ザ・プライス

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ザ・プライスの店舗(東松山店)

ザ・プライス (THE PRICE) は、株式会社イトーヨーカ堂が運営していたディスカウントストアである。かつて北陸地方に所在した同名の衣料品店とは、資本と人材共に無関係である。

歴史[編集]

千住店外観。ザ・プライスとイトーヨーカドーの両方の看板がはっきりと確認できる。

1980年代初頭、株式会社イトーヨーカ堂(旧法人)がディスカウントストア業態に参入、店舗ブランド名を「ザ・プライス」とし、既存の総合スーパー「イトーヨーカドー」を転換する形で日本各地に4店舗を出店した。

2000年代に入ると業績不振や店舗施設の老朽化などもあって、当初出店していた4店舗はいずれも閉店したが、2008年になるとアリオが開店した近隣にて8月29日にイトーヨーカドー西新井店を業態転換した西新井店が新生1号店としてオープン、続いて2008年11月14日にイトーヨーカドー川口駅前店を業態転換し、2号店として川口店がオープンした。

この2店舗でザ・プライスを実験的に営業を続けた上で、2009年には再び首都圏を中心に小規模のイトーヨーカドー店舗の転換による出店が相次いだ。その後3年ほど出店を停止し運営体制を見直した上で、2013年に出店を再開した[1]。ただし、せんげん台店と野田店は旧店舗を完全に解体した跡地に新築出店している。2013年3月7日に開店した湘南台店は、他系列店舗の居抜き出店として富士ガーデン跡に3年ぶりの出店となった[1]

新店舗のロゴタイプもこれまでに閉店した4店舗のものと同じものを採用している。屋上看板はイトーヨーカドーとは異なりセブン&アイ・ホールディングスのロゴがない店舗もある。その中でも北千住駅近くにあった千住店はイトーヨーカドー創業の地(1号店)[2][3][4][5]ということもあり、ザ・プライスに転換後もイトーヨーカドーの看板を残していた[6]

衣食住全般を取り扱う店舗もあり、食料品・日用品のみ扱う店舗も存在した。再展開にあたっては消費者の節約志向が高まっている背景を受け、イトーヨーカドーよりも食品衣料品を25%から30%安く販売する方針とした。

再展開当初は基本的な取り扱い商品はすべてナショナルブランド商品で、「セブンプレミアム」などのプライベートブランド商品は取り扱わないということであったが、実際には当初の時期から一部の「セブンプレミアム」を取り扱っている。2009年6月22日からはプライベートブランド「ザ・プライス」を展開していた。プライベートブランドとしての「ザ・プライス」は「セブンプレミアム」よりも低価格帯の商品を取り扱っていた。

ネットスーパーはザ・プライスの店舗では導入していなかったが、2010年3月29日から鶴ヶ峰店を手始めに開始した。

2010年9月には、川口店と同一の建物内に「セブンホームセンター川口店」が入居した[7]。セブンホームセンターがザ・プライスとの併設店舗となるのはこれが初のケースであった。2015年5月にセブンホームセンターは「イトーヨーカドー アウトレット」に改装されたが、2019年5月に閉店された。

2015年以降は建物の老朽化などを理由に閉店や縮小が相次いでおり、これらの店舗の中には建て替えで「食品館イトーヨーカドー」に戻された店舗もあった。

2020年6月1日に食品館イトーヨーカドー(15店舗)と共にヨークに事業譲渡され、ブランド名を「ヨークプライス」に変更した[8]

最後まで西日本(中部地方以西)に進出することはなかった。

ポイントカード・電子マネー[編集]

ザ・プライスではアイワイポイントカードの付与・利用はできない。イトーヨーカドーからの業態転換直後は利用が可能で、その後2か月程度の移行期間を経て、電子マネーnanacoとともに利用できなくなっていたが、その後は再びnanacoでの支払いが可能となった。ただしnanacoポイントの付与はない。セブンカード(旧・アイワイカード)のクレジット払いでのみポイントがつく。

イトーヨーカドーのポイントカードがあれば、ザ・プライスにおいても「ぴゅあウォーター水」を一日で3.8リットル汲むことは可能である。

店舗一覧[編集]

2009年11月に開業したせんげん台店
(埼玉県越谷市、「セブンタウンせんげん台」のメインテナント

ヨークプライスに移行した店舗[編集]

閉鎖店舗[編集]

赤羽店
  • 東京都北区赤羽一丁目19番12号
  • 1961年10月開店のイトーヨーカドー旧赤羽店(初代)を改装し1982年 - 1983年頃開店、1995年1月8日閉店。1995年11月10日に開業した2代目イトーヨーカドー赤羽店とは別店舗。
  • 閉店後、マインマート赤羽店を出店した。3 - 5階は、かつての日本住宅公団(現:都市再生機構)が建設した市街地住宅(赤羽一丁目団地)である。現在は土地所有者等へ譲渡済みである。
  • 閉店時のイトーヨーカドー旧赤羽店では食料品は扱っていなかったが、ザ・プライス開店後しばらくは食料品を扱っていた。服飾・雑貨・宝飾品・スポーツ用品・住居関連商品などが中心の品揃えであった。
  • 開店時から、当時あまり普及していなかったバーコード読取り式のレジを導入していた。
溝ノ口店
丸大店
  • 新潟県長岡市大手通2丁目2番地6
  • 業務提携中の株式会社丸大が運営。「イトーヨーカドー丸大長岡駅前店」が長岡駅前へ1988年に出店したことに伴い、百貨店だった「長岡丸大店」の店舗を業態転換し1989年9月に開店。これに伴い長岡駅前店は「長岡店」に改称している。業績不振のため2000年8月に閉店。国内で唯一イトーヨーカ堂が運営していない店舗であった。
  • 2001年10月1日より丸大と市の賃貸借契約のもと、長岡市役所の庁舎「ながおか市民センター」に転用された[10]
  • 丸大は2020年3月まで本店機能をここに置いていたが、4月に土地をUR都市再生機構に、建物は長岡市に無償譲渡して撤退した。
琴似店
  • 北海道札幌市西区琴似2条1丁目2番1号
  • 1976年7月に開業したイトーヨーカドー旧琴似店(初代)を改装、2003年8月31日閉店。後に近隣のエスパ琴似店が2代目イトーヨーカドー琴似店に転換された。
  • 2004年7月に日本ユニテックが運営する「5588KOTONIショッピングセンター」としてオープンした。
鎌ケ谷店
  • 千葉県鎌ケ谷市富岡1丁目1番3号
  • 「イトーヨーカドー鎌ケ谷店」として2006年1月15日まで、「食品館イトーヨーカドー鎌ケ谷店」として2006年4月20日から2009年3月16日まで営業した後、2009年3月20日に開業した店舗。
  • 建物の老朽化を理由に、2012年4月19日をもって閉店した。
  • 跡地には「ショッピングプラザ 鎌ヶ谷」が建設され、2013年11月22日開業[11]核店舗として食品館イトーヨーカドーが開店したため、事実上のイトーヨーカドーとしての再出店である。
鶴ヶ峰店
  • 神奈川県横浜市旭区鶴ヶ峰1-7-10
  • 1984年に「イトーヨーカドー鶴ヶ峰店」として開店し、2009年6月19日に転換した。
  • 2014年2月23日をもって完全閉店した。
  • 店舗跡には三和ザ・ダイソーなどが入居している。
千住店
  • 東京都足立区千住3-2
  • 1946年に「羊華堂」として開店[2][3][4]。のちに「イトーヨーカドー千住店」となり、2009年7月25日に転換した。
  • イトーヨーカドー1号店である[2][3][4][5]
  • 建物の老朽化のため2016年4月10日をもって閉店。建物は取り壊され分譲マンションが建設、1・2階に「イトーヨーカ堂食品館千住店」として2019年3月15日に再出店した[3][4][5]
蕨店
  • 埼玉県蕨市塚越1-7-9
  • 1970年6月に開店し、2009年4月17日に転換、2016年10月2日閉店
  • 建物は解体され、2018年に跡地にライフ蕨駅前店が新築されオープンした。
東松山店
  • 埼玉県東松山市筒弓町1-15-13
  • 1977年6月に開店し、2009年4月24日に転換、2016年10月30日閉店
滝山店
  • 東京都東久留米市滝山4丁目13-10
  • 1980年2月開店、2009年7月17日に転換、2018年2月25日閉店
川口店
  • 埼玉県川口市栄町3丁目14-15
  • 1970年12月開店、2008年11月14日に転換、2019年5月19日閉店
  • 「イトーヨーカドー川口店」として開業したが、アリオ川口の開業に伴い「イトーヨーカドー川口駅前店」に改称し、食品・日用品と取扱いに縮小、その後に業態転換された。
  • 上記のようにセブンホームセンターを併設。その後、イトーヨーカドーアウトレットに改称して営業していた。
  • 再開発のため閉店。イトーヨーカドーアウトレットも同時に閉店した。
西川口店
  • 埼玉県川口市西川口2丁目3-5
  • 1974年5月開店、2009年3月26日に転換、2019年5月20日閉店。
  • 跡地には2020年に島忠ホームズ西川口店が開店し、イトーヨーカドーも島忠のテナントとして再出店した。

脚注[編集]

  1. ^ a b セブン&アイ、格安店再開日経ビジネス(2013年1月11日)2016年12月30日閲覧。
  2. ^ a b c 100年の歴史|イトーヨーカドー100周年”. イトーヨーカ堂. 2021年2月6日閲覧。
  3. ^ a b c d 北千住「イトーヨーカドー」1号店跡に店舗復活 買い物難民の心安らぐ”. 足立経済新聞 (2019年3月11日). 2021年2月7日閲覧。
  4. ^ a b c d 北千住「イトーヨーカドー」、1号店跡に再出店 復活祝う地元住民1000人が行列”. 足立経済新聞. 2019-03-25. 2021年2月7日閲覧。
  5. ^ a b c ヨーカ堂/創業地にマンション併設型店舗「ヨーカドー食品館千住店」”. 流通ニュース (2019年2月26日). 2019年3月18日閲覧。
  6. ^ 東京芸術センター内にあるハローワーク足立(公共職業安定所)から両方の看板が掲げてあるのが見える。
  7. ^ 9/30(木) 『セブンホームセンター川口店』 開業 ディスカウントストア「ザ・プライス」との初の併設型店舗 (PDF) - イトーヨーカ堂ニュースリリース 2010年9月16日
  8. ^ セブン&アイHD「ヨークフーズ」誕生で食品スーパー再成長へ、ヨークマート・食品館・コンフォートマーケットを集約”. 食品産業新聞社 (2020年5月14日). 2020年5月19日閲覧。
  9. ^ 大規模小売店舗立地法に基づく廃止の届出 (PDF, 川崎市公告第183号 2002年7月8日)
  10. ^ 長岡市中心市街地活性化基本計画 p.4に「事業名:市民センターの運営 事業期間:H13~ 実施主体:長岡市 概要:空きビルを賃借して設置しているながおか市民センターの運営を行う。」の記述あり
  11. ^ 『食品館イトーヨカドー鎌ヶ谷店』と 21 の専門店 11/22「ショッピングプラザ 鎌ヶ谷」グランドオープン!!』(プレスリリース)イトーヨーカ堂、2013年10月31日http://www.itoyokado.co.jp/dbps_data/_material_/localhost/pdf/2013/20131031.pdf 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]