンの搭載方法が縦置きか横置きかの違いだけであり、縦置き形式のエンジンの生産が終了した後には"L"の表記は無くなった。

長らくトヨタのスポーツツインカムエンジンの代表格として存在しており、エンジンの流用も盛んであった。代表的な例では、E70型カローラ/スプリンター系の車種に4A-GEを換装するものである。同車には当機のベースとなった3A-Uを搭載しているグレードがあり、これのマウントを使用することで容易に換装が可能であった。また、元々4A-GEを搭載していた車種(主にAE86型)に、それ以降の世代(AE92型やAE111型)の4A-GEを換装する例も珍しくない。

現在の生産車には一切搭載されておらず、後継の2ZZ-GEもエリーゼ用としてロータスに供給されているものの、トヨタに搭載車種はない。フォーミュラトヨタ・レーシングスクールでの利用も2013年で終了した。

バリエーション[編集]

自然吸気[編集]

16バルブ[編集]

  • 1983年5月AE86型カローラレビン スプリンタートレノ搭載時)
    • 名称 4A-GEU
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 9.4
    • 最高出力 130PS/6,600rpm
    • 最大トルク 15.2kg・m/5,200rpm(いずれもグロス値)
    • 使用燃料 レギュラーガソリン
    • 通称 青文字
  • 1984年6月(AW11型MR2前期型搭載時)
    • 名称 4A-GELU
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 9.4
    • 最高出力 130PS/6,600rpm
    • 最大トルク 15.2kg・m/5,200rpm(いずれもグロス値)
    • 使用燃料 レギュラーガソリン
  • 1987年5月(AE92型カローラレビン スプリンタートレノ前期型搭載時)
    • 名称 4A-GELU
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 9.4
    • 最高出力 120PS/6,600rpm
    • 最大トルク 14.5kg・m/5,200rpm
    • 使用燃料 レギュラーガソリン
    • 通称 赤文字、キューニー前期
  • 1989年5月(AE92型カローラレビン スプリンタートレノ後期型搭載時)
    • 名称 4A-GEU
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 10.3
    • 最高出力 140PS/7,200rpm
    • 最大トルク 15.0kg・m/6,000rpm
    • 使用燃料 プレミアムガソリン
    • 通称 ハイコン、カバー付、キューニー後期

20バルブ[編集]

  • 1991年6月(AE101型カローラレビン搭載時)
    • 名称 4A-GE
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 10.5
    • 最高出力 160PS/7,400rpm
    • 最大トルク 16.5kg・m/5,200rpm
    • 使用燃料 プレミアムガソリン
    • 通称 銀ヘッド
  • 1995年5月(AE111型カローラレビン搭載時)
    • 名称 4A-GE
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 11.0
    • 最高出力 165PS/7,800rpm
    • 最大トルク 16.5kg・m/5,600rpm
    • 使用燃料 プレミアムガソリン
    • 通称 黒ヘッド

過給機付[編集]

  • 1986年8月(AW11型MR2および前期型AE92型カローラレビン スプリンタートレノ搭載時)
    • 名称 4A-GZE
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 8.0
    • 最高出力 145PS/6,400rpm
    • 最大トルク 19.0kg・m/4,400rpm
    • 使用燃料 レギュラーガソリン
  • 1989年5月(後期型AE92型カローラレビン スプリンタートレノ搭載時)
    • 名称 4A-GZE
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 8.9
    • 最高出力 165PS/6,400rpm
    • 最大トルク 21.0kg・m/4,400rpm
    • 使用燃料 プレミアムガソリン
  • 1991年6月(AE101型カローラレビン スプリンタートレノ前期型搭載時)
    • 名称 4A-GZE
    • 排気量 1,587cc
    • 内径×行程 81.0 mm×77.0 mm
    • 圧縮比 8.9
    • 最高出力 170PS/6,400rpm
    • 最大トルク 21.0kg・m/4,400rpm
    • 使用燃料 プレミアムガソリン

評価[編集]

4A-GEは丈夫ではあるものの、他の一昔前の高回転型・自然吸気エンジンと同じように低~中回転域のトルクに乏しく、一般に街乗りには不向きとされる。AE101搭載以降には、VVTを採用するなどし、トルクの改善とともに燃費向上が図られた。

エンジンの流通量が他と比べ比較的多く、チューニングパーツも豊富にあり、さらにその丈夫さと作りの簡単さから様々なチューニングを施すことができることで、改造を好む人には未だに愛好者が多い。

チューニングベースとして[編集]

基本設計が現代のエンジンと比較してシンプルな構造であり、競技用のチューニングベースとされる。これには20バルブのモデルと16バルブのモデルとがある。20バルブ版は燃焼室の形状の複雑さゆえ圧縮比を上げるとノッキングが発生しやすく、チューニングには組み付け精度と加工技術が必要とするが、クランクシャフトコネクティングロッドピストン等は優れている。一方で16バルブ版は燃焼室の形状がシンプルゆえに圧縮比を上げるのが容易である。チューニングする方法としてAE92後期のヘッドと20バルブの腰下をベースに仕上げる方法があるが、複雑なうえ耐久性に乏しくなりがちである。

シリンダーブロックの強度を検証すると、200馬力を超えたときの耐久性が極端に低下することが分かっている。[要出典]自然吸気のものはベースが基本的に3A-Uや4A-ELUと同等であり、20バルブのものはリブ形状からスーパーチャージャー用のものの方がより強度を保っているとされる。

幻のターボ仕様[編集]

AW11型MR2のマイナーチェンジの際にスーパーチャージャー仕様車が追加されたが、開発段階ではターボ仕様車も用意されており、比較検討の上、中低速の出力特性及びレスポンスに優れるスーパーチャージャー仕様が採用・市販された事をエンジン開発担当者が明かしている[1]

搭載車種[編集]

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ヤマハ発動機で開発が先行していた1G-GEや3S-GEの技術情報を参照した設計である可能性は高い。当時のトヨタ単独開発、生産の機種としては7M-G系も挙げられる。
  2. ^ 3S-GEや1G-GEは全盛期にトヨタ生産、ヤマハ生産が並行していた。
  3. ^ 「AA63カリーナでは、カムベルトカバーにYAMAHAの浮き出し文字が表示されていた例がある」といった話は枚挙に暇が無いほどであるが、それを証明する写真の一枚も見つかっていない。

出典[編集]

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参考文献[編集]